ローラン先生(ブルーアーカイブ)   作:招来E.G.O::烏兎

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誰もが憧れる翼であるL社の本部に配属される予定なので初投稿です。



招かれた客-2

 

 

 

 

「なんで私たちが不良と戦わないといけないの!」

 

 悲鳴にも近い不満げな叫び声が銃声と共に響く。

 時々聞こえる爆発音と合わせて、少なくともキヴォトスであってもこの状況が平常ではないと理解できた。

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻す為には、あの部室の奪還が必要不可欠ですから……」

 

「それはわかってるけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に属してて、それなりの扱いなんだけど……!なんで私が……!」

 

 そこで、会話を遮るように何発かの弾が片方の顔面に直撃した。

 彼女の顔面から血が飛び出るかとも思ったが。

 

「いっ、痛っ!痛いってば!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

 

 予想に反して、痣が出来たわけでもなかった。

 そういう強化施術かとも思ったが、そういうわけではなさそうだ。

 

「伏せてください、ユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されてはいません」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。先生を守ることが最優先、あの建物の奪還はその次です」

 

「ハスミさんの言う通りです、先生はキヴォトスではない場所から来た方ですので……私たちとは違って弾丸一つでも生命の危機に晒される可能性があります、その点ご注意を!」

 

 威力が抑えられていた様子もなく、俺に対しても投げられた言葉から察するにキヴォトスにいる人間自体が恐ろしく頑丈なだけみたいだ。

 

「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください!私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

 

「……わかった、邪魔はしないようにする。なんなら指揮者の真似でもしようか?」

 

 冗談を口にしたつもりだったが、言うべきではなかったのだろう。

 

「え、ええっ?まぁ、先生ですし……」

 

「分かりました。これより先生の指揮に従います」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

 

「よし、じゃあ行ってみましょうか!」

 

「あぁいや、あの……」

 

 ……結果的に冗談とも言い出せない雰囲気になってしまったから、少し前のことを思い返してしまいながらも彼女らの指揮をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 それから行く手を遮る不良を生徒に対処してもらいながら前進を続けて、シャーレの部室目前というところで七神リンに事前に持たされた通信機器から彼女の声が聞こえた。

 

『今、この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました』

 

「犯人って、わけだな」

 

『その通りです。名前は狐坂ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です』

 

「矯正局っていうのは、犯罪を犯した奴らがぶち込まれる牢獄ってことでいいんだよな?」

 

『概ね問題ありません、似たような前科がいくつもあるので、気をつけてください』

 

「分かった、ありがとう」

 

 少し気になったことを聞いたあと、再び前に進み出して……

 

 

 

 ワカモ本人と対峙して逃してしまったが、"シャーレ"の部室があるという建物の入り口目前というところまで辿り着いた。

 が、不良側はすぐにゴールとはいかせないつもりらしく、轟音と共に何かがこちらへ向かってきている。

 

「気をつけてください、巡航戦車です!」

 

「……なんだあれ!?」

 

 ソレには、履帯で走る装甲車では片付けられないくらいデカい銃身(砲身)がついていた。

 はっきり言って、見たことがない……というか、"都市"にあれば"頭"*1の規則に違反して処刑者が飛んできていてもおかしくはない。

 

「クルセイダー1型……!私の学園の制式戦車と同じ型です!」

 

「不法に流通されたものに違いないわ!PMCに流れたのを不良が買い入れたのかも!つまりガラクタってことだから、壊しても構わないってこと!行くわよ!」

 

「OK!じゃあハスミが一発入れて、なるべく遮蔽に隠れながら集中攻撃!周りに他の奴はいないからそれは気にしなくていい!」

 

 見た目に反して、そこから苦戦もせずに戦車に攻撃を続けられた。

 そこから少しすれば、内部で何かが爆発したのか、衝撃と一緒に煙を吐き出し始めて動かなくなった。

 

「勝った!そして着いた!」

 

「おう、みんなお疲れ」

 

「はい」

 

『"シャーレ"部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です、建物の地下で会いましょう』

 

「分かった、それじゃ……」

 

 そして、俺は目の前の建物に足を踏み入れた。

 

 

 

 地下に降りて、見覚えのある…‥と言うか、さっき見た背中が見える。

 

「うーん……これが一体何なのか、全くわかりませんね。これでは壊そうにも……」

 

 こちらが何かをする前に、ここまで苦労してくる羽目になった原因であるワカモがこちらを向いた。

 

「あら、あらららら……?」

 

 薄暗い部屋の中で、武装した彼女と丸腰の俺の間を妙な沈黙が満たす。

 

「し、失礼致しましたー!」

 

「は?」

 

 しかし先程の好戦的な姿とは逆に、とんでもない速さで武装した側が逃げ出していった

 一体何だったのか、という疑問と俺だけが残されてしまったが……不幸中の幸いとして長い間待たされることもなく、すぐに七神リンがやってきた。

 

「お待たせしました……何かありましたか?」

 

「あーいや、大丈夫だ」

 

「そうですか。ここに、連邦生徒会長が残した物が保管されています」

 

 そう言って彼女は平べったいものを手に取る。

 

「幸い、傷一つなく無事ですね」

 

 そして、こちらに差し出して来た。

 

「受け取ってください」

 

「これは、タブレット端末か?」

 

「これが、連邦生徒会長が先生に残した物。"シッテムの箱"です」

 

 単なるタブレット端末に見えないそれを受け取って、眺める。

 その固有名詞には、聞き覚えがある気がした。

 

「普通のタブレットに見えますが、実は正体のわからない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動くシステムも全てが不明」

 

「……そんなわからない事だらけの物を渡して何をさせたいんだ?」

 

「連邦生徒会長は、この"シッテムの箱"は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」

 

「俺の物って……」

 

 こんな物を買った記憶も貰った記憶もないが、どうやら俺の物らしい。

 だが、不思議と手に馴染んでいる気がする。

 

「私達では起動すら出来なかった物ですが、先生ならこれを起動させられるでしょうか、それとも……」

 

「……」

 

「……では、私はここまでです。ここから先は、全ては先生に懸かっています……邪魔にならないように、少し離れていますね」

 

 彼女は俺から距離を置いて、黙り込んでしまった。

 ……俺がシッテムの箱のスイッチを押すと、液晶に光が宿る。

 

【システム接続パスワードを入力してください。】

 

「パスワードか……」

 

 知らないはずなのに、知っている言葉が頭に浮かぶ。

 

〈……我々は望む、七つの嘆きを〉

 

〈……我々は覚えている、ジェリコの古則を〉

 

【……接続パスワード確認。現在の接続者はローラン、確認できました】

 

『"シッテムの箱"にようこそ、先生』

 

 その電子音声と共に、視界が何かに呑まれていった。

 気がつけば景色は様変わりしていて、青空に水浸しの床、山積みにされたり並べられたりしている机や椅子のある別世界のような教室。

 

 そこに寝ている、1人の少女がいた。

*1
"都市"の運営者、A社、B社、C社で構成されている





みんなも広げよう、都市の輪を!

プロローグは毎日更新したいなという努力目標を掲げています。
そして、前回の誤字報告などもありがとうございます、早朝のクソ眠い中で文章を書くのってやっぱり良くないですね……

あと対策委員会編ではローランらしさをもっと出せるようにしたいなって……
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