虎杖悠仁の完全制覇を機に、その後の挑戦者たちも好成績を残した。
特級呪術師の乙骨、高専所属の宿儺ストーカー・万、そして悠仁に並ぶ最有力候補だった真希までもクリアし、完全制覇者は四名となった。
ちなみに死滅回游で術式を与えられた日車はバーティカルリミテッドで落水。髙羽はスライドバーの着地でバランスを崩してコースアウトした。
そして、さらに会場を沸かせたのが、現代の術師たちの飛び入り参加だった。現代最強の五条は楽々とクリア、それに続いて七海もアルティメットクレイジークリフに苦戦しながらも突破、そして日下部がバーティカルリミテッドで落水。任務でたまたま東京を訪れていた京都校の面々やフリーの術師も、情報を聞いてすぐ駆けつけ参戦するも、結果で言えば東堂とその師に当たる九十九のみ突破した。
「どうする? 悠香君」
「多くて三人だと見込んでいたんだけど……」
「思ったより突破されちゃったのは誤算だったなぁ」
沙奈と秋篠に声をかけられ、悠香は頭を悩ませる。
その時だった。
「あのねぇ、君たち……せっかく用意した殺し合いの場を放棄してどうするんだい」
『羂索!!』
その場に現れたのは、全ての元凶たる呪詛師。
彼は呆れ半分に、目を細めて術師たちを見やると、宿儺に目を向けた。
「やあ、宿儺。驚いたよ、あんな賭けに出るなんてね」
「気色悪い貴様と違い、悠香は純粋に俺を楽しませてくれる。これくらいの施しはせんとな」
「ふぅん……あの出涸らしがねぇ」
羂索は悠香を一瞥すると、自分が術式を与えた者たちに声をかけた。
「……ねぇ、こんな幼稚園児のアスレチックみたいなので本当に満足かい?」
問いかけられた術師たちが、ぴくりと反応する。
そう、彼ら彼女らは所詮は呪術師。呪い合いを一番楽しむ人種だ。
「いいのかい? せっかく現代に蘇ったのに、誰も呪い殺さずに終えて」
羂索は嬉々として言葉を投げる。
その誘惑に取り憑かれてしまったら、悠香の努力は無駄に終わる。
それだけは絶対に避けねばならないと、五条たちは身構えるが……思わぬ助太刀が入った。
「あのなぁ、
「は?」
落水してまだ時間が経ってない髙羽が、ガシッと羂索の両肩を掴んだ。
「――俺たちにはこのステージしかないんだよっ!!!」
「それ山田さんのセリフだよね」
涙を流す髙羽に、悠香が冷静にツッコミを入れる。
その言葉に対して羂索も「ちょっと何言ってるのかわからない」と困惑している。
「そいつの言う通りだぜ。呪術師たちが総出で挑んで突破できたのは10人もいねぇなんてカッコ悪いだろ」
「ただ突起を掴めなかっただけで涙を飲むのよ? 末代までの恥よ!」
「このまま終わるわけにゃいかねぇんだよ!」
鹿紫雲・烏鷺・石流がメンチを切りながら抗議する。
他の参加者たちも何も言わないが、ジト目で睨んで圧をかけている。
さらには宿儺と裏梅に絶対零度の視線も向けられ、完全に四面楚歌となる。
「はっ!! ざまぁねぇな、傑の皮被ったメロンパン!!」
「そのメロンパンに出し抜かれた君に言われたくないね」
五条と羂索が一触即発の空気を醸し出す。
そんな一触即発の空気に、悠香の声が割り込んできた。
「じゃあ、特別にFINALステージを用意しましょう」
『!!』
「対象は完全制覇者の方々。その中で最初にクリアした人に、死滅回游のルールを自由に変更できるというのはどうですか?」
その場にいる全員が、悠香に注目する。
彼は周囲の視線を意に介さず、目の前の男――羂索を見据える。
「私がそれを了承するとでも?」
「するね。むしろそうせざるを得ない。あなたの計画、大分狂ってるでしょ?」
断言する悠香に、羂索は眉を顰める。
