FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話 作:星の王子さま
第6話です。どうぞ。
「…っと、女王陛下」
「あぁ、其方であったか」
お互いが、目視は出来ないが徒歩ですぐに会える、といった程度の近場に顕現した「人理の防人の少女」の盟友である2人は、イギリスの首都ロンドン、その郊外で合流に成功した。
1人は「妖精騎士
もう1人は「第六異聞の女王に
女性は少女のかつての主人でもあり、また現在、2人とも主人である少女を溺愛している勢の一角であった。
「マスターはどこに?」
「私に会った後の第一声がそれですか…全く」
少女の方は、出会ってすぐにマスターの居場所の当てを女性に問い掛けた。
目の前にいる女性は、神域の魔術師と呼ばれる程に術の扱いに長けているから、繋がりを辿って、主人である少女の正確な居場所を割り出すくらいは直ぐに出来ると考えていた。あと、この後直ぐに、自身の番である少女のもとにカッ飛んで行くにしても、大まかな目的地くらいは定めておきたかった。
あまりにもせっかちな少女の言動に女性は呆れていたが、女性もまた主人である少女を溺愛している1人なので、自身の主人であり、妻でもある少女の位置を探ること自体は直ぐに始めた。
「繋がりを辿る限りでは、この方角のかなり先か…」
ふむ…と、呟きを漏らしながらも、パパッと何食わぬ顔で術を組み上げて繋がりを辿り始める女性。
ちなみに、この時彼女が組み上げている術は、一般的には10人単位の術師が数日掛けて組み上げる様な代物だった。
そんな術で探った結果は…
「距離も合わせると、地図上では、おそらく南極…?」
「南極に居るんだね!ようし、こんな所で油売っているわけにはいかない!」
ということなので、大まかな目的地は決まった。「槍兵の彼女」は、主人にして番である少女の元へ、さぁ行くぞぉ!と早速飛び上がって、少女の元へ…
「今行くよ!私のマス…ふべっ!?」
「全く、いつものことながら、我が妻の事となると、落ち着きのないドラ娘ですね、貴方は」
…いけなかった。
いきなり頭上に出現した、圧縮された水で構成された10メートルクラスの巨大な掌に、地面に叩き落とされた。その威力は、直下の地面を1メートルほど掌の形に陥没させる程で、叩き付けられた少女は、陥没した地面の上でピクピクと伸びている。
その傍らでは、女性が左の掌をプラプラさせている。まるで何かを掌で叩いた後のような様子だ。
「い、いきなりなにすんだよぅ陛下ぁ!?」
かつての主人の、唐突な凶行に憤慨するドラ娘。頭に瓦礫の一部を引っ付けながら、陥没した地面の縁から身を乗り出して抗議の声を上げる。普段なら十分避けられる筈だったが、番の少女の居場所が分かって気分が高揚していたことと、敵意が全く無い行動だった為に反応が遅れてしまった。
「あと、貴方の妻じゃ無くてわたしのつが「我が妻に貴方1人で合流して何になるというのです。護衛と足にしかならないでしょう」
サラッと伴侶主張を黙殺されたドラ娘。
なんだかんだ、かつて彼女にはお世話になった身なので、これくらいで戦闘行為に奔ることはことは無いが、思うところが無いわけではない。
なので、むぅ、と不満を思いつつ、少し反抗してみる「槍兵の彼女」である。
「それが出来るなら十分だと思うんだけれど?」
「貴方には、もっと重要な役目が振れるという話です。貴方がそれをしっかりこなせば、我が妻も、貴方の活躍をきっと喜ぶでしょう」
サラッと「狂兵の彼女」に自分の伴侶主張をされたことは、まぁ置いといて。
番の少女が、より喜んでくれると思われる、という提案を聞いて、ドラ娘は少し沈黙した後に
「…マスターの為というなら、その話を聞かせてもらおうじゃないか、陛下」
そう言って、提案を聞くのだった。
─────
ロンドン郊外に、正体不明の巨大な掌型のクレーターが発生した少し後。
「第六異聞の女王に
