FGOのマスターがまつろわぬ神として顕現してしまった話 作:星の王子さま
第8話です。どうぞ。
魔王さまが「神妃さま」の青銅巨人を人質(?)に、相手をしろと脅し付けてきたので、しょうがなく相手をすることになった一同。
あなたが選んで良い、とその場の盟友たちから言われたので、この場にいる面子の中で、あの戦闘狂っぽい魔王さまを相手にするのは、誰が最適なのかを考える「英雄
しばらく沈思黙考している「剣兵の彼」だが、なかなか答えが出ない彼を見かねて、「駿足に
「…あー、どうするよ。俺が相手するか?」
「…いや、お前はダメだ。他にやって貰いたいことがある」
声を掛けてくれた「騎兵の彼」の提案は、嬉しいものではあるが、「剣兵の彼」は、少し考えてから断った。
「剣兵の彼」としては、盟友たちの中では最高峰レベルの足の速さと、高速機動が可能な戦車を持っている彼には、戦闘以外のことで、色々とやってほしいことがあった。
他の面々にしても、まず「
「王国の王女にし
なので、この場に居るメンバーで、相手をする候補としては「太古の双
…そこでムニャムニャしてる「主神の妃に
「あの神妃さまの言う通り、まずは散らばっている盟友を集めるのが最優先だ。お前の駿足と戦車はその足にしたい」
「なるほど。だが、それならあの神殺しはどうする?」
あんまり放置し過ぎると何されるか分からんぞ、と急かすように言う「騎兵の彼」の彼だが、それでも中々答えが出ない「剣兵の彼」である。
更に黙考を重ねようとする「剣兵の彼」の様子を、流石に見かねてきたのか、今度は「剣兵の2人」の兄妹のうち、兄の方が声をかけてきた。
「我らが相手をするか?」
その申し出は「剣兵の彼」としては有り難い。なんなら、今この場に居る、手が空いていて魔王さまのお相手が出来る盟友の中では、この兄妹が1番相性良さそうな気がする。
今の状況が自分たちの原典である、あの物語の中であれば、多分この2人に任せたと思うが、今回ばかりはそうも行かなかった。
「お前ら2人1組だろ?下手すると妹共々死ぬぞ?俺たち今●●●●●●じゃ無いんだからな?保険なんか無いぞ?」
「剣兵の彼」としては、この兄妹の実力は十分に知っているが、今いる面子の中で「1番相性が良さそう」だから相手を任せて、結果2人を死なせてしまう様なことがあっては、主人である少女に申し訳が立たない。
ついでに言うと、この双子の兄妹は「騎兵の彼」を足に使う予定である現状においては、この場における最高戦力にもなるので、この2人を死なせると、防衛能力的な意味でも危なくなる。
ただ、「剣兵」霊基の
「私と兄さまが下手を打つと?」
普段はシスコンが極まっている兄を嗜めてくれる有り難い存在ではあるが、良くも悪くも「●霊」かつ「剣士」としての性もあり、自身の力に対する罵倒には兄よりも耐性が低い。
ついでにこんな事も言い出した。
「それに、兄さまと一緒に死ぬなら、それはそれで…」
「それはダメだ。お前を死なせる事など絶対にあってはならん。我らが相手をするべきでは無いな」
「兄さま!?」
いつの間にか始まったブラコン/シスコン劇場は放っておいて、「剣兵の彼」は尚も考え続ける。
「まつろわぬ神」として顕現した時に得た知識によると、この世界における「神殺し」と呼ばれる者たちは、皆殺しても死なないような不死性を持っており、今の自分たちでは撃退が恐らく精一杯。多分復活したら、再戦する為にすぐにでもこの場に戻ってくるだろう。
神妃さまの青銅巨人の件もあり、自分たちが長時間ここに留まり続ける必要がある以上、彼が今求めているのは、目の前の魔王さまを「撃破」出来る存在ではなく、魔王さまを長時間の「耐久戦」で拘束する事が出来る存在であった。
(集まるまでの時間稼ぎが出来れば良いんだが…)
現状を一種の「危機的状況」と無意識に捉えている彼の直感は、彼自身が所有している権能の効果もあり、結構冴えていた。
彼の冴えている直感は、相手の魔王さまと、手合わせ候補になる3柱の盟友を見比べて、次の様に感じていた。
(この場に居る面々だと、相性が悪い気がするんだよなぁ)
この場において、けっこう切羽詰まっていた「剣兵の彼」は、ある事を失念していた。
彼がこうやって考え込んでいる間も、あの特大の青銅巨人は相変わらず鎮座しており、周囲からそれらを目印に盟友たちが集合してきているということである。
「禍福は糾える縄の如し」とは良く言ったもので、魔王さまの襲来という特大の厄ネタが来た後にしてはちょっとインパクトに欠けるが、それでもこの時、青銅巨人を目印に新たに合流に成功した盟友が現れた。
