呪術高専さしすせそ!   作:如月SQ

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お気に入り増えてて嬉しい…。
感想も評価もありがとうございます。
評価でとても嬉しいコメント貰ったのでとてもとても嬉しいですね……(語彙力
正直自分も毎回呪術廻戦の展開に脳が焼かれているので、楽しんで貰えたら更に嬉しいです。


中華料理

「……何か企んでいると思っていたけど、空、君は何をしたかわかっているのかい?」

 

「うん!ボクの子供を受肉させたんだよ!」

 

脹相とぴったりはりついて共に正座をしながら、満面の笑みを浮かべる空を見て、傑は頭を抱えて呆れたようにため息を吐いた。

 

「君の子供って、彼は呪胎九相図だろう?というかどうやって手に入れたんだい?それに彼の体は人と呪いが混じってるようだが、どうやって用意したのさ」

 

「脳ミソがボクの体好き勝手してる間に3番まで確保してたみたいで、今もボクの中にあるよ!肉体はね、ボクの肉と、祓う予定の呪霊をボクの中に吸収して、補強して作ってあげたんだ!」

 

「……自分の体を使ったのかい?」

 

傑は怪訝な顔をして空に近付くと、その脇に手をいれた。

ひょい、と軽く持ち上げられた体に、傑の顔が歪む。

 

「……今、重力から解放されてないのだろう?体重、もしかして30キロもないんじゃないかい?」

 

「大丈夫!またお肉つけて、あと二人の体も作ってあげるんだ!」

 

ぺかーと輝かしい笑顔を浮かべているものの、目の下の隈や、蒼白な顔色、そうして不調からか時折不意に体に起きる震え。

明らかにまともな状態ではないだろう。

今は妙にテンションが高いせいでアドレナリンでも出て不調を感じなくなっている事が予想出来た。

 

『君の懸念の通りだよ、夏油傑。空の身体は文字通り血肉を別けた事と大量出血で、そこらの老人より死にかけてるよ。反転術式で治したとはいえ、呪術的ではない治療を早く行ったほうがいいだろうね』

 

「なに!母さん、大丈夫なのか……!?」

 

脳ミソの言葉に反応し、脹相は心配そうに顔を歪めて空にすがり付く。

そんな脹相の頭を優しい笑みを浮かべた空は優しく撫で、大丈夫大丈夫と宣う。

 

「大丈夫じゃないだろう……まったく。とりあえず硝子の所に連れていくよ?脹相……と言ったかな。君も来なさい。色々と問題もあるが、悪いようにはしない事を約束するよ。ただし、空から別けて貰ったその体を大事にする事だね。粗末にしたら許さないよ」

 

「む、わかった……お前が母さんを大事にしている事が伝わってくる……。お前の言葉に従う」

 

その言葉に傑は複雑そうな表情を浮かべながら、空を横抱きにする。

 

「君、女だったっけ?」

 

「骨格はどっちかというと女らしいよボク!それにもし孕めるなら傑クンになら抱かれてもいいよ!硝子チャンも大丈夫!むしろ孕ませたい!誠一クンもまだいいけど、悟クンは嫌!」

 

「うーん、予想外の言葉が飛び出して来たね、明らかに正気じゃないようだ。後、君これから硝子とお風呂に入るの禁止ね」

 

「ボクが拒絶しても、硝子チャンが引っ張るから一緒に入ってるだけだよ!むしろ硝子チャンのほうが、よくボクの体撫でてくるんだ!」

 

「硝子の方が問題だったか……知りたくなかったなぁ……」

 

苦笑を浮かべた傑は脹相を引き連れ、高専へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……頭が痛い……少し一人で考えさせてくれ……」

 

事情を聞き、理解し、話を終えた夜蛾先生は、そう呟いて食堂を後にした。

空は現在自分の肉体を再生させる為にか、黙々と俺の料理を食い続けている。

その隣で脹相と名乗った、なんでも特級呪物、呪胎九相図が受肉したらしい存在の男が、同じように食っているが、そろそろお腹いっぱいのようで、顔を青くしていた。

なんでも空の血肉を呪霊で補強したものに受肉したらしく、文字通り空の腹から出てきたらしい。

流石に前代未聞だな。

 

「はぐはぐはぐはぐはぐ」

 

「ぐっ……うぷっ」

 

「無理して食うなよ、そんな風に食っても美味くないだろ」

 

「いや……こんなに苦しくても美味いから困っている……」

 

なかなか嬉しい事言ってくれるな。

まぁその天津飯もあと一口だし、それでやめておくべきだな。

それにしても空の奴、よく食うな。

練習がてら大量に中華料理を作ってたんだが、食いきりそうな勢いだ。

あの細い体の何処に入ってんだ?

