MONSTER HUNTER~ココットの英雄伝説~ 作:ヴェリア
雑貨屋。
雑貨屋と大きく書かれた看板を掲げている。その大きさはギルドと違ってこじんまりとした感じではある。だが、その奥にはギルドに所属する人数分以上にあるであろう回復薬や回復薬グレート、こんがり肉、落とし穴やシビレ罠がおいてある。
「おう、あんちゃん、買い物かい?」
「あ、そうっす」
店主はかなり気さくそうな人柄だ。かなり声がでかいがあまり気にしないでおこう。
「ハンターになったばっかりかい?あんちゃん」
「はい、さっきギルド登録したばっかで」
「そっか!ならサービスしないとな!」
「え、そんな、申し訳ないっすよ!」
「いいんだよ、おせっかいだと思って受け取っといてくれよ!」
結局俺は回復薬×50個、回復薬グレート×50個、落とし穴×10、シビレ罠×10に、調合書上級編までおまけしてもらった。
「いいかい、調合は大事なんだよ!非売品の回復笛を作れたり、回復薬にはちみつを調合させたらグレートになる。落とし穴も作れるから、その分武器や防具に金を注ぎ込める」
「え、いいんですか?売れないと思うんですけど」
「大丈夫、ギルド運営だから、ギルドから金はもらえる」
「全然大丈夫じゃないんですね」
俺は呆れる。この人、かなり商売に向いてないんじゃないか?ギルドもこんな人をよく雑貨屋に任せたな
「昔ハンターだった頃、優しくしてくれた雑貨屋のおじちゃんがいてな。その人みたいになりてぇ!って思ってな。この村で雑貨屋をやることを決めたんだ」
今この人に変わっているということは、この人のいうおじちゃんは、もう……
「まぁ、とりあえず、初クエストは生肉入手だろ?何事も起きないだろうが、用意しておいて悪いこたぁねえ。」
そうだ、ハンターは全員、生肉入手クエストから始まる。そこから徐々にモンスターを狩っていくのだ。
おとなしいアプトノスを倒すだけのクエストで、ドスランポスを倒した俺には余裕のクエストだが、ハンターはちょっとした一瞬の油断が命取りになる。それは俺も学んだ。そのことをこの人は言っているんだろう。
俺は礼を言って雑貨屋を離れた。すぐさま受付嬢のところに行き、「草食竜と戯れて」というクエストを受注する。
クエスト内容は___生肉10個の採取。
俺はアイテムボックスからさっきもらった回復薬に回復薬グレート、更にこの街に来る前に集めたはちみつを持ち、ペイントボール、予備のこんがり肉、肉焼きセット、空らっきょうも持ち込む。
更にありったけの素材とお金を使い、ランポスシリーズを強化した。
俺は万全を期してクエストの地、森と丘に向かった。
馬車に揺られ1日と半分。馬車業者さんにこんがり肉を奢ったりしたりして仲良くなった。この業者さんとずっと一緒にクエストに向かうらしく、これからしばらくお世話になるかたということらしい。
クエストから帰還するときも彼のお世話になるのだが、ボロボロの状態にて帰ったら笑えない。
そういうプレッシャーも背負いつつ、キャンプに着く。
支給品を確認する。応急薬と、携帯食料、携帯砥石に、支給品用ペイントボールをもらう。
武器の調子を確かめる。入念に刀身をチェックし、岩に叩いて問題ないか確かめた。
異常がないことを確認したら、ついに俺のココットギルドでの最初の狩りの始まりだ。
頑張ろう、そう頬を叩いて覚悟を決めた。
◇◆◇◆◇◆
ジークが森と丘に向けて出発した5分後
「た、大変だー!」
ココット村にとあるハンターがぼろぼろになって帰ってきた。
彼はなかなかに腕のたつハンターで、今も緊急クエストという名目で「リオレウス」の討伐に出てもらっていたところだった。
彼はかなり用心深いハンターであり、準備にも丸一日をかけ出発していたため誰もが上の☆へ上がれると信じ切っていた。
だが彼は今にも倒れそうなほどぼろぼろになって帰ってきた。
「大丈夫ですか!?サントマリアさん!」
「う……回復薬を……くれ…」
「は、はい!ただいま!」
受付嬢たちがあたふたと回復薬やら、栄養剤グレートやら、なんとか命をつなぎとめるように薬を持ってくる。
「……はぁ……生き返った、ありがとう」
「いえいえ、これも受付嬢の役目なので……それで、何があったんですか?」
受付嬢がただならぬ気配を感じ、そう問う。
サントマリアと呼ばれたハンターは目の絶望と恐怖を濃くしながら話した。
「俺も実物を見たことがないからなんとも言えないが……あれは、おそらく……
「ら、ライゼクス!?」
「ああ、おそらく……あいつは俺とリオレウスが戦っているところに割って入ってきて、リオレウスを追っ払ったあとに俺を追いかけてきたよ。通常なら狩り場の外に出てきたらモンスターは追ってくるはずがないのに追ってきた」
「な……」
