とりまいちゃつくだけのブルアカ短編集   作:春山三冬

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最初はやっぱり推しからやりたかったんですよねぇ、ということで推しのカヨコの話です


2人で過ごす時間(鬼方カヨコ)

「先生…」

 

シャーレの執務室に入ってきた少女、鬼方カヨコは入ってくるなりげんなりした顔をした。

私はなんとなく、いや確実に理由を理解してる。

でもとりあえずそれはおいといて、話をそらそう!

 

「ごめんに急に呼び出しちゃったりして…迷惑じゃなかった?」

「それに関しては何も気にしてないから、今日は予定もなかったし。(先生に頼ってもらえるのは嬉しいから…)」

 

何か呟いてた気がしなくもないが、一旦気のせいということにして、また話題を逸らそうとしてみる。

が、それはカヨコの「それより」という言葉にあっけなくかき消されてしまった。

こちらが黙ったのを確認してからカヨコはこちらに向き直り口を開く。

 

「なんでこんなに汚いの…」

 

そういった後カヨコは盛大にため息をついた。

いやほんと、自分でもびっくりするくらい汚い。

いやでも、仕方ないと思う。

 

「この謎の物体…なに?それに所々ある弾痕…午前中にここで何があったの?」

 

目の前の自分より年下な女の子から向けられる睨みに私は軽く気圧される。

ただ、こちらの言い分を聞いてもらえる余地があるならちゃんと弁明をしなきゃならないので、さっきあったことを話す。

 

「ええっと…今日はコハルとハナコの2人が当番だったんだけど、途中からスイーツ持ってカズサがきてくれて、カズサを追いかけてきたレイサの4人に仕事を手伝ってもらったんだけど…」

「(あのメス猫…)というか、メスね…じゃなくて、カズサとレイサの2人がいて仕事になるの?」

 

最初の方は小声で聞き取れなかったからまぁスルーするとして、私は当番に来てくれた生徒に最近会ったこととかをよく話すのでみんな他校の生徒のことも知ってることが多い。

その中でもカヨコは聞き上手だからついつい色々話してしまうせいかほんとに色々知っている。

だからこんな状況でも割と気兼ねなく話せるのが唯一の救いだ…睨まれるのは怖いけど。

 

「まぁ、結論から言うとなるわけないよね…」

「はぁ…そうだと思った。で、結局何があってこうなったの?」

「まず、最初は普通にコハルとハナコと3人でワイワイ仕事してたんだ。それでお昼くらいになって、コハルがハナコと2人でお弁当を作ってきてくれたらしいくて、じゃあありがたくいただこうってなったんだ。そこでカズサが期間限定のプリンを買ってシャーレに来たんだよ。で、そのプリンを私に見せてくれてる時に、横から急にレイサが現れてショットガンぶっぱなしながらカズサに喧嘩売ったんだよ」

 

そこまで話した時点でカヨコの顔からはさっきの睨みは消えていて、ただ純粋にレイサの行動に引いているようだった。

 

「先生は…大丈夫だったのそれ?」

「うん、カズサが咄嗟に覆い被さって守ってくれた。まぁレイサは私に当たらないよう撃ってたらしいからなくても大丈夫だったんだろうけど。で、問題はそこからで、カズサが買ってきてくれたプリンとコハルとハナコが作ってくれたお弁当に弾丸が直撃して爆散したんだよね…」

 

ここまで話すとついにカヨコが「うわぁ…」と思わず声を出してしまうほどに引いていた。

まぁ、レイサが100%悪い。

 

「当然カズサはブチギレ。コハルは半泣きになりながらブチギレ。ハナコももちろんブチギレ。って感じで、みんな一斉に銃を取り出してレイサに向けて発砲した。そっから少しの間ここで撃ち合いが始まって、いつのまにか外に逃げたレイサを追っかけて3人とも消えていったって感じ」

「あー…なんというか、ご愁傷様。書類は無事だったの?」

「それは撃ち合いが始まった瞬間急いで避難させたから無事。で、さっきカヨコ言ってた謎の物体はプリンかお弁当の成れの果て」

 

カヨコはなんとなく理解したのか額を抑えながらため息をつき、荷物を置いてからこの散らかり放題な部屋の片付け始めた。

それを見て私も片付けを始める。そして2人で掃除を始めて数分後、不意にカヨコがコチラに問いかけてきた。

 

