FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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お待たせしました。本編に戻りました。
あと、毎日投稿はここまでになります。
ここからはまた今まで通り、週一投稿になりますので、そのつもりで。

第16話です。
ではどうぞ。


16. 日本の盟友たち

1月4日の夕暮れ時、九十九里浜の片隅にて、盟友の1人「天魔の姫にして()立烏(鹿)帽子()たる()剣兵の彼女」は、現在此方に向かっている盟友の1人から、そろそろ到着しそうという連絡を受けて、その迎えに来ていた。

現在、日本に顕現している盟友たちは、その殆どが九十九里浜での結集に成功しており、全員集合まで、残る盟友は後2人というところまで来ていた。

そして、後2人のうちの1人から、そろそろ到着する旨の連絡を、連絡をくれた当人の使い魔を通じて、ついさっき貰ったところであった。

分かりやすい目印になる様に、「剣兵の彼女」自身の神気を駄々漏らしにしながら、その場で待つ事しばし。

 

「あ、来た来た。おーい、こっちこっちー!」

「あれ、わたしが最後だった?」

 

現れたのは、白を基調としたモコモコの暖かそうな服に身を包み、側にシロクマを連れた「竜蛇殺しの少()女英()雄た()る分()者の彼女」であった。

彼女が内包している英霊・神霊のうち、中核となっている英雄の出身地の影響で、北海道の小樽、赤岩山に顕現した彼女。

ここまで2日ほどかけて、徒歩で南下するという、人間視点では結構な旅路を進んできたところであった。

 

「んや、あと●●●●(某サンタ島仮面)がまだ着いてない」

 

ちなみに、現着していないもう1人は、九州の長崎県、半島部南端から、これまた徒歩で東進中である。

出身地が千葉から特に離れていた2人は、移動に関する逸話を持っている訳でも無いので、どうしても集合までに時間が掛かってしまっていた。

 

とはいえ、小樽から九十九里までの、海峡や山岳など諸々込みのおよそ870kmを、徒歩2日で余裕を持って踏破してしまうあたり、やっぱり神さまである。

 

ともかく、こうして合流出来たので、2人は他の盟友たちが集合している場所に向かって、徒歩での移動を始める。

 

「顕現した場所が場所だからねぇ。わざわざ北の大地からご苦労さまですー」

「ほんとだよもう。顕現して1日も経ってない真っ昼間に、いきなり使い魔を飛ばされて『下総…千葉の九十九里浜に集合!』って言われて…特にトラブルも無く来れたから良かったけど」

「ねー、●●●●(自称良妻賢母)もいきなり過ぎるよねぇ、音頭取ってくれたのは助かったけど」

 

日本に顕現した盟友たちの集合にあたって、先頭に立って動いてくれたのは、盟友たち全体の中でもかなりの古参組である狐耳の巫女だった。

当人自体は、別に伝令の系統に関する能力を持っている訳では無かった。

しかしそれとは別に、かつて組織に所属していた盟友たちの中では、かなり優秀な術者の1人として、主人の「少女」の旅路の中で活躍していた。

今回もその手腕を遺憾無く発揮し、日本全域に使い魔を散布して、盟友全員を炙り出すという「まつろわぬ神」としての能力ありきの術的な力技で以て、一方的だが言伝が可能な通信ラインを作り出してみせた。

 

一方的に伝令という名の指示を受けた「剣兵の彼女」としては、正直なところ、狐耳の巫女のことはあまり好かないので、素直に従うことでもなかったのだが。

まぁ他にやることも無し、盟友たちと集合出来るならそれでも良いかと、九十九里に足を向けたという経緯がある。

他の盟友たちの経緯もおおよそ似たり寄ったりで、大体は「まぁ集まれるならそれで良いか」と動いていた。

レアケースとしては、真面目な盟友たちが、不真面目な盟友たちを諸々の方法で「分からせて」引率して来たり、引き篭りの盟友を寝床から無理矢理引き摺り出して連れて来たり…といった経緯のも居たりする。

戦闘行動も多少あったが、その被害は人間側の視点でも極々微々たるものに収まっていたので、無問題。

具体的には、とある山の森林のごく一部が禿げたとか、道路のアスファルトにヒビが入ったとか、とあるお城の天守閣の床が一部抜けたとか、その程度。

地形が変わった訳でも、歴史的建造物が跡形もなく崩壊した訳でも無いし、人的被害も出していない。

何処かの誰かさん達にも、是非とも見習って欲しい被害の軽微さである。

 

「ま、こーやって日の本に顕現した盟友がほぼ全員合流出来たんだから、結果オーライっしょ」

 

かつて「組織」に所属していた盟友たちは、皆何かしらの超常的な力を持ってはいたが、それとは別に、只人との付き合い方も彼ら彼女らなりに覚えていた。

なんせ、主人の「少女」が只人だったから。

また、かつて所属した「組織」において、近現代が再現された場所を旅した経験もある。

なんだかんだ、彼ら彼女らは、近現代の社会にそれなりに慣れているのだ。

 

