FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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ありそうで無かったので、お試しで書いてみました。
好評だったら続く、かも。(続いた、だと…)

(2024/08/15)個人的に読みづらいと感じたので、差し替えました。書き方を変えただけなので、話の流れは変わっていません。

第一話です。どうぞ。


1. プロローグ…事の経緯

 

きっかけは、ほんの些細な思いつきだった。

 

それは、比較的早期に召喚された某童話作家や某劇作家が中心となって、マスターが行った人理の旅の軌跡を物語として残していこうと、彼女が特異点や異聞帯に突入して帰還するたびに、隙間の時間を見繕って、合作で少しずつ書き進めていたものだった。

 

書き手の作家たちは、この作品においては、別に納期や締め切りが存在しているわけでも無かったから、それほど気負わず彼らのペースで書き進めていたし、作品が完成したところで、どこかに公開するつもりも一切無かった。なのでつまりは、この取り組みは彼らの自己満足。

あとは、全てが終わった時に、マスターにとって、ちょっとしたプレゼントにでもなればと、彼らにしては珍しくも殊勝な心掛けで進めていたものだった。

そして、時々マスターにちょっとしたインタビューをしたことなどもあり、別に隠していたことでも無かったから、知っている人は普通に知っている取り組みでもあった。

 

だから、かの小悪魔ラスボス系後輩な高性能AIであった彼女がその存在を知るのも別におかしなことでは無かったし、お世話になっている先輩に関するお話について、興味を持つこともおかしくは無かった。

そして、その物語を読んで、彼女から「せっかくだからこの本、同人誌にしてサバフェスに出してみよう」という提案が出ても何ら違和感を感じるものではなかった。

当時はまだサバフェスの開催時期まで数ヶ月程度の余裕もあったし、開催時点で完成している範囲までで良いとも言われていたから、当事者の作家たちも、この作品の出展については精神的な余裕を持てていた。

だから、サバフェスにサークルとして参加する予定で、この企画に携わっていた一同は、サバフェス開催が近くなった時から、各々のサークル活動の準備をしながら、この物語が同人誌として公開される時を、わりと楽しみにしていた。主催者となる高性能AIの彼女も、開催前の時点で完成して、印刷してもらったその同人誌を一部、手元に置きながら、意気揚々と手筈を整えていた…のだが…

 

 

 

「で、君が手元に置いておいたその同人誌が気づいたら無くなっていたと?」

「そうなのです…まぁ、魔術的には、破損しないように軽い保護がかけられただけの、言ってしまえばただの本ですから、大したことではないとは思われますが、一応言っておかないと、と思いまして」

 

サバフェスが紆余曲折の後、どうにか無事に終わったあと、そう話をしているのはカルデアの技術顧問ことダヴィンチちゃん(ライダー)と、特異点から叩き出され、主催者から主催者(笑)になってしまった高性能AIことBBであった。

 

「そうか。うん、了解したよ。ちなみに、無くした原因に心当たりはある?」

「そうですねぇ…おそらくサバフェス特異点から出された時かと。あの時に、次元の何か的なサムシングに巻き込まれたんでしょうかね?」

「酷く曖昧な言い方だねぇ」

「別に、真面目に考えることでも無いですからねー。新しい同人誌も貰えましたし」

「そうか。一応みんなに共有した後に、頭の片隅に留めておこう」

 

───

 

BBが失くしてしまったその同人誌は、どことも知れない場所を漂っていた。

 

なんだかんだ言いつつも、BBの予想は概ね正しかった。また、彼女が自ら手掛けた同人誌への保護は、彼女自身の実力もあり、一般的には割と高度なものでもあった。

だから、BBが特異点から追放されたことによって発生した事故の結果、普通はすぐに消えて無くなってしまうようなものでも、掛けられた保護の相性がその空間に対して良かったこともあって、保護がしっかりと働き、同人誌は特に欠損なども無くフワフワとその場を漂っていた。

 

同人誌がしばらくフワフワと漂っていると、何故かは分からないが、その近場に穴が出来た。その穴は吸引性があるのか、フワフワと漂っている同人誌は、少しずつ引き寄せられていく。

当然ながら、同人誌は本であり、意思など持たないただの無機物なので、それに逆らうようなこともなく、スポンとその穴に吸い込まれた。

 

 

 

同人誌が吸い込まれた穴の先にあったのは、それがもともと存在したところにあった、日本の田舎の村に似た場所の道端だった。ポトリと落ちたそれは、しばらく放置された後、そこの住人によって拾われ、その中身を読まれていく。

