ダークギャザリングに問題児2人 ただし、最強。 作:すぱーくしーど
[なぁ、そこの娘っ子。貴様も焼いてしまうと良くない。下がっていてくれ]
[……]
自刃童子は一度頷くとそのまま姿を消した。それと同時に覆われていた膜が昇天するようにキラキラと消えていく。
[おい、そこの小娘。貴様もわざわざ焼かれたくないだろう。大人しくしてくれると楽なんだが……]
[だれが、小娘だい。ふざけたこと抜かしてると焼き吸い殺すよ]
[ん?数百年程度じゃないのか?元人間は分かりづらいなぁ……まぁ、良い。戦闘不能にさせてもらうぞ]
[この火山頭が!!]
弟切花魁が燃える蝶を漏瑚に向けて飛ばす。しかし、漏瑚の近くに飛んできた蝶は、炎であるはずなのに燃え尽きてしまった。
[儂は大地の畏れから生まれた。小娘の炎とは年季も火力も違うのだ……。実力差はわかっただろう。ここは大人しく下がってくれないか?]
[うるさいね!あの白髪頭とクソガキはこの手で殺さないと気が済まないのさ!]
炎の蝶に加えて、遊郭の形を成していた炎をも漏瑚に向かわせる。蝶と放射状の炎は、まるで天の川のような美しさもあったが、下手に近づけば火傷ではすまない火力を有していた。
[これなら……!?]
弟切花魁の本気の炎が炸裂し、土埃と煙から見えたのは、ほぼ無傷の漏瑚であった。
[言うただろう。儂は大地の畏れの化身。火山やマグマはもちろんのこと、この星のマントルや核のような火力を有している。今の炎では有効打にならんのだ……。まぁ、炎の蝶は呪力を吸われるようだから当たる前に燃やし尽くしたが……]
[こんのぉぉぉぉぉお!]
弟切花魁は火炎を放った。漏瑚はまた同じ手かと一瞬呆れたが、すぐに思考を切り替え、回避に転じる。漏瑚の判断は正解だった。この時、弟切花魁はただの火炎を放ったのではなく、第二の呪い、疫病を火炎に込め、触れた瞬間発動するようにしていたのだった。
[ちょこまかと……]
[火力だけと思われていたなら心外だ。……呪いは真実。真実から生まれた儂ら呪霊こそ本物なのだ。貴様も同類だろうに、まだ偽物の感覚に引きずられているのか]
[御託を並べて……]
[いや、御託ではない。これは信念なのだ……]
漏瑚が動く。弟切花魁の目に追えない速度で背後へ周り、肩に手を添えた。そのまま、焼滅はしない程の火炎で
弟切花魁を焔で一瞬包んだ。
決着は一瞬だった。あれほど騒がしかった戦闘が終わり、そこには静寂だけが残った。
[貴様も仲間なのだ……。生まれは違えど呪いなのだ……]
漏瑚はそう呟き、夏油の術式内へと姿を消した。
「……。え?普通に戻ってきたんだけど?そんな事あるの?できるんだ……」
「……傑が空気読んで良い感じに戻したんじゃねぇの?」
「いやいや、そのうち戻そうとは思ってたけど……」