FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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(2024/08/15)個人的に読みづらいと感じたので、差し替えました。書き方を変えただけなので、話の流れは変わっていません。

第15話です。どうぞ。


15. 護堂「帰ったらグータラして旅行疲れを癒すんだ」

 

現在の現地の日付にして、1月3日。

時刻は夜の7時くらい。

 

「おや、これは…」

「ん、どうした、なんかあったのか」

 

ギリシャのとある砂浜にて、主人の少女の位置の観測を担っていた「神代の魔術師にし()て鷹()の魔()女た()る術兵の彼女」が声を上げた。

それを聞き、何故かギリシャ合流組の盟友たちの取りまとめ役になっている「英雄達の()船長()たる()剣兵()の彼」は声を掛けた。

 

「んー、主人ちゃんの位置座標が変わり始めてる」

 

観測してくれている「術兵の彼女」は現在、術を片手間で維持しながら、晩御飯を食べているところだった。

 

「どういうことだ?」

「主人ちゃん、南極から移動し始めたみたい。それも、移動速度、結構早いね。時速換算で300kmあるんじゃないかな」

 

結構どころかかなり速い移動速度である。

南極から移動するとなると、海か空だが、空路で移動する手段をあの主人が持っているとは思えないので、自動的に海路になるのだが…

「剣兵の彼」は、自身の常識がこの世界の現代でも当てはまるか確認する為に、ドニの面倒を見るからと、この砂浜に留まってくれているアンドレア卿を呼び寄せて確認を取る。

 

「…現代の、普通の船でそんな速度は出せない、よな?」

「そうですね、現代の船で時速300kmを出すのは不可能かと」

「…となると」

「そうだね。船持ちの盟友が、主人との合流に成功したみたいだ。これで、急ぐ必要は無くなったね」

 

─────

 

「ふむ…」

 

同じタイミングで。

イギリス合流組の中で、主人の少女の位置の観測を続けていた「第六異聞の女王に()()()()師たる狂兵の彼女」も、ギリシャ合流組の「術兵の彼女」と同じく、少女が南極から移動し始めていることを感知した。

偶々そばに居た「私()()()()()司令()()()()()女」は、少し考える様子を見せた「狂兵の彼女」を見て声を掛けた。

 

「ん、どうした?」

「主人が盟友との合流に成功したようだ。南極から移動している」

「おお!そりゃあ良い!船持ちと合流出来たか!これで焦らなくてもよくなったねぇ」

 

盟友たちの最優先目標は、まず主人の少女の安全を確保することだったが、それは今、盟友が合流した事を確認出来た為、最低限達成されたことを確認出来た。

であれば、次善の目標である、必要な情報の収集と、周囲に散らばっている盟友の集合に時間を掛けることが出来るようになる。

盟友の回収は「妖精騎士にし()て白竜(リュ)の骸()()る槍()兵の彼女」が頑張ってくれているのもあり、半数以上は既にこの場に集っている。

現在この場所に集合している盟友は、その数実に50柱以上。

霊体でこの場に居てくれているアリスは、この世の終わりを目の当たりにしているような顔をしていた。

 

「ああ、情報収集の時間も取れるな。ギリシャの方で集合しているだろう者たちと連携を取る時間も出来た」

 

 

 

所変わって、現在の日本の惨状を全く知らないまま、呑気に帰国してきた護堂一行。

今回の相手であった「まつろわぬキルケー」をどうにか討伐し、彼女が棲家にしていた迷宮と化していた群島からどうにか離脱して、そこから船便や飛行機などを乗り継いで、ようやく日本に帰国した。

現在彼らは、空港の荷物回収の為の待合所に居た。リリアナと祐理はお手洗いに行っているので、側にいるのはエリカのみ。

 

現在時刻は1月5日。三ヶ日は既に終わっていた。

 

「あ"ー、やっと帰ってこれたぞ…」

「お疲れ様ね、護堂」

「ったく、ほんと面倒くさい奴だったな、キルケー」

 

メンバーと唐突に分断されたり、ログハウスで海を渡るハメになったり、一部権能を分捕られたり。

諸々の権能込みなのだろうが、魔術に精通した「まつろわぬ神」はここまで多彩な手札を持っているのか、というのを理解させられる戦いだった。

性格も、今まで相手をしてきた「まつろわぬ神」達と随分違った。

 

