『ドリアンプリン一個200円』
【5月◆◆日/晴れ】
世界に衝撃走る。
なんと世界で二人目の『ISを使える男子』が発見されたらしい。その二人目が発見されたのはフランスで、男性の適性持ちを見つけるための適性試験によってISが反応を示し、適性アリと判断されたらしい。
二人目の男子は来月にもIS学園にやってくるとかで学園中はいま現在その噂で持ちきりである。十代女子の噂好きはほんと凄いと思うよ。身長二m越えの筋骨隆々とした漢じゃないか、とか青いツナギが良く似合ういい男じゃないか、とか。いやなんでだよ。俺としてはどっちもお断りである。できれば中性的な顔立ちで大人しい性格のとても気が利く貴公子みたいな男の娘とかがいいなあ。
「おりむーおりむー、世界で二人目の男子はどんな感じだと思うー?」
「普通が一番。それだけが我が望み」
「おりむーはロマンがないなー」
「何のロマンだよ」
のほほんさんは今日も今日とて長すぎる袖をぶーらぶーらさせていた。前々から気になってたんだけどさ、それ趣味なの? 部屋着とかも似たような感じだよね? あのパッと見だと着ぐるみにしか見えないあれ。特注なんだ。へー。袖に暗器とか入ってそうだな。
「話は変わるけどー、ドリアンプリンって美味しいよねー」
「そうだな。臭いが凄いけど」
「なんでみんな食べたがらないんだろうねー」
「臭いが凄いからだろうな」
「ふっしぎー」
「俺はのほほんさんの長すぎる袖が不思議」
IS学園七不思議に加えてもいいくらいだと思う。怪奇! 長すぎる長袖少女の怪!! なんのこっちゃわからんな。長すぎる半袖っていうのもよくわからないけど。それ普通の長袖じゃん。
「ところでおりむー。好きな人とかいるー?」
「話がころころ変わるなぁ。いまはこれといっていないかな。妹にしたい女の子はいるけど」
「そっかー。じゃあわたしにもチャンスがまだまだ残されてるってことだねー。よーし、がんばるぞー」
なんだかよくわからないがのほほんさんはがんばるらしい。のほほんさん@がんばる。なんつって。
「おりむー、それはさすがにないよ」
な ぜ ば れ た し 。
俺は俺が思っている以上に顔に出やすいのかも知れん。気をつけねば。
◆◆◆
【5月◆◆日/曇り】
今日も元気で飯がうまい。
IS学園の学食に新メニューが追加されたと聞いてさっそく食べてみた。
新メニューはその名もコロッケそば。普通のそばのトッピングとしてコロッケが乗せられているというシンプルなメニューだ。つゆを吸ってぐずぐずになったコロッケが通にはたまらないらしい。ちなみに俺は別々に食べたいと思った。どうやら俺には合わなかったようだ。仕方ないね。
たまには日替わり以外のも食べるかーってことで中華丼。このわざとらしいウズラ味!
ちなみに中華丼っていうのは日本独特の料理で本場中国には中華丼という名前の料理は存在しないらしい。鈴ちゃんに聞いた。
◆◆◆
【5月◆◆日/曇りのち晴れ】
「お帰りなさいませ、ご主人様☆」
「なぜメイド服。いやまあメイド鈴ちゃんというのも新鮮でいいものだと思いますけどね。あ、写真いいですかパシャリ」
「返事する前に撮ってんじゃないわよ!」
「グフッ!」
部屋に帰ってきたらちっちゃいツインテメイドがいた。これなんてギャルゲのイベント?
「まったく。ご飯にする? 先にシャワー浴びる?」
「そこは第三の選択肢、それともアタシ? でお願いしたく」
「ないわよそんなの」
「ないのか・・・」
そっぽを向きながらも「で、でもあんたがどうしてもって言うなら・・・」とぼそぼそ小声で言う鈴ちゃん。そういうところがかわいい。好きだ・・・妹になって。
「お茶でも淹れるか。鈴ちゃんは何がいい?」
「どうせお茶しかないんだからそれでいいわよ」
「りょ」
メイドの格好してる鈴ちゃんがお茶淹れるんじゃないのか、とか言ってはいけない。あ、ついでに煎餅も出しておくか。お茶には煎餅。やっぱこれだな。お茶と煎餅を出したら「相変わらずジジ臭いわね」と言われた。ジジ臭いとはなんだジジ臭いとは! 煎餅はなあ、よく噛むから歯やアゴにいいんだぞ! テレビでやってた!
「ねえ一夏」
「んー?」
「来月、タッグトーナメントあるでしょ」
「あるねえ」
「タッグの相手、決まってるわけ?」
「あー、そういやまだだな。どうしようかなとは思ってるけど」
「そ、そう。なら、さ・・・アタシが・・・」
「イチカさん! わたくしとタッグを組みませんか!」
「セシリアさん!? なんでメイド!?」
「一夏はアタシとタッグ組むのよ、あんたは引っ込んでなさいよ!」
「いいえ、イチカさんはわたくしと組むのですわ。お互いの苦手な部分を補えるまさにベストパートナーですもの!」
「はぁ!?」
やめて二人とも! メイドさん二人で俺を取り合わないで! あ、開け放たれたドアから女子たちが見てる! ナズェミテルンディス!!!!
