辛い、やはりあの単眼猫さんは人の心がない。
なのでどうか皆さん癒されてほしい……。
そう考えて頑張ってかいていきます。
誤字報告ありがとうございます!
「おっはー皆元気ー?修行は順調かな?今日の午前は座学だよ。しっかり勉強してねー」
今日はちゃんと勉強らしい。
ここ最近はずっと映画見ながらナナミンにアドバイス貰って、手合わせしながらアドバイス貰って、とあんまり教室にも来てなかったから少し新鮮。
……ただ、それよりも何よりも、どうにも気になる事がある。
俺は憮然とした顔で五条先生を見つめる伏黒に耳打ちした。
「なあ伏黒、なんか五条先生、様子変じゃない?」
「あの人はいつも変だろ」
いや、そうだけどそうじゃなくて。
「なんかテンション高くね?」
ちら、と見ると黒板に何かを書いてる五条先生がいる。
その後ろ姿はなんとなくご機嫌そうで、実際鼻唄が聞こえてる。
「んー?……あ」
伏黒は目を細め、怪訝な表示で五条先生を見たあと、何かに気付いたように声を漏らした。
「なになに?なんか思い当たる事あった?」
そう問い掛けて見ると、伏黒は眉を寄せて物凄くイヤそうな顔になってた。
……なんだその顔。
「……スイーツユートピアの日か」
「「スイーツユートピア?」」
聞き耳をたてていたらしい釘崎も反応して、俺らは顔を見合わせた。
そして、聞き耳をたてていたのは釘崎だけじゃなかった。
「そう!今日は、スイーツ、ユートピア!」
いつの間にか直ぐ側に来ていた五条先生が、両手を広げて立ってた。
「えっと、なんなん……ですか?その、スイーツユートピアってのは」
「えっへへへへ、聞きたい?なら教えてあげましょー!」
「ウッザ。ノリがウザイわ」
「スイーツユートピアってのは誠一が僕の為に定期的に開催してくれる、スイーツ食べ放題イベントの事さ!」
「思った以上に字面そのまんまな話だった」
「どれもこれも美味しくてね、僕にとって今日は最高の日さ。スイーツ最高foooooooooooo!」
テンション高く腕を高く掲げ、教室内で踊り狂う五条先生から意図的に視線と意識を外しておく。
「甘いモン苦手な硝子さんや俺にとってはあんまりな日だな」
「あれ、伏黒甘いもん嫌いだっけ?」
「ご飯として甘いモンあまり食いたくないんだよ」
「なーる」
「前はどんなのあったの?」
「前か、前は……色んなミニケーキがあって、色んな味のアイスとゼリーとかがあって、後はパフェ作ろうコーナーがあったかな。それで甘いもん苦手な人の為に惣菜パンコーナーがあった」
「ふぅん」
「ああ、あと五条先生が金出してるから、結構いい材料使ってるって聞いたな」
「へぇ」
釘崎の目がギラリと光った。
「そういうのに目がねえよな釘崎って」
「とーぜんでしょ?俄然楽しみになってきたわ」
まぁ、俺も少し楽しみだけど。
スイーツ食べ放題か……初めてだな。
……それよりさ。
「あの踊り狂ってる先生誰止めんの?」
「「……」」
釘崎と伏黒はそれぞれ拳を突き出してくる。
これは……そうだな、恨みっこなしだ!
「「「最初はグー!」」」
負けたのは俺だった。
ただ、ついでに言うと、俺がいくら止めても五条先生は止まんなかったよ。
結局午前の座学は何故かスイーツの授業になってた。
死んだ目をして聞く伏黒と、それはそれとしてスイーツ談義を楽しんでいた釘崎の落差が酷かったな……。
今までもどうせこうなってたんだろうな。
なんでそんな日にこの人に教師やらせてるんだろう……。
俺はそもそも論としてそんな考えに行き着いたけど、五条先生が純粋に嬉しそうなので考えるのをやめた。
「……お、きたか」
「あれ、禪院さん食堂の前でどしたの?」
「いや、前に開催した時に硝子が甘い匂いだけで具合悪くなってな、今回はスイーツユートピア会場とそれ以外で部屋わけてんだよ」
「それは……俺にとってもありがたいですね」
「そうそう、もう硝子は空と脹相引き連れてその隣の部屋にいるから、恵もそっち行くといいぞ」
「わざわざ俺の為に待ってたんですか?ありがとうございます」
「いやいや、気持ちよく楽しんで食って貰うのが一番だからな!それじゃ、悠仁と野薔薇は初めてだよな?楽しんでくれ!俺のスイーツユートピア!」
さて、スイーツユートピアだ。
日々柄でもない癖に呪術界を変えようと頑張ってる悟のご褒美として始めたスイーツユートピア。
お菓子作りってのはかなり繊細で、まともに作ろうとすると突然難易度が跳ね上がる。
だがまぁそれも頑張ってる同輩の為だ。
毎回手を変え品を変え、飽きの来ないように色々と準備してる。
前回は好きなようにパフェをカスタマイズ出来るようにしてみた。
なかなか好評だったな、個人的にはコーヒーゼリーが会心の出来だった。
コーヒーの風味が強いとはいえ多少は甘いのに、あの硝子が食ったんだから作った本人の俺もビックリだった。
ま、それはそれとして、今回の目玉はー……。
「手作りクレープだ!好きな具材を言って貰えば、それを包むぞ!自分でクレープ作りしたいならやらせてもいい!」
「おおー!あれ、それで禪院さんは今何作ってんの?五条先生がめっちゃ張り付いてるけど」
「ん?ああ、パンケーキだ。よっ、と」
「おおー!すごーい!」
悟が子供のような歓喜の声をあげる。
ひっくり返したパンケーキの焦げ目は、デフォルメされた悟の顔が描かれていた。
