FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話 作:星の王子さま
本編1つと幕間1つです。
19話です。
では、どうぞ。
…すげーだろ?ここまでこんなに話重ねておいて、現地時間5日くらいしか進んで無いんだぜ?(白目)
とりあえず、南極から離れようということで、合流した「
途中で、大波を立てながら泳いでいた「桜の一
また、ベトナムが近くなった時に、せっかくだからと「王にして雨
遠くには、どうやら「神殺し」と思しき青年が少女達に囲まれている様子が見える。
それを見て、第二人格の頭の中の自分が「美少女たちに囲まれてハーレムかよ羨まけしからん」とか言っている。
青年の顔を覚えつつ、今の自分にとっては天敵になるので、出来るだけ近付かないでおこうと思いながら、彼らを見ていると。
「…おや。まぁ…ふふ」
と、同じ方向を見ていたらしい「九尾
「ん?どうしたの?」
「あぁ、いいえ、特に何かあった訳ではありませんよ。ただ、あの娘、見込みがありそうだなぁと」
「見込み?」
娘ということは、周りの女の子たちのうちの誰かなんだろうけど。
よくよく見てみると、巫女っぽい装束の女の子を中心に、何かわちゃわちゃしている様子。
差し支えなければ聞いてみたいと、「少女」は少し話を追ってみるが、そんなことよりも大事な話がある、と「術兵の彼女」は話題をパパッと変えてしまった。
「それよりも、ご主人さま。わたくし、此処にいる皆様を代表して、ご主人さまに提案したい事があるので御座いますが…」
「うん。なに?」
「ご主人さまは、諸々の事情で人類最後の何とやらとして奮闘しておりましたが、元々はごく普通の一般人。我々盟友一堂、事が終わりましたら、ご主人さまには穏やかな日常を過ごして欲しいと、常々思っておりました」
唐突に、人理を取り戻した後のアフターライフについて語り出した「術兵の彼女」に、若干面食らいながら話を聞いていく「少女」。
盟友のみんなは、頑張らなければならないタイミングでは、とてもスパルタで、時には鬼畜と思えるような事まで「やれ」と迫ってきたし、時々盛大にやらかして、大変面倒な、重大な事態に発展させてしまったり等といった事もあったが。
何も無い普段は、みんな面倒見が良くて、話し相手になってくれたり、盟友たちが開催しているお茶会に有り難くも誘ってくれたりしたのだ。
みんな、そんな風に思ってくれてたんだと、盟友たちの気持ちを嬉しく思いながら、全てが終わった後に想いを馳せる。
「…そう、だね。全部終わったら…」
「まぁ、ご主人さまの神話の旅は最後まで完結しておりませんので、誠に残念ながら『事が終わる』ことは無いのですが」
「うぐっ…」
唐突に刺してくるじゃん、とちょっとばかり呻く少女。
そう。残念ながら少女の旅は完結しないまま、神話の話が途切れてしまっているので、少女の旅が終わることは無いのである。
終わりが無いと決まっている、というのは、なかなかに辛いものだ。
なんだ、からかいに来たのか、ちょっとした苦言なのか、それとも別に言いたいことでもあるのかと、ちょっとばかり胡乱げな気持ちを目線で表現すると、「術兵の彼女」は少し焦ったように続きを話し始める。
「と、ところでですね!?ご主人さまの神話での人類史とは異なり、わたくしたちが『まつろわぬ神』として顕現した此処では、人理の焼却も漂白も起きておりません!」
「…もう、何が言いたいの?」
「まぁ、つまりはですね…」
そうして、彼女にしては珍しい、ちょっと悪戯っぽい表情をしながら、「術兵の彼女」はこのように宣った。
「事が終わったというには、いささか外れてはおりますが。穏やかな日常を、過ごしてみませんか?」
「術兵の彼女」の話を詳しく聞くと、ここから少し離れたところに、特に何も無い森林が広がっている土地があり、そこに私たちの仮の拠点を構える事について「正史編纂委員会」というお役所さんと、交渉をしていたという。
昨日、その交渉が終了して、簡易的なログハウスのような物を建設してくれるとのこと。
「術兵の彼女」としては、後々の本格的な拠点にする為に、大規模マンションと周辺の土地丸々全てを貰いたいところだったのだが、流石にそこまでの物は用意出来ないと、決死の覚悟を決めたような表情で言われてしまった。
「あんな表情されながら言われてしまったら、引き下がるしか無いじゃないですか…全くもう」とは「術兵の彼女」の言である。
拠点の構築にあたって、地主さんや建設業者の人たちとの折衝は、どうやら「正史編纂委員会」の方でどうにかする、とのこと。
また、私たちと正史編纂委員会との連絡役として、エージェント数名と、見習いだが媛巫女と呼ばれる地位の人を何人か側につける事も提案されたそうだ。
「十中八九監視も込みでしょうが、まぁいいでしょう。使える物はなんでも使いましょう」とは、これまた「術兵の彼女」の言である。
また、ちょっと近場というには離れている距離ではあるが、大学もあるらしい。
少女の年齢は、一応逸話上は既に成人を超しているので、高等学校以下に編入というのは少々気恥ずかしく、入れさせて貰えるなら大学とかが良いかなぁと。
戸籍なども、とりあえずどうにかするとのことなので、高等学校卒業レベルの学力がある事が証明出来る試験を合格出来れば、なんとかなる公算が高いらしい。
なので、今年の4月から、一般大学生としての生活を暫く謳歌するのも良いかもしれない。
