呪術高専さしすせそ!   作:如月SQ

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いつも閲覧ありがとうございます。
やはり皆さん呪術には癒しを求めておられる。
自分もそうです、皆幸せになって欲しいですね。


手巻き寿司

 壊相と血塗、二人に飯を食わせている間に交流会は恙無く終了したらしい。

 結果は東京校の勝利……まぁ、野球で勝っただけだが。

 とはいえまぁ、自分の所属してる所が勝つのはほんのり嬉しいもんだ。

 学生時代は悟と傑がいるから勝って当たり前だったから、なんとも思わんかったがな。

 京都校の奴等は、直哉の奴を筆頭に、さぞ面白くなかった事だろうな。

 

 さて、それでだ。

 最後に皆で飯を食い、それで交流会の締めとなる訳だ。

 その品は……ずばり手巻き寿司!

 好きな具材を好きなように盛って好きなように食う!

 楽しいパーティー料理だ。

 

 元々その予定だったから、今朝市場に行って魚介類はたっぷり確保している。

 なので魚介類はオッケー……あとは、それ以外の変わり種の用意だな。

 肉とか野菜とか、ツナマヨなんかも用意して……。

 錦糸玉子と厚焼き玉子はどうすっかな……まぁどっちも作るか!

 

 という訳で早速錦糸玉子を作ってた訳だが……。

 

「おおー……」

 

 目をキラキラさせた小さな空……血塗が物珍しそうに此方を見つめていた。

 視線は薄く焼かれていく玉子に釘付けだ。

 

「血塗、どうした、見てて面白いか?」

 

「面白い!綺麗!誠一、お前は凄いなぁ」

 

 純粋な尊敬の念を感じて少しむず痒い。

 錦糸玉子をわくわくとした顔で見ているが……これ自体にはそこまで味がねぇからなぁ。

 ほんのりは甘くしてるが……。

 ……ここで切り上げて、厚焼き玉子作ってやるか。

 

「いよしっ、もっと凄いの作ってやるぜ。張相、錦糸卵の仕上げ頼む」

 

「むっ、わかった」

 

 そしたら厚焼き玉子だ。

 玉子にだしを混ぜて焼いた玉子焼き……コツはいるが美味いんだなこれが。

 種はもうザルでこしたのを用意してあるから……専用の四角いフライパンで早速焼いていこう。

 

「油をしいて、卵液を薄く伸ばして、くるくるくる、っと。

 巻く度にしっかり油をしくのがコツだ。あと一巻き目はそこまで神経質にならなくていい」

 

 血塗に見せつつも、俺の手をちらちらと覗いている張相に説明しつつ、手早く焼いていく。

 

「おぉ……」

 

「手間取るとふんわり感がなくなるから、手早くやるのが大事だ、焼きすぎもよくないしな」

 

くるくるくるっ

 

「おぉ……!」

 

「巻いたら形を整えて……油しいてまた卵液、火がある程度通ったらくる、くる、くるっと!」

 

「すごい!すごい!兄者見てる?すごい!」

 

 キラキラと眩しい笑顔ではしゃぐ血塗。

 

「ええ、見てますよ、凄いですね」

 

 血塗の背後には壊相の姿もあり、此方も笑顔だ。

 微笑ましそうにしつつも、壊相も割りと喜んでるな。

 それを感じ取ってるのか、張相も嬉しそうだ。

 

 笑顔に溢れた空間に、俺も自然と笑ってしまう。

 

「さぁて、これを何回か繰り返して大きくなったら……ヒョイヒョイっと」

 

 焼き上がった厚焼き玉子をまな板に置いて、形を崩さないように切り分ける。

 そして真ん中のあつあつでふわふわな奴を箸でつまんで……と。

 

「ほーれ血塗、熱いからよーくふーふーして食えよ」

 

 そう言って差し出してやる。

 

「はぁい!ふーっ!ふーっ!…………あむぅっ!」

 

 血塗はある程度吹いて冷ますも、待ちきれない!とばかりに急いで口に放り込んだ。

 

「ほふっほふぁっふぁむっ!んむぐ!んーっ!」

 

 熱そうにしつつも、その目はドンドン輝きを増していく。

 本当に……こうしてると普通の子供と変わらねえなぁ。

 

