FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話 作:星の王子さま
大変遅くなりましたが、ぼちぼち仕上がったので出します。
あと、何度も読み返してて、個人的に読みづらいと感じた1〜13話、15話を丸ごと差し替えました。何かの通知が大変なことになってしまった方はごめんなさい。
次の話もぼちぼち製作中です。
23話です。
では、どうぞ。
正月シーズンくらいの時に、九十九里浜に集合して、その近くに生活の場を借りて、我らが主人と一緒に生活を始めてから、そろそろ半月ほどになる。
拠点になる場所は、正史編纂委員会と建設関係の皆さまのお陰で、かなり様になってきており、特にあの子の住居に関しては真っ先に整えてくれた事もあり、衣食住がしっかり満たされる程になっている。
戸籍等の関係も順調に進行中な様子で、特に何事も無ければ、このまま4月から、本当に大学生として生活出来そうとの事。
物理的・魔術的な防衛機構の構築も、我々の手で着々と進んでおり、一昨日に進捗を見に来た薫さんが、現時点で完成している分を見ただけでも、凄くドン引きしていた。
曰く、恐ろしいものを見る様な目で観察しつつ「これはもう、要塞化された神殿とか神域とか、そういうレベルですね…」との事。
人間の枠に収まっている者が侵入する事は、完全に不可能なレベルになっているらしい。
まぁ、どちらかというと「魔」より「呪」に寄った権能を持っている(玉藻の前)が、主導で進めている事案なのだ。
人間視点では、それはもう、エゲツないものになっているのだろう。
まぁ、まだ未完成なんだけど。
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我々の主人であるあの子も、此処での生活には大分馴染んできている様子で、大学の入学試験の勉強をコツコツと進めつつ、時折散歩と称して周辺を徘徊している様だ。
勉強自体も、特に問題無く熟せている様子。
まぁ、彼方に居た時は英語・数学・国語・理科においては、教師役として、とても優れた面子が揃っていたし、社会(特に歴史)に関してはもう、言わずもがなであったから、当然と言えば当然ではある。
此方の日本での高等学校修了程度の内容ならば、特に躓く様な事は無いだろう。
また、我らが主人の「ただ此処で生活するだけでは、正史編纂委員会さんの脛齧りになってしまう…それは嫌だ!」という主張を汲んで、正史編纂委員会から「まつろわぬ神」関連の依頼を受けることにした。
依頼を受け始めてから、今までに具体的に受けた案件は一件のみで、内容はちょっとした神獣の討伐であった。
これに関しては、特に語る様な事はない。
神獣一匹に対して、我々側は6柱の「まつろわぬ神」で対処したのだ。
当然ながら、リンチである。
…強いて言うならば、最終的な被害状況が、想定していた範囲より大きかった程度だろうか。
その点については、現状唯一の反省点なので、今後は改善出来るようにしていきたい。
あと、「『人理を取り戻す使命』という精神的な圧迫」が無くなって、少し余裕が出来たからだろうか、時々、無防備にボーッとしていたり、何やら考え事に耽っている様子も見受けられた。
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我々の拠点に派遣されている、正史編纂委員会のエージェントさんや、見習いの媛巫女さんとの交流も順調に進んでいる。
最初の顔合わせの時は、当然と言えば当然だが、それはもう酷かった。
派遣された彼ら彼女らは、あくまでも人間である。
そして、彼ら彼女らにとって「まつろわぬ神」というのは、1柱でも厄災に等しきモノ。
コミュニケーションを取る事に成功していると分かってはいても、それが目の前に60柱以上もいるのだから、それはもう見ていて可哀想になるくらいガクガク震えていた。
…あの正月のデスマーチの際に、最前線に立てる実力がまだ無いと判断されたエージェントさん達や、まだ見習いの媛巫女さん達だったから、というのもあるだろう。
そんな、産まれたての子鹿よりもプルプル震えて畏怖していた彼ら彼女らに対して、我らが主人は持ち前の化け物コミュ力で以て対応した。
1週間。
それが、彼ら彼女らの、我々への心象が、畏怖から目上の親しい者に対するソレに変化するまでに掛かった時間であった。
彼ら彼女らは、我々を「まつろわぬ神」として畏敬の念を持ちつつも、確りと我々の地雷を理解した上で、冗談や世間話、時には諫言まで出来る程に、馴染んでしまった。
今では、我々が、エージェントさん達や媛巫女さん達にとって、役に立ちそうな技術の教授や、能力を高めるような指導等をするまでになっている。
おかげさまと言って良いのか、彼ら彼女らの能力は、現在急上昇中である。
