呪術高専さしすせそ!   作:如月SQ

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星野→夢乃
きららちゃん出すとき紛らわしいから変えます


みたらし団子

ぷかぷか

 

窓の外を見ると高専の先生の一人夢乃空先生が、お腹で手を組み仰向けで眠っていた。

すやぁと聞こえてきそうなくらい気持ちよさそうに、何もない中空で眠る夢乃先生。

まあ、いいかとふと時計を見れば授業の時間で。

そういえば次の授業は夢乃先生の初めての授業で。

もっかい窓の外を見れば風に流されてふわーと浮き上がる先生の姿があって。

私は急いで窓を開けて身を乗りだし、手を伸ばした。

 

「すぴー…」

 

「ちょっ…!届かなっ…!虎杖ぃ!」

 

「なんだ釘ざっうぉおおお!夢乃先生ぇえええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やー、ありがとうねー。ついついうとうとしちゃって」

 

すったもんだありつつ、どうにか夢乃先生が風に浚われるのを阻止するのに成功。

夢乃先生は現在教壇の上で宙に腰掛けるようにして、タイツかストッキングか、艶のある黒い長い脚を組んでぷかぷかと浮いていた。

くっそ細いな脚。

 

「どういたしまして!」

 

「窓から飛び出てまで連れ戻したのは俺なんだけど?」

 

「……」

 

虎杖がなんか言ってるけど聞こえない。

 

「それじゃあ、どうしよっか、初めての授業だしー質問タイムする?」

 

その言葉を待ってた!

浮いてる以上気になる事あるし、今のうちに聞いておかないと!

 

「ハイ!」

 

「はぁい虎杖クン」

 

っと、虎杖に先越されたわね。

まぁいいわ、時間はまだあるもの。

 

「先生はなんで浮いてるんですか?」

 

「おー、いい質問ですね、虎杖クン」

 

夢乃先生は、ぽわぽわとした雰囲気を醸し出しながら、 黒い手袋をした手をパチンと叩いた。

 

うーん、見れば見る程この人肌の露出ないわね。

顔以外まったく見えない。

袖が広がってるタイプのコートだけど、長い手袋みたいで腕は黒しか見えない。

足首まであるだろうコートの下部分のファスナーは開いてて、太もも半ばまで見えてるけど、上は首までしっかり閉めて覆ってるし。

ちらっと見えた感じ首も黒っぽかったし、脚のと材質似てるから、もしかすると全身タイツなのかも。

……全身タイツに黒いフード付き長コートかぁ……。

 

「浮いてる理由を話すには…まずはボクの術式について教えなきゃねぇ」

 

目を細めた夢乃先生は、胸元から何かを取り出した。

金色の…鍵?

なんというか、正に「鍵!」って感じの鍵。

持ち手から真っ直ぐ棒が伸びて、先端辺りに鍵山がついてる、鍵をイメージしろって言われたらまず思い浮かぶような形。

 

「ボクの術式はねぇ、【解放呪法】って言ってね、この鍵を差して回す事で、何かから解放する事が出来るんだー。ボクは、常に自分を重力から解放しててね?それでこうやって浮いていられるんだー」

 

ふーん…なんかよくわからないけど凄そうね。

少なくとも浮けるっていうのは間違いなくアドバンテージだし。

虎杖もよくわかって無さそうに首を傾げてるわね。

 

「まぁ、ボクの周りが無重力になるみたいなイメージかなぁ。さっき虎杖クンもボクに触ってれば落ちなかったでしょ?」

 

確かに。

さっき虎杖は完全に窓から飛び出して夢乃先生に飛び付いていたけど、目を覚ました夢乃先生とふわふわと戻ってきてたものね。

 

「成る程…すごいッスね!さっきのあれが無重力って奴かぁ」

 

無邪気に喜んでる虎杖を横目に、後で私も体験してみたいなぁとそわそわする。

そんな私達に、伏黒がわざとらしいため息をつきやがった。

 

「あのなぁ、夢乃先生の術式はそんな浅いもんじゃねえぞ。やろうと思えば……」

 

「あー、ダメダメー」

 

呆れたように口を開く伏黒に、夢乃先生からストップがかかる。

すぃーと伏黒の上に泳ぐように移動すると、その頬に片手を添えた。

 

「伏黒クン、折角ならボクが直接見せたいから、秘密、ね?」

 

顔を近付けて、伏黒の唇に人差し指を立てた。

うわ、あざとっ!

