ダークギャザリングに問題児2人 ただし、最強。 作:すぱーくしーど
旧I水門へ到着した夜宵一行。心霊スポットらしく、不穏な雰囲気を感じはするが、いつものような身体を圧迫するような力、呪力は感じていなかった。
「あれ?ここランクSなんでしょ?呪霊換算で、特級レベルの割には、そんな感じはしねぇけど……」
「うん、私も同感だ。しかし、巧妙な敵は自分の力を曝け出すだけじゃない。敵は想像以上に賢しいのかもしれないね」
「ねぇ、この旧I水門はどんな霊が出るの?」
「それは、わたしが説明しま〜す!えぇっと……。
・死体が流れ着く場所と言われ、大量の霊が現れる
・水の上に黒い人影が浮かんでいる
・水門の上に女性の霊が現れる、またその霊をみた者は女性と同じ末路を辿る
他にも色々と…って感じかしら!」
「なるほど、女の霊と黒い人影には気をつけておこう。特に女の霊は面倒そうな気がする」
夜宵達が心霊スポットにまつわる話をしていたからだろうか。旧I水門の上に不自然な人影が現れた。
「あ、アレじゃね?その女の霊って」
「ん〜、本当だ。シルエットは女性っぽいね」
「2人とも!!見て大丈夫なの!?」
「大丈夫、俺ら最強だから」
「海の畏れ、陀艮」
夏油は、水と関わりが強い陀艮を呼び出す。呼び出された陀艮は竜のような深海にいるであろう巨大魚を召喚、そのまま女の霊の下へ向かわせる。霊は何かしようとしたのか少し抵抗したが、特に何もできず巨大魚に喰われてしまった。
「陀艮、完全に消化するなよ。後で取り込む」
「あれ?コレでおしまい?」
「なんか呆気ないね」
「嵐の前の静けさ、流石にあっけなさ過ぎる」
「なーにしてるんだ!お前達!!ここは遊びで来るような場所ではない!!」
夜宵一行はいきなり怒鳴られたので、後方を見ると、少し呪力を帯びた老婆がいた。
「幽霊!?」
「いや、人間」
五条は六眼で、その老婆を観察。こちらの世界の呪術師に近いような存在であることを看破した。
「おい!ガキンチョ共!肝試しかなんだか知らんが、こんな所にいちゃならん!!先程、途轍もない力を感じた!とんでもない力だ!!儂でも逃げるぐらいしか出来ないかもしれんほどじゃ!」
「あの、お婆さん。もしかして、その途轍もない力ってコレ?」
夏油は申し訳なさそうに陀艮を頭だけ呼び出す。陀艮もなぜ頭だけ呼び出されたのか分からず困惑している様にもみえた。
「あ……あぁ……」
お婆さんは陀艮を認識して直ぐに泡を吹いて気絶してしまう。夏油はさらに申し訳なさそうで、陀艮はわけも分からない状態のまま戻された。
「いっけねぇんだ〜、ババァ気絶させた〜。特級の呪力浴びせるとかエゲツねぇ〜。やってること下手すりゃ呪詛師だぞ」
「し、仕方ないだろう!?力の説明をするのなら、そのモノ自体を見せたほうが早いと思ったんだ!!まさか倒れてしまうなんて……」
五条と夏油がワチャワチャしはじめた頃、夜宵が口を開く。
「色々と聞きたいことはあるけど、今はそれどころじゃないかもしれない。また水門の上にいる。今度は数も多い」
夜宵の言葉に全員が水門を見上げると、そこには十数体の黒い人影が立っていた。そして、そのまま水門の下へ飛び込む。しかし、完全に落ちる前に身体が跳ねて停止した。よく見ると、首のあたりに紐が括られて、吊るされていたのだ。
すると、夜宵達の首にもじんわりと紐のような跡がつき、そのままじわじわと首が絞まる感覚を覚えた。このままでは不味いと判断した夏油は、再び陀艮を呼び出す。
「影の首を絞めている紐を切れ!」
[紐だな]
「え!?喋った!?」
「喋るんか、コイツ!」
「夏油の霊も喋るんだ」
「傑くんの霊って話せるんだ……」
「話さない見た目してるのに……」
話しただけなのに全員から謎にツッコミを入れられた陀艮は少し憤りながら、水を強力に圧縮しレーザーのように横へ薙いだ。影の首を絞めていた紐は呆気なくちぎれ、そのまま、水門下へ影は落ちていく。影が下へ完全に落ちきる前に、陀艮は影を巨大魚で全て回収し、こちらへ持ってきた。
「?そこまで命令はしてないけれど……」
[見たところ、影の状態がお前たちに同様の影響を与えると仮定した。そうなると、そのまま落下した場合はその男と女は死亡する可能性が高い。だから衝撃を与えないように回収、そのまま主の下へと届けた]
「賢いな……」
「え、ありがとう……えっと、だごん?」
「だごんちゃん!ありがとう!」
[ふん……人間の感謝などいらぬ]
夏油が何か言う前に巨大魚から多数の霊を吐き出させた陀艮は、そのまま夏油の術式へと戻っていった。
「……自律してるなこの呪霊」
「ちゃんと会話できるしな。さすが特級♪」
夏油は霊をそのまま取り込み、全員の気が一瞬緩んでいた時、ソレは現れた。
[お兄ちゃん、すごいんだね……]