「陰鬱曇らせ杯」に参加しておりました。
評価バーがオレンジに!
わや。
仕方ないですね。
「ヤバイ……!」
私、釘崎野薔薇は、今産まれてきて一番の危機に晒されていた……!
お風呂上がりにタオルだけ巻いた姿で私は、足元を睨み付けていた。
それは、乙女の宿敵、体重計……。
「3キロも増えてる……!」
その体重計は、高専に入学してから3キロも増えてる事を指し示していた。
「釘崎ー、朝飯行こーぜ」
「い、いやぁ、ちょっと今朝調子悪くて、いいかなーって……あはは」
「なにぃっ!?」
バギィッ
「キャァアアア!あんた乙女の部屋なんだと思ってるのよ!」
「ん?なんだ、制服着てるじゃん。まぁいいや、具合悪いなら家入先生とこ行こう!」
「え、いや、いい」
「よっと」
ひょいっ
「わ。……へ?」
「かっる。もっと肉つけたほうがいいぞ釘崎」
「は、はぁ!?あんた乙女の柔肌に触れながら、体重の話振るんじゃないわよ!」
ボカッ!
「痛い!あんま暴れんなよ!落としちゃうだろ!」
「このバカ!デリカシー皆無!アホ虎杖!」
ボカボカボカ!
「痛い!痛っ、痛い!」
ガララッ
「家入先生!!釘崎具合悪いんだって!診てやってください!」
顔面を釘崎に殴打され、真っ赤に腫らした虎杖が保健室に飛び込んできた。
「そっちなんだ」
それを見た硝子は、煙草の煙を吐き出し、思わず呟いた。
「んー……健康だね。疲労が少し溜まってるけど、少し休めば大丈夫」
「そうですか、良かったぁ」
簡単に検査を受けた私は、家入先生にそう診断された。
それに胸を撫で下ろす虎杖……なんなの、あんた、私のオカンか!
「という訳で私はちょっと休んで行くから、先生に連絡お願いね虎杖」
「おう!俺は今日任務なんだけど、とりあえず連絡してから行く事にするわ。じゃ、お大事に釘崎、また後でな!」
そう言って笑顔を浮かべて去っていく虎杖。
……しまったな、一応礼くらいは言っておくべきだったかしら。
「……それで?仮病ちゃん、釘崎使ってどうしたの?」
「逆です逆、酔ってます?」
「仮病は否定しないんだ?」
「まぁ……ある意味気分は悪いですけど」
「ふぅん……どうしたの?カウンセリングも校医の仕事だよ、言ってみな」
カチッ
ふー
家入先生は、新しい煙草に火をつけながら、非常にダルそうに言う。
この人なんで医者やれてんだろ……。
私は純粋にそう思った。
「え?太った?成長期なだけでしょ、ちゃんと食いな」
「誠一の作ったもん食って変に太ると思えないし、筋肉ついたか、胸でも大きくなったんじゃない?」
「え?私?分かんないや。体質的にいくら食べても太らないんだよね」
「……なんで怒ってんの?」
朝昼と食堂に来なかった野薔薇だが、手合わせの時間に顔を合わせた時、なんでか滅茶苦茶怒ってた。
聞けば朝、硝子になんともデリカシーのない事を言われたという。
詳細は言わなかったが……硝子の事だから、そうだな。
「ああ、そうか」
俺はそこで勘づき、他の奴等に聞こえないように耳元で囁いた。
「少し体重増えた、ってとこか?」
「っ……!」
肩をビクリと跳ねさせ、キッと睨み付ける野薔薇だが、まー……色々仕方ない事だ。
この年頃の女の子は体重増えるのは嫌がるもんだよな……真希は兎も角、真依は嫌がってたし。
ただ、そろそろ緩やかに、人によっては止まるとは言っても、このくらいの年はまだ成長期だからなぁ……大人としてはちゃんと食ってて欲しいもんだ。
そんでそれらをオブラートに包まず言うのが硝子だからな、野薔薇が怒ってんのも仕方ないか。
俺はそんな事を考えながら、野薔薇の術式も織り混ぜた攻撃を避け続けていた。
「こっのぉ!」
痺れを切らしたのかトンカチでの大振りになったのを見計らい、加速仕切る前に手首を取る。
ぐるんとその手首を回し、そのまま地面に引き倒した。
