FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話   作:星の王子さま

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(2024/08/15)個人的に読みづらいと感じたので、差し替えました。書き方を変えただけなので、話の流れは変わっていません。

第4話です。どうぞ。


4. 少女の心

 

自身が普通の人間であると思っていた為に、食糧問題の解決策について考えようとしていた少女は、紆余曲折の末、右手の甲の刻印を励起させた結果、自身が「まつろわぬ神」であることを自覚した。

 

「流石にこんなのは、想定してなかったなぁ…」

 

各地の神話の内容によっては、何らかの偉業を為した人の英雄が、現地の神性に認められて、星座になったり神さまとして格上げされたりするパターンがあるのは知っていたが、まさか自分がそんな事になるとは…と、体育座りで暫く呆然としている少女。彼女の中では、自身が只人であるということが、良くも悪くも、ある種の心の支柱の1つになっていたようである。

 

傍から見れば、目先にあるペンギンさんのコロニーを、体育座りでボーッと眺めている「まつろわぬ神」…威厳もへったくれもない、実にシュールな光景である。あまりにも「まつろわぬ神」らしくない彼女のそんな姿を見たら、かの侯爵や教主もワンチャン何があったのかと心配するかもしれない(いや、無いか)。

 

とはいえ、流石にここでずっとペンギンさん達を見続けている訳にもいかない。自身の権能を把握した時に、右手の刻印の励起時に、世界各地で盟友達が顕現することは把握している。ついさっきやらかしてしまったので、多分みんな出てきている筈だ。迅速に回収していかないと、人によっては途轍もない迷惑をかけてしまう事が想定される。

 

「…いくかぁ」

 

と、少し重くなっていた腰を上げて、再び歩き始める少女。自身が食糧や一般的な病気などとは縁遠い存在だと分かったので、とりあえず一直線に歩き続けて、何処かの海岸まで出ようと、大まかに方針を固めて、少女は目の前のペンギンさんのコロニーにさよならをして、また動き出した。

 

唐突に発生した強烈な捕食者の気配に慄いていたペンギンさん達は、少しずつ遠ざかっていくその気配に、未だ混乱しながらも、とりあえず目先の脅威は無くなったと安堵した。

 

─────

 

歩きながら、少女は想う。

随分と、遠いところまで来てしまったなぁ、と。

わたしは、ただ生きる為に必死だっただけ。他にも色々と考えていたことはあったけれど、人理を取り戻す戦いの中にあった、わたしの原動力は、やはり生き残り、取り戻すことだった。

 

この世界ではどうだろう、と少女は想う。

わたしは、あくまでも神話という物語の中の存在。この世界には、わたしがいた場所は勿論、わたしのベースとなる彼女が所属していたあの組織は無い。

わたしの居場所は、あるのだろうか。

わたしは、居ても良いのだろうか。

 

少女は、その存在自体は「まつろわぬ神」であれども、彼女自身の逸話の特異性から、その精神性は只人のままであった。

ただ生きる為に、数多の時代を駆け抜けてきた少女は、ただ生きるだけならばおおよそ不自由の無い「まつろわぬ神」として顕現してしまった結果、その原動力を失いかけていた。

今の彼女は、まるで、全力で漕いだ後の慣性だけで走り続ける自転車のよう。時間が経てば経つほど、不安定になり、やがて止まり、倒れる。

 

「…わたし、は…」

 

そう呟いて、少女は足を止めた。

 

─────

 

少女の中で第二人格として存在している彼女は、メインの人格になっている少女の精神が、いきなりネガティブな方向にすっ飛び始めたのを感じて、少し探りを入れてみた。

結果、彼女が思ったのは

 

(随分と、しょーもないことで悩んでるなぁ)

 

というものだった。

 

(人間の生きる意味なんて、生きてるうちに決まるものでも無いのに)

 

少女のベースとなった者である第二人格たる彼女も、ほぼ同じような経験を経ているが、彼女としては、あまり思うところは無いようだった。

 

(まぁでも、わたしは彼女自身じゃないからなぁ。色々と細かく違うのかな)

 

とはいえ、このままだと最悪の場合、自暴自棄とか●殺とかの方向に突っ走ってしまいそうなので、彼女は、そろそろちょっかいかけるかぁ、と、その意識を浮上させていった。

 

───なに、どったの、そんな暗い顔して。

 

───…うん。…うん。…それで?…そう。

 

───…はぁ(ため息)。随分とまぁ、しょーもない。

 

───言いたいことは分かるけどさぁ、そんなの考え始めたらキリがないよ?