ライゼクスとは非常に凶暴な飛龍だ。残酷、冷酷な性格を持っており、一度獲物と定めた獲物は捉えるか、ライゼクスが諦めるまで追いかけるのをやめないという非常にハンターたちの間では厄介話ではある。……が、
本来そのモンスターが出るのは、遠く離れた街、「ベルナ村」の付近と「エルガド」という地域でしか出現しないはずである。
「今すぐ、森と丘に出ているハンターをココット村に返してくれ……」
「はい、……あ!奇跡的に今、森と丘にいるハンターさんはいないみたいです!」
「いや、一人いる!!」
受付嬢たちが顔を見合わせほっと一息を吐こうとしたとき___雑貨屋の店主が声を上げた。
「初心者で、生肉10個を狩りに行っている……ジーク・ライディングが」
受付嬢たちが顔を見合わせた。
それは数瞬前に見せた安堵が含まれたものでは決してなく___絶望と焦りが入り混じった物だった。
◇◆◇◆◇◆
縦に太刀を振るう。生々しい血が飛び出る。アプトノスは雄叫びを上げる。気刃斬り。気刃斬りⅡ、一文字斬り、気刃無双切り。まだまだ俺の太刀では大ダメージを与えることができないが、これをもっと強いモンスターで作れる太刀に強化したら、かなりの大ダメージを与えることができるだろう。
首の筋を断ち切った感覚。アプトノスはしばらくもがいていたが、やがて大きな音と地響きを残して絶命した。
太刀を素早く鞘に納刀する。カチッと切羽が音を立てる。そのまま背中に太刀を回した。
すぐに剥ぎ取り用の携帯ナイフを取り出す。モンスターは倒すとすぐに腐敗が進む。だからできるだけ素早く剥ぎ取りは行わなければいけない。
生肉……竜骨【小】 剥ぎ取れたものは以上のものだった。
生肉は草食竜一体につき、運にもよるが、1~2個ほどしか取れない。だから俺は草食竜を…7体ほど倒しただろうか。今ので8体目だ。これで、生肉は10個取れた為、小雨がポツポツと降る中俺はベースキャンプに向かっていた。
たったった……という俺の足音だけが響く。無音の静寂。夜中の森と丘は静かなものだ。昼間はランポスの鳴き声で煩いが、夜になると一面緑かアプトノスしか出てこなくなる。そいつらが草をゆっくりと食む様子を見るのも俺は好きだ。
一面広がる草原に涼しい風が吹く。ゆらゆらと木は揺れ、草は葉を風に乗せて飛ばす。草食竜たちは涼しそうに目を細める。
いつまでもこんな平穏が続きますように。そう願い、俺はベースキャンプへの歩を進めようとした__
その時
「グヤァァァアアア……!」
不快音が響いた。それはまるで金属質のロボットから出る声のようで、生物が発していい音のようには感じなかった。
とあるモンスターの咆哮は空気を震わせ、聞いたものに恐怖を植え付け、絶望をまとわせる。アプトノスたちは逃走を開始する。
俺は自然と腰をかがめ、息を潜め、木の陰に隠れていた。本能が警鐘を鳴らしたときに、とっさにこの行動を取ったのは正解だった。
はるか彼方から音速を超えているんじゃないかと思うほど猛スピードで迫ってくる飛龍がいた。そのまま逃げ遅れたアプトノスに突っ込む。
七色の稲妻がその飛龍が翼を叩きつけた刹那、ショートを起こしたかのようにバチバチッ!と飛び散る。
その後追い打ちというかのように、更にその飛龍は稲妻を起こさせる。稲妻はまるで意思を持っているかのようにアプトノスを追尾する。
もちろん零距離で放たれた雷撃を回避できるはずがなく、アプトノスはあまり防御力も高くない。抵抗も虚しく、アプトノスの魂は飛龍によって儚く霧散させられた。
逃げ遅れたアプトノスが捕食されたことで逃げていたアプトノスたちも少なからず悲壮をまとった目を向けていたが、ここで飛龍に捕まっては逃げ遅れたアプトノスが救われない。そうアプトノスたちは感じ取ったのだろう、あまり早くない足を一生懸命動かした。地響きを響かせながら、悲哀の咆哮を轟かせながら。
それに気づいたのだろう、飛龍は咆哮を上げると、今度は天に灰色の雲が覆い尽くす。その灰色の雲は先程と同じように一瞬、パチッと光ったかと思うと__
刹那
恐ろしいスピードで地上へ雷槌がふるわれた。それは正しく槌の如く、地上を激しい衝撃で支配する。
おそらく飛龍は何かを攻撃したいと思って雷槌を振るったわけではないのだろう。獲物を捉えた悔しさ故だ。が、それは無秩序に、乱雑に、無規律に猛威を振るった。
近くで地を揺るがさんほどの爆音が響いた。おそらく近くに雷が着弾したのだろう、その雷はカッと爆ぜ、目を灼く。その閃光から開放されたときには___
バッチリと飛龍と目があっていた。
あの飛龍は、ライゼクス___
☆5のリオレウスより強い___
破壊と理不尽の化身だ___。
察してください。
ライゼクスの咆哮は大変カタカナ等で表すのが難しいんです(泣)