FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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(2024/08/15)個人的に読みづらいと感じたので、差し替えました。書き方を変えただけなので、話の流れは変わっていません。

第13話です。どうぞ。


13. 幕間…各地の盟友たち

 

盟友たちが顕現してから少し経ったくらいの時。

 

「…はぁ」

「どうしたの?溜息なんかついて」

 

あまりにも面倒くさくなっている現状を嘆くあまり、溜息が出てしまった「桜の一角()()()()()()者の彼女」に、側に居た「桜の一角に()()て愛憎(ショ)の分()()()()の彼女」が声を掛けた。

 

彼女が、何を面倒くさく感じているのかというと、幾つかの事が挙げられる。

今自分の周囲にいる者たちの事や、なぜ自分たちがこうして顕現しているのか、ということもその1つではあるが。

現状においてはまず真っ先に嘆きたくなるような理由はこれであった。

 

「私たち、なんでこんな所に出たのかしらね」

「そうだねぇ、なんでだろうね。心当たりは一切無いんだけどね」

 

彼女の目の前に広がるのは、見渡す限りの水面。左右も後方も全く同じ。そして空には、時期的には冬のクセに、鬱陶しいくらいに太陽が輝いていた。

つまり…

 

「ほんと、なんでこんな大海原のど真ん中なんかに顕現したのかしらね、私たち」

「ね、顕現してすぐに『渇愛のあの子』が大きくなって足場になってくれなかったら、私沈んで溺れてたねぇ」

 

ということであった。

 

彼女たちは、よりにもよって太平洋のど真ん中という、一見して意味不明な場所に顕現するハメになってしまった。

 

顕現した直後に海面にドボンと落ちて、全身ずぶ濡れである。

側で一緒に顕現した「桜の一()()()()()()()の彼女」が即座に巨大化して足場になってくれなければ、海獣と水の女神の因子を持つ自分は兎も角、隣に居る愛憎を司る彼女はどんどん沈んでいくだけだった。

体重1tは伊達じゃないのだ。

 

それは兎も角。

 

渇愛を司る彼女を足場とする小さなその島には、他にも住人がいた。

 

「あのポンコツAIは何してるの」

「なんか、さっきからずっと、向こうの肩の方ですっごい悶えてるよ」

「なにそれ…現状に、なにか心当たりがあるのかしらね」

 

現在、快楽と愛憎の2人が乗っているのは、渇愛を司る彼女の右肩部分で、左肩には、2人とは別に、もう2人の住人が乗っていた。

そのうちの1人である、自身の切り分け元となったAIである盟友の様子を尋ねてみた快楽の少女。

 

どうせいつもの如く、小悪魔ぶりっ子みたいなムーブか、ラスボスっぽい後輩ムーブでもして、誰かに遠隔でちょっかい掛けてるんだろうとか思っていたのだが、愛憎の少女曰く、なんか、言葉も無く悶えているらしい。

思ってたのと違う答えが返ってきたのでちょっと引き気味になりつつ、のんびりと現状と今後の行動について詰めていく。

 

「まぁいいわ。どうせ私たちは渇愛のこの子の肩の上から動けないし」

「『渇愛』ちゃーん、このあとどうする〜?」

「とりあえず、主人のところに行きたい、です」

 

まず、今後の行動予定については、足場になってくれている渇愛の少女の意向次第になる。

渇愛の少女は、とりあえず主人の少女に合流したいとのこと。快楽の少女、愛憎の少女も特に否はない。

現状においては、まずは自身単独の状態から脱するのが優先事項だが、彼女たちは初動の時点でこうしてある程度纏まることが出来て居るので、ここからは主人の少女と合流することを目指す方針で行くのは全然良い。

 

ちなみにだが、実際には、移動の途中で野生の「まつろわぬ神」や「神殺し」と激突しても、上手く噛み合えば、彼らが各々持つ守護の権能や不死性を貫通し、一回で撃滅出来る程の戦力が、ここにいた。

 

主に、少女たちでは無く、彼女たちとは反対側の肩に乗っている、もう1人によって、だが。

 

「いいんじゃないかしら?まずはあの子と合流しないと」

「はーい、えと、主人のいる方向は…あっちか。じゃあ動きますので、何かにしっかり掴まっててくださーい」

 

そうして、何処かの国の公共交通機関での発車時の放送みたいな言い方をしながら、小さな島は少々の揺れと共に動き出した。

 

「愛憎の、あなたしっかり掴まってなさいよ。あなたの重さじゃあ、落ちたら沈んでいくだけなんだから」

「うん。でも、万が一落ちたら助けてね?あなたなら出来るでしょ?」

「…考えておいてあげる」

「もう、素直じゃないんだからぁ」

 

 

 

島が動き始めてから少し経った後のこと。

ふと、愛憎の少女は疑問を漏らした。

 

「それにしても…」

 

