キオクヲタドリ、交差する【亀更新】   作:だけたけ

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はい。ほんとお久しぶりです。

いきなり仕事が忙しくなり執筆時間が取れなくなりまして。とりあえず仕上げることは出来たので20日余り。ほんとに久しぶりに次話でございます。

と言いつつ....実は2話投稿しております。何処だ?!となる方もいらっしゃるかと思います。えっとですね、この話を含めて2話前の過去編が始まる前。つまり『閑話 過去の幸せ』の続編を描きました。同時進行キツかったっす。ただ、すげぇ楽しくはあった。そちらもぜひ.......

今回の話は本編でも重要な役を担うキャラ(オリキャラ)が出てきますので是非に読んでくださいませ。それでは....

それでは、どうぞ。


閑話 過去編《月譚恐歌》

兄は言った。

 

俺に恋人が出来たらどうする?と。最初は何言ってんだ?と思った。

病院のベットに寝転がる彼はその姿を見てふっと笑う。視線を天井に戻した彼はひとつ息を吸って、そしてひとつ言い放つ。

 

「俺さ、月歌のこと好きだよ。」

「へ...........?!//」

 

とんだ地雷を投げてきた。いや、威力からしたらもうミサイルを超えて核爆弾と言ってもいい。お互い性的に見れる間柄では無いと思っていたあたしにとってこの発言はそれほどの衝撃だったのだ。

 

「お前はよくやってる。バンドでプロになって、あんなに売れて....自分に無頓着に見えて格好には気を使ってる。いつもポジティブだし人を元気づけるのがうま「待って?!いや、ちょっと待って?!」....ん?」

「いきなりすぎて整理ついてないし、なんなら後半の言葉頭に入ってきてないからッ!」

 

正直に言う。兄だと思って接してきたが元は他人。正直そんな目で見ていた頃も無かったとは言えない。その時は兄妹という関係が煩わしく思ったのも否定はしない。でも月並みだが今は彼のことはそんな風に思えない。が答えだろう。

 

「....多分お前勘違いしてる....」

「へ?」

「この世の中、俺ら2人とも家族全員をなくした手前、そういう関係になって支え合うのは悪くは無いなと」

「何も誤解してなかったじゃん?!」

 

確定だった。彼はあたしに告白をしてきている。確かにあたしは可愛い。今まで数多の男子に言い寄られた。だがしかし。バンドやら兄にベッタリやらで次第にそれも無くなって....

 

家族も居なくなって.......

 

ああ、ちょっと気づくのが遅いかな。あたし。

 

「でも多分、これは一時的なもので体が弱ってるからそう感じてるだけだと思う。」

「....ん?」

「だからお前はこれからも妹だ。一応伝えとけば悔いは残らないかなってな。」

 

いや、気づいてるんかいッ!ふざけんな!あたしの純情返せ!!顔あっつ?!顔が暑すぎる。なんなの?ふざけてるの?まじでない。ほんとにない。ほんとに.......

 

ーーおーい、飯出来たぞー。月歌?ーー

 

....なんであたし悪くないって思ってるの?

 

「そして多分、これから俺は好きな人ができる。」

「....は?」

「だからこれからも幼馴染として....「もう黙ってッ!!!!」ぶべっ」

 

けが人にムチを打ってそっぽを剥くのが精一杯だった。兄としてずっと一緒にいると思っていたこれは、彼にパートナーができただけであっさり崩れるものなのだと。

 

 

寂しい....か。そうだね。寂しい。一緒にいてもその心はあたしには向かない。

 

「親愛と恋愛って....」

 

 

何が違うんだろ。

 

 

 

_____________________________________________

 

 

月歌が居なくなる。それは俺にとって看過できない問題だった。考えただけで身震いするほどの恐怖。目の前で死んだ両親のことよりも彼女のことが愛おしいのはある意味異常だろう。重い....のかもしれない。

 

これはほんとにシスコンなのか?

 

それが一番最初の疑問と不信感。シスコンとは妹として彼女を愛すること。女として見ているのは自覚している。贔屓目なしに美人だと思うし、少しあどけなさが残ったその顔と性格。

 

物語の主人公ってこんなものなのかもな。

 

いや、この場合だと俺か?

 

高嶺の花に恋をする分不相応な男。

 

「妹....か」

 

呟いてしまったその声は幸い月歌には聞こえていなかったようだ。

 

恋愛対象として見れるってだけでもうシスコンではないんだろうな。薄々気づいてはいたが.......