同じ島の中とはいえ、割と離れたところにいた「彼女」だったが、女性にとっては「彼女」を見つける「術」も、そこに高速で移動する「足」もあるのだから、大した苦労ではなかった。
「…というわけで、あのドラ娘を使って、近場に顕現した盟友達を片端から回収して貴方の元に集めるつもりだ」
「そうかい!そりゃ助かるよ!」
彼女…「私
「マスターが海を隔てた向こうに居るって分かってから、大人数で海を渡れる船を持つあたしら船乗りが、真っ先に盟友達の回収に動かなきゃいけないってのは分かってたんだけどね…どうやって集めたもんかと燻ってた所だったんだ」
ちなみに、当のドラ娘は、既に回収に動いているため、この場には居ない。
とりあえずこれくらい、と定めた回収範囲は、イギリス本島にアイルランド。大陸の方は北海に面しているフランスやドイツ、ベネルクス各国。ギリシャの方に顕現した彼らの回収度合いと、こちらに余裕があれば、スイスやチェコ、オーストリア、ポーランド辺りまで範囲を広げていく予定だ。
あまりの仕事量に、サボり癖のあるドラ娘は、若干顔色を青くしていた。
そういえば、と狂兵の女性は騎兵の女性に尋ねる。
「他の船乗り達も貴方と同じ様に動くだろうか」
同じ組織に所属している身ではあったが、かつて女王であった彼女は、その気風故に、目の前の盟友の様な、所謂船乗り達とは親交が薄かった。彼らのプロフィール自体は、仲間である盟友として覚えてはいるが、その当人の為人を直接見るような機会はあまり無かった。
それに対して、船乗りとして彼らとよく交流していた騎兵の彼女が言うには。
「ギリシャの方は多分大丈夫だ。アイツは普段はダメだけど、こういう場面ならちゃんと働くだろうからね。足に成れる俊足の騎兵もいる」
「あぁ、そういえばそうだったな」
「アタシらみたいに、船持ちと足代わりがどれだけ素早く出会えるか次第さね」
ギリシャの方は大丈夫らしい。
で、他の船乗りについては、以下のように述べていた。
「スペインの奴隷船長は、ちょいと厳しいかもしれないねぇ。最初は真面目に動くだろうが、後々が怖い。あと、足が無い。アタシらかギリシャの面々が諸々済ませて、早めに合流しておきたい所だ」
「アメリカの方は、あの海賊どもが真面目にやってくれるかどうか次第だ。船持ちは確か2人いた筈だけど、足になれるのに心当たりが無いから、ヨーロッパの方が一通り終わり次第、足があるアタシらかギリシャのどっちかは、アメリカに行くことになるだろうね」
それを聞いた狂兵の女性は、それを踏まえた上で今後の方針を考えていく。
「ふむ…そうなると、問題はそれ以外の、船持ちが居ない地域か」
「そうだねぇ…いやぁどうしたもんか」
一通り考えを巡らせて、現時点での問題を洗い出した2人。それぞれの地域に顕現しているであろう面々の性格を思い浮かべていく。
「…ペルシャやインドは、暫くは、おそらくそこまで問題では無いだろう。あちらの面々は短気な者が多くない。諌めることが出来る者も居る」
「中華と日本も、まぁ暫くは問題を起こすことはないだろうね。中華は確か、足に成れそうなのが居たはずから、集合も出来るだろう」
そして、その結果、1番ヤバそうな地域が、以下の2つではないか、という結論に至った。
「…メソポタミアと北アフリカは…ダメそうだねぇ」
「あぁ…ダメだろうな…我の強いあの面々をどう回収するかが、おそらく最大の難関だろう」
─────
一方その頃、ギリシャの方では…
「……おい、冗談だろ……」
唐突に出現した「それ」を見た「英雄
「……ウッソだろ……」
ギリシャの方面で「足」になることが期待されている「駿足に
「それ」は、遠目で見ても分かるほどの、山の頂を超え、天にも届かんとする程の身の丈の、超巨大な、青銅巨人だった。
「「なにやってんだあの神妃ぃぃぃ!!!?」」
2人は、その青銅巨人の持ち主であり、この珍光景を作り出したと思われる「神妃」に対して絶叫した。