正直、その通りだった。五条の封印に一度は成功したが結局は奪還され、つい半年程前まで手を組んでいた裏梅も高専に寝返り、万も甚爾も高専に与している。事実上の同盟関係だった特級呪霊たちは全滅し、先の事変で手札の呪霊も大幅に減った。御三家の内の加茂家は乗っ取りに成功し、禪院家は絶賛御家騒動中だが五条家は健在であり、総監部も特級呪術師三人と呪いの王を同時に相手取るのは無謀すぎると判断している。
ならばここで悠香を仕留める……という選択肢もあるが、それも得策ではない。宿儺と同じ術式に目覚めてる上、魂を歪められたことによる突然変異で異常な自己再生力を有するようになった怪物だ。それに本来の天与呪縛が未だに効果を発揮していれば、領域展開すらも決定打にならない。
つまり羂索としては、戦闘になる方が都合が悪い。悠香はそれを見抜いているのだ。
「……一体誰に似たんだろうね」
「とぼけるな。散々俺を滅茶苦茶にしといて」
「……ああ、気づいちゃった?」
「薄々勘づいていただけだ、今ので確信した」
鋭い眼差しの悠香に、含み笑いの羂索が愉快そうに答える。
「いいだろう。ただし条件を一ついいかな?」
「何でしょうか」
「最後の舞台は、この鉱山ではなく東京校の敷地内でやりたい」
その要求に、悠香は目を細める。
同時に思い出すは、かつて五条から教わったある話だった。
(そういえば、東京校の地下には「
悠香は思考を巡らせる。
実を言うと悠香は、万が一の場合は天元を倒しに行く腹積もりだった。呪術界が今まで散々自分の人生を狂わせたツケを、天元の命で払わせようと考えていたからだ。もし羂索が天元を狙うのであれば、利害は一致する。
だが、あの冷酷非情な策略家がただ殺しに行くとは限らない。必ず別の目的があるだろう。
「……五条さん」
「いいよ、別に。異論はないよ」
五条は不敵な笑みを浮かべ、悠香にそう返した。
「では交渉成立です。FINALステージは東京校。日取りは後日連絡します……と言いたいところですが」
悠香はそこで言葉を切り、宿儺のようなあくどい笑みを浮かべた。
「特別に敗者復活戦を行います」
その提案に、周囲は熱狂に包まれる。
本家にはない敗者復活戦。つまり完全制覇を成し遂げられなかった者たちの中から、敗者復活枠を設けてFINALステージ進出を許可するというものだ。悶絶の空中庭園で涙を飲んだ者達にとっては、まさに僥倖だ。
果たして、その内容とは……。
「敗者復活戦のルールは簡単です。
「え゛っ」
悠香の一言に、羂索は顔を青ざめた。
彼は交渉する気は最初から無く、脱落者たちに全ての元凶たる呪詛師を袋叩きにしてもらう腹積もりだったのだ!!
「よし、いっちょ
「現代に蘇らせてもらったけど、それとこれは別よね」
「俺たちは甘くねぇぞ」
一斉に殺気立つ術師たちに、羂索は柄にもなく激しい怒りを露わにした。
「謀ったな、悠香!!」
「俺は兄さんのように器の大きい人間じゃないし、太陽属性でもない。ぶっちゃけ恨みはそこまでないけど……まずお前はここで確実に潰す」
静かに、しかし明確な悪意を現す悠香は、脱落者たちを煽動する。
「あの魔城を陥落させたいなら、あのゴミクズを血祭りにあげてください」
『おうっ!!』
「っ……一生恨むよ、我が息子!!」
「その皮で言わないでください。お前の股から生まれた気分になるから」
羂索は鹿紫雲たちに追われ、そのまま脱兎の如く逃走。
しかし必ずしも全員ではなく、あの空中庭園を征したい者と羂索にかなり個人的な恨みを持つ者だけだった。
「……ちなみに五条さん、完全制覇者は除くとは一言も言ってないので仕留めに行っても大丈夫ですよ。こっちも準備しないといけないんで」
「マジで!? 僕ちょっとトドメ刺してくる!!」
「いってらっしゃ~い」
悠香の言葉にハッとなり、瞬間移動する五条。
過去の強豪術師と現代最強に袋叩きされれば、いくら平安の猛者でも一溜りもないだろう。
完全に足を掬われている黒幕に、悠香は宿儺と裏梅と共にゲラゲラと大爆笑。悠仁は「久しぶりのブラック悠香だ……」とボヤき、伏黒たちはちょっとだけ憐れんだ。
