銀河戦士タッくんが征く貞操逆転異世界おねショタファンタジー   作:アニッキーブラッザー

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第11話 百万馬力の披露

――エローナお姉ちゃんもミルクお姉ちゃんも、正義の味方で悪い奴らをやっつけるのが仕事なの!? カッコいい! ヒーローだよ!

 

 今では「やっぱり危ない」ということで辞めさせられそうになっているが、タックの元々の始まりはそういう思いからだった。

 尊敬して愛してやまない二人の姉のような正義の味方。

 

 もちろん、正義の定義は立ち位置によって変わるのは分かっている。

 

 世界が変わればその国の法や常識に伴い、いかに納得できなくても手も口も出してはいけないものはある。

 そして何よりも、この惑星ジョソーンダンヒは未開の星であり、そういった星は文明や進化の保護という観点から干渉が禁じられている。

 本来、タックもこの世界には逃亡中の犯罪者を捕まえに来たのであって、この世界の人々と深く関わるつもりはなかった。

 だが、だからと言ってこれを看過できるほど、タックも弁えているわけではなかった。

 

「って、タッくん!」

「かわいこくんっ!?」

 

 急に荷馬車から飛び出してきたタックにオルガスたちは慌てるも、もはや状況はそれどころではなかった。

 

「なんだ、貴様! この無礼なオス猿が」

 

 エクスタとオルガスだけでなく、誰もが状況を理解できないで居た。

 その空気の中、タックは構わずに言葉を続ける。

 

「俺は確かに無礼ものだよ。ルールを破ってるし、お姉ちゃんたちを心配させてるし……でも、逆にこっちも聞かせてよ」

「……?」

「あなたは礼を重んじて接しなければならない相手なの?」

「ッ!?」

 

 次の瞬間、エクスタの顔が憤怒に染まる。

 

「貸せ!」

「あ、姫様!」

 

 杖を砕かれているエクスタは、傍にいた配下の持っていた剣を取り上げる。

 その剣に輝く力を流す。

 それは、魔力。

 膨大な魔力を施された剣は強烈な光を帯び、その剣をエクスタはタックに向けて振り下ろす……が……

 

「あなたもこの世界もこの世界に住む人たちのことをそこまで知らないけど……でも、あなたのような目をした人を俺はいくらでも知っている」

「な……にっ!?」

「俺は毎日そういう目をした人たちと戦ってきたんだ!」

 

 振り下ろされた、異形の力を纏った剣……

 

 

「な、わ、私の剣を……」

 

「「「「う、受け止めた!!??」」」」

 

 

 その剣を、タックは人差し指と中指で挟んで、軽々と受け止めた。

 タックの全身に雷の光が流れ、その身を傷つけようとするも、タックは瞬き一つ、苦痛の顔一つ、身じろぎ一つせず、全てを受け止めて、エクスタを睨んでいた。

 

「な、ちょ、うそ!?」

「な……なんなんだ、あの子は!」

 

 種族問わず、この場に居た誰もが声を上げる。

 あの男は、何者なのかと。

 

「ッ、このぉ! 姫様になにしてやがる! かわいい男だと思って甘い顔をしていれば……もう容赦しない!」

 

 その時、一人のダークエルフが飛び出した。

 一際目立つ、その巨体。他の兵士たちが引き締まった体をしている中、その女は筋肉が盛り上がり、手足も丸太のように太くたくましく、その全身や顔には数多の傷跡が刻まれた歴戦の戦士。

 その手には、その巨体よりも遥かに巨大な戦斧。

 

「少しは出来る男みてーだが、容赦しねえ! ダークエルフの父と草原を駆けるアマゾネスの血を引きし、ダークアマゾエルフの力ぁ! 毛穴の奥底まで思いしりやがれぇ!」

 

 巨大な力と武器と殺意を持った巨体エルフがタックに迫る。

だが……

 

「そんなの怖くないぞ!」

 

 戦斧が振り下ろされるも、逃げる様子も避ける様子もないタック。

それどころかむしろ、待ち構える。

 

「ッ、あ、あぶないっ、タックくん!」

「ダメぇッ!」

 

 オルガスたちが叫ぶ。タックが死ぬ。誰もがそう思った。

 だが、振り下ろされた戦斧が突風を巻き起こし、その衝撃で地面の亀裂と破壊音が聞こえるも……

 

 

「百万馬力キャッチング!」

 

「「「「「ッッッッッッッ!!!???」」」」」

 

 

 巨体エルフどころか常人よりも遥かに小柄な子供の男。

 それが、巨体エルフの振り下ろす巨大戦斧を素手で、片手で受け止めたのだ。

 

「ば、……かなっ! あ、あたいの斧が……!」

 

 明らかに剛力自慢のエルフ。

 体格も違う。

 何よりも……

 

「ば、バカな! アマゾネスの力を引く、あいつの規格外の力を!? う、ううう、受け止めた!?」

「あ……ありえない! しかも、に、人間の男が、どうしてあんな力を!」

「ちょっ、あの、か、かわいこくんが!?」

 

 絶対にありえない。誰もがそう思った。

 タックのように小柄で見た目も弱そうな男が、エクスタの剣を、怪力自慢のダークエルフの一撃を、素手で、しかもそれぞれ片手で軽々受け止めたからだ。

 さらにそこから……

 

「俺の握力……その気になれば1tonあるんで……こんなふうに!」

 

「「ッッッ!!???」」

 

「砕けます」

 

 

 掴んだ武器の刃を、タックはその百万馬力の握力で握りつぶして砕いてしまったのだ。

 そこに、なんの種も仕掛けもない。

 ただ、力を込めて握っただけ。

 

 

「タッく……」

 

「ばかな……あ、ありえん……なんだこの男は!?」

 

 

 驚愕したのはオルガスもエクスタどころか、その場にいた全員。

 敵も味方もなく、ただ顔を青ざめて腰を抜かしそうになっていた。

 

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