『ゲームスタート』
その機械的な音声と共に始まったんだ。俺の理想の世界を叶えるための人生が。
─────────────────────────────────
俺の名前は浮世英寿。この世界に生まれて15年の中学生だ。高校受験を目前に控えた俺が何をしているかというと、
「998…999…1000っ!!」
体を鍛えていた。勉強しろよ、を思うかもしれないがこれには訳がある。何故かと言うと俺が受けようとしている高校がヒーロー科なのだ。
そもそもこの世界には"個性"というものが存在する。中国の軽慶市での「発光する赤児」の報道以来世界各地で超常現象が報告され、世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会が出来上がった。当然個性を使って悪さをしようとする奴もいる。その個性を悪用する敵(ヴィラン)から人々の平和を守るのがヒーローだ。そのヒーローになるための学校に行くために鍛えてるって訳だ。
それに理由がもうひとつあって、、、
『デイリーミッションクリア』
その機械音声と共にボックスが現れる。その箱の中には赤いバイクのハンドルのようなものがついた『ブーストバックル』が入っていた。
俺の個性に由来するこのアイテムは個性から毎日出される課題をクリアすることで配布される。
課題といってもその難易度はバラバラで『朝食を食べる』や『消しゴムを使う』といった簡単なものもあれば今日のように時間がかかるものもあるし『とんでもないノリツッコミをする』や『母親に日頃の感謝を伝える』などの精神的に辛いものもある。
「よし、次は射撃訓練だ。」
この個性『デザイアグランプリ』を使って俺は理想の世界を叶えるためにヒーローになるんだ。
─────────────────────────────────
あれから月日は流れ、ついに今日は俺が受ける高校『雄英高校』の受験日だ。この高校は倍率300倍、偏差値79というとんでもない高校なんだ。正直俺はヒーローになれるならどこの高校でも良かったけど、なぜか『デザイアグランプリ』のミッションでこの高校を受けることを強制された。マジで勉強キツかった。
「行ってくるよ、母さん」
「いってらっしゃい、英寿頑張ってね」
母親からの激励を受けてから家をでる。試験会場にはバイクで向かうため、ブーストバックルからバイク『ブーストライカー』を呼び出した俺は改めて気合いを入れ直す。
「そろそろ行くか」
そうして俺は雄英高校に向けて出発したのだった。
ー数十分後ー
「結構デカイな」
ブーストライカーから降りた俺はそう呟く。さすがに国立の高校は違うなぁ、と思っていると周りからの視線を集めていることに気づく。冷静になってみると高校受験にバイクで来るのは違ったかもしれない。
「お前のバイクカッケェな!!」
自分の失敗に呆れていると赤髪の少年が話しかけてきた。
「だろ?特注品なんだよ」
「すげーな。俺も早くバイク乗りてぇな。っとそういえば自己紹介がまだだったな!俺は切島鋭児郎。よろしくな!!」
「俺は浮世英寿。よろしくな」
「お互い試験頑張ろうぜ!」
そう言って去っていく赤髪の少年、切島鋭児郎を見送る。試験会場で話しかけてくるとかあいつ絶対陽キャだな、と考えていると試験開始時間が迫っていることに気づく。未知の陽キャに思いを馳せながら俺は試験会場の中にはいっていくのだった。
ー筆記試験終了後ー
「やばいマジで終わった…」
筆記試験終了後俺は絶望していた。大体なんだよ偏差値79って。倍率300とかおかしいだろ。わかんなすぎて数問鉛筆転がしたぞ。
「大丈夫だから切りかえていこう!!」
とある国立高校を恨んでいるとそんな声が聞こえてきた。
「?」
だが当たりを見回しても声をかけてきた人は見当たらなかった。声綺麗だったし、女神が俺を励ましてくれたんだな。よし!!気合い入れて実技試験で取り返そう!!思考がポジティブになった俺は実技試験の説明に向かうのだった。