FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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(2024/08/15)個人的に読みづらいと感じたので、差し替えました。書き方を変えただけなので、話の流れは変わっていません。

第12話です。どうぞ。


12. 合流、又は再会

 

自分の中の第二の人格に元気づけられ、下振れてたメンタルを持ち直しながら、ひたすら海岸に向けて歩いていた「人理の防人の少女」は、自分の足元の変化に気づいた。

 

「雪、浅くなって来たかな」

 

最初の頃と比べて、雪の積もり具合が浅くなっているのを感じ始めていた。

顕現した直後は、ブーツが半ばまで埋まってしまう様な深さの雪だったのが、今では大分サクサク進める程度の深さになっていた。

「防人の少女」は、目標にしていた海岸が近いことに、気分を上げながら歩き続けていく。

 

また暫く歩き続けること数時間程。

 

「おぉ、地面だ」

 

顕現してから初めて、雪に埋もれていない、露出した地面を見る事が出来た。

一見、何でもないただの地面だが、何とも言えない達成感の様なものを感じる「防人の少女」である。

そして、露出した地面が出て来ているという事は…

 

「おぉ!海だぁ!」

 

更に少し歩いたところで、「防人の少女」は、遂に海岸に出る事に成功した。

とりあえずのゴールに到着である。

で、問題はここから。南極大陸からどうやって出て行くか、だ。「まつろわぬ神」がデフォルトで持つ気配遮断の能力で、現地の人の船に相乗りさせて貰うとかが多分良さげかなぁと思っているが…

 

「とりあえず海岸には出れたけど…どうしようかな」

 

現地の人の船に相乗りさせて貰うにしても、そもそも現地の人を見つけない事にはどうしようも無いし、南極行きの船というと、南極基地での資材の補充とか観測員を運んだりとか等が用途であろうし、下手すると一年とかそれくらい待っていなければ来ないだろう。

…最悪の場合は泳いで近場の陸地に出るという手段もあるが、夏場であっても南極は極寒である。気持ち的に、そんな手段は絶対に取りたくない。冷たさが堪えるだろうから。

それはそれとして…

 

「(ねぇ、じゃんけんしよ)」

(どったのいきなり)

 

ここで止まっている訳にもいかないので、ここから海岸沿いに歩いて行くのだが…

 

「(私が勝ったら右、貴方が勝ったら左に行く)」

(なるほど?まぁ良いけど)

 

脳内の第二人格とじゃんけんして今出た海岸を左右どちらに進むか決める「防人の少女」。

 

「(さいしょはぐー、じゃんけん…)」

 

結果は…

 

「じゃ、右行くかー」

 

─────

 

一方此方は、主人との合流目指してまっしぐらな、最も有名な大海賊な彼である。

主人との合流を目指して、まずは南極大陸に辿り着くことを目標に、顕現した場所であるカリブ海から真っ直ぐに南下していたところであった。

 

「大分寒くなってきたな。そろそろだと思うんだが…」

 

彼も今は「まつろわぬ神」であるので、寒さ自体は別にどうという事はない。南極大陸までどれくらいの距離が残っているのか、丁度いい指標になる、程度であった。

彼は、南米大陸の最南端と思われる場所を、数時間ほど前に通過して、現在大海原を進んでいる最中なのだが、遂に、物見台に立っている部下から、報告があった。

 

「お頭ぁ!陸地が見えましたぜ!めっちゃ白い!多分雪でさぁ!」

「よし、でかした!上陸はしないが、そのまま陸の側まで寄れ!」

 

という訳で、南極大陸に到着したので、此処からは海岸沿いに船を進めていく。

 

「よし、主人の場所はっと…」

 

主人である「防人の少女」との繋がりを辿り、彼女が今、自分から見て左右どちらの方向に居るのかを確認する。

結果は…

 

「右か。面舵一杯だ!陸に沿って右に進むぞ!」

「アイアイサー!おもーかーじ、いっぱい!」

 

─────

 

「防人の少女」は、とりあえず現地民を見たいなぁと歩き続ける。南極で現地民を見つけるとしたら、南極基地か、そこから出向している調査隊みたいなのに出会う、くらいだろうか。

まさか南極に住んでます、みたいな人が居るとは思えないし。

海岸に出てからまた暫く歩き続けて

 

「お、南極基地かな?」

 

基地と思われる構造物が視線の前方に現れた。

視界に入ったその基地を目的地に、早速そちらに向かってみるが、どうやらその基地がある場所は島になっている様で、辿り着くには海を渡る必要がある様だ。

 

「向こうの島に渡れるルート、あるかな」

 

有人の基地であれば、顕現してから初めての現地民とのコンタクトになる。

ここ数日、頭の中の第二人格さんを除いて、全然人に会っていないので、ちょっと人恋しかった「防人の少女」である。

出来れば基地にお邪魔したいなぁと、向こうに渡る手段を考えようとしたところで

 

(泳げば?)