この人五条先生と同じって事はあれでしょ?もうすぐ30!

いや、全然そう見えないけど!

 

空色の瞳をほにゃりと緩めた夢乃先生に見つめられて、伏黒は頬を染めて視線を外しやがった。

 

「っ……ッス…」

 

「てめえ伏黒!照れてんじゃねぇよ!」

 

「ゆ、夢乃先生!コートの中見え、見え…!」

 

「エロガキどもがぁ!」

 

「コートの中?ショートパンツ履いてるから大丈夫だよ?」

 

ピラッ

 

「「……!」」

 

「センセー!履いてても男子にそういうチラリズム良くないでーす!お前らその目に釘ぶちこむぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!この超絶美女を差し置いてデレデレしやがって!」

 

「超絶…」

 

「美女…?」

 

「お前ら…」

 

顔を見合わせて首を傾げる二人。

本当に目に釘ぶちこんだろうか?

イライラしながらしらーっとした反応を返す二人を睨み付けると、いつの間にか側に浮いていた夢乃先生に頭を撫でられる。

ぽんぽん、と優しく撫でられ、思わず表情を緩めて先生を見上げた。

 

「まあまぁ釘崎チャン。落ち着いて」

 

「夢乃先生…」

 

「窓の外から悟クンに写メ撮られてるよ」

 

「は?」

 

言われた通りに窓の外を見れば、片手に携帯を構え、もう片手に何故か大皿を持った五条先生が、笑いながら宙に浮いていた。

……なに?高専の教師は空飛ぶのがデフォな訳?

笑顔で窓をガラーッと開けた夢乃先生を見ながら、私はそんな事を思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー。誠一からみたらし団子いっぱい貰ったから皆で食べよー」

 

授業中にも関わらず、団子を乗せた大皿を持った白髪の不審者が、窓から教室に侵入してそう宣った。

とんでもない光景ね。

 

「五条センセー!授業中ですよ!」

 

自分から招き入れたにも関わらず、何故か夢乃先生はご立腹のよう。

いや、これ楽しんでるよな?

腰に手を当てて頬を膨らませてるけど、目がすっごい穏やか。

現に五条先生に頬を突っつかれて息が漏れると、もー、と言いながらも笑ってる。

 

「何?私達は何を見せられてる訳?」

 

「いつもこんな感じだ」

 

「二人仲良いんだなー」

 

最早見てもいない伏黒に、呑気な虎杖。

こいつら本当に現役高校生なのか?

 

「はい空あーん」

 

「あー…んむっ!おいひー!」

 

あーあー、夢乃先生が誰よりも先に食べたよ。

五条先生が差し出した串に刺さったみたらし団子を、一切の逡巡なしにパクリ…。

ほっぺを押さえて満面の笑み。

うーん。

腹立つけど、美味しそう。

というかいい匂いし過ぎよあのみたらし団子。

 

「はい、皆もお食べ」

 

ずい、と大皿を差し出してくる五条先生に眉を寄せながらも、一本貰っておく。

 

「わー!いただきますセンセー」

 

「いただきます」

 

虎杖は両手に二本ずつ、伏黒は片手に三本…食い意地はってるわねぇ。

ま、私は一本で充分かな。

いい匂いとはいえ、そこまでみたらし団子好きじゃないし。

 

「あむぅっ」

 

口の横につけて唇で一個挟み、串を引き抜く。

団子を口の中に放り込んで唇についたたれを舐めとって、口に広がるあまじょっぱいたれの風味を感じて…。

噛んだ瞬間世界が変わった。

団子に焦げ目ついてるな、と思ってたけど、噛んだ瞬間ねとりとした団子の感触に、カリ、パリ、と少し硬い歯応えがあった。

その瞬間口の中で弾けるほろ苦さと豊潤な香り!