「……それよりも悠香、そのFINALステージとやらはどうするつもりだ?」
「情報はなるべく伏せときたいんですけど……まぁ…強いて言うなら、空中庭園が空中要塞になるくらいですかね」
「それ、めっちゃ難易度上がんね!?」
「大丈夫だよ兄さん、エリアは半分に減らすから。ここより貸してくれる土地少ないだろうし」
あの悶絶の空中庭園がレベルアップする代わり、エリアが半分減らされる。
これを果たして喜ぶべきなのか、悠仁たちにとっては迷うところだったが……。
「よし、受けて立つ!!」
「そう来なくてはな、
「千載一遇の好機、逃す者ですか!!」
悠仁・東堂・万は闘志を燃やし、悪ノリでパンダたちが囃し立てる。
悠香のやりたい放題な振る舞いに思うところがあるのか、釘崎も「クリアして沼地に叩き込みなさい!!」と乗っかった。
「……あの、そもそも死滅回游を終わらせるのが目的ではないですか?」
「ダメですね、誰も聞いてません。みんなSASU〇Eの
「確かにあれに人生を捧げる人はいるけどね……」
「まぁいいじゃないか。日本各地で呪物が大暴れしてしまうよりマシさ」
七海のごもっともなツッコミに同調する者はいても、悠仁たちを止める者は残念ながらいない。
むしろやる気を見せている。
「じゃあ、高専に戻ろうか」
高専の寮に戻り、悠香は早速FINALステージの設計について一階の共同スペースで宿儺と話し合った。
「俺はギミックを増やそうと思ってます。エリア半減と言っちゃったので、休憩地点も一箇所だけにします」
「あのクリフとやらで悶え苦しむ呪術師の顔を見るのは愉しかった。悠香よ、あそこを伸ばすのはどうだ?」
「ではギミックの無いクリフとギミックの有るクリフの二段構えで――」
「そんなに俺たちを氷水ん中に落としたいん!?」
明らかに参加者全員を振るい落とす気でいる悠香と宿儺に、悠仁は思わずツッコミを入れる。
二人は抗議する彼を呆れた表情で見つめ、溜め息を吐いた。
「兄さん、本家の製作陣もみんな参加者を沼に落とすつもりなんだよ? それぐらいこっちも本気じゃないと」
「ハァ~……だからお前はつまらんのだ小僧、興が醒める言葉ばかり並べおって。本当に悠香の兄か? 家入とかいう女に頼んでDNA鑑定とやらをしろ」
「お前何なの!? 厳しめの親戚のおじさんかよ!!?」
呪いの王の煽りに悠仁は憤慨し、鼻息を荒げる。
すると悠香は、欠伸をしながらある特級呪術師に目を向けた。
「……で、あなたはいつまでいるつもりなんですか? 九十九さん」
「そういう細かいことは気にしちゃダメだよ、悠香君。モテないゾ?」
サムズアップする九十九に、悠香はジト目で睨んだ。
特級は五条で腹一杯なんだと言いたいが、彼女は彼女で面倒臭いので、あえて口を噤んだ。
何せ、あの東堂の師匠である。
「……京都の皆様方も、何でいるんですか? 早く帰ってください、ここは東京のシマです」
「あー…その、夜蛾学長に許可は取ってる」
「許可の有無以前に、命が惜しくないんですか」
悠香の冷徹な指摘に、歌姫たちは一斉に顔を引き攣らせた。
何を隠そう、指先一つで京都校を殲滅できる呪いの王がいるのだ。下手に刺激すれば、ここにいる全員が塵芥と化すのは目に見えている。
ましてや宿儺から見れば、お気に入りをズタズタにされたこともあり、恨みはないが不快極まりない連中という認識は変わらない。
「そこは……お願い?」
「……まぁいいでしょう、自己責任でお願いしますよ」
歌姫に頼まれ、渋々といった様子で了承する悠香。
彼の決定に、沙奈は異を唱えた。
「悠香君、まさかあのゴミクズ共を赦すつもりなの?」
「んなことないよ。ただ……」
悠香の脳裏に、恩師の言いつけがよぎる。
――今回の件は俺だけじゃなく、お前にも大きな責任が生じるんだ。立場を弁えるんだぞ!