その本は、その住人が読める文字で、しかも分かりやすい絵付きで書かれていたので、特に読めない箇所は無かった。そして、その本を書いていた者たちの手腕は、元々の所の人類史に名を残すほど。現在の読み手である純朴な彼らは、その世界観にすぐにのめり込み、その物語を齧り付くように読み込んでいった。

あまりにも完璧に完成された世界観の物語から、同人誌を発見した住人はその物語を何かの神話のように感じ、その同人誌は、発見した住人の家宝として、何世紀にもわたって大事にされることになる。

そして時は過ぎ、その世界は20世紀後半。それを家宝として持っている家の子どもは、立派でかつ行動力のあるオタクだった。彼は日課の如く家宝を読んでいて、ふと思った。思ってしまった。

 

「この物語を、もっと沢山のオタクたちに知ってほしい。そして、もっと色々と語り合いたい」

 

彼はとても行動力のある、割とお金持ちな方のオタクだったので、その物語を普及するべく、本を作ってしまった。原本は何故かどうやっても解体出来なかったので、自分が持っているオタクとしての人脈をフル活用して東奔西走し、当時の有名な絵師さん達にも頭を下げて、一言一句違わず写本した。

その結果、出来た。出来てしまった。

 

人類最後のマスターの、7つの時代と7つの異聞の旅を記したお話が、この世界で「人理の防人たる少女が、人理が滅びかけた世界で、人理を取り戻す旅をする物語」として完成してしまった。

ここまで来ると、立役者のオタクの、その常軌を逸した行動力に脱帽である。

 

満を持して出版されたその物語は、もともとの作者たちの手腕を遺憾なく発揮して、全世界で読まれ、愛されていった。特に、オタクたちにブッ刺さった。

 

その物語は、いろんなところで、いろんな立場の人たちに読まれて、考察されていった。歴史学や民俗学、さらには神話の研究者たちにも読まれていった。

何故かというと、この物語、登場人物の経歴や舞台となっている場所の特徴が、世界各地の神話の登場人物や舞台の場所とやけに似ているのである。学者達は、あまり期待はせずとも、何か革命的な新発見があるのではないかと、片手間ではあるが少しずつ研究をしていた。

現在における、最終的なこの物語の評価は「出処不明な神話」となった。

 

「神話」と、なってしまった。

 

 

 

ところで、少し別の話になるが。

 

ここの世の裏には、紡がれた神話に背いて自由気ままに流離い、その先々で人々に災いをもたらす「まつろわぬ神」と呼ばれる存在と、自身の持つ技能とバカみたいなド根性、アホみたいな幸運の連続でそれを見事殺害して権能を簒奪した「神殺し」と呼ばれる者たちがいる。

 

「まつろわぬ神」は、その性から意識無意識を問わず、行く先々の人々に災禍を振り撒く。

また「神殺し」は「まつろわぬ神」の討伐さえしてくれれば何をしても良いというほぼ無法状態を利用して好き勝手に動き、場合によってはこれまた行く先々の人々に災禍を振り撒く。

そして「まつろわぬ神」と「神殺し」が出会えばほとんどの場合、即戦闘開始。双方共に神話級の力を持っているため、この戦闘の度に舞台となる場所は文字通り地形が変わる。

一般人からしてみれば厄災以外の何物でもない。

ついでに言うと、双方共に神秘の秘匿だのといった縛りは一切ないので、当人たちの倫理感以外には誰にも憚ることなく、暴れる時は本当にどうしようもなく暴れる。

 

現存する「神殺し」は7名。欧州に3人、北米に1人、北アフリカに1人、東アジアに2人(ということになっている)。対して「まつろわぬ神」は文字通り神出鬼没。何処から出てくるかは分からない。しかも最近は「最後の王」とかいう色々な意味でヤバいのが出てきそうになっている始末。

 

Q.さて、この状況。最近神話に格上げされてしまった「人理の防人」さん的には、どうなのだろうか?

A.うーん、ウチほどじゃ無いけど、わりとヤバそう?

 

ここまで来ればもうお分かりだろう。

そうして、彼女は顕現した。

 

「…ここは、どこだろ?」

 

…顕現、してしまったのだ。

 




筆者はカンピオーネは書籍で最後まで読み切っていますが、大分前なので幾らか忘れてる気がする。
FGOはペーパームーンまで履修済み。(2024/08/15時点:イドまで履修済み、アクアマリーが倒せねぇ…)
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