ダークギャザリングに問題児2人 ただし、最強。 作:すぱーくしーど
キツネのぬいぐるみから滝のように血が溢れ出している。大量の血はベールの様にぬいぐるみを覆い、血のベールが開かれたそこには遊郭のような街並みが炎で形成され、花魁道中の様に和装の燃えた人骨が連なっていた。その花魁道中の先頭には、非常に妖艶な弟切花魁の姿があった。
少年の霊は急に現れた花魁を警戒し、五条以外の人間にも複数腕の攻撃が効かなかったことから、いわゆる第二形態へと移行する。少年の体をぐるぐると腕が回り、結果二回りほど大きくなる少年霊。その姿はまるでミイラ男のようだった。
そのまま少年霊は複数腕を未知数である花魁へと伸ばした。
[フフ。少し小さすぎるかねぇ。けど、手が早い男は嫌いじゃないよ]
[おとうさんを殺したおかあさんみたいなヒト……キライだ]
伸ばした手は花魁の顔を裂き、自分の美しい顔面を汚された花魁は怒って蝶を飛ばす。飛んでいった蝶は少年霊に止まると、炎となって燃え上がった。
五条たちは卒業生とI水門の霊との闘いぶりを観ていた。
「あれ?これ俺ら様子見?」
「まぁ、私は卒業生の能力を直に見ていないから、見学は賛成だね。悟はトンネルで見たんだろ?」
「あ〜そいえばそっか。そうそう、卒業生の基準がアレなら、呪霊の扱いでは特級クラスが卒業生の最低レベルだ」
「特級とか非常に気になる言葉だけど、今はこの場に集中しといてほしい。特に2人は、詠子とけいたろうの護衛もお願いしたいから」
「うん……、守ってね。悟くん、傑くん」
「頼りにしてるね!」
「もちろん!強気を挫き弱気もくじく……だっけ?」
「……。あ〜、違うよ悟ゥ……」
夜宵一行が雑談をしている間にも、怨霊同士の衝突は続いていた。双方ともダメージを受けても肉団子や他幽霊から力を吸い取り回復し、どちらかが先に果てるまでの泥仕合となっていた。
「これ、外部がなんとかしないと永遠にやりあうんじゃないか?」
「いや、そんな事もない。双方、回復するスタイルは似ているけど微妙に回復方法が違う。I水門の霊は、他幽霊などを掴んで肉団子にしてから捕食して回復している。それに比べて弟切花魁は、炎の蝶(
「あ〜……。確かに、その回復方法なら工程に時間が掛かるI水門の少年霊は不利だね。それに、呪力反応を見ると双方ともまだまだ全力ではなさそうだ」
「そう、弟切花魁の呪いはまだこれから」
夜宵の言葉を皮切りに、少年霊に異変があらわれた。全身に水疱や瘤、膨れ上がり、一部は破裂して膿んだ液を撒き散らす。頭痛や嘔吐、発熱の症状が現れ、運動能力が著しく下がっているようだ。
「疫病、この能力で相手を弱体化する。弟切花魁は敵が強ければ強いほど厄介になる」
「うわぁ……。トんでもない呪いだね……」
「ただ、不思議なのは私達に攻撃してもおかしくないのにその気がなさそうな所。私達が油断した瞬間を狙っている……?」
夏油と夜宵の操りコンビが呪いトークを繰り広げていると、離れた場所の五条から声が届く。
「おーい!この燃えてる蝶、めちゃくちゃ寄ってくるんだけど、なんで?」
五条の周りにいる蝶は、他全員と比べても、倍以上の数がいたのであった。五条を除いた一行はそれぞれ顔を見合わせる。最初に夏油が口を開いた。
「悟ゥ〜、君のことだ。いくら霊だからと言って女性にデリカシーのない言動をしたんじゃないの〜?」
「いやん、女の敵」
「回収する時に何をしたのさ……悟くん」
「ははは……。デリカシーはねぇ、大事だよ〜」
「はぁ!?呪術界一ナイスガイの五条悟がそんなことするわけないんだけど!!」
「……歌姫さんには?」
「別にいいでしょ〜。歌姫なんだし」
「はぁ……。まぁ、私も言えることではないけれどそういう所だろうね、きっと」
弟切花魁と歌姫の声優が同じ人だってこと、この話書いて気づきました。