そして、その盟友は「防衛戦」のエキスパートでもあり、この場においてはほぼ最適解になる人でもあった。
「おーい、オジサン、神妃さまの青銅巨人を見て来たばかりだけども、これどういう状況?」
「…はっ、はははっ…!やったぞ!これで時間が稼げる!これならどうにかなるかもしれん!よく来てくれた!早速だが任せたいことがある!」
「え、なに、なになにすんごい剣幕なんだけどすんごい怖いんだけど!?」
彼の名を「王
ついでに言うと、彼は、いろんな意味ではっちゃけている面子が多いギリシャ組の中では、真正の常識人で、苦労人でもあった。
─────
(さて、ここに来て早々に、野生の魔王さまの相手をしてくれなんて無茶をさせられることになった訳だが…)
到着早々にいきなり「あの魔王さまの相手をしてくれ」と「剣兵の彼」から頼まれた「王
彼もはじめは、何の説明もなく、いきなりそんな難題を押し付けられて、嫌だなぁとか思ったりしたのだ。
ただのオジサンにそんな重労働させるなと、断りの雰囲気をそれとなく漂わせながら応答しようとしたのだ。
したのだが…
(いやぁ、アイツのあんな顔初めて見たよ…)
彼の雰囲気を半ば察したのか、まるで、雨の日に捨てられた、ずぶ濡れのチワワの仔犬みたいな表情だったのだ。
あんまりにも可哀想過ぎたので、つい「しょーがないなぁ」と言いながら請け負ってしまった。
返答を聞いた直後の「剣兵の彼」は、まるで救世主でも見たかのような顔をしていた。
彼の顔芸は、それはそれで中々に面白かった。
で、肝心の戦況なのだが。
(始めてから5分程か…奴さん、動かんねぇ…無我の境地、というヤツなのかしら)
実際は間合いの調整だとかでお互いにジリジリと動いてはいるのだが、戦況自体に大きな動きは無かった。
この戦闘の直前に、当の「剣兵の彼」は、お相手の魔王さまに「これは死合いでは無い」と何度も言い含めていたが、当の魔王さまの様子を見る限り、そんな事微塵も覚えていなさそうだ。たった5分前の事なのに。
とはいえ、お互いに大きな動きが無いこの状況が継続されるのは、それはそれで有り難いことではあった。
(時間稼ぎが目的、との事だし、オジサンはこのままでも構わないんだが…)
そろそろ、お相手さんが焦れてくる頃合いかもしれない、と気を引き締めていく「王
一方で、正面戦闘をしてくれる「槍兵の彼」が拙い状況になったら、彼の援護をするように頼まれた「教導者に
彼は、お相手の魔王さまは、この試合が始まってからあまり動きは無いが、唯一、戦闘開始直後から剣の持ち手の腕が銀色に変化している事を確認した。
(ふむ…彼の持ち手の銀腕、我らの盟友である、かの騎士を思い浮かべますね)
ちょうど、似たような状態の盟友が味方にいた事を思い出した「弓兵の彼」である。
彼が思い浮かべたその盟友は、割と苦労人ポジションにいた記憶があったが、時々、謎に執事になってはっちゃけたりしていた時もあった気がする。
(たしか名称は●●●●●●でしたか。かの騎士の物は返還出来なかった聖剣でしたが、本来は●●●の戦神の右腕、だったはず)
古今東西の英雄達が集う場所に、盟友として召喚された彼は、自身の見識を深める為に、盟友たちと関わりのある各地の物語を読んでいた。
いつだったか、彼が思い浮かべた盟友の切り札の名前について気になった彼は、その切り札の名前の原典となる神話も読んでいた。
(かの戦神の右手は、遍く全てを切り裂く剣となる…だったでしょうか?)
たしかそんな感じの描写がされていたなぁと思い出しながら、彼は、それを権能とした場合、どのような仕様になるのか、その対策まで含めて考察を深めていく。
(彼の持ち手の権能が本当にそうであるかはまだ不明ではありますが…もしそうならば、彼の銀腕の権能はその類、その手で振るう剣を、全てを切り裂く剣とするものと見るのが無難か)
「というわけで、回避推奨、らしいわよ」
ある程度考察を纏めた「弓兵の彼」は、かの魔王さまに「考察した」ことをバレないようにする為に、間接的に伝達する事を「王国の王女にし
伝えるように頼まれた「術兵の彼女」は、現在行使中の術を維持する傍らで、パパッと式を組んで、伝達することに成功した。
「なるほど?助言、ありがとさん」
そして、考察を伝えられた「槍兵の彼」も、それに合わせて自身の戦い方を調整していく。
2人が本格的にぶつかるまで、あと少しである。