 

「りんごの缶ずめあった!」

 

その顔は笑顔で、ウキウキしているのを体全体で表現している。

 

嫌味が全くないわざとらしいあざとさ。

 

これがピッタリだろう。クールなあざとさという矛盾していそうなパワーワードが似合うのは彼女しかいないと断言出来る。

 

頭を撫でれば手を振り払われる。

 

彼女が辛くなった時慰めて、撫でて。優しい声をかけて。抱きしめて。

 

兄として当然の行動でさえ一つ一つに一喜一憂する自分に気づいていた。

 

「ッつ....クソだな。これ。」

「我慢する。ほら、こんな美少女があーんしてるんだから無視すんな」

「自分で食える。」

 

寂しいのだろう。悲しいのだろう。そんな感情を隠して明るく振舞ってることぐらいわかる。

 

そうか、これは心配だ。彼女のことを気にかけてしまっている。

 

「.......なぁ、大丈夫か?」

「何がー?」

 

なんとなしに聞いたが思いの外、気の抜けた返答が帰ってくる。人とはどうして不思議なものでひとつ疑えばそうとしか見えなくなる。

 

「....んや、りんごくれ。」

「はい。あーんはしないよ?」

「馬鹿なこと言うな。」

 

特に気を悪くした様子もなく手元に目線を戻す月歌。

 

受け取って手元に視線を向ける。

 

「これは?」

「んー?あぁ、意外と出来るものなんだね。あたし天才。」

「いや、お前、そんなことで済ませるものじゃないだろ.......」

「....まぁ天才のあたしもさすがにそこまで出来なかったよ。種明かしは.......後で。」

 

腕に刺さった点滴。その先には血液らしき袋がぶら下がっていた。月歌は苦笑して頬をポリポリとかいた。

 

「怪我、ないか?」

「ないない!」

 

真顔でこちらに向かって手を左右に振る。その反応はいつも通りでムードメーカーたる月歌としては何の変哲もない行動。

 

「ほら、華麗にシュパッ!パパパッ!ってね。避けまくったわけよ。」

 

にっと笑って見せた。

 

「....そう、だな。お前天才だもんな」

「ふふん、もっと褒めて崇めるがいい」

「ああ、ハイハイ。すごいなー」

 

月歌の頭を撫でる。少し目を細めたあと手を振り払われるがいつもの事なので特に気には....

 

伏せて前髪が月歌の両目を隠す。

 

その奥からチラッと見えたのは泣きそうなほどに顔をゆがめてなにかに耐えるような表情だった。

 

「....月歌?」

 

なにかに掻き立てられるように月歌の腕を掴む。

 

カランッ.......

 

月歌がスプーンを落とした。わざとらしいと言えばわざとらしい。

 

そう思ったがさっきの今だ。なにか違和感のようなものを抱いて今度は肩に手を置いてみる。多分俺も内心不安だったのだろう。こんなのいつもの俺がする行動ではない。だが、今回はそれが功を奏した。

 

「お前.......」

「....悪い?あたしもいっぱいいっぱいなんだ。」

 

震えていた。月並みな言い方しか出来ないがその姿は....そう、儚く見えた。少し刺激すれば崩れてしまう....なんて使い古された言葉は合わないだろう。実際目にしてみればそんな言葉で言い表せないほどの悲壮感が漂っている。

 

「目の前でお母さんが潰れた。」

「ッ......」

「ぁ....ッ....ごめっ、忘れ「話せ。」....」

 

辛くないわけがなかった。1人でいる理由を考える時間はあったはずだ。それでも無意識にそれを排除していたということは内心俺も気づいていたのかもしれない。

 

辛いのは俺だけでは無いと。

 

月歌に抱いていた違和感の理由がわかった。いつも通り過ぎるほどにいつも通りだったのだ。日常から外れすぎてしまったこの世界で異常な程に。

 

吐き出して楽になるならいくらでも聞く。それぐらいの覚悟は俺にだってある。

 

「お父さんは化け物に貫かれて....ずっとあたしに向けて逃げろって....声が出なくなってもずっと口が動いてた。」

 

心の傷がないわけが無い。それは分かっていたはずだ。

 

いや、やっぱりわかってなかったのかもしれない。血の気が引いて紫色になった彼女の唇でさえ俺は気づいていなかった。

 

「お母さんは「やっぱいい。泣くぐらいなら話さなくていい」」

 

