今朝、テレビをつけると、どの番組を見ても同じような内容を報道していた。
新聞もその記事が一面を飾っており、もちろん学校へ行っても、その話題で溢れかえっていた。
教室のドアを開くと、
【火災から少年を救った謎の影】
その記事の内容は一瞬にして戸谷の目に焼き付く。
「優馬‥‥。前、見えないんだけど」
新聞を折りたたんだ優馬に目もくれず、戸谷は教室の中へと入っていく。
座席に腰をかけると、優馬は再び机の上へと新聞を広げた。
「見ろよこれ!!」
優馬はニヤケタ顔で戸谷を見つめる。
それに対して愛想笑いで返すと、優馬は新聞の一部に指を刺した。
「出たんだよ!ガッチャマンがさ!」
記事に写る少年を救う人影。人影なのか?
少年を救う男の人影は無機質に感じられた。
それを見た戸谷は生唾を飲み込み、大きく咳き込んだ。
「そ、そうか?俺には、勇敢な一般市民にしか見えないけど」
戸谷は白々しく答える。
なにせ、そこに写る無機質の男は、自分なのだから。
ホームルーム開始のチャイムと同時に担任が教室へと入ってきた。
「やべ!!」
優馬は、
ホームルーム中、
体を纏った黒い鎧、奇妙な光、謎の手帳。あの手帳を使えば、もう一度あの姿に‥‥‥。
しかし、戸谷はある不安に駆られていた。あの力を何に使っていいのかと。
そして、戸谷はひとつの決断をした。
『もう二度と、あの力は使わない』
放課後、座席に座る戸谷の元に
「きりしまー」
琥宵は、
「あんた、明日暇でしょ」
琥宵は、戸谷の予定を決めつけると、勝手に話を進めだした。
「実は明日、静芽の誕生日なんだ」
戸谷は、真反対の席に座る静芽の事を見た。
「まだ、誕生日会を開くこと言ってないだ。そこであんたにそのこと言って来てもらいたいの」
「なんで、俺が!」
琥宵の後ろで、優馬が申し訳なさそうに手を合わせていた。
「じゃっ!渡したち、この後用事があるから」
二人は、逃げるようにその場を立ち去っていった。
それを見た戸谷は、あることに気がついた。
「あいつらって、あんなに仲良かったっけ?」
立ち去る、二人の背中を見送った戸谷は、再び静芽を見る。
そして、席を立ち上がる。気がつくと周りに人影は無く、夕日が二人を照らしていた。
「あの‥‥静芽‥‥」
席に座るりながら本を読む赤草静芽は戸谷の顔を見るなり、
なぜか照れくさく、言葉に詰まった戸谷は一度大きく咳払いをした。
「あの‥‥。優馬と琥宵と誕生日会を開きたいんだけど明日行っていいかな?」
静芽は、一度考えた後、小さな声で言った。
「いい‥‥よ。けど、明日オフ会があるんだ。それが終わってからでいいかな?」
「おう!じゃあ、あいつらにも伝えとくね」
同時刻、廊下から教室をのぞく二人の人影があった。
その一方の女性が話し出す。
「うまくいったね」
その片方の男性は、不安な表情でたずね。
「勝手なことして、戸谷は怒らないかな?」
女性は軽い口調で返した。
「霧島なら大丈夫でしょ!!」
「やべ!こっち来た!」
二人は教室を出ようとする戸谷に気がつき、その場を立ち去ったのだ。