「パンケーキアート!禪院さんそんな事も出来るの!?」
うぉ、めっちゃ野薔薇が食いついてきた。
「今日初めてやってみただけだよ。やって欲しけりゃ後でやってやるよ。それで、どうだ悟?気に入ったか?」
その問いに、悟はうんうんと激しく頷き、にっ、と白い歯を見せて笑った。
「最高、デフォルメされてても僕はイケメンだね」
「それは何より。んじゃ、あとこれデコレーションするけど……見えなくなるけどいいか?」
「あっ、ちょっと待ってちょっと待って、これとツーショットさせてよ。恵ー、写メ取ってよ写メ!」
「伏黒こっちにいないよ」
「え!なんで!?」
テンション上がりすぎて誰がいるのかすら把握出来てないのか。
まぁ…そんな日があってもいいだろ、たまにはな。
結局、自分の顔とパンケーキのツーショットを悠仁に撮って貰った悟は、ご機嫌な様子で俺にパンケーキを手渡してきた。
「よろしく!」
ニコニコと擬音がつきそうな程満面の笑みを浮かべた悟からそのパンケーキを受け取り、俺も笑みを返してやる。
「勿論、任せな」
さて、と。
皿の上に乗った悟の顔が描かれたパンケーキだが……今からすごい姿にしてやるぞ。
「まずは、バニラアイス……ぽん、ぽん、ぽん」
「うわぁ!三つ!三つも乗せちゃう訳!?」
濃厚なバニラアイス、今回の乳製品は皆一昨日に絞ったのを昨日仕込んだばかりの品ばっかりだ。
まずはパンケーキの中心にまん丸のバニラアイスを三つ置く。
悟の顔は見えなくなったが、悟はご機嫌だから続けるぞ。
「次に生クリームー……たっぷり」
「うわうわうわ!そんなに乗せちゃっていいの!?」
勿論生クリームもそう、甘味は殆ど入れず、生乳本来の濃厚さを楽しめる一品……。
それをバニラアイスを囲うようにたっぷりと塗っていく。
パンケーキの小麦色は一切見えない。
「そして、ベリーミックス……!」
「うわぁ、もう美味しい!最高じゃん!」
ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー。
その中でも甘すぎない、酸味と甘味のバランスの良い品種だ。
悟は大興奮だが……これでトドメだ。
「最後に、最高級蜂蜜たっぷりだ!さあ、おあがりよ!」
「反則反則!そんなのズルいよ、もう!いただきまーす!」
雑味のない、爽やかな甘味とさっぱりとした後味が自慢の蜂蜜。
とろーっとした蜂蜜が、パンケーキに浸っていく。
そこまでしたら悟は辛抱たまらないとばかりに、目にも止まらぬ早さで頬張った。
もぐもぐと咀嚼する悟の口が弧を描く。
「んっ……ま……」
ごくん、と嚥下した悟は左手で自分の口元を抑えると、徐にフォークを置き、目隠しをくいとあげて、その輝く瞳で俺を見つめた。
「誠一、俺の専属パティシエにならねぇ?」
キメ顔で言う悟だが、俺はそれを鼻で嗤う。
「絶対ならねーよ、一昨日来やがれ」
「そっか……」
キメ顔からショボン顔になんの早すぎてウケる。
作画変わった?
そんなしおしおな顔でも、次の一口を口にすれば、その表情は輝き出すんだから単純だよな。
「んまーい!最高!上層部の奴等にぐちぐち言われても、今日の任務全部ボイコットして良かったぁ!」
「くく……」
まぁ、そんな所は嫌いじゃないぜ、悟。
まだ色々沢山あるから、じっくり楽しめよ。
「あれ、そういえば今回はケーキ類はないんだね」
「ああ、でもかわりにミルクレープがあるぞ!沢山作ったからたんと食えよ?」
「食べる食べる!」
「ん!この赤いシャーベット、イチゴだと思ってたら、西瓜じゃない!すっごい嬉しい……」
「釘崎、西瓜好きなんだ?」
「大好き」
「ふーん……そういえば向こうはどうなってんだろ」
「あっちはサンドイッチを自分で作って食えるようになってるぞ。あ、サンドイッチっつっても食パンじゃなくフランスパンの奴な。野菜たっぷり用意してるし、ローストビーフなんかもあるぞ!あとクレープもあっちに作れるようにしてある。惣菜クレープも美味いよなー」
「……ちょっと興味出てきた」
「あたしも。……行く?」
「行く行く!腹半分くらいにしてまたこっち来ようかな」
「シャーベット美味しくて結構食べちゃった…大丈夫かな…」
「甘いもんは別腹ってよく言うじゃん!いけるいける!」
「……そうね!折角のユートピアだものね!」
「ご馳走さま!誠一!今回も最高だったぁ……」
「おう、お粗末様。楽しんで貰えたようで良かったよ」
「こんな料理上手な同輩を持てて、僕は幸せ者だよ……」
「スイーツ作ってやったくらいで大袈裟な奴だな」
「……次はいつやる!?」
「もう次の話かよ。そうだな……」
「ハロウィンくらいにはやりたいな」
脹相「(じーっ)」
虎杖(なんかあの鼻に傷みたいなのついてるあんちゃん、ずっとこっち見てるなぁ)
これからの話
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このままストーリー継続
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もっと飯中心にまったり進行
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そもそも過去に何が?