「ほれ、壊相も」

 

「え、いや私は……」

 

「いいからいいから。お前達は今回表に出れないんだし、出来立ての玉子焼きを食べるくらいの役得ねぇとな」

 

 今回の手巻き寿司会場に、流石に壊相と血塗を連れてく訳にはいかねえからな。

 襲撃あったばっかだし、そもそも夜蛾先生こいつらの事まだ知らねえし。

 ……いや、てか今更だか、よくまぁこのタイミングでやりやがったよな、空もよ。

 張相や本人は喜んでるけどがなぁ……。

 

「……では、いただきます。あふっほふふっ!」

 

 壊相は観念したように、俺が差し出した玉子焼きを頬張る。

 息を吹き掛けなかったからか、血塗より熱そうにしてるな。

 

「兄者ぁ、ふーふーしないと熱いぞぉ。

 あっ、誠一ー!俺も兄者にあーんしてあげたいぞ!」

 

「お、いいな、やってあげれば喜ぶぞ。ほれ」

 

「ありがと!兄者!あーん!」

 

「血塗……あー」

 

 錦糸玉子の仕上げを終えようとしていた張相に、血塗から差し出される玉子焼き。

 あつあつだが……大丈夫……。

 

「あふぅっ!ほふっほっふっ!」

 

 ……じゃなさそうだな。

 そんな兄二人の様子を見て、血塗はケラケラと笑う。

 

「あはははは!兄者達、熱いから気を付けないとダメだぞぉ!

 ふーっふーっ……ほふほふ!」

 

 得意そうに言う血塗は、自分で玉子焼きを取り、念入りに息を吹き掛けてから口に放り込んだ。

 にまーと擬音が出そうな程の笑みを浮かべた三人。

 そして面白い事に、三人はほぼ同時にその口を開いた。

 

「「「うまいっ!」」」

 

「はははっ!いい顔だ!」

 

 俺はその様子に笑いが押さえられず、声をあげて笑った。

 九相図三人も顔を見合わせた後、各々笑いだす。

 血塗は大きな口をあげて、二つの口でケラケラと。

 壊相は口元に手を当てて、上品に。

 張相はそんな二人を慈しむように見て、笑い声をあげていた。

 

 ああ、いいな。

 兄弟がこうやって笑いあえる光景ってのは、尊いもんだ。

 

 ……さて、仕込みを続けよう。

 俺が笑顔にしなきゃならねぇのは、こいつらだけじゃねぇからな!

 

 俺はそう自分に言い聞かせて、手巻き寿司の為の仕込みを続けるのだった。

 

 ちなみにこいつらのお母さんである空は、血糖値スパイクで気絶して、硝子に抱えられて運ばれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ!東京校も京都校も交流会お疲れさん!

 正真正銘最後のイベント、俺の用意した手巻き寿司を楽しんでくれ!

 いろんな食材を用意したし、酢飯もなくなれば直ぐに作るからな!

 丼も用意してるから、好きな具材を乗せて海鮮丼にしてもいいぞ!

 希望があれは普通の寿司も握るから、遠慮なく言ってくれ!

 それじゃ、マナーなんて気にせずに好きなように楽しんでくれ!」

 

「「「うぉおおおぉおおおお!」」」

 

 誠一の挨拶と生徒数人の雄叫びと共に、姉妹校交流会最後の食事会は始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふむ……」

 

「あれ、加茂先輩?食べないンすか?」

 

「虎杖君か。いやね、手巻き寿司だなんて初めてで、どうしたものかと悩んでいたんだ」

 

「そうなンすか?っつっても手巻き寿司にルールなんてないッスよ?他の人から見たら変な組み合わせでも、好きに食っていいのが手巻き寿司ッスから」

 

「そういうものか……ところで君のそれはどういう組み合わせなんだ?」

 

「えーっとマグロのたたきにたくあんッスね。マグたくっつって回転寿司とかでよく見ますよ?」

 

「刺身に沢庵……?なんとも珍妙な……」

 

「良ければ食います?まだ口つけてないッスから、良ければ」

 

「ふむ……そうだな、それじゃ遠慮なく……はぐ」

 

「どうッスか?」

 

