~Ruler of the sky~   作:東側Production

1 / 4
♧この話での登場人物

♤キーパー・G・ミッシェル(ガスト2)

 エルドア共和国空軍の新米ファイターパイロット。数年前に発生した大陸戦争の頃には訓練生であったものの未経験である。コールサインはガスト2、ガストとは“疾風”を意味する言葉である。大陸戦争によるガスト隊の欠員埋めとしてやってきた。乗機はF/A-18E、訓練生時代では機関砲射撃で右に出るものは居なかった。

♤シルバー・J・J・チョッパー(ガスト1)

 エルドア空軍のベテランファイターパイロット。大陸戦争への参加経験があり、数々の死線を潜り抜けてきたエース。撃墜数は14機、7機を撃破している。乗機は同じくF/A-18E、コブラ機動は彼のお家芸である。コールサインは“ガスト1”、又は“ガストリーダー”。

♤ロナルド・ホワイト(フィンガー)

 エルドア空軍所属のAWACS(空中早期管制機)の管制官。大陸戦争を経験しており、その更に数年前の地域紛争にも参加しているため、数あるAWACS管制官の中でもトップクラスの優秀さを持つ。コールサインは“フィンガー”、乗機はE-3セントリー。


第1話 上 “未知との遭遇“

…数日前、エルドア共和国最大の貿易港“テルズモート港”に、詳細が記載されていない不審なコンテナが多数入ったという報告が軍に届き、直ちに陸海空軍の各部隊にコンテナの追跡指令が出された。

 そして、この物語の主人公であるキーパーの所属する部隊“ガスト隊”はテルズモート港から30km離れた都市“ロンディア”へ向かう不審コンテナを積んだ4台のトラックを監視、追跡する任務を受けていた…

_____

 

 厚い高層雲が立ち込める熱帯雨林の上空、高層雲はあまりもの厚さのために日光をほとんど遮り雨を降らせており、コックピットからの視界も邪魔する。窓から見える濁った川は、世界最長の“メニズ川”である。そして川沿いには少々太い規模の道路が敷設されており、監視対象に指定されているトラック4台が走行していた。

 

「ガスト隊聞こえるか、こちらAWACSフィンガー、間も無くそのトラックは陸軍の設置した臨時検問所に入る。陸軍の検問中も目を離すんじゃないぞ」

「了解」

 

 レーダーは対地モードとマッピングモードを複合した、陸上哨戒モードに設定されており、戦車や装甲車などの地上目標とヘリコプターなどの低空を飛行する航空機をリアルタイムでレーダーに表示している。万が一、そのトラックが敵対行為やテロ行為を行おうものなら直ぐに主翼下に搭載したGPS誘導爆弾や翼端のランチャーに搭載された最新式の画像識別誘導方式のミサイルで無力化することが可能だ。つまり、どんなことがあろうと一瞬で脅威は排除することができる、俺と隊長はそう思い込んでいた。

 

「ガスト2、トラックはどうなってる」

「不審な行動は特にありませんし、道交法違反もありません。問題なしで…ん?」

「どうしたガスト2?」

 

 隊長に言い切ろうとしたが、その時何故か4台のトラックは息を合わせた様に急停車、何やらコンテナの上部が展開し始めた。此処はまだ街から少々離れている。陸軍の検問所もまだずっと先だ。すると、コンテナの内部に何か見える。

 

「なんだアレ…」

「おいおいもしかして…」

 

 コンテナからは、正体不明の飛行機の様な物が見えた。トラックの運転席から出てきた数人が何やら話し合ったり作業をしたりしている。

 

「と、取り敢えず撮影しよう」

 

 そう言って隊長はデジタルカメラを取り出し、トラックを撮影した。直後、辺りに変な音が鳴り始める。

 

「…なんだこの不気味な…」

「何か聞こえるのか?」

「えぇ、なんかパイプに空気吹き込んだみたいな音が…」

 

 音の元は直ぐに判明した。そう、不審なトラックからだ。飛行機の様な物体の辺りから白い煙が噴き出ている。どうやら本当に航空機の類いらしい。だが、飛行機にしては妙に小さく、奇妙な形状をしている。

 

「…隊長、レーダーを空戦モードに切り替えましょう。多分何か上がってきます…」

「あぁ…」

 

 暗黙の了解の中、俺は戦闘機のレーダーマップを対空モードに変更、トラックを軸にする様にして左旋回を開始した。

 

「こちらガスト2よりAWACSフィンガーへ、目標のトラックから未確認の航空機のような物を視認した。兵装カメラの画像を送信する」

「…確認した、引き続き監視を行え」

 

_____

 

 そしてトラックが不審な行動を開始して数分が経った頃…

 

「おいガスト2、あれを見ろ!」

「…!?」

 

 トラックから勢い良く何かが飛び出した。そう、先程の飛行機の様な未確認物体だ。

 