このまま順調に行けば、そのうち、人の域から半ば逸脱しかねない程には。
魔術関係者にとって、骨の髄まで染み付いているであろう「まつろわぬ神」に対する畏怖を、たったの1週間でこうも容易く崩壊せしめるとは。
我らが主人ながら、全くもって意味不明なコミュ力である。
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現地の「神殺し」である草薙護堂氏との交流も、ぎこちないながらも、少しずつ進んでいる。
お付きの少女達共々、遠路遥々と九十九里まで来てくれているので、一般的には不倶戴天の仇敵とはいえ、相応におもてなしするべきというのが、現地にいる我々の総意となった。
我々の拠点に進入するにあたり、幾つかのセーフティを掛ける事を承知して貰った上で、我らが主人との交流も始めている。
現在、彼らとは3回ほど交流を重ねている。
最初の交流は、お互いに緊張していたのか、少々ギクシャクしていたところがあり、そのまま解散となってしまったが、2回目の交流では蟠りが少し溶けたようで、3回目の交流では、巨大ロボット物のアニメについて熱く談議を交わしていた。
3回目の交流を終えた草薙護堂氏は、まさか「まつろわぬ神」と現代ロボット物のアニメについて語り合うことが出来るなんて、想像もしていなかったと、少々恥ずかしそうにしていた。
ちなみに、3回目の交流の時に聞いてみたのだが、彼とお付きの少女4人は、時間の合間を縫って、我々の神話を読破してくれたらしい。
此方としても、我々のことを知ってくれるのは、気恥ずかしいながらも嬉しい事であった。
…気になる点としては。
毎回の交流の終了間際の度に、何か言いたそうに我らが主人を見つめる、万里谷祐理さんの様子くらいか。
来る度に、言いたいけど言い出せない、みたいな雰囲気が強くなっているのだ。
結局何も言わずに帰ってしまうのだが。
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日本以外の各地に散って顕現していた盟友たちに関しては、複数箇所にて集合に成功し、その内の一部は、此処に向かう準備をしたり、既に向かっていたりする段階だ。
此方と1番早く連絡がついたのが、イギリスに集合している面子で、「第六異聞の女王に
現在は、近辺の盟友の回収を終えて、大西洋・太平洋を横断するルートで此方に向かっているとの事。
現地で接触した魔術関係者が中々偉い立場の人だったらしく、我々の情報を対価にしたが、此方についての情報収集が捗ったと、ホクホク顔をしていた。
あと、面子回収の為に飛び回っていたツヨツヨドラゴンは、最後の方は体力・魔力共にガス欠になってシナシナドラゴンになっていた。
彼女曰く、ただ飛び回るだけなら簡単だったが、目的地に着いた後に「近辺に居る筈の盟友を探す事」の方が大変だった、との事。
なまじ、現代慣れしてるせいで、みんな「まつろわぬ神」としての気配を直ぐに隠すから、常識人ほど余計に見つからない、と愚痴っていたという。
次に連絡を寄越してくれたのが、意外な事にメソポタミアの方からで、連絡主は「英
中東・ペルシャ・北アフリカ勢も合流に成功したようで、現在は一塊になっているとの事。
正直なところ、あそこは我の強い連中が多すぎて、纏まるのに相当時間がかかると思われたが。
なんとも有り難い事に、近場に「聖人」と呼ばれる分類に入る盟友が2人ほど顕現してくれており、彼ら彼女らの鉄拳制裁と、比較的常識人寄りな面子を主なストッパーとして、我の強い連中を強引に纏め上げているらしい。
…連絡を取り合っていた時に、向こうの通信から何やら轟音や破砕音っぽい音が聞こえていたのは、つまりはそういう事なのだろう。
連絡を寄越してくれた彼曰く、我達は「女帝にし
道中で、インドと中国に顕現していると思われる面子も拾っていくと言っていた。
ギリシャの方からは「王国の王女にし
話を聞くと、どうやら、顕現してから割と直ぐに、現地の「神殺し」に絡まれていた様子。
盟友たちを集めている間はどうにかなっていたのだが、面子が揃って、此方に向かって移動しようという段階で、相手にしていた現地の「神殺し」さまが拗ねてしまい、面倒な事になっているらしい。
このままだと、自分たちを追って日本まで遠路遥々突貫しかねないので、一度此方で徹底的に叩いておく、との事で、もう少し出発には時間がかかると言っていた。
それ以外の面子からは、特に連絡を受けてはいないが、何処で誰がやらかしたという話は聞いていない。
なので、まぁ、みんな上手くやっているのだろう。
という訳で。
現状の評価としては、総じて少々手間取ってはいるが、諸々順調に進行中である。
今回の話の視点は、特に誰と決めてはいません。
強いて言うなら、日本の盟友たち全体の視点、といったところですかね。