「おお、悪くない。沢庵のコリコリとした食感と塩っけがマグロのたたきとよくマッチしてる。海苔の風味も堪らない。こういう組み合わせの開拓をするのも、楽しみの一つという奴かな?」

 

「そんな感じッスね。色々試してみると面白いし、美味しいッスよ。さてそんじゃ、俺は海鮮丼にして食おっかなー」

 

「……これが手巻き寿司、か。面白い」

 

 憲紀の顔には、開拓する事の期待、楽しさからか、純粋な笑みが浮かんでいた。

 

「あぐ……さて、次は何を試してみようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「色々あるのね……あ、さくらでんぶ。懐かしい」

 

「お、魔女っ子だ。ミニちらし寿司にしてたんだけど食う?」

 

「さくらでんぶと海苔と玉子だけ……シンプルね」

 

「ここにあと好きな海鮮乗せれるようにっていう気遣いよ」

 

「パンダなのに?」

 

「パンダだからな」

 

「ま、その好意にあやかっておこうかな。どれどれ……はぐ……」

 

「あれ、海鮮乗せないんだ。エビとか飛子とか色々あるぞ?」

 

「んぐんぐ……ちらし寿司ってこれで充分じゃない?」

 

「そうかな……そうかも。俺もこれで食べるか」

 

 桃はパンダと並んでほんのり甘いちらし寿司を微笑みながら頬張った。

 

「ん……なんか懐かしい気分」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これがえんがわ……?私の食べてたの全然違うっ!?」

 

「あー、三輪だっけ?それあれでしょ、回転寿司で食べてた?」

 

「そ、そうです!安いのに美味しくてよく食べてたんですけど、このえんがわは全然違います!コリコリしてて、身が引き締まってて、全然!」

 

「あたしもあんまり詳しくないんだけどさ、えんがわってカレイのとヒラメのがあるらしいわよ」

 

「……!?えんがわっていうお魚じゃないんですか!?」

 

「よくある勘違いね……それで多分これはヒラメのえんがわだわ。はむ……うん、凄っ、それにしたって美味しいわねこれ」

 

「で、ですよね!ほへぇ……勉強になります……」

 

「……高級なのもいっぱいあるんだし、いくらとかうにとか、大トロとか食べてみたら?」

 

「そ、そんな!今回役立たずだった私がそんな高級食材なんて……」

 

「うじうじじれったいわね!ただで高級食材食い漁れる機会なんてそうないんだから、変に遠慮しないで好きなように食べればいいのよ!ほら、行くわよ!」

 

「ひ、ひえぇ……す、すみません……!」

 

 霞はビビりつつも、今まで食べたこともないような高級食材を、感涙しながら食べて行く事となる。

 

「お、おいひぃいいい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「んー、美味しいし楽しいわね。恵君も楽しんでる?」

 

「禪……真依さん、ええ、こういうのも悪くないですね。はぐっ」

 

「何食べてるの?」

 

「んぐ……豚の生姜焼きです」

 

「え」

 

「美味いですよ」

 

「…………まぁ、そういうのも有りよね、誠一さんだもんね……」

 

「……はぐっ」

 

「(でも一心不乱に食べてる恵君は可愛いわね……)」

 

 真依は変わり種を食らう恵に苦笑しつつ……ツナマヨとウインナーを包んで口に放り込んだ。

 

「あむっ……んー♪この組み合わせ美味しいわー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なふぇ(何故)……」

 

 なお東堂葵、究極メカ丸の二人は欠席である。

 先の野球において、真希の投げた豪速球を顎に受けた東堂は、顎の骨が折れ、療養中であった。

 本来なら硝子が治すのだが、現在硝子は空に付きっきり治す為に通常医療にて治療するしかなく、食事などまともに出来る訳もなく、強制不参加となったのであった。

 

「大人しくしていロ……」

 

 だが、油断すればそれでも勝手に参加する事を危惧し、メンテナンスもしたいから、とメカ丸が監視を請け負っていた。

 霞は少し残念そうだったが、メカ丸の後押しもあり、一応の納得をしてメカ丸に任せているのだった。

 

ふらはぁー(ブラザー)……」

 

 メカ丸の呆れたような声と、東堂の悲しげな声が部屋に響いていた。

これからの話

  • このままストーリー継続
  • もっと飯中心にまったり進行
  • そもそも過去に何が?
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