口は開いていた。無意識に出た俺の本音。要求。未来の俺が見たら自己嫌悪とともに賞賛するであろう一言を。

 

「.......お前、俺と家族になるか?」

 

そんな弱ったお前を見てるとこっちまで気が滅入る。沈んだ顔でそんな無理やりな笑顔は似合わないと思う。

 

「ぇ....?」

「家族がいないなら俺がなってやろうか?って言った。」

「....」

 

今までの呼び名は子供の頃のあ幼なじみ特有の友達感覚のものだ。そこから1歩踏み出すにはこの状態は十分すぎた。

 

「昔から兄って呼んでるじゃん。だいたい家族ってあたしと結こ「月歌」....」

 

ついには体だけではなく唇も震え始めた。こんな月歌は見たことがない。

 

「....お兄ちゃんはあたしをそういう目で見れるの?」

「知らん。今は見れない。けど将来的には分からない。」

 

というかそういう目で見るつもりもない。昔も今も、可愛い幼馴染として接してきている。今更、女としてみろと言われても無理なものは無理だ。

 

「....ホントの、兄妹.......とか」

「....なんでそっちが顔真っ赤にするのさ。」

 

月歌をどうにかしたいと考えるあまりすごい恥ずかしいことを口走った。だが本心であるのも事実なので否定しようにも口は動かない。

 

「深にぃ....」

「....は?」

「呼び方変えてみたけど慣れないからやっぱ「るーたん、おまた〜」ッ....」

 

顔真っ赤なまま月歌の動きが止まった。扉がいつの間にか空いていたことに気付かなかった。どれだけ自分の中に余裕がなかったかが分かる。

 

「ッ....るりぃぃいいいい!!!」

「ん?あ、起きてるね。」

 

スレンダーでブラウス着て上着を羽織った女子がそこに立っていた。白い....上着を

 

「アニメか?!」

 

白髪ブラウス白衣。ちょいクールめの風貌にやわらかい表情。属性もりもりすぎてつい叫んでわしまったが当の本人は特に気にした様子もなく近づいてきて謎の点滴を確認しだした。

 

「いい所でッ.......」

 

どちらかと言うと恥ずかしいところではあったはずなのだが月歌はいいところだと思っていたらしい。よく分からないけど。

 

「え?あ、ども。」

「ん....」

 

え?なにこれ。いきなりの会合?おかしくね?色々突っ込みたい所はあるがとりあえずジロジロ見るのやめて欲しい。

 

「ふむ、彼がるーたんのお兄さんか。ひょろっとしてるね」

「.......は?」

 

今なんて言った?ごめん。俺の中の常識って初対面の人にはなるべく気を使うってのがセオリーなんだけど....

 

「顔は上の中ぐらいか。レベルは高いがいかんせん身長が.......」

「....」

 

おい、月歌。苦笑してないで何とかしろよ。流石に俺は常識あるから?キレないけど。キレないけど?!

 

「65点だね」

「おっ、あやねるしては高得点」

「.......のか」

 

ん〜?と返してくる彼女は表情を少し動かした。

 

もういいよね?俺我慢したよね?うん。俺は頑張った。すごく頑張った。とてもよくがんば「何〜 ?聞こえないよ。減点....」

 

ブチッ....

 

「喧嘩売ってんのか....?!」

「うわー....るーたん助けてー」

 

なんちゅう棒の悲鳴。ここまであからさまだとこちらも少し怒りが引っ込む。

 

「あたしの後ろに隠れたこちら、綾橋ありさこと"あやねる"」

「今じゃねぇだろ!ってか逆だ逆ッ!」

「ごめんね、ほら、仲直りの握手.......」

「あ、ああ....こっちもごめん....」

 

差し出された手はゆっくりと人差し指以外が閉じていき....

 

「いだァッ?!」

「あっ、つい....」

 

切り傷になっている腹に触れた。いや、ほんとに勘弁して欲しい。まじで痛くて悶絶しようとした動きでトドメを刺された。もう嫌だ。

 

「いつつ....おい、月歌。目をキラキラさせんな。やらせねぇからな」

「ちぇっ」

「ところでお兄さん」

「ん?」

「僕に名前を教えてくれないかい?」

 

ぶっきらぼう.......とはちょっと違う。こちらに興味があると言うのは感じるからただ言葉を選んでいないだけだろう。

 

それはそれとして.......少し仕返しをしてもいいのではなかろうか。正直いってこのままだと心中穏やかでは無い。はっきり言うと腹立つ。

 