 

───我想う、故に我ありで良いじゃん。なんで自分がいる事にいちいち他人の許可なんて貰わんといかんのさ。

 

───別に意味なんて無くて良いんだよ。一般ピーポーの存在に理由なんて求めなくて良いんだよ。

 

───そうそう。顕現しちゃったのはしょーがない!自分でコントロール出来ることでも無いんだしさー。

 

───だから、今を全力で楽しもーぜ!せっかくここにいるんだから。

 

───それにさ、久しぶりに見れるかもしれないよ?特異点の中とかじゃない、本物の現代人達の営み。

 

───そう。だからさ、わたしたちはそれを見ながら、旅でもして、ふつーに生きていけば良いの!わたしたちは一般人!え?神さまに格上げされた?そうだったね。

 

───そう!わたしたちは「一般通過まつろわぬ神」だからね!え?語呂悪い?知らなーい。

 

───…うん。もう大丈夫?大丈夫ね。ならヨシ!

 

───さぁ、ここで止まってたら時間が勿体無いよ!進もう!

 

 

 

なお、ここに少しばかり付け加えるならば。

第二人格たる彼女は、少女と異なる点として、割とお祭り娘的な感じではっちゃけているところがあった。

彼女の自意識も只人のそれであるが、その精神性は、少女のそれとは比較的「まつろわぬ神」のそれに近い状態なのかもしれない。

 

─────

 

顕現した盟友達の中で、南極大陸という海を隔てた向こうにいる少女のために真っ先に行動を開始して突っ走り始めたのは、海の上を長時間移動出来る能力を持った者達、主に長時間の飛行能力を持つ者と、海を主戦場とする船を所持する者達だった。

盟友達の中で、船舶を能力として所持していたのは、以下の5名。

 

最も有名な大海賊。大海賊時代における、海賊と呼ばれる者達の代名詞的存在。

 

海賊紳士。海賊という無法者達をカリスマと規律で見事に纏め上げた、大海賊時代における、最後の大海賊。

 

新大陸の征服者の始祖。過酷な航海を乗り越え、初めて新大陸に足を踏み入れた、後に「●●●●●●●●」と呼ばれる者達の始祖たる人。

 

私掠船艦長にして艦隊司令官。世界一周をその身で初めて成し遂げた者であり、当時栄華を極めていた国の最強艦隊を撃破せしめた「●●●●●●●●」。

 

英雄達の船長。秘宝を求め、数多の英雄達を乗せて大冒険を行った船の船長。

 

…割と無法者しかいないのでは?大丈夫かこれ?

 

彼らは、自身の由来となる土地に顕現し、自身の状態と少女との繋がりを確認し、その繋がりから少女が南極大陸にいることが分かった時、自分たちが真っ先に動かなければならないと判断した。

 

イギリスの田舎の港町に顕現した私掠船艦長にして艦隊司令官たる彼女と、ギリシャのとある海岸の砂浜に顕現した英雄達の船長たる彼の2人は、比較的まともな方だったので、まずは近場に散っている、同じく召喚されたであろう盟友達と合流し、彼らを自身の船に乗せて、南極にいる少女に合流するという指針を即座に立てた。

 

スペインの田舎の港町に顕現した、新大陸の征服者の始祖たる彼は、あまりまともな方では無かったが、今は真面目にやる場面と弁え、商人としての経験なども活用して、まずは情報を集めながら近場の盟友と合流し、その後のことはその時考えようと判断して、イベリア半島に顕現した盟友と合流するところまでの指針を立てた。

 

カリブ海のど真ん中において、最も有名な大海賊たる彼と、海賊紳士たる彼はお互いすぐ近くに顕現した。

本来なら出会い頭で即座に喧嘩し始めるような彼らだが、同じ旅を駆け抜けた盟友かつ、かつて主と仰いだ少女に免じてということで、合流することに成功した彼らは、それを活用して役割分担をする事にした。

比較的現代人と喧嘩しなさそうな海賊紳士たる彼が、アメリカ大陸で顕現した盟友達を集め、喧嘩っ早そうな最も有名な大海賊たる彼が、少女との合流を果たすべく、即座に南極に向かった。

 

…何だかんだありつつも、彼ら彼女らは、ちゃんと少女のことを慕って、彼ら彼女らなりに、少女の為に動こうとしていた。

 

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