「いったぁっ!」
うーん、まだまだだな。
だが、三級呪霊くらいなら問題なく祓えはするか。
悠仁も二級いけたし、今年は豊作だなぁ。
とはいえ、悟の考えじゃあ全員一級は前提みたいだし、先はなげーな、おい。
「ううー!そもそも禪院さんが作るご飯が、みんな美味しいのが悪いわ!」
「んな事言われてもな……そう言われるのは嬉しいが。まぁ野薔薇も年頃だ、気になるのもわかる。だが、飯抜くのは見逃せねえなぁ。ちゃんと食わねえと、心にも体にも影響出るぞ?」
「それは、知ってるけど……!」
それにそもそも、だ。
「飯くらい楽しんで食え。呪術の世界で強くなっていけば、加速度的に忙しくなる。そうすると疎かになってくのはまず飯だ。それが良くない」
野薔薇に手を貸し、立ち上がらせてやる。
……うん、まだまだ軽いな、もっと肉つけろ。
「まだお前らにはあまり見せてないが、胸糞悪い任務なんざいくらでもある。そこで沈んだ気持ちはなかなか癒せねえ。そうするとパフォーマンスがどうしても落ちる。後は悪循環だ」
思い出すのは三年の時の傑だ。
反転を覚えた悟に劣等感を抱きながらも、特級として役目を全うしようと東奔西走してた時期。
更には空の行方不明と雄の自主退学も重なって、まともに食ってなかった頃。
見かねてふんじばって、無理矢理飯を突っ込んだもんだ……。
「だから、飯はちゃんとしっかり食え!そんで楽しめ!それに学生の間はまだ体が出来てないほうが多いんだ、変に飯減らしたり制限したりなんてのはまだ早い!好きに食え!それが一番だ!」
「うぅ、でも……好きに食べてたら、それこそ本当に肥えちゃうわ……」
「そこは任せろ、ある程度のバランスは俺がちゃんと考えておく。それでももし太っちゃったなら……」
俺はゆったりと構えを取る。
「飯減らすんじゃなく、体動かせ。ほら、相手してやるからやるぞ野薔薇。あんまり無様晒すと最後のランニング、倍にするからな」
呪力強化は……いいか。
そのかわりに本気でやってやろう。
「……食わなきゃ殺されるって訳ね……」
野薔薇は遠い目で呟いた。
そこまでではないが……ちゃんと食わないと力出ねえからな。
お昼も抜いたかろくに食べてないんだろう、野薔薇のお腹が小さくきゅぅ、と鳴いた。
「ま、三時のおやつまで気張れ。それまでの苦しさは自業自得だ。あ、今日のおやつはベビーカステラだぞー?」
「それは、美味しそう、ねっ!」
おっ、トンカチで目潰し狙いか、悪くないな。
だが甘い。
「げっ」
俺は横から手を伸ばし、野薔薇のその手首を再度掴んだ。
「狙いは悪くないぞ」
「っがぁああ」
アームロックをキメ、悲鳴をあげる野薔薇を見る。
ふーむ……呪力強化もしてない俺に抵抗も出来ないとは、やっぱもう少し筋肉つけないとダメじゃないか?
うーん、周回回数は増やしておこう。
「今日の晩飯は、たこ焼きだ!今日はオーソドックスなたこ焼きだけ。色んな具材いれたり、トッピングしたりは別でやるからなー。てか悟いる日にやらねぇとあいつ拗ねるんだよ」
今日はたこ焼きらしい。
粉モノなんて食べてられない!って本当なら言う所だけど……はぁ、ボロボロで疲労困憊な今、食べない選択肢はないわね……。
朝も昼もろくに食べなかったからお腹空いたし……禪院さんの言うことも一理あるしね。
……増えてはいたけど、適正体重ではあったし……でも乙女としては複雑だわ……。
「たこ焼きはかりふわとかりとろがあるから、好きなのを好きなだけ食えよー。マヨネーズ、青のり、かつおぶしはテーブルに用意してあるからな。ソースは関西風と関東風用意した。是非食べ比べしてみてくれ!」
成る程ね、本当にオーソドックスって感じ。
んー、既に狗巻先輩と真希先輩食べてるから、香ばしいソースの匂いが漂ってきて、堪らないわね!