「高校生にもなって反省文とか、嫌だよ俺」
「……」
悠香の年相応のボヤきに、沙奈は何とも複雑な表情を浮かべつつも矛を収めた。
自分の意見が反映することもあるが、彼女にとって悠香の決定は絶対であり、決まったからには異議を唱えることはないのだ。
「……沙奈の神様に手を出したら、どうなるかわかってるよね?」
「少なくとも、もう悠香君を傷つけないと誓うわ。縛りを結んでもいい」
「そうやって、あなたたちは……!!」
沙奈は殺気立ちながら睨みつけ、歌姫はその視線に気圧されながらも真っ直ぐ見つめる。
見かねた悠香が徐に立ち上がると、ポンッと沙奈の肩を軽く叩いた。
「悠香君……」
「あそこまで言うんだ、ここは引き下がろう。……ウソだったらその時考えりゃいいし」
「っ……わかった…」
悠香の言葉に落ち着きを取り戻した沙奈は、渋々と言った様子で妥協した。
そんな中、東堂は悠香の名を呼んで尋ねた。
「虎杖悠香、お前に一つ尋ねたいことがある」
「……言っとくけど兄さんと同じじゃないからね」
「!? なぜわかった、どんな女が
「だって兄さんと伏黒君から聞いたもん」
悠香の返答に東堂は愕然とするが、すぐに切り替え質した。
「ならば訊こう!! どんな女が
「具体的に言ってもいいなら、理想はいますよ」
「勿論いいとも!!」
最狂ヒロインと言える沙奈の件があるので、半ば禁忌と化していた悠香の「好みの女性」。
その答えが聞けるとあって、東堂は興奮気味に答えるのを待ち、釘崎たちも聞き耳を立てた。
「さあ、言え!! 悠香!!」
東堂が急かすと、悠香は答えた。
「バカボンのママ」
『……は?』
あまりにも想定外な言葉に、誰もが呆気にとられた。
本人は淡々としているが、予想だにしなかったのか東堂は思考が停止して固まっており、同級生たちも開いた口が塞がらなかった。
しかし悠仁と秋篠は「変わんねぇなー」「昔からそうなんだよね」と笑っており、少なくとも身内や付き合いの長い者は悠香のタイプの女性を知っているようだった。
「えっとさ……私が言うのもなんだけど……何で?」
九十九は引き攣った笑みを浮かべて、悠香に理由を聞くと……。
「非の打ちどころがないのに、誰からも嫉妬されない良妻賢母じゃないですか。結ばれるならそういう人がいいだけです」
「ってことは、その…沙奈ちゃんも知ってるってこと?」
「……」
その問いかけに、沙奈は無言で顔を逸らした。どうやら把握していたようである。
すると九十九はニヤリと笑い、踏み込んだ質問をした。
「じゃあさ、この中で君の好みに近い人はいるかな?」
「歌姫先生ですかね」
「へっ!? わ、私!?」
まさか自分が名前が挙げられるとは思わなかったのか、歌姫は素っ頓狂な声を出す。
するとようやく思考が動き始めた東堂が、心底残念そうに「退屈だよ」と告げた。
「性癖にはそいつの全てが反映されている。女の趣味がつまらん奴はそいつ自身もつまらん」
「つまんなくて結構。俺は身の丈に合ってると思うんで。あと、さり気に歌姫先生ディスんのよくないよ」
バッサリと切り捨てる悠香に、思わず拍手を送る歌姫。
宿儺をはじめとした大物と渡り合った胆力を見せつけられ、これには持論を展開した東堂も押し黙ってしまう。
そんなやり取りの中、沙奈は悠香の背後に抱きつき、そのまま彼の肩に顔を埋めた。
「……沙奈は、まだ届かないの?」
「理想は高いものだろ。そう易々と叶わないから理想なんだよ」
沙奈の震える声に、悠香は至極当然の如く返す。
二人の青春は当分先だなと、一同は悟ったのだった。
*
それから三日後。
とうとう空中庭園の完全制覇者のみ立ち入りが許される、念願の鋼鉄の空中要塞が完成した。
「ギミック無しのクリフ、ギミック有りのクリフ、そして進化したバーティカルリミテッドに挑んでもらいます」
「バーチの見た目、なんか違くね?」
「流石兄さん。バーチの進化に気づいたね」
上からぶら下がってるだけだった形状から、板が4つの円柱の外周に配置されている形状になったバーティカルリミテッド。
明らかに嫌な仕掛けが施されてる。
「まぁこれは見ればわかるから……甚爾さん、テストお願いします」
「何か嫌な予感がすんな…」
甚爾は1本目の突起に指をひっかけると、ここで恐ろしいギミックが発覚した。
「……これ動くぞ、社長」
「そう、それがギミックの正体。自重で回転する仕組みにしました」
それを聞いた途端、全員が口をポカンと開けた。
左手の握力で体を支え、右手で斜めに高く離れた場所を掴み、回転に耐えながら移動するという握力に加えて高等テクニックが求められる最狂エリアとなったのだ。
甚爾は「悪ふざけしすぎだろ」とボヤきながら進んでいくが……。
グルンッ!
