屋上からの景色に思いを馳せる。友人同士で馬鹿騒ぎしながら帰る生徒達や、放課後デートなのか男女仲良く帰っている生徒達。部活動に励んでいる生徒達もいる。
「(あぁ、楽しそうだなぁ)」
あぁいう青春を送りたかったという思いがあったが、実際は過ごせなかったのだ。友達や恋人はできるどころか、むしろこっちが虐められる。家でも両親や妹からの扱いは結構悪い。だから散々悩んで決心した。屋上から下を確認して木や植え込みがないか確認する。ない場所を確認し、フェンスを超えた。
「すぅ、、、はぁ、、、」
深呼吸し、後ろ向きになる。こうすることで恐怖心をなくすことができる。
「、、、リセマラだ」
意を決し、フェンスを離し、空に身を預けるのだった。そこから先の意識は、、、ない。
♢♢♢
〜???〜
目の前に真っ白の空間が広がる。自分の体を見回すが、足や手は見えなかった。一体どうなっているのだろう?
『目が覚めたようだな』
目の前に白装束の老人が。ってか腰に刀あるんだけど!?こわ。
『安心せい。お主はもう死んでいる』
あ、よかった〜。どうやら上手く死ねたようだ。体があったら踊り回ったかもしれない。
『迷惑だからやめい』
はい、すみません。
『そろそろ本題に入ろう。お主は転生する気はあるか?』
待ってました!ラノベ的展開!異世界で冒険者?それとも魔物?あーでもセンシティブ系世界はやだよ。
『いいから聞け!転生先は現世だ』
ってことは未来世界?
『いや、時代は変わらん。むしろ世界観はお主がいた世界に近いが、どう生きるかはお主次第じゃ』
なるほど、スクールカーストトップになるのも、ハーレム作るのも自分次第ってわけね。飛び降りた甲斐ありってやつだ。
『では、来世用の設定を初めてくれ』
なんか一気にゲームらしくなったよ。でも面白そう。家族設定は両親健在で兄1人と姉1人と妹1人がいい。あ、自分の名前設定できんの?あ、苗字は無理?そりゃそっか。うーんと、、、これでいいや。
【name:水紀(みずき)】
『決まったな。では、転生を始めよう。お主の来世に幸があるよう』
その声を最後に、自分の意識は途絶えた。
♢♢♢
〜???〜
どこかにある病院。そこに赤子の泣き声が響き渡る。赤子を抱いている母親の元に中年の男性とまだ幼い少年と少女が駆け寄る。
「佑香(ゆうか)!無事に産まれたか!?」
「くるのが遅いよあなた。男の子ですって」
男性、蓮は赤子を抱く。赤子は泣きやみ、笑顔で笑った。その様子を見て、幼い少年、紺壱(こんいち)は赤子の右手を、少女、青子(あおこ)は左手を優しく握った。
「コン、アオ。この子はあなた達の弟よ。名前はミズキっていうの」
「「ミズキ」」
2人は名前を繰り返す。
「ぼく、コンイチ」
「わたし、アオコ」
「「よろしく!!」」
こうして、彼の来世、日比谷水紀は誕生した。彼がどう生きていくのか、それは、彼次第である。