ダークギャザリングに問題児2人 ただし、最強。 作:すぱーくしーど
渋谷掃討作戦が終了した。結果は未登録特級呪霊4体の討伐、同時に特級術師夏油が取り込む事に成功。渋谷駅周辺に溢れ出た改造人間においても殲滅を確認。一般人の死傷者は一桁に抑えられ、呪術師側の死者は0という快挙であった。
夏油と五条は高専に戻り、保健室にいる同級生、硝子のもとに向かっていた。個人では会って会話をしていたが、2人で話が出来ていなかったのだ。
「そういえば、私が離反して以来か……。同級生が揃うのは」
「あー、そういやそうか……。俺も元の世界じゃ封印されちまったし、今の世界じゃ硝子も高専も無いからな〜」
「ふふ、大人になってから同級生と談笑するっていうのはなんとも懐かしさを感じて……良いね」
「んだよ、オッサンかよ〜。ま、そういうのは硝子が揃ってからにしようぜ?」
しかし、この仮想世界はそこまで甘くなかった。保健室の扉を開けると、目に映るのは、透き通る水面と水平線、そして禍々しい赤ん坊のような化け物だった。
[私に危害を加えれば、望んで止まないこの世界は永遠のものとなるだろう]
「ふーん、そういう霊か」
「何か分かったのかい、悟」
「これはある意味、厄介なやつだよ。自分が指定したエリアに獲物が踏み込んだ瞬間、領域に捕捉。その領域では獲物が想う理想、望んだ世界を見せるんだ。最終的にこの領域にいたいと望む獲物は、急に現れるこの疑似餌に危害を加えると、この領域から出られなくなる……」
「その感じだと、恐らく死ぬまで出られない感じかい?」
「正解だ、傑。相手が望む世界を見せる領域、そしてその対価はまさしく当人の寿命、死ぬまで呪力を搾り取られる」
「……。望む世界で生きられる代わりに、ただ死ぬまで呪力を吸われ続ける……か」
「この領域は強力だよ、必中もクソもない。だって領域内にいてくれればいいだけなんだから」
「自らの意思による危害の一切を禁ずる代わりに、儀式によって魂と肉体を領域へと吸収する縛りのようなものかな」
「……」
「……」
五条と夏油は、六眼によって得た情報を基にこの領域を推測するまでは良かったが、領域外への安全な脱出方法は複数個も思いつかず、口を閉じてしまった。
「世界から……人生からの脱出……」
「自ら……ということかい?しかし、万が一脱出できず、この領域内での死と現実での死が結ばれているものだとしたら?」
「いや、それはほぼ無いだろうな。このレベルの領域を維持しなきゃいけないんだ、死なせちまったら元も子もねぇ」
「そうか……なら覚悟は決まったかい?悟」
「ハハッ、こっちのセリフだよ傑」
2人は向き合い、掌印を結ぶ。それは互いに最も強力な一撃を放つためだった。
「極の番 うずまき」
「虚式 茈」
2人の最大攻撃の衝突は、莫大なエネルギーを生み、領域内を飲み込んでいく。領域の主は、『害意がない、大規模な呪力の奔流に呑み込まれた』
そして目覚めると、様子の変わらぬ廃村が2人を迎えた。