疑問に思ったのは、向こうの肩にいる自身の切り分け元について。

愛憎の少女的には、あまり好きな相手ではないが、距離的に陰口を言えるほどでもないので、妥協して「お母さま」呼びだ。

 

「なんでお母さまは、あっちの肩から動かないんだろうね?お母さまと『あの人』って、あんまり仲良く無かったよね?」

「知らないわよ」

 

愛憎の少女の問い掛けに対する、快楽の少女の答えは雑だった。

快楽の少女にとっては、向こうの肩に居る2人は、どっちも面倒極まりない相手でしか無い。面倒な奴らが纏めて向こうに固まってくれているのだから、それで良いと、彼女は思っていた。

 

「進んで面倒なヤツ同士で固まってくれてるんだから、それはそれでいいじゃない」

「まぁ、そうだけどねぇ」

 

で、だ。

当の反対側の肩では…

 

「うぁぁぁ…これ『アレ』ですよね、絶対『アレ』ですよねぇ…いや、あの状況からこんな事になる可能性を想定しろなんてことの方が無理筋…でも…あー…うぅぅぅ…」

「うふふ…ソワカソワカ…」

 

事の次第を、並行世界(?)からデータ収集して照合した結果、諸々の原因の一端が自分(正確にはそのモデルとなったAI)にある事を知って、あまりにも想定外な事態に、自分の傍に誰が居るのかに意識を割く程の余裕も無く身悶えているポンコツAIと、かつての仇敵が、色んな意味でヘコんでいるその様を見て、悦に浸っている尼さんがいた。

 

─────

 

所変わって、ここは中東、イラクの地方都市モスルの郊外。

ここにも1人、盟友が顕現していた。

 

「…ふむ」

 

黒を基調とした露出度高めなドレスを着用し、各所に鳩の羽根を模した装飾をあしらった出で立ち。頭髪はボリュームたっぷりのツインテールをリボンで包んだ様な髪型。

かつて、この地を都として栄えた最古の帝国、その女帝。

 

彼女の名を「女帝にして最()古の()毒殺()者た()る殺()兵の彼女」といった。

 

顕現した彼女は、まず初めに自身の状態を確認し、把握した。

これはまた、なんとも面白い事になったものだと思いながら、彼女は今後どの様に動くかを考える。

 

「さて、ここからどう動いたものか…」

 

彼女としては、別に主人の元に一刻も早く駆けつけたいとか思っていたりはしない。

自身の能力に絶対的な自信がある彼女は、もともと一匹狼的な性格の持ち主であり、人理を取り戻すという名目が無ければ、主人である少女に従う事も無かった。

 

最後まで折れる事なく、人理を取り戻す旅をやり遂げた主人の少女には、その功績を以てそれなりに良くしてやろうと思っては居るが、今のところはその程度。

今生は「まつろわぬ神」として顕現した身。人理を取り戻す等のような立派なお題目も無い。

であるからして、尚更かつての主人である防人の少女に拘ることもなかった。

 

…とはいえ、それはそれで、やる事が無くてつまらない。

だから、旧知の友人に会う様な気分で、いつか近いうちに会いに行ってやろう、とは思っている。

 

無意識ながら、わりと主人のことを気に入っている、ツンデレ女帝さまである。

 

「まぁ、どう動くにしても、まずは我が庭園を完成させておきたいところだ」

 

彼女の権能の1つである「庭園」は、現世の現物と特定の儀式を行った上で完成する要塞の様なもの。完成すれば、難攻不落の城として圧倒的な存在感を示すだろう。

 

完成させる事が、出来れば、であるが。

 

なんせ、現世の現物というのが「彼女が生きていた土地」の木材や石材、鉱物や植物等といった材料であり、これを「都市ひとつ丸々作れるくらい」は用意しなければならない。

その希少性から、金額的には、小国1つを買い取れるレベルのお金が掛かってしまう。

また、現物を集め切った後の儀式に関しても、最低でも3日は掛かる程のものになる。

完成までの道のりは、遠く険しい。

さて、これらの物をどうやって用意しようか。当然ながら、彼女ひとりぼっちでは集めきるのにどれだけ時間が掛かるか分からない。

 

「…であれば、手足が必要か」

 

幸いな事に、この場は「彼女が生きていた土地」であるから、素材を集める場所はここで問題ない。

モチベーションはそこそこだが、時間的な制限がある訳でもないし、無用な混乱を生んででも即座に完成させたいという程でも無い。

そして、自分は今「まつろわぬ神」という、魔術世界における頂点の一角でもある。

であるならば…

 

「せっかくまつろわぬ神とやらになったのだ。ふふ…この様、上手く使ってやろうではないか」

 

 

 

数日後、そこには、現地にある複数の魔術結社を従わせ、図面を引きつつ建設の指示を出している、安全第一の黄色いヘルメットを被った女帝さまがいた。

 

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