◆◆◆
【5月◆◆日/雨】
IS学園個人別タッグトーナメント。いまから一ヵ月後に開催されるそれに向けて、俺は選択を迫られていた。
つまり誰と組むか、である。タッグトーナメントでは使用機体の制限も特に設けられておらず、タッグパートナーに関しても制限などはない。なので俺は専用機を持っている鈴ちゃんやセシリアさんともタッグが組める。
勝ちを狙いに行くのなら、互いの苦手距離をカバーできるセシリアさんか同じパワータイプの鈴ちゃんあたりと組むのがベストだろうか。それか幼なじみで同門で互いのことをよく知っている箒、貴重なメガネっ娘枠の簪さんもいい。癒し系なのほほんさんも組みたいといえば組みたい。IS学園には魅力的でかわいい女の子が多すぎるな。
タッグの最終申し込みは来月の中頃までなのでとりあえず保留ということにしておいた。二人目の男子も来るしな。・・・二人目の男子も来るしな!
大事なことなので二回言いました。女の子ばかりに囲まれているとだね、たまには同性と話したくなるものなのだよ。念のため言っておくが俺はノンケである。
ドア| ^o^)┐<・・・
そ、そんな! なんだあれは! ああ、ドアに! ドアに!!
◆◆◆
【5月◆◆日/晴れ】
「アタシと夕飯に行くものはいるか!」
「ここにいるぞ!」
ドアを開けると即参上。鈴ちゃんが立っていた。さっきのよくわからない叫びはなんだったの。思わず乗っちゃったけどさ。普通に「一夏ー夕飯食べに行きましょう」「おう、いいぜ」でいいと思うの。夕飯済んでても鈴ちゃんの誘いとあれば俺は行く。織斑一夏は二度夕飯を食べるのである。
「なに? アタシの顔に何かついてる?」
「いや、今日も可愛いなあ。と」
「そんなこと言われても嬉しくないんだからね!」
「微妙にツンデレ風ありがとうございます。食堂行こうぜ」
「そうね」
鈴ちゃんと並んで歩く。身長差が軽く20cmほどあるので、知らない人が見れば兄妹と間違えるかもしれない。否、間違いではない。未来の兄妹ですから。鈴ちゃんなう。
いやー、それにしてもIS学園は実にいいところですな。ラフい格好の女子が多くて眼福である。目のやり場に困る風を装ってしっかりチェキである。ふむ、鷹月さんはショートパンツ&タンクトップ派か。ノーブラと見た。
「あ、おりむーだ。やっほー」
「ええっ!? 織斑くん!?」
俺に向かって手を振っているのはのほほんさん。今日も今日とて長すぎる袖である。しばりたい。寮にいる時は基本的にダボダボのパジャマを着ている。その隣にいるのは・・・かなりんこと藤崎香奈さんだな。中々に刺激的な格好ですなあ。お父さん許しませんよ。父ではないけど。むしろ兄になりたいけど。
「おりむー、おりむー、わたしとかなりんと夕飯しようよー」
のほほんさんはゆったりとした動きで俺にひっついてくる。ダボダボパジャマに隠されている二つの夢と希望が俺の理性にファイナルベント! く、静まれ! 俺の心に巣食う邪悪なる魔物よ!!
「俺はいつでもウェルカムだけど、鈴と一緒だからなあ」
「あら、アタシは別にいいわよ。みんなで食べた方が美味しいじゃない」
「わー、リンリンだー。勇気が出そうだね~」
「その呼び方はやめて!!」
鈴ちゃんのトラウマにダイレクトアタック!! 俺にくっついたままののほほんさんはニコニコとどこ吹く風だ。悪気があるのかないのかよくわからない。
「あー、でもかなりんはどこか行っちゃったぞ」
「おわー。ほんとだー」
「もうお嫁にいけない!」とか叫びながら廊下の向こうに走って行ったぞ。追え! 逃がすな!! 嫁にいけないなら俺がもらってやる!! お前も妹になるんだよ!
「あーん、かなりんまってー」
のほほんさんもあとを追うようにぺたぺたと走っていく。超遅い。
「一夏ってさあ」
「なにさ」
「モテる癖に彼女いないわよねえ」
「俺は特定の彼女を作らない主義なのだ」
「変態だって知ってるからかしら」
「お願い話を聞いて」
告白されたこともあるけど、全部断ったしなあ。かわいい女の子はみんな好きだけど、俺自身恋愛っていうのにあまり興味が向かないせいかもしれん。恋愛ゲーは大好きやけど。ア○ガミとか。ちなみに一番好きなキャラはにゃー様。妹ちゃん最高。
◆◆◆
【5月◆◆日/雨】
「やっぱりハヅキ社製のがいいなあ」
「ハヅキはデザインだけじゃん、時代の最先端はミラージュよ」
「ミラージュは高級品過ぎて学生の手は届かないじゃない。私はミューレイ押しね」
「ミューレイかあ。モノはいいけど高いわよね」
クラスの女子がカタログ片手に盛り上がっていた。なになにー、お兄さんも混ぜてー。あ、ISスーツの話? お兄さん男だからそういう話題には疎いなあ。ちなみに俺のISスーツはイングリッド社製のストレートアームモデルを男用に特注した一点ものです。え、聞いてない? そっかー。
ISスーツはこの学園において必需品といっていいものの一つである。ISの訓練機を使った実習授業で使うため、入学時に学校指定のISスーツが生徒全員に配られ、六月初めに申し込んだISスーツが届く七月半ばまでこちらを主に使う。申し込んだISスーツが届いてからはみんなそちらを使うため、学園指定のスーツは予備としてロッカーの隅に押し込められたりする・・・らしい。
ちなみにISスーツを忘れた場合は水着(絶滅が危惧されるスク水である。自分が乙女座であることをこれほど嬉しく思ったことはない・・・乙女座ちゃうけど)。それもない時は下着で実習を受けさせられる。なんとうらやま・・・恐ろしい。ちなみに山田先生は去年二回下着で授業をしたらしい。なにやってんだ副担任。
ま、専用機持ちは拡張領域の空きスペースに予備のスーツ忍ばせておけば最悪の事態は回避できるんだけどな。ただし見つかると怒られる。
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