「そういえば護堂は、彼女のようなタイプのまつろわぬ神との闘いは初めてだったわねぇ」

「今まで会った女神…アテナとランスロットだったからなぁ。ガッツリ戦いの神だったし」

「良い経験になったじゃない」

「そりゃそうだけどな…」

 

実際のところ、エリカの言う通り、良い経験になったのは間違いない。

魔術を主体とした、武神の類の側面を持たない神さまと戦ったのは、今回が初めてだった筈。

キルケーは死に際に不穏なことを言っていた気もするが、無事に討伐出来たし、権能もそれっぽいのを手に入れることが出来た筈。まだよく分かんないけど。

今後の「まつろわぬ神」との戦いにおいても、今回得たものは、色々な場面で役立つことだろう。

もう一度相手しろと言われても絶対に嫌だが。

 

そうこうしているうちに、迎えにきてくれた甘粕さんの姿が見えた。

いつものスーツ姿で、一見して直ぐには変わったところのない様子であるように見えた。

見えたのだが…

 

「お疲れ様です、護堂さん」

「お、甘粕さん、ただい…なんかいつにも増して隈が凄いですけど、大丈夫ですか?」

「あぁ、お気遣いありがとうございます」

 

声を掛け合える距離まで近づいて、甘粕さんの様子がちょっと変であることに気づいた護堂。

特に目元の隈が酷いようで、ここ数日碌に睡眠を取れていないのではないかと思わせる程。

スーツの草臥れ具合も、いつもより大きいように見えた。

いつも飄々としている甘粕さんがこんな事になるなんて、上司の薫さんは一体何をさせているんだと、若干不安になる護堂。

 

とはいえ、それでも甘粕さんは業界ではプロの仕事人だから、まぁ大丈夫なんだろうと、社交辞令4割本気6割くらいの心積りで声を掛けた。

掛けたら…

 

「しかし、大丈夫では、ないですね…はは」

 

まさかのプロから「大丈夫じゃない」宣言を貰ってしまった。

側にいたエリカも驚いている様子。

これは本格的に何かあったぞ、と護堂も警戒を露わにする。

魔術関係の本職である彼らで対応出来ないとなると、それこそ「まつろわぬ神」や、その神獣関連であり、自分たちの出番になる。

ついさっき「まつろわぬ神」案件から帰ってきたばっかりだが。

 

「…何かあったんですか」

 

プロの人が対応出来ないというほどの何かだ。

帰国した直後で直ぐに動くのは流石にキツいが、いつもお世話になっている正史編纂委員会がピンチという事であれば、自分の領分で出来ることがあるなら協力したいところ。

直接言葉にはしなかったが、護堂の意思表示を見て、甘粕さんは話し始めてくれた。

 

「出発直前の万里谷さんの霊視、覚えてます?」

 

若干唐突に言われた事に、当時の記憶を穿り出そうと、少し考える護堂とエリカ。

 

「えっと…何だったっけか」

「たしか『人理』と『さいごの』だったかしら?」

「あー、たしか『人理の防人の神話』だっけ?そんな感じの名前でしたよね?」

「そうですねぇ。あ、これ、人理の防人の神話の本です。原典と一言一句違わず作られていますが、童話風になっていて読みやすいですよ」

「あ、どうも。後で読んでみます」

 

どうにか思い出せたところで、甘粕さんが『人理の防人の神話』の本を渡してくれた。

行きの時のちょっとした口約束を果たしてくれた甘粕さん。

いつもならほっこりしつつ、時間のある時にゆっくり読んでみようとか思うのだろう。

なのだが…

 

「…あの、まさかとは思うんですが」

「察しが良いようで何よりです。えぇ、多分護堂さんが想像された通りかと」

 

あぁ、日本で「人理の防人の神話」関連の「まつろわぬ神」が出てきちゃったのかと、何となく護堂は察した。

そういう事なら「神殺し」たる自分の出番だと、気合を入れる護堂。

 

残念ながら、直後の甘粕さんの話で、その気合いは霧散してしまうのだが。

 

「『人理の防人の神話』の主人公、まつろわぬ『人理の防人の少女』が顕現したことを、同盟神との接触によって確認しました。現在日本には、かの女神の同盟神54柱が全国各地に顕現しています」

 

「………は?」

「………え?」

 

「ついでに言うと、現在その神々は千葉県の九十九里浜に集合するつもりでいる様です。なんでも、彼らの「主人」の少女がそこに来るとか」

 

「……」

「……」

 

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