本当にズルいわよね、これだけ美味しそうなものばかり作って……って、あれ?
「こういう時いつも五月蝿い虎杖は?」
「あー……なんか任務先で同じ年頃の奴と意気投合したらしくて、そこの家で飯食ってくるらしいぞ」
「あいつ、任務なんだと思ってるのかしら……」
まぁいいわ、バカは置いおく。
かりとろとかりふわを2個ずつ貰って、早速食べましょ!
まずはかりとろに関東風で……青のり、マヨ、かつおぶし、っと。
「いただきまーす」
かりっ
とろぉ
「あっふ、っふい、ほふ、ほふ……」
んんっ!美味しい!
「んっく、ふぅ。外かり中とろで最高だわ」
出汁も効いてるし、生地に混ぜられてる紅しょうががいいアクセントだわ……。
タコも弾力がありつつ、噛めば噛む程味が出てきて美味しい。
絶対いいタコだわ、これ。
次は関西風ソースを、と……かりふわで。
「はふ、はふっ……」
ん!関東風に比べてピリッとするわ、これも美味しい!
かりふわも美味しい…かりとろより軽い感じだけど、出汁の風味が引き立ってるわ。
本場のたこ焼きなんて食べたことないけど、これが本場の味って奴なのかしら……。
そこで、ふと他の人達が気になった私は、周りに視線を向けた。
「はふっ、はふ、ほふっ!」
……あの伏黒が目を輝かせてひたすら食ってる……。
生姜にあうのが好きだって言ってたわね、そう言えば。
小動物みたいでちょっとかわいいわね。
食べてる人を見ると、それぞれ食べ方に特徴があるわね。
伏黒は青のりなしでソースとマヨネーズの上にかつおぶし乗せて食べてて、狗巻先輩はソースとマヨネーズを混ぜて、そこにたこ焼きをつけて食べてる……。
「しゃけ!」
そういう食べ方もあるのね……。
真希先輩は……。
「はむ、はむ、はむ、はむ」
……なんもかけずにそのままひょいひょい口に運んでるわ。
確かにたこ焼き単体でも味しっかりしてたけど……火傷しないのかしら……。
「んー、うまい!誠一さん!次まだー?」
「おう、今焼けたぞ!」
「きたか!いやぁ、相変わらず美味いね、誠一さんのたこ焼き!次はソースかけて食うかな」
真希さんの皿に山と盛られるたこ焼き。
それに豪快にソースをかけ始める真希さんを見て、私は視線を外した。
あれであの完璧なスタイル維持してるんだから、とんでもないわね……目に毒だわ。
うん、でも……美味しいわ、たこ焼き。
ちょっと悔しいけど……素直に言うこと聞いて、ちゃんと食べる事にするわ。
私は笑顔を浮かべながら、次のたこ焼きを頬張った。
「ふぅん、ツギハギの呪霊……ねぇ」
『はい。分類するなら、間違いなく特級に値すると思われます。私も逃げるので精一杯でした』
「建人クンがそこまで言うんだ……わかった、後詰めとしてボクも行くよ。即死級の術式持ってるみたいだし、決して無理しない事!」
『……わかりました』
「それじゃ、また後で!終わったらご飯でも食べに行こうね?」
『はい、それでは』
プツッ
「…………脳ミソクン?なんか知ってるでしょ」
『勿論知ってるよ。だが教えてはあげない』
「ケチだね……ま、いっか。それじゃ行こうかな。脹相はお留守番しててね?」
「わかった。母さん、気を付けて。いってらっしゃい」
「んふふ、行ってきます!」
硝子は禁煙していないぞ!
ただ空がタバコの煙が苦手なので空の前では吸わないぞ!
これからの話
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このままストーリー継続
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もっと飯中心にまったり進行
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そもそも過去に何が?