人間社会においては、間違いなく「異物」になってしまう今の自分だが、それでも、全てが終わったらと望んでいた、人間としての穏やかな生活が、たとえ仮初でも出来るなら、有り難くその提案に乗ろう。
「少女」は、今後の生活の思わぬ展開に、期待を膨らませていった。
何処とも知れない場所にて、イギリスのコーンウォールを本拠地とする、当代の「神殺し」7人のうちの1人、アレクサンドル・ガスコインは、現在混乱の真っ只中にいた。
「…いったい、何が起こっている?」
「神殺し」という存在は、一般的には「戦士」である。
天災である「まつろわぬ神」に対峙し、勇猛果敢に戦い抗う者たちである。
そして、対「まつろわぬ神」戦においては、その場のノリや行き当たりばったり的な感じで権能を選び使用して戦う事が多い。
しかし、アレクサンドル・ガスコインの性格は、その一般的な範囲から少々外れている物だった。
神経質で真面目、ついでに完璧主義。そして、戦士だけでなく冒険家としての気性も持つ。
綿密な計画を以て盤面を整え、将棋やチェスのように相手を追い詰めていく様な戦い方。
「神殺し」が持つ精神性としては、割と異端な方だった。
そして、彼が持つ権能の1つが、長距離移動と相性が良いのも相まって、彼はよくフィールドワークと称して世界各地に足を運んでいた。
また、それに付随する要素として、世界各地に自身が総帥を務める魔術結社の、協力者となる者たちが配置されていた。
ある日、いつもの様にフィールドワークをしていると、本拠地の方から連絡が来た。
また、いつもの「いい加減帰ってこい」コールだろうと、若干うんざりしながら、応答しようと携帯電話の通話に出た彼は、報告されたその内容に対し、自身の耳を疑った。
世界各地での「まつろわぬ神」の同時顕現。
それも、現在確認された時点で、3桁単位のレベル。
あんまりにもあんまりな報告だったので、最初はイタズラか、何かの聞き間違いだと思って相手にしなかったのだが。
電話の中で、あまりにもしつこく「本当の事だ」と言われ続けて、電話口で自分の側近である副総帥からも「事実だ」と言われてしまったら、流石に確認しない訳にはいかなかった。
そして、とりあえず本拠地に戻って詳細を確認しようと、欧州大陸を神速の権能で駆け抜け始めた途端。
そこかしこから感じられる「まつろわぬ神」の神気。
あんまりにもあんまりな事態に、なんだこれは…なんなんだこれは…と、普段の自分では思いもしない様な口調でつい愚痴ってしまうほどだった。
こんなの、いちいち相手にしていられないし、してはいけない。
ヴォバン侯爵が、同時顕現した「まつろわぬ神」の1柱と思われる者と戦闘しているのを尻目に、真っ先に拠点に戻らなければと、一直線に駆け抜けた。
そうして、本拠地に戻って、連絡の詳細を確認して、今回の同時顕現の発生について調べなければと、再びフィールドワークに出て、数日経ったのが現在である。
「まつろわぬ神々」の全世界同時多発顕現から、今大凡50時間程が経過している。
ここまでの時点で、頭の痛くなる様な報告が、全国各地の協力者たちから寄せられていた。
曰く…
「ギリシャに、突如として、巨大な青銅巨人が現れた」
「ロンドンの近郊に突如として、巨大な掌型のクレーターが見つかった」
「ロシアで、巨大な象が闊歩している。進路はヨーロッパ方面」
「イギリスのとある港町に、まつろわぬ神々が次々と集まってきている」
「中国で、羅濠教主が、複数のまつろわぬ神を同時に相手取り敗退。かなりの重傷を負ったと思われる」
「中東地域で、四足歩行の超巨大な蒼い獣が駆けている」
「南太平洋に、突如として、動く島が浮上している」
「中米で、突如として、翠の巨人が現れた。現れただけで、周辺に被害らしい被害は無し」
「イランで、まつろわぬ女神と思しき存在が、周辺の魔術結社を従えて、何やら建設し始めている」
「ギリシャで、件の『まつろわぬ神々』のうちの1柱と、サルバトーレ卿が激突」
「日本で、50柱を超える『まつろわぬ神』が結集中」
……
分からない。
欧州全域に、中東に、中米に、中国に、日本。さらには南太平洋。
何1つとして共通点が浮かばない。
大海原を跨いでいる時点で、語族系も、神話の伝達も共通点にはならない。
南太平洋に顕現している時点で、神話を元にしているのか。それさえも、怪しいと思えてしまう。
これだけの「まつろわぬ神々」の顕現が、何の理由も無しに、無秩序に、しかも同時に発生する筈が無いのに。
何1つとして糸口が掴めない。
「いったい、何が起こっている…?」
それしか、言う事が出来ない。
分からなくて、当然だ。
まさか南極で、「まつろわぬ神」が1柱顕現した、など。
その1柱は、魔術の社会において、殆ど重視されていない「出所不明の神話」が元になっている事など。
同時顕現テロは、その1柱の、権能1つで発生した、など。
アレクサンドルが、魔術の社会に、多少なりとも関わってしまったからこそ。
見抜ける訳が、気付ける訳が、無いのだ。
この時点で、ボチボチ真相を掴み始めているのは、日本の正史編纂委員会と賢人議会顧問のアリスのみ。もしかしたら、アンドレア卿も、情報を得ている、かも。
アレクは正史編纂委員会との接点を持たず、また、アレクと接点のあるアリスは現在、イギリスに結集中の盟友たちへの対応と、「人理の防人の神話」を読むのにどハマり中で、反応出来ないし、してくれません。
さーて…
伏線というか、色々と撒きまくったけど、自分は、回収し切れるかしら…?