~Ruler of the sky~ 作:東側Production
街へ向かう不審なコンテナを乗せたトラックを追跡していたガスト隊、途中までは問題なく監視を行なっていたが停止したトラックは突如飛行機らしき謎の物体を射出した。ガスト2ことキーパー・G・ミッシェル達は射出された未確認飛行物体の追跡を開始、AWACS曰くその未確認飛行物体は無人機、即ちUAV(無人航空機)であることが判明した。
無人機は今なおロンディアに向けて飛行しており目的は不明のまま、果たして突如現れた謎のUAVの目的とは…
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♧用語解説
♤UAV
“Unmanned Aerial Vehicle“の略。主に人が搭乗しない航空機のことを指し、主にモニターなどを使用して遠隔で操縦する。エルドア共和国は大陸戦争時世界で初めて“RQ-1 プレデター“という無人航空機を投入し、世界に衝撃を与えた。対戦車ミサイルや自衛用の対空ミサイルなどを装備し、偵察機材を使用して連続数十時間にもなる作戦行動をまっとうすることができる。人間の操縦士では精神的、体力的な負担が大きすぎる長時間長距離飛行には疲れ知らずの無人機が最適である。
しかしこれにも弱点があり、一度通信衛星などが破壊されると制御を失うといった弱点を持っており、実際に戦争終盤で制御を失ったプレデターが支援していた揚陸部隊を襲撃したという事案が発生した。その結果、世界中でAIを搭載した兵器の使用を禁止する条約が世界各国で締結された。
「繰り返すから良く聞け! その飛行物体は所属不明の無人航空機だ、同じ様な機体の目撃情報は多数ある! 目的は不明、追跡せよ!」
「う、ウィルコ!」
機首を不明機に向け、スロットルを全開にするする。エンジンからはオグメンタの炎が轟音と共に噴き出る。速度計はどんどん高い速度の方に回転し、それと共に体にかかるGは増していく。不明機は距離を離していたが、音速を突破すると共に距離は縮み始める。距離2000…1000…500と近づき、加速してから約40秒後、遂に4機の無人機の真横についた。減速し、機体を直ぐ横につける。
「やっぱり無人機だな、コックピットが見当たらん」
「誰が操縦してんだか…」
コックピットのすぐ真横を悠々と飛ぶ無人機、こちらにはお構いなしかの様に真っ直ぐローディアを目指している。
「…AWACS、正面方向に積乱雲を確認、このままでは乱気流に捕まります、進路変更の許可を」
「…許可しない、HQからは無人機から目を離すなと命令されている。進路変更は許さん」
「ふざけるな!」
AWACSからの返答の直後、隊長の怒声が飛ぶ。戦闘機とはいえ乱気流に捕まれば予測不可能な方向に流されたり姿勢が不安定になったり、最悪の場合墜落もあり得る。そんなHQの無謀な指示に隊長はキレたのだ。しかし…
「何を言おうとHQからの命令だ、進路変更は絶対に容認しない。それとも降格したいのか?」
「クソッ…」
AWACSからの脅しを受け、隊長は黙る。そして積乱雲がもう目と鼻の先に来た時、何故か機内にアラートが鳴り始めた。火器管制レーダーの照射の警告アラートだ。
「隊長、レーダー照射を受けています!」
「無人機からだ! AWACS聞こえるか、無人機からのレーダー照射を確認、敵対行為!」
「…あぁ把握している。他の部隊もレーダーロックやら機関砲射撃とか受けているらしい。交戦を許可する、直ちに撃墜せよ!」
少々背中に冷たいものを感じたが、ロックを回避するためにUAVの正面から逃げるため再びオグメンタを始動、エンジンから轟音と共に噴き出す炎は俺の乗る戦闘機をぐんぐん加速させていき、直ぐに亜音速付近まで到達するものの、加速が少々遅くなってきた。F/A-18Eは最大でマッハ1.8程まで出すことができるが、亜音速の付近からの加速が少々悪い。その代わり機動性が少々高い。十分な速度を稼いだので俺は操縦桿を思い切り手前に引き、上昇機動に移る。しかし…
「ガスト2何してる! 捕捉されっぱなしだぞ!」
「嘘だろ!?」
本来、空戦時に唐突に繰り出す上昇機動は相手の追従を受け付けない様にするために行うもの。上昇機動は機体のエネルギーを大きく削ぎ落とすために空戦中に十分なエネルギーを稼いでから行うことで相手を追従させず、敵機からのチェイスを免れることができる。しかし、相手も状況も悪かった様で、無人機はずっと機体の正面に俺の機体を収めている。アラートは鳴り止まない。
補足を解こうとし操縦桿を横に傾けようとしたが、緊張と恐怖で腕が動かない。やらなきゃいけないのは当然の如く分かっている事なのだが、体が言うことを聞いてくれない。そして無人機の射線に入ろうとした…その瞬間
「FOX 2!!」