そうして歩いているうちに「剣兵の彼女」と「分者の彼女」は集合場所に到着した。

さっと辺りを見回したところ、大体かつて「組織」にいた頃に懇ろになっていた面子毎で固まっている様子。

「分者の彼女」は、このメンバーだと、特別に仲の良い盟友が居る訳でもないし、依代繋がりであの鍛冶屋のおじいちゃんのところにちょっかいでも掛けに行こうかしら、と思い耽りながら辺りを見回す。

すると、盟友では無いが、魔術関係者っぽい人が紛れているのに気付いた。

 

「現地の魔術関係の人達とも接触出来たんだ?」

「あーあれね、●●●(妖怪首置いてけ)●●●(母を名乗る不審者)、あと●●●●(新選組参謀)●●●●(維新の英雄)がやってくれてる。…交渉ごとが出来る狂戦士ってなんだし。クラス詐欺じゃんね、あの神秘殺し」

「それは言っちゃダメなヤツだよ…」

 

現地の魔術関係者と思われる人物と、盟友たちのやり取りの様子を見ている限りでは、割と和やかそうな雰囲気を感じる。

特に話が拗れたりしているような事は無さそうだ。

まぁ、現地の人的には、「まつろわぬ神」の機嫌を損ねるような事は、絶対に許されないだろうが。

盗み聞きするに、どうやら我々の日本での滞在場所についての相談のようだ。

なんかマンション一棟と周辺の土地丸々欲しいとか何とか聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。

 

「ていうか、あの現地の人、凄いね?まつろわぬ神4柱纏めて応対するの、すごいプレッシャーになってるでしょうに」

「あぁ、あの人、ここら辺一帯の魔術関係の人たちの取りまとめ役なんだって。何だっけ、正史…なんとか…委員会、って所の関東方面のリーダーみたい」

 

盟友たち4人に対応しているのは、正史編纂委員会東京分室長である沙耶宮馨だった。

あの正月深夜の地獄のデスマーチから、甘粕さん等現場で動く面々が、盟友たちとの現地での接触に成功し、接触出来た盟友たちから話を聞いて、事の全容をおおよそ把握出来た段階までどうにか漕ぎ着けたので、ここから先は自分が矢面に立つべき、と九十九里まで出張って来ていた。

 

これ以上甘粕さん等現場の人に任せていた場合、彼らの心身の負担や精神衛生的にも、とても宜しくなかったというのもある。

魔術関係者とはいえ、ただの人間が「まつろわぬ神」と対面するというのは、そういう事でもあるのだから。

 

現在矢面に立って、「まつろわぬ神」4柱から直に対面の面接を受けている沙耶宮馨は、部下を思い遣ったその清き決断を、早くも後悔しかけているが。

 

「あと、巫女でもあるみたい。うちら以外の『まつろわぬ神』との接触経験も、何回かあるって言ってた」

「ふーん…まぁ、上手く行ってるならいいかな」

 

 

 

で、と。

さっきまで人懐こい明るい顔をしていた「剣兵の彼女」が、唐突にド真面目な顔になったので「分者の彼女」も気を引き締める。

普段はJKしている「剣兵の彼女」だが、根は聡明で凛としている真面目な性格なので、弁えるべき部分はしっかりしているのだ。

そんな彼女がド真面目な顔になったのだから、相応に憂慮するべき話題なのだろうと、「分者の彼女」はそのつもりで聞く姿勢に入った。

 

「あと、これ結構重要なヤツなんだけど」

「…なに?」

「細かい話はまだ聞いてないけど、今の日の本には『神殺し』が1人いるって言ってた」

「…へぇ。りょーかい」

 

「神殺し」。

それは確かに、憂慮するべき事案である。

普通の「まつろわぬ神」ならば、ただただ戦意を昂らせるものであるが、我ら盟友は元々は「従者」である。

『まつろわぬ「人理の防人の少女」』と友誼を結び、彼女の指揮下に入り、彼女を護り助けてきた者たち。

主人である「少女」単体は、「まつろわぬ神」としてはとても無力である。

「神殺し」どころか、どこぞにポップした野生の神獣にも、欧州で言う大騎士レベルの、優秀な魔術関係者とのタイマン勝負でさえ負ける可能性が高い。

彼女の真価は、我ら盟友たちあってこそ。

 

故に、主人である「少女」を害する可能性の高い「神殺し」に向けるのは、闘争心ではなく警戒である。

 

親愛・敬愛する我らの主人を、「神殺し」なんぞに狩らせてなるものか。

 

「あと、●●●●●(出雲の巫女)が、上空から不穏な気配がするって。今のうちら、神さまに格が上がってるっしょ?あの子の巫女としての能力もかなり向上してて、霊視みたいなのもかなり正確に出来るって言ってたから、信憑性は高いよ」

「…ふーん。ここの日の本は物騒ね」

 

彼ら彼女らと、日本の神殺しとの対面の時は、近い。




現在の近衛:7柱
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