いや、それだけ無理したんだろうな。

 

しかし空の子供、ねぇ。

あいつの天与呪縛で子供を成す事は出来ない筈だが……まぁ抜け道を突いた感じか。

話聞く限り、脳ミソが昔の体でやらかした時の子供らしいが…まぁ今脳ミソは空の中にいる訳だし、子供と言えなくもないのか?

 

「そーだね、彼、脹相って言ったっけ?多分空の分身(わけみ)みたいな扱いになるんじゃないかな?おまけに受肉して作り替えられてるのもあるし、厳密には子供じゃないでしょあれ」

 

「大事なのは繋がりだろう。彼は空を良く慕ってるようだし、空も彼を慈しんでいる。彼等は親子だと私は思うよ。空は喜んでいるしね」

 

「それにしたって自分が死にかけるのはどうなのさ?しかも後二回も似たような事するつもりらしいじゃん?そこまでする価値があるのかなー?って僕は思うんだけど」

 

「理屈じゃないのさ、空にとってはね。私は特級として彼等を監視という名目で高専で保護するように訴えるつもりだよ。それに、彼を見るに特級呪物とは思えない純朴さじゃないか。最も強力な呪いである一番があれなら、他もきっと大丈夫さ。……彼等の境遇を考えると、彼等にも幸せになる権利があって然るべきだと私は思うよ」

 

「呪いだぞ?」

 

「半分は人さ」

 

悟は少し気にくわないみたいだな…まあ、一応特級呪物の受肉体だからな、悠仁と違って完全に呪物のほうが表に出てるし。

一方で傑は結構空よりだな?

ふむ…まあ呪胎九相図の境遇に同情したのかもしれないな。

明治時代の最悪の呪術師、加茂憲倫の実験によって産まれた人と呪いの混血、胎児で呪物と成り果てた哀れな被害者。

更には100年程を封印されて過ごしたんだものなぁ、そう考えれば傑の気持ちもわからんでもないか。

 

「ふぅ……誠一はどう思うよ?」

 

テーブルに頬杖をつく悟は、俺にそう問い掛けてくる。

 

「ん?ああ、そうだなぁ」

 

俺はちらりと、腹を抑えてテーブルに突っ伏してる脹相に視線を向ける。

まぁ俺としては単純かな。

 

「美味そうに俺の料理食ってくれたし、食いっぷりも良かった。今までなーんも食った事なかったんだ、食いたいだけ食わせてやりたいと思うぜ」

 

「はあー、誠一に聞いたのが間違いだったよ……」

 

ペチリ、と額に手を当てた悟は、大きくため息を吐いた。

 

「ま、仕方ないか、早々我が儘を言わない空の為だ。僕も彼の保護に協力するよ。……それより、空に貼り付いたままの硝子には誰も突っ込まないワケ?」

 

「……硝子が空にセクハラしてるとは思ってなくてね、少し対応の仕方を悩んでるんだよ」

 

悟が指し示した先には空の背中に硝子が貼り付き、抱き付いてるみたいだ。

傑は硝子と空が良くお風呂に入ってる事だけは知ってて、あまり詳細を知らなかったみたいだな。

今も黙々と食べてる空の胸元をまさぐってるからな、あいつ。

 

「今もセクハラしてるよ、ウケんね」

 

「笑えないよ……」

 

同輩の思いもよらない性癖に、先程とは逆に悟は面白そうに笑い、傑は目を抑えてため息を吐いていた。

空の胸は膨らんでる訳でもないが、何が楽しいんだろうな?

……いや、この考えはセクハラか?

 

ちなみに、一応心音等を測ってはいたらしい。

だからと言って、あそこまで密着してる必要性はわからないが。

 

「うーん、私の空がいつの間にかコブつきに……」

 

その後、結局俺の作った中華料理を食べ尽くした空は満面の笑みを浮かべ、手を合わせた。

 

「ご馳走さま!美味しかったぁ!……」

 

バタン!

 

そう空が言った後、そのままテーブルに突っ伏して気絶した。

…血糖値でもあがりすぎたか?