「ちょ、ま!?」
ドボォン!
「パパ黒が落ちたーーーー!?」
何と最後の4本目の回転が1本目よりもよく回り、あの甚爾が沼に叩き落とされた。
テストプレイヤーの落水という異常事態に、一同は騒然とする。
フィジカル面では間違いなく日本最強といっても過言ではない男が、ただの回転に振るい落とされたのだ。
「庭園を征した皆さんにはこれに挑んでもらいます」
「いや、無理だろこれ!! 人類には不可能だこんなん!!」
あまりの難易度に抗議する真希。
すると、空中要塞を前に顔を引き攣らせる乙骨の背後から、巨大な影が現れ顕現した。
乙骨が使役する呪霊や式神に似た存在・リカだ。
「ゆぅうたをぉぉぉいじめるなぁぁぁぁ!!」
「うわあああっ!?」
「ま、待つんだリカちゃん!!」
突如現れた異形に秋篠は腰を抜かし、乙骨は慌てて制する。
しかし悠香は一切臆さず、毅然とした態度でリカに向かって話しかけた。
「リカさん…そこまであなたが言うなら、乙骨さんの棄権を認めましょう。乙骨さんが沼に落ちるのが怖い腰抜けだと言われてもよければの話ですが」
「うっ…ううぅぅぅ……」
嗤う悠香にリカが戸惑い、乙骨は「あ、悪魔だ…」と呟いた。
挑んで敗れ、挑戦を称えられるか。止むを得ない事情でないのに棄権して、五条や宿儺に死ぬほど弄られるか。
その二択を選ばなければならないのだ。
「あいつ、結構腹黒いのね……」
「ああでもねぇと宿儺たちと張り合えねぇだろ」
「こんぶぅ…」
釘崎とパンダ、狗巻は悠香の腹黒さに顔をヒクつかせた。
ふとここで、順平がハッとなった。
「そ、そういえばさ……」
「どうしたの、順平君」
「いや…宿儺さんは庭園はクリアしたんでしょ? 要塞もいけてるんじゃ……」
その指摘に、全員の視線が宿儺に集中する。
当の本人はというと……。
「……」
顔を背けて、無言を貫いていた。
鋼鉄の空中要塞は、呪いの王すらも弾き返していたのだ!
「ウソだろ、おい!!」
「悠香、やりすぎだっての!!」
「宿儺もパパ黒も制覇できねぇのをやれるわけねぇだろ!!」
「仕方ないじゃん、今更レベル下げたくないし」
抗議する一同に、悠香は唇を尖らせて言い返す。
果たして、この空中要塞を制覇できる猛者など現れるのだろうか?
悠香君の好みはバカボンのママという衝撃回答、いかがでしたか?
本作の最狂ヒロイン・沙奈ちゃんと正反対ですね。(笑)
次回は呪術廻戦の最強術師たちVS.悠香君が設計した鋼鉄の空中要塞です。
そうそう、空中庭園も空中要塞も万の構築術式で生成してます。何でも悠香君が自分の膨大すぎる呪力で万さんを補助したそうですよ?