「なんで私を呼んだの?別に他の子でもよかったんじゃ」

「あー、こんな状況でもすぐきてくれて手伝ってくれるひとってなった時、パッと思い浮かんだのがカヨコだったからなんだけど…やっぱりダメだった?」

「別にそんなんじゃないって。ただ単純になんで私なのか気になっただけ。まぁ、これからも何かあったら私に言って。すぐ駆けつけるから」

「ありがとう。カヨコ。これからもお世話になります」

 

カヨコの優しさに胸を打たれながら掃除を進めようとすると、いつのまにかカヨコが私の隣にきていた。

そのことに気づいてちょっとびっくりした瞬間、カヨコの口が私の耳に触れるか触れないかギリギリのラインまで近づいてきて、息が耳にかかる状態で囁かれた。

 

「お世話になるのはこっちだよ先生。まぁ、ただで働く気はないけど」

 

私はビクッとしてカヨコの方に急いで顔を向けた。

カヨコの顔は、いつも綺麗な白だけじゃなく、ほんのり赤く染まっていた。

 

「一体何をさせる気なの!?」

「今回の分は…今度時間が空いた日に買い物についてきて」

「え?そんなことならいつでも喜んでついてくけど…」

「ありがとう、先生。日時が決まったらまた連絡するから」

 

そう言ってまたカヨコはさっきいた場所に戻って掃除を再開してくれた。

私もそれに合わせて掃除をしていく、ある程度片付いたところで、私の腹の虫がものすごい音で鳴いた。

カヨコももちろんこの音に気づいてこちらを見た。

私は恥ずかしさでいっぱいになりスッと顔を逸らした。

 

「先生、もしかしてお昼食べてない?」

「しっ、仕方ないじゃん。コハルとハナコのお弁当食べる気満々だったし…」

「はぁ…そういうことなら先に言ってくれたら何か作ってきたのに…」

「いっいや、流石にそこまでさせるのは悪いかなって思って」

「別に私は気にしないから。次からは言って」

 

そう言ってからカヨコはまた片付けに戻ってしまった。

私はお昼用のカップ麺かインスタント食品が何か残っていたか思い出そうとしていると、出前というとても画期的なものの存在を思い出した。

 

「カヨコはお昼まだ?」

「私は食べようと思ってたら先生に呼ばれたから」

「あっ、タイミング悪かったよね、ごめん」

「だから私は気にしないから。わざわざ謝らないでいいから」

「そう?そういうことなら、今から出前とるから何か食べたいものある?」

「………ラーメン?」

「どこの店とか指定ある?」

「ないよ、味とかも先生にお任せする」

「わかった。適当に注文してくる」

 

 

そう言って私は近所のラーメン屋のメニューを検索して、そのラーメン屋に電話して注文してきた。

今はお昼時なのでお客さんが多いらしく少し時間がかかると言っていたから気長に掃除をしていたら、いつの間にか終わっていた。

終わったと言っても、使えなくなってしまったものだらけで、モニターとか机や椅子すらもダメになっていたから、カヨコにこれまた手伝ってもらい、倉庫から予備を引っ張り出した。

 

キヴォトスでは何かとすぐ物騒なことに繋がるのを理解してからこういう必需品はとにかく複数個買い溜めして倉庫にしまってあるのだ。

こういう万が一の事態が起きたときように買っておいて本当に良かったと心の中で思いながら再び壊れたものの代わりを設置していった。

設置し終わり、仕事を進めようとカヨコと決めて、早速取り掛かろうとしたタイミングで出前が来た。

 

カヨコが適当に食べるスペースは用意しておくと言っていたので、私は出前を受け取りに行った。

届けてくれた人にお礼を言ってカヨコがいるところに戻った。

早速受け取ったラーメンを机に出したとき、佳代子が不思議そうな顔をして私に問いかけてきた。

 

「あれ?なんで一杯だけ?」

「これ2人分のラーメンだから」

「そうなの?」

「お二人様向けって書いてて安かったからこれにしたんだ」

 

そう言って私はラーメンと一緒についてきたものを出していく。

ただ、この段階で流石に私も呆気に取られるようなことが起きた。

 

「「なにこれ…」」

 

驚いたことについてきてたものは漫画とかで見るカップル用のハートのストローだったり、ハートが彫られたレンゲがあったりした。

その上お箸は一膳しかない。

てか待ってこのストローの用途なに!?もしかしてこれでスープを飲めと!?口の中で火傷するよ!?