「影野あきらだ。よろしく。」

 

昔、読んでいた小説の主人公と同じ名前だがあんまり有名では無いしすぐ気づかれることもないだろう。少しスッキリした。

 

いや、月歌、そんな目で見ないで。ほんとにこれだけだから。これだけはいいだろ。

 

「ん。最上深ね?よろしくお兄さん。」

「知ってんのかよッ!」

 

第一印象が気に入らないやつ判定になった。だが笑った顔は少し可愛いと思ったのは秘密だ。いや、ほんとに反則だろ。

 

「鼻の下伸ばしてる....」

「伸ばしてねぇよ。いい加減なこと言うな、月歌。」

 

いや、ほんとにやってないからな。こんな奴になんで興奮しなきゃ行けねぇんだ。いや、だからそんなにニヤニヤしながらこっち見んな。

 

 

_____________________________________________

 

 

「んで....どうすんだ、この状況」

「しまった。考えていなかったな。」

「とりあえず逃げろぉぉぉぉお!!!」

 

後ろから迫ってくる重い足音。恐怖をかきたててくるその音は走っても走っても近づいてくることをやめない。

 

「なんだアイツッ....早いッ.......」

「オオカミ....」

「んなところも特徴似てなくていいのにッ!深にぃ!」

 

変わった呼び方はもう既に口に馴染んでいるらしい。あれから話合うというものを済ませ、少しぎこちないながらも家族として接することを選んだ。....矢先に....

 

「クソぉぉおおお!!!」

「木にッ!木にぃい!!」

「もうあんな思いはゴメンだッ!!!」

 

キャンサーに追いかけ回されるというこのめんどくさい状況。病院にキャンサーが居ないということをいい事に避難所として使おうと思った矢先、こうなった。どうしてだ。ほんとに運がない。

 

「はぁっ....今から絶望させよう....んくっはぁっ」

「おい、やめろ....フリじゃないからな?ほんとに」

「....足挫いた」

「クソがあぁぁぁぁ」

 

自分でもよくやったと思う。走りながら抱っこをするのは素人には無理だ。いや、なんの玄人ならできるのか知らないけれども。

 

「いやぁ、楽々。最初からこうすれば良かったよ。」

「今すぐ後ろに投げてやろうか....」

 

このタイプは苦手ということがわかった。学習した。もう一人称が僕の女に男女で可哀想なぬけぬけはるねぇ金輪際近づかないと誓おう。ほんとに。無理です。

 

「ひゃっはぅっ」

「ん?どした?」

「君はおんぶのやり方を知らないのかい?んうっ」

 

は?知ってるが?は?月歌には何回もしてるが?というかさせられてるが?走りおんぶは専門外だがシンプルおんぶは俺の得意分野のひとつだぞ。なめたら.......

 

「じゃあ....この指を退けてくれないかい?」

「あー、深にぃのおんぶにはコツがいるからね〜」

「コツ?」

「そう。コツ。だって手で支えるところが根元過ぎて下手すると危ないとこ「わかったッ!わかったから!これR18じゃないからッ!まじすんません。ほんとにすんませんしたッ!!」....」

 

得意分野の意味合いが一瞬で変わった瞬間だった。月歌、その純粋に疑問な目はやめろ。俺もなんでR18なんて口走ったか分からないんだよ。勘弁してくれ。

 

やっと納得した。毎回俺がおんぶする時月歌が腰を浮かせてるのそういうことか。

 

「深にぃ....」

「まだなんかあんのかッ...?」

 

もう怖い。妹が怖いです。その哀れな人を見る目で俺を見ないで.......

 

「キャラ変わった?」

「いや、んなはずないだろ。」

 

一瞬で素に戻ることが出来た。感謝する。




ボクっ娘黒髪ロングブラウス白衣....なにこれ。
可愛いだろう要素掛け合わせたら化け物出来た。
当初の予定では黒髪ロングボクっ娘制服だけだったのになんかブラウスにシフトチェンジして白衣パイセンと合体した....なんで?

まぁ.......可愛いからいいか。とこれで決定した。異論は受け付けます。

後、ご報告。これから更新が遅くなることが見込まれます。具体的に言えば今回ぐらい空くかも.......

気長に待っててください。それでは....

2章からはどんな雰囲気が良い?

  • 蒼井とのイチャイチャ多め
  • 月歌とのイチャイチャ多め
  • 蒼井と月歌とのイチャイチャ多め
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