FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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説明回と伏線張りみたいな話になります。
淡白な話になっちゃうけど許して…

第22話です。
では、どうぞ。


22. メソポタミアの盟友たち(3)

「さて、今の御身の姿と、我の横に居るヤツについて、そろそろ説明して欲しいのだが?」

「…はっ、そうだった」

 

中東地域、イランの某所にて。

「人理の防人の神話」の盟友「創世の大地(ティ)母神()たる()分者()の彼女」が蒼色の美しい人面竜と成って、何処かに向かって、のっしのっしと歩みを進めていた。

現在、彼女の上に乗せてもらっている「英雄の()王に()して()原典()たる()術兵の(シュ)彼」は、自分の横に居るコイツ(新人類擬き)について気になってしょうがないのもあり、そろそろ彼女の現在の状態について、いい加減説明が欲しかった。

 

「えっと、神話の作中、わたし、2種類の出番、あった」

 

反応的に、此奴忘れておったな、と。

若干呆れながら、傾聴の姿勢に入る。

 

「1つは、獣として」

 

「獣」としての「分者の彼女(ティアマト)」。

一部7章にて、当時最高レベルの難敵として、「少女」の前に立ちはだかった時の彼女。

 

「人理の防人の神話」内における、数ある神話の1つにおいて、彼女は、創世の神の1人として、数々の神々を産み出し、彼ら彼女らを子どもとして愛し、神々の母としての役割を全うしていた。

しかし、彼女が産み出した神々は、世界の支配権を獲得する為に、彼女の夫であった神に、次いで彼女自身に反旗を翻した。

彼女は嘆き、狂い、新しい子供として十一の魔獣を産み出し、神々と対決した。

結果としては、彼女は敗れた。そして、勝利した神々は彼女の死体を二つに裂き、天と地を造り、これを人界創世の儀式とした。

 

彼女の死体は、生命を産み出す土壌であった。

ランダムに生命をデザインして、世に送り出す、母なる海であった。

彼女は、死してもなお、母であった。

 

そして、環境が落ち着いてからは、それ以上の生命のデザインは不要なモノであるとして、生命の居ない世界に追放された。

母としての役割を、不要であると断じられた。

創世の母は、母としての役割を、否定された。

 

現在の生命からは、もう、母としては求められない。

ならば、自分を母として求めてくれる新たな生命を、作ってしまおう。

本能的にそう考えてしまった彼女は、以降、生命の母として返り咲く機会を、虎視眈々と狙い続けた。

 

そうして機会を待ち続け、ついにそれを得てしまった為に。

そして、その行き過ぎた「母」としての本性故に。

彼女は、人類が打倒すべき「第二の獣」とされた。

 

「もう1つ、盟友として」

 

一部7章にて「第二の獣」としての彼女が、人理の防人の「少女」によって、見事打倒され、「獣」から零落した後。

自分を倒し、先に進んだ人類が、同じ「海から来る災厄」によって滅ぼされようとしている事態に我慢できず、幼体としてダウンサイジングして顕現したのが、盟友としての「分者の彼女(ティアマト)」である。

 

「第二の獣」としての彼女とは地続きの存在で、人類に負けた屈辱と痛みはしっかり覚えている為に、いつも不機嫌そうに見えるが、それはそれとして、母として、人類はやっぱり自分の子どもだから愛するし護りたい、というスタンス。

本人曰く「おまえたちが滅びると、わたしの負けが無意味になる。よって力を貸してやる」ということらしい。

 

「…なるほど。つまり」

「そう、わたし、今、神話内での兵種とは別に、まつろわぬ神として、側面、2種類ある」

 

今回の顕現にあたっては、彼女は「獣」と「盟友」の、2つの側面を持った神として、顕現する事になった。

草薙護堂の、かつての宿敵であった女神アテナが「メティス」と「メデューサ」の側面を持った、三位一体の女神として顕現していた事例と、ほぼ同じ様な感覚である。

端的に言えば、「獣の『分者の彼女(ティアマト)』」と「盟友の『分者の彼女(ティアマト)』」の2つの側面を持った、複合神性。

それが現在の彼女であった。

 

「…あの愛の神を名乗るポンコツ共と、同じような状態であると。そういう認識で良いか?」

「んー、側面の割合、自分の意志で、変動可能。それだけ違う」

 

思い浮かべるのは、宇宙規模の炎に焼かれて尚、灰が残った逸話を持つ、依代の関係でTSした愛の神にして「第三の獣」の片割れ。

あれも確か、愛の神としての側面と、魔王としての側面の割合が云々という話があった筈。

…この地母神の様相を見る限り、あの愛の神も「獣」としての相を持ち込んでいそうだ。

 

「今は、この姿だから、獣と盟友の割合、6対4くらい」

「…獣側に振り切れたら、どうなる」

 

あの「少女」の盟友には、「分者の彼女(ティアマト)」と同様に、かつて「獣」として少女の前に立ち塞がり、倒されたり絆されたりして、その後に味方として馳せ参じた経歴を持つ者が何人かいる。