隊長の大声の無線と共に、後ろでミサイルが発射され、俺を殺すのに夢中になっていた無人機に直撃し、無人機が爆散した。ガスト1、シルバー隊長からの空対空ミサイルによる攻撃だった。
「何やってるガスト2! 空戦機動はその場その場に応じてねじ込め! 死にたいのか!?」
無線からは大音量で隊長からの怒声が飛んでくるが、無人機が爆散したことで脅威が無くなったと安心し、気が抜けてしまう。しかし、それも再び鳴り始めた警告アラートで無くなり、緊張が戻る。
「ミサイルだ! ガスト1、二手に分かれて回避するぞ。ミサイルが直ぐ近くまで追っかけてきたらフレアを使え、いいな!?」
「ウィルコ…!」
レーダー照射警告のアラートの直後、そのアラートはミサイル発射を知らせるアラートに切り替わる。HUDにはミサイルの位置が表示されている。
「まさか、真後ろ!?」
表示の通り後ろを見ると、コックピットの後方から迫ってくる空対空ミサイルがあった。物凄いスピードでそれは迫ってくる。俺はほぼほぼ本能でコックピットの横にあるフレア発射のスイッチを叩く。
ドンドンドン、と大砲の様な音が鳴ると、後方部から火の玉が大量に飛び出てくる。これがフレア、非常に高温の言わば炎の塊の様な物で、赤外線や高温を探知して追尾してくるミサイルを回避するのに使用する。フレアを使ってミサイルを目標のエンジンから発せられる赤外線や高温と勘違いさせ、ミサイルを回避するという仕組みだ。
「よ、よっしゃあ!」
闇雲にフレアをばら撒いていると、奇跡的にミサイルはフレアに向かって突進、爆散した。しかし無人機は未だ追撃をやめない。機体の胴体内には2発しかミサイルがなかったようで、機外に兵装は搭載していない、つまりは機銃で撃ってくるということだ。
「ついてこれるものならついて来い!」
エンジンの出力を最大、操縦桿を周期的に左に倒してから手前に引き、右に倒して手前に引き…こうして蛇行飛行を開始し、レーダーロックをされない様にする。
距離がある程度離れてから徐々に速度を調整、蛇行飛行は続けながら無人機を近づける。
「あっぶな!」
コックピットの直ぐ近くを銃弾が掠める。ギリギリで直撃しないが、距離が近いだけ向こうも当て易くなってるみたいだ。
「けどな、お前のターンはもう終わりなんだ!」
訓練生時代に読んだ空戦技術マニュアルに書いてあった技“オーバーシュート”、相手機よりも速度を遅くして相手機を前に押し出す戦法だ。訓練生時代の訓練用UAV相手の模擬戦で何人か練習したり実際に使おうとしていたが、俺は一度も試したことがない。取り敢えず、フラップも開き操縦桿を手前右に引く。機体をバレルロールの様な感じで回転させると、見事に無人機を前に押し出すことができた。
「よっしゃ! レーダーロック!」
すかさずレーダー照射を行い、ロックオン。主翼下に懸架されているサイドワインダーを発射、近距離であり更にお互い低速であったのも加わり、無人機はなす術もなく爆散した。
「撃墜! 撃墜!」
「よくやったガスト2!」
隊長が撃墜したものと合わせて2機撃墜、あとの2機は…
「こちらAWACSフィンガー、別行動しているもう2機の無人機は積乱雲を回避してローディアへ直線飛行している。更にだ、搭載しているのは恐らく対地装備、無誘導の爆弾若しくは自爆用の固定爆弾だ。奴らも直ぐに撃墜しろ」
レーダーマップを見ると、もう2機はローディアまであと数キロまで接近しており、速度を上げていた。兵装を中距離空対空ミサイルに切り替え、発射する。中距離の空対空ミサイルはレーダーの電波によってミサイルを目標に向かって飛ばす。要はコウモリの様に音や電波で敵を発見する訳だ。
ロックオンして主翼下にあるAIM-120を発射、ミサイルが奴らに向かって飛んでいく。ダメ元ではあったが発射した2発のうち1発が命中、撃墜した。
「よくやったガスト2! あとは任せろ!」
丁度逃げていた2機を追跡していたのか、都合の良すぎるポジションに隊長の機がある。数秒もしないうちに無人機は撃墜された…
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「…目標の全撃墜を確認した。RTB、基地へ帰投せよ」
「なぁフィンガー、さっきのトラックはどうなったんだ?」
隊長が藪から棒に質問する。命令ではトラックは無視して無人機を追跡したが、その後が不明なままだ。
「あぁ、それなら安心しろ。陸軍が工作員を全員拘束、車両も捕獲した」
後々聞いた話だが、トラックに乗っていた奴らはほぼ無抵抗で逮捕されたらしい。それからはトラックやら無人機やら全て押収され、軍の施設に搬入されたらしい。とは言え、俺たちには関係のない話だ。俺たちの部隊は基地への帰還を開始した…
♧用語解説
♤RTB
ミッション完了、若しくは帰還を意味する用語。ミッションが全て完了した際に宣言される。