 

と、第二人格さんから言われた。

 

「(え、私に南極の海を泳げと仰る?)」

(冷たいだけでしょ。神さまボディは寒さで風邪引くほど柔らかく無いからだいじょぶだいじょぶ!)

「(はぁ…やるのが自分じゃないからって…まぁ、するけどさぁ)」

 

どっちみちそれ以外に手段が無さそうだったので、泣く泣く「防人の少女」は、南極の海に入って行った。

 

 

 

「うぅ…ち、ちべたい…」

 

身に付けている礼装込みでも、やっぱり南極の海は極寒であった。全身が寒さと冷たさで悴んでいる。

こうして極寒の海をどうにか泳いで渡りきった「防人の少女」であるが、そこに追い打ちをかけるかの様に、海風が吹く。

極寒の海で濡れているところに、更に極寒の風が吹くのだから、当の「防人の少女」にとってはたまったものではない。

 

「うひゃあぁぁ!さぶい!さぶいよぉ!」

(あっはっは!寒いだけだ!我慢だぞぅ我慢!)

「自分じゃないからってぇ、良い気になってぇ…うぅ、究極のさぶさだぁ…」

 

南極という極寒の土地で、極冷の水に濡れて、極寒の風に吹かれて「寒い」で済んでいる辺り、やっぱり彼女は「まつろわぬ神」である。

一般人だったら凍死している。

 

それはそうと、基地の敷地にお邪魔する「防人の少女」である。南極基地に関する知識はあまり無いが、名前くらいは把握しておきたい。名前に使われている言語から、何処の国の基地なのかも分かりそうだ。

 

「えっと…看板…ま、マクマード…かな?」

(アメリカの南極基地みたいだねぇ)

 

アメリカの南極基地であるらしい。

当人は知らないが、このマクマード基地は南極の観測基地の中でも特に規模が大きく、100以上の建物から構成されている。滞在人員は夏季には1000人以上、冬季でも200人ほどが常駐している。前身は1956年にアメリカ海軍が設営した拠点でもある。

 

それはそうと、全身濡れ鼠なので、身体を乾かしておきたかったし、何より少し歩き疲れた。

適宜休憩することも大事だと「防人の少女」は分かっているので…

 

(少しこの辺りで休んでいく?)

「(うん、ちょっと休む…)」

 

─────

 

同時刻、最も有名な大海賊な彼も、すぐ近くにいた。

 

「…近いな」

 

少女との繋がりから、彼女が近くにいることも知覚している。

 

「お頭ぁ!人工の構造物っぽいのが見つかりましたぜ!」

「んー?おう。あれか。どっかの国の南極基地だな。主人いないなら基地の名前確認して先行くぞー」

 

─────

 

基地のすぐそばで休憩していた「防人の少女」は、遂に、それを見つけた。

 

「…」

(あれは、木造の帆船だねぇ…)

 

今の時代においては、骨董品として博物館にでも置かれているのが当たり前なくらい、時代を間違えている感が出る代物。

現代チックな南極基地が隣にあるから、尚更そう感じる。

 

「…」

(現代においては時代錯誤と言って良いくらいの)

 

神代を起源とする一般的な「まつろわぬ神」が使うには新し過ぎて、現代人が使うには古過ぎる。

主に中世から近世にかけて、海に生きる人たちが使ってきたモノ。

今現在において、そんなものを現役で使える様な人/神など、自分の盟友だった船乗りの誰かしか、思い付かない。

そして、あの船のフォルムは「●●●●●●●号」。

 

「…」

(良かったじゃん。お迎え来てくれたみたいだよ?)

「…うん」

(じゃあ、場所知らせないとね)

 

 

 

まつろわぬ「人理の防人の少女」は、その神気を解放すると共に、右手の刻印を通して、最も有名な大海賊な彼に自身がすぐ近くにいることを伝えた。

最も有名な大海賊な彼は、主人の発したシグナルを、しっかりと受け止めた。

 

「…っ!近い!近いぞ!探せ!向こうだ!主人が、見える範囲の何処かに居るはずだ!」

 

彼女の神気は間違いなく感じている。基地にいる現地民を刺激しない様気配遮断を使ってはいるが、盟友たる自分にとっては無い様なもの。

彼自身も必死になって探す。

 

そして、彼の部下の1人が、海岸で此方を見ている少女を見つける。

 

「お頭ぁ!あれ!」

「…居た。居た!お前でかした!よし!主人拾ってくぞ!」

 

 

 

「●●●●!」

「主人!漸く合流出来ましたなぁ!ご無事な様で何よりですぞー!」

 

 

 

かくして、少女が顕現してから5日目、盟友たちが顕現して2日と少しの時間を経て、漸く盟友の1人、かつての組織において、古参組でもある「海賊の代名詞たる騎兵の彼(エドワード・ティーチ)」との合流を果たした。

 

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