~Ruler of the sky~ 作:東側Production
臨時ブリーフィングにて、謎の無人機の出身が明らかに。エルメニスタン共和国という、サンバドル共和国と隣接する国家が製造していたものであった。エルメニスタンに対する措置、そしてミッシェル達に言い渡される命令は…
「そう、これはエルメニスタン若しくはエルメニスタンに支援された組織の攻撃だ」
部屋にいる全員、なんとなくは理解していたものの、大陸戦争以来の軍事的非常事態のためか若い者は皆動揺している。大陸戦争は大国同士が戦火を交えた最後の戦争になるはずだったが、まさか今になって同じような戦争が起きるとは考えもしなかったのだろう。ここにいる若いパイロットは皆、大陸戦争の悲惨を直接味わった世代、そしてこの俺も、戦争を経験した。再び戦争を行いたくない、こういう考えは彼らと同じなんだろう。
「そしてだが、墜落した残骸から回収したチップよりこの無人機の所属先も明らかになった。表示してくれ」
「了解」
基地長が近くにいたスタッフに指示、モニターに表示されたのはサンバドル語で使われている文字が書かれたページが表示された。
「サンバドル語に見えるかもしれんが、これは別の言語だ。エルメニスタンで使われてる言語で、ここにエルメニスタンの言葉で“エルメニスタン空軍第2無人航空師団“と書かれている」
「つまり、エルメニスタンからの攻撃…ということですか」
「その通りだ。そして、君たちには言いにくいのだが…その、これを受けてエルドア共和国政府は2日後にエルメニスタン共和国へ宣戦布告を行うことを決定したそうだ」
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翌日、俺はサンバドル共和国とエルメニスタン共和国の国境付近の空軍基地に滞在、公式な宣戦布告がエルメニスタン共和国政府に伝達される時を待っていた。どうやってここまで来たかって? 急に命令が出たもんで、空中給油機に随伴してほぼ給油機のトップスピードで今いる空軍基地まで直行した。
「あれは…壁?」
「そうだ、サンバドルがエルメニスタンに経済制裁かけようとしたちょうどその時に関係が悪くなったもんで、エルメニスタンが勝手に作ったんだ」
「デケェ…こっからもはっきり見えるし端が見えねぇよ…」
地平線の少し手前に見えるのは、サンバドルとエルメニスタンの国境に沿って建設された軍事塀で、ここでは24時間態勢で警戒が行われ、常に緊張した空気が漂うという、美しい建造物で満たされた本来美しい国であるサンバドル共和国にはふさわしくない場所である。
「そうそう、もうそろそろエルドアのプレジデントが宣戦布告の声明を出すそうだぞ、建物に戻ろう」
「そうですね」
俺は隊長と共に、ニュースを確認するために宿舎に戻る…その時だった。ドガーンッ、という鼓膜をつんざくような爆発音が、恐らく半径100m以内で起き、すぐに爆発音の発生源らしき場所から黒煙が立ち上り始める。
「燃料貯蔵施設に対地ミサイル直撃! 3番タンクが爆発炎上、2番タンク損傷で燃料漏れ発生です!」
「すぐに消防車を向かわせろ! あと…負傷者は?」
“Ту-95МСМ“と大きく書かれた格納庫から飛び出してきたのは1人の作業員。飛び出し、外にいた作業員と会った後、彼はトランシーバーでどこかに連絡をしたようで、すぐに直後基地内に警報が鳴り始める。そして数秒もしないうちに消防車らしき自動車が爆発のあった方向に向かった。
「総員に告ぐ、先ほどの攻撃はエルメニスタン軍による攻撃だ。現時刻をもってエルメニスタンとの交戦を許可する、戦闘機は直ちに離陸せよ!」
先ほどのような放送の後、ポケットに入っていた軍用のスマートフォンに電話がかかる、基地長からだ。
「無事か君たち!」
「うぉっ… 大丈夫です、基地長」
「それはよかった… 君たちも知っているだろうが、君たちの居る空軍基地がエルメニスタン軍による攻撃を受けた。戦闘機にはもう武装はついているはずだろう、すぐに出撃してくれ!」
他に聞きたいことがあったのだが、別の用事があるのかすぐに電話の通信が切れてしまった。隊長と見つめ合い、頷く。自分たちの戦闘機が駐機しているハンガーへ向かうと、近くに駐機していたSu-35Sは全て滑走路へタキシングしていた。
「遅れをとるな! すぐに乗れ!」
エルドア語で叫ぶ1人のサンバドル人の作業員、俺たちは設置されたラダーを駆け上がり、それぞれのF/A-18=Aに搭乗する。乗った頃合い、作業員はエンジンを開始してくれ、ラダーを安全なところに放り投げてすぐに誘導を始めてくれた。周りを見回すと、殆どの作業員はSu-35Sの誘導か消火作業に出向いてしまって、俺たちを誘導してくれる作業員は彼しかいない。作業は乱暴だがかなり配慮してくれているようだ、数年前まで殺し合っていた国の者同士だというのに…
「こちら管制塔、タキシングを許可する。2番滑走路へ」
「了解した」
スロットルを“タキシング“に設定、機体はゆっくりと速度を上げ、ランディングギアがゆっくりと回転。大体大人がゆっくり歩くくらいの速度で移送を始める。流れるように計器を点検しながらヨー・ペダルを操作し、指定された滑走路へ向かう。
「高度計、速度計異常なし、他計器異常なし、HUDとモニター共に異常なし、アビオニクスに異常なし」
「ガスト1同じく異常なし」
そして2番滑走路へ到着、俺たちの到着の直前に離陸したMiG-31は凄まじい轟音を響かせながらほぼ垂直に離陸した。地上で編隊を組み、俺たちがスト隊にも離陸許可が出た。そして、この基地の戦闘機のエンジン音がファンファーレとなる、最初の戦闘が始まる…