彼ら彼女らが、再び「獣」として返り咲こうとするならば、それは此方の人類にとって、途轍もない脅威となる。

もとより「まつろわぬ神」とは、神話の枠から外れようとしたモノ。神話の中で打ち倒された「獣」としては、少女へのリベンジや、今度こそ悲願の成就を、等を理由に再び暴れ出しそうなものだ。

…その時は、また「少女」が討伐に動くだろう事は、簡単に予想出来るが。

 

「完全には、振り切れない。最大でも99対1。盟友としての私、一欠片でも必ず残る。あの子の盟友として連鎖顕現したから、今の私、そういう状態」

「…ふむ。獣に返り咲く気は無い、と」

「無い。私は、既に、獣として、あの子に負けてる。見守ると、決めた。だから良い」

「そうか…であれば、直近は問題無かろう」

 

まぁ、今の「分者の彼女(ティアマト)」にそんなつもりは無さそうだが。

 

ただし、誠に残念ながら…

最後に、特大の爆弾が、落とされた。

 

「…いや、待て。『盟友として』と言ったな?」

「うん?」

「…『獣として』の御身が顕現する可能性は、あるのだな?」

「…それは、否定出来ない。可能性は、ある。」

「そうか…」

 

─────

 

考える事が多すぎる、と。

術兵の彼(ギルガメッシュ)」が、頭の中で愚痴りつつ、「分者の彼女(ティアマト)」の背に揺られる事しばらく。

彼は唐突に「分者の彼女(ティアマト)」から告げられた。

 

「そうだ、言っとく」

「…なんだ」

「貴方に会う前、盟友『天の鎖』と『冥界の女主人』、会ってる」

「…ほう」

 

術兵の彼(ギルガメッシュ)」にとって、「冥界の女主人」の方はぶっちゃけどうでも良いが、生前からの友である「天の鎖」については気になっていたところではあるので、その情報は少し嬉しいものだった。

此方から積極的に会いに行く程では無いが、折を見て様子を伺いに行っても良いかもしれない。

 

「で、みんな合流する方がいい、から、この世界の、地図が欲しくて、行かせた」

「…何処に行かせたのだ」

「その辺は、任せた。だから、何処行ったかは、知らない」

 

知らないって、おい…合流するのが最優先じゃ無かったのか貴様、と心の内で愚痴りつつ、話を聞いていく。

まぁ、彼女なら、そこら辺の対策くらいはしっかりしているだろう、という安心感も無いではない。

こんな有様ではあるが、この地母神様は、数多いる盟友たちの中では、割と話を確りと聞いてくれる、常識人寄りの立ち位置なのだ。

 

「再合流の手筈はどうしている」

「この子と同じのの欠片を、持たせた。この大地に足をつけている限り、私なら、場所、分かる。この大地は、私の身体。自分の身体は、自分がよく分かってるから」

「ふん…なら良い」

 

そう言って、再び考え事に耽り始める彼。

分者の彼女(ティアマト)」は、特に気にすることもなく、のっしのっしと歩みを進める。

そうして、また、暫くの後。

再び煮詰まった、といったところなのか、「術兵の彼(ギルガメッシュ)」がため息をつく。

 

「で、貴方の考え事、結論、出そう?」

「…手詰まりだな」

 

彼のその様子を見て「術兵の彼(ギルガメッシュ)」が不動で思考していた事案について「分者の彼女(ティアマト)」が声を掛ける。

彼としては、彼女の背中で揺られている現在も、思考は続けており、そして、別に隠す様な事案でも無い。

むしろ、隠すことのほうが拙いかもしれない、と考えてもいる。

 

「現状の維持による先延ばしは、まぁ、可能ではあるが、匙加減がかなり難しい。ほぼ確実に、何処かしらで失敗するだろう。故に、根本の解決を考えては居るのだが…彼奴と我々、そしてその周囲の現在の状況を考えるに…」

「そう…」

 

最後の方は不確定故に少々ぼかしたが、それでもあまり宜しくない状況というのは伝わった様子。

 

「全くもって遺憾だな。凡人ながら、あれだけ心身を張って闘い抜いたというのに、愛されようとも、恐れられようとも、辿る結末がほぼ変わらんとは…」

 

彼女が、自身の限界を超えて奮闘していた事は、あの組織にいた盟友たちは、一人の例外も無く身に染みて、知っている。

 

「…それでも、考えてくれてたんだ」

「彼奴の旅の軌跡は、我が彼奴の為に、それだけの労力を掛けるに、相応しい物であったからな…」

 

そう言って、彼女の為に、再び思考を巡らせ始める彼だった。




話の締め方は何通りか考えてはいるけど…上手く着地させられるかどうか…

メソポタミア回はここまで。
ここまでを一章として、次回は時間を少々飛ばします。

あとストックなくなりました。
また暫く書き貯め期間に入ります。
色々と忙しくなるので、今度の再開は未定になります。
気長に待っていただけると幸い…
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