「やはり航空機だったか…追跡を開始しろ!」

「トラックは?」

「まだ敵対行為が確認されていない。トラックへの攻撃は禁止、未確認機を追跡せよ!」

 

 AWACSの管制官ホワイトはこちらに制止をかけると共に不明機の追跡を指示、同時にレーダーマップには射出された不明機が表示された。その不明機はロンディアに進路を向けており、こちらに注意を向けずに街へ直線飛行している。

 

「こちらHQ(司令部)、君たちと同じようにコンテナから発進した不明機を確認した部隊が多数あるようだ。君たちが追跡しているのは無人機、敵対行為を確認したらすぐに報告せよ、以上」

「はぁ?! いきなりなんなんだ?!」

 




♧用語解説・国家

♤エルドア共和国

 数年前に終結した大陸戦争を戦った国家の1つ。1位2位を争う程の経済力と軍事力を持つ国家である。サンバドル共和国と締結した核兵器および中距離以上の射程を持つ弾道ミサイルの廃絶条約とAI搭載兵器開発及び使用禁止条約に調印しており、現在核兵器と中距離、長距離弾道ミサイルの保有数はゼロ、RQ-1などの無人機は完全に廃棄され、自爆型ドローンも廃棄が進んでいる。

♤サンバドル共和国

 エルドア共和国と大陸戦争で戦火を交えた超大国。経済には共産主義を採用しており、20余りの国で構成された人工国家であり、工業生産力ではエルドア共和国を超えている。
 かつてはエルメニスタン共和国を技術的に支援していたが大陸戦争を機に支援をやめ、国際社会の要請と党の総書記の交代によってエルメニスタン共和国に対しての経済制裁を行った。無人機や核兵器及び中距離、長距離弾道ミサイルの保有数は共にゼロである。

♤エルメニスタン共和国

 サンバドル共和国の南東部に隣接する国家。国土の大半を砂漠が占めている。貴金属の他コバルトなどのレアメタル、フローライトなどの半導体に必要な資源が地下に大量に埋蔵されている。少し前まではサンバドル共和国の支援を受けていたが、新しい総書記の方針によって経済制裁を受ける様になる。現在では国際法で禁止されている核兵器や中距離以上の射程を持つ弾道ミサイル、AI搭載兵器などの開発を強行している。国家の収入源は主にサイバー犯罪など国際犯罪などで入手した仮想通貨などが主である。

♤ADU(先進国経済連合)

 サンバドル共和国より北西に位置する30ヶ国ほどで構成された国際組織。国家としては小規模〜中規模な国しかないが、経済や技術的には先進国並みの国が加盟しており、足りない物量と人材を多くの国で連携することで穴埋めして、エルドア共和国やサンバドル共和国などの大国に対抗することを目的としている。その他、相互的な軍事支援や安全保障も盛り込まれており、基本的には中立国として振る舞う。

_____

♧用語解説・兵装

♤GPS誘導爆弾

 別名、衛星誘導爆弾。人工衛星によってGPSを使用して誘導される航空機用爆弾。エルドア共和国は主に“GBU-38 JDAM”など、サンバドル共和国では“KAB-500S-E”などを使用している。

♤画像識別誘導ミサイル

 近年、赤外線誘導方式の近距離対空ミサイルを代替する目的で開発された陸海空全ての目標物に使用できる。射程距離は物によって異なるが、大抵は半径8km程である。現段階では命中率は低いが、現在はエルドア共和国とサンバドル共和国で協力して命中率を向上させた画像識別誘導ミサイルを開発している。

♤AWACS(空中早期管制機)

 近年の空戦ではなくてはならない航空機。機体の背中に背負う様にして設置されたレーダーを使用し、広大な空域を監視するために開発された。レーダーは一度に数十個、種類によっては300以上の目標を追跡することもでき、発見した目標は友軍の航空機に共有される。代表的なものはE-3セントリーやE-767などがあり、近年では地上の目標も監視できるように改修されているものも多い。

♤F/A-18E

 主人公の乗機の戦闘攻撃機。エルドア共和国の軍需企業“レミントン株式会社“によって開発、製造されている戦闘攻撃機で、主に空軍と海軍が使用している。それまで海軍の主力戦闘攻撃機を担っていた旧型のF/A-18、所謂“レガシー・ホーネット“と交代するために開発されたもので、ステルス性や飛行性能の全般的な向上を目的として開発された。機動力などは弱体化したものの基本的に性能は向上しており、ステルス性や空中給油機能の付与も行われた結果、万能な艦上戦闘機として誕生した。最初は海軍が使用していたものの、使い勝手の良さとマルチロール性、更にはコストパフォーマンスも優れていたために空軍も120機程を導入、現在も海軍とは違った独自の改修を施して運用されている。20mm機関砲を1門の他、多数の空対空、空対地、空対艦ミサイルを装備できる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。