気絶するまで食うなよ、いい食いっぷりだったが。

 

「母さん!」

 

「あー、大丈夫、気絶しただけみたい」

 

そんな笑顔のままよだれを垂らす空の様子を確認し、焦る脹相を宥める硝子。

気絶した空を横抱きにし、硝子は何処か浮かれた様子で食堂を去っていった。

まだ顔の青い脹相も、少しふらつきながらもその後を追って行く。

それを見送った悟と傑は互いに肩をすくめ、苦笑を浮かべた後、ほぼ同時に立ち上がった。

 

これからどうなるかわからんが、特級二人が抗議するんだ、どうなっても最悪で悠仁のようになる程度だろう。

ま、俺に出来るのは美味い飯を作るだけだ。

さあて、まずは空に平らげられた中華料理、もう一度改めて作るとするかな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は中華料理だ!色々用意したから、好きなように食ってくれ!少し珍味もあるから、良ければ食べてみてくれ」

 

食堂に所狭しと用意した沢山の中華。

それぞれ好みか物珍しいのを見つめて目を輝かせてるな。

 

「熊の手なんかが意外と美味いから、オススメだぞ」

 

「「「熊……?」」」

 

俺の言葉に驚いた反応をした皆は、パンダを見つめる。

パンダはアワビを物珍しげに眺めていたみたいで、皆の視線に遅れて気付いた。

特にすぐ隣にいた棘の戦慄した眼差しに、ビクリと肩を跳ねさせてた。

 

「な、なんだ…?」

 

「あー、パンダの手ではないから安心してくれ」

 

「明太子……」

 

棘はほっと胸を撫で下ろし、それを確認した皆も、それぞれ皿を持ってその中華を取り分け始めた。

頭に疑問符を浮かべたままのパンダを捨て置き、皆はなかなかお目にかかれない珍味を物珍しそうに眺め、見た目怪しい料理はおっかなビックリという様子で恐る恐る取り分けていった。

 

「中華料理は難しいからなぁ、良ければ後で感想聞かせてくれよな!」

 

「「「いただきまーす!」」」

 

それぞれ思い思いの物を皿に乗せ、手を合わせる。

色々作ったからなぁ、大変だったが皆嬉しそうに食べてるようで良かった良かった。

フカヒレの姿煮を目をえらい輝かせて食う野薔薇が長々面白い光景だった。

 

「あれ、肉まんとかそういう蒸した奴はないのか?」

 

不思議そうな顔をした真希にそう問い掛けられる。

あー。

 

「すまんな、そういう系統は今回は作らなかったんだ」

 

まぁ正しくは空に食われたんだが…。

なのでまあ、今回は大皿料理やご飯ものとスープ限定だな。

 

「はふっ…っひょー!辛ぁっー!でもうっまこれ、辛さの後に旨味がぐっとくる!」

 

悠仁が食ってるのはかなり本格的に作った四川風麻婆豆腐か、香辛料たっぷり入れたから滅茶苦茶辛いが、その分産み出される旨味は相当な筈だ。

汗をたっぷりかいて…ああ、流石に上着脱いでシャツになってるな。

 

「はぐ、ん、美味い。このニラレバ炒め、生姜が効いてて臭みがない……」

 

恵はニラレバか、生姜きかせ過ぎてもレバーの旨味壊しちまうからな。

なかなか上手く調整出来てるみたいで良かった。

 

「んー!フカヒレってこんなに美味しいのね!幸せだわ!」

 

野薔薇の奴、滅茶苦茶フカヒレ食ってるな…まぁ好きに食ってもいいんだが…、他の奴等にも別けてやれよ……?

 

「おっ、美味いな!熊の手って奴は初めて食ったけど、私はこれ好きだな」

 

「どれどれ……あむっ……んっ!美味しい、けど、少し獣臭いわね……」

 

「そうか?山で猪焼いて食ったのに比べりゃ全然臭くねぇけどな」

 

「なんでそんな経験してるの……」

 

真希と真依は熊の手食ってくれたか!

だが、うーん、だな。

やはり食い馴れてないと臭みが残るか……またいずれ再挑戦だな。

 

「ツナマヨ」

 

棘の食べてるのは回鍋肉か。

かなり歯応えを残して作ったが、棘は気に入ってくれてるみたいだな。

 

「回鍋肉か、美味そう。うーん、でも真希の奴も美味そうだな、それ食ってみるか」

 

「おかか!」

 

「いや、俺熊じゃないから、パンダだから。共食いにはならないって」

 

「おかかー!」

 

パンダの奴、熊の手を食うのを棘に止められてて面白いな。

棘が妙に必死なのが笑いを誘う。

更には諦めて回鍋肉にしたパンダを満足そうに眺めた棘が、熊の手の蜂蜜煮込みを取ってて、俺は思わず顔を背けて噴き出してしまった。

 

「くく、まぁ好きに食ってくれ」

 

俺はそう言って調理器具の片付けに移る事にする。

色々問題は山積みだが…こいつらの青春を阻害する理由にはならねえ。

俺の料理たっぷり食って、これからも頑張ってくれよな。




10/23昼
狗巻君の名前の漢字が今回は刺になってました…。
失礼しました。
棘君ですね。
誤字報告わざわざありがとうございます。

これからの話

  • このままストーリー継続
  • もっと飯中心にまったり進行
  • そもそも過去に何が?
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