手元の団子をよく見てみると、みたらしの奥、団子の表面が薄茶色、多分醤油風味のカラメルでコーティングされてる!

しかも一度噛むとほろっとほどけて、それ以降食感の邪魔にならない!

団子自体も軽く炙られてて、香ばしさと弾力が良い塩梅。

 

「ごくん…」

 

美味しい…。

 

「うめぇえ!これ、すっご、何個でも食えるって!」

 

「………はぐっ」

 

ばくばくと食う虎杖と、黙々と食い続ける伏黒の反応を見て、私も串に刺さった二つ目を口にする。

正直これは二本三本イケる。

せめてもう一本は確保しないと…。

そう思って五条先生のほうを振り向くと…。

 

「はい、あーん」

 

「あー…む……んまー」

 

教壇に座って、膝に夢乃先生を乗せて団子を食わせてた。

腕の中でぽやぽやとした笑みを浮かべて団子頬張る夢乃先生と、団子を口元に持っていき続ける五条先生。

 

「はぁ!?はぁーー!?何してんの!?」

 

私は慌てて二人に詰め寄った。

いやいや、仲良いねとかいうレベルじゃないわよね?

 

「それ!距離感おかしくない!?恋人の距離感よそれ!」

 

そう言うと、二人はきょとんとした顔をして同時に首を振った。

 

「えー?違うよぉ。仮にもしも恋人作るとしても、悟クンとはないかなぁ」

 

「それ、僕のセリフ。あのね、空はマスコットみたいなもんだよ。愛玩動物っていうか」

 

「「ねー」」

 

「キーッ!」

 

いや、そもそも、ていうか!

 

「夢乃先生って男なの!?女なの!?」

 

体つきがよく見えないし、顔もいいし、髪も長いから判別つかないのよ!

それによって五条先生の膝に乗ってあーんして貰う映像の意味も変わるんじゃない?

いや、どっちでもおかしいけど!

 

私の言葉に、夢乃先生はきょとりと目を瞬かせた。

すると、微笑みを浮かべるとふわりと浮き上がった。

そしてスィー、っと私に近付いてくると、口元に手をやって、私の耳元に答えを告げていった。

 

「―――――――」

 

「えっ…?」

 

私がその言葉の意味を考えてフリーズしている内に、夢乃先生はゆらりと浮いたまま、虎杖と悠仁の二人に向けて、手をパン、と叩いた。

 

「もー後はお団子食べて親睦深める会にしちゃおっか。お茶淹れてくるねー」

 

「僕カルピスで」

 

「悟クンのはブラックコーヒーかな?」

 

「ちぇっ、ケチだねぇ」

 

「淹れてくる、ってなあ」

 

「……あともう少しで授業終わるな…」

 

「あっ。空ー!ちょっと待ちなよ空ー!」

 

焦ったように追いかける五条先生を尻目に、私はさっき囁かれた言葉を考え込んでいた。

特に深い意味はないのかもしれないけど、ちょっと捉え方に困る言葉だったから。

うーん、でもまぁ、なんつーか…。

 

「変な教師しかいねえ……」

 

頭痛がするわ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どっちでもないよ』かぁ…。




【解放呪法】
夢乃空が持つ鍵を差して回す事で、何か解放する事が出来る。
現在本人は重力から解放される事で宙に浮いているらしい。
その状態だと周囲の物や触れてる物も、同様に重力から解放されるらしい。
重力から解放されるだけなのは浅いらしい。

性別
どっちでもないらしい

これからの話

  • このままストーリー継続
  • もっと飯中心にまったり進行
  • そもそも過去に何が?
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