 

驚きのあまり私もカヨコも声が出なかったが、少しの静寂の後、諦めたようにカヨコいった。

 

「とりあえず…食べよう」

 

そう言ってカヨコはお箸を手に取りラーメンを食べ始めた。

もちろん私のお箸はないわけなのでシャーレに置いてあるお箸をとりに行こうと椅子から立ち上がった。

 

立ち上がった時カヨコの顔をちらっと見てみたが、美味しそうな顔して食べてるから味は問題ないんだろう。

そういえばこれはなんていう商品なのか気になって、レシートを見てみるとそこには「カップルラーメン」と記載されていた。

なんでこんな訳のわからないものを作るのか謎でしかないけど、どうやらこれも人気商品の一つらしい。

 

私はこんなものが人気商品であるという事実の理解に苦しみながらお箸がどこにおいてあったか必死に思い出しつつ部屋を出ようとする。

そこで私が部屋を出ていくのを不思議に思ったのか、声をかけてきた。

 

「先生?どこいくの?」

「お箸が一膳しかないっぽいから持ってこようかと」

「そんなことしなくても…その、はい、あ、あーん」

 

そう言ってカヨコはちょいちょいと手招きした後、カヨコのところに私がきたのを確認してから、モロ赤面しながらラーメンを摘んだお箸を私の口元まで持ってきた。

もちろんお箸はカヨコが口をつけたやつだ。

このままいけばもちろん間接キスになる。

 

そんな状況だからか混乱で逆に冷静になっていくのを感じる。

ただ、いくら冷静になっても、カヨコからのあーんを受け入れるべきか否か、という思考が頭の中でぐるぐるしている。

そして沈黙が続き、私は受け入れることを決意した。

 

いざパクッといくと、たいしてはずかしいとは感じなかった。いや、はずかしいは恥ずかしいけど。

ただ、カヨコの方はそうでもないらしく、普段真っ白で綺麗な肌が今は真っ赤になっていた。

感じ的にはカヨコに可愛いと伝えた時より少し赤みが増したぐらい。

 

ただ、普段そんな顔を見せないカヨコが赤面しているからか、想像以上に可愛く見えてくる。

なるほど、これがギャップ萌えか。なんてわけわからない関心をしていると、カヨコが恥ずかしさに耐えかねたのか、目を逸らしながら話しかけてきた。

 

「これは…やめておこう///…先生、悪いけど先生の分のお箸は持ってきて」

 

そう言ったカヨコは目を逸らしたままラーメンを食べ始めた。

私もおとなしくお箸を探しに行き、見つけてからカヨコのいる場所に戻る時、コハル、ハナコ、カズサと捕まっているレイサが歩いているのが見えた。

 

「おーい、みんなおかえり」

 

少し距離があるから大きめの声で呼びかけると、すぐに気づいてくれてみんなこちらによってきた。

 

「先生!ごめんなさい!!!」

 

こちらとそこそこ距離が近くなったところで、レイサが全力で謝罪を入れてきた。

相当反省しているようで、ちゃんと謝ってくれた。

まぁ私の方は書類やらなんやらに大した被害はなかったので、正直別にどっちでもいい。

 

「それよりレイサ、私に謝るのもいいけど、コハルとハナコとカズサにもちゃんと謝った?」

「あぁ、それはちゃんとさっき謝ってくれたから大丈夫だよ先生」

 

横からカズサが答えてくれたから、多分本当にちゃんと謝ってる見たいだ。

なら、私的にはなんの問題もないから、反省してくれることを願おう。

とりあえず、午前中の騒動の件はこれで片付いたので、みんなと話しながらカヨコのところに向かう。

 

「次からは気をつけるんだよ〜、レイサ」

「はい、これからはもう少しTPOを弁えます…」

「いや、TPOとか関係なしにいきなり襲撃するのやめてくれない?」

 

レイサが反省してる横でカズサがついていて、さらにその隣で何やらヒソヒソとコハルかハナコに話している。

そして、2人が納得したかと思ったら、こう宣言された。

 

「次当番のの時はちゃんとお弁当作るから!!」

「お弁当もいただいて欲しいですけど…私たちをいただいても、いいんですよ♡」

「私たちをいただく!?そっ!そんな…エッチなのはダメ!死刑!!」

 

宣言されたかと思ったらハナコのいつもの冗談とともにコハルの決まり文句が飛んできた。

若干カズサからの視線が怖かったが、2人がいつもの調子を取り戻してくれたようで内心ほっとしている。

そこで、ふとカズサが私の手に持っている一膳だけの箸に気づいて、それについて聞いてきた。

 

「なんでお箸?今から何か食べるの?」

「あっ、実は今…」

 

そう言いながらカヨコのいる部屋の扉を開けて入った瞬間カヨコがこちらを向いて、私の隣にいるカズサと目が合った。

その瞬間、修羅場が始まったのはもう…当然とも言っていいだろう。

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