☆
赤井秀一が組織を抜けたらしい。
私は組織の内部事情を知る機会は殆ど無いのだが、一緒に仕事をしたこともあってか、ウォッカ経由で教えてもらった。
実はNOCだったと。知っていたが、仮に前情報がなくても私なら気が付いていたと思う。あの勤務態度は誰から見ても組織に忠誠を誓っている人物のソレじゃなかったと思う。マジで。てか明美さん大丈夫かな。
それと、私はもうすぐ本庁勤務が始まる。
私の配属先は警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係だった。
これまで色々大変なこともあったけど、一緒に働けることが憧れだった。これまでに三係に配属になった方々は大変優秀な方々ばかりなので、私も頑張った。流石に全力は出せないけど。人間離れした人がこの世界には数多く存在するけど、人間の範囲でセーブした。
凄く嬉しいけどマジでヘマしたくない。恥晒したくはない。頑張りたい。
そんな緊張感があるけれど、今日から数日有給を取ってアメリカに行くつもりだ。
この世界だと仕事は休みたいときに休める風潮があるから取りやすかった。
なんでも変形する人間がトップの闇組織があるという噂を聞いた。
これは黒の組織とは直接関係がない組織で、別に組織の仕事としてアメリカに来たわけではない。組織の下っ端密輸人から聞いただけなんだけれども。
とりあえず、行きの飛行機はゆっくり寝よう。
少しでも向こうでの活動時間を増やしたい…。
飛行機に搭乗して数時間が経過した頃ーーー。
「ーーーきろ、古三」
「…」
ヒギーが囁いている気が…気のせい。
「起きろ!!」
左手が勝手に、頬を叩いてくる!
ペチペチ痛い。
「いてて痛い!何、どうしたの」
「飛行機内が何やら慌ただしい。…どうやら死人が出たようだ」
確かに、他の乗客達が悍ましいものを見たとても言いたげな顔をしていたり、死人が~と話している。
「ええ~そりゃまた恐ろしいね。っと、一応私も警察官だし様子見に行かないと」
いつの間にか飛行機の照明が明るくなっていた。
この後の予定を考えると、マジで寝てすっとぼけたい。しかし後々行かなかった事を問い詰められるよりは良いだろう。こんな考えしてるの、警官向いてないような。
通路が人でごった返しているが、無理矢理進んでいく。
「ッすみません、通してください…!」
人が溢れている通路を無理矢理通っていく。
ある程度進むと、見知った顔ぶれがいた。
「ん…おお、泉ではないか!君もこの飛行機に乗っておったんだな!」
「ええ、目暮警部。お疲れ様です、事件ですか?」
まさかこんな上空で出会うとは。驚いた。
「おおう、そうだ。今乗務員に高木を起こしに行ってもらっとる。緊急時だ、手伝ってもらっても?」
「勿論です、警部」
その後、高木さんも来て、私がいることにびっくりされた。
目暮警部が高木さんに、私があと1か月後に本庁勤務で同じ課になることも説明してもらった。
よろしくね高木さん。
さてさて、仕事~。
この時期にアメリカ行きの飛行機で起こる事件といえば…。
予想どおり、既に現場にはあの、有名な…!!!
「工藤新一…探偵ですよ」
キャーッ!素敵ー!!!
工藤君っていうのね。ふむふむ。後で自己紹介しておこう。
近くに蘭ちゃんもいる。
その後は目暮警部と工藤君がちょっと言い争いになっていたり、私と高木さんがパシリにされたり、まあまあ経ってから事件は解決。
事件は解決したのに、蘭ちゃんのお顔が真っ赤です。何を聞かれたのかは想像がつくけど、確かに私もあんな話されたらそうなっちゃうかもな。
名探偵に軽く挨拶せねば。
「初めまして、こんにちは。貴方は工藤新一君と言うのですか」
「こちらこそ初めまして。俺は工藤新一です」
「私は泉古三と申します。今度から目暮警部の下で働くから、また会う機会があるかもしれませんね」
その後、ほんの少し雑談をしてから、私は仕事に戻った。
推理ショーの間は、私は終始無言。見事な推理ショーを邪魔したくない。
犯人の取り調べは空港着いてからで、私も途中まで来てほしいんですか、はあ。
この世界は事件が起きたら探偵に頼るパターン多いんだけど、事件も早く片付くし、助かった。
☆
無事ロサンゼルスに着き、諸々の事務仕事を終わらせてから解放された。
折角の有給が。
まあ事件を解く探偵を直に見れただけで良しとしよう。むしろお釣りが出るくらいだ…工藤君に貢ぎたい。
空港の検疫にX線検査機のようなものが設置されていた。恐らく寄生生物対策だ。まあ私は左手だけ骨がないので、上手い事隠して突破できるはず。システムが変わっていなければ。
適当なホテルは既に予約済み、あとは例の奇形人物を始末して、その後ニューヨークに行って舞台を見る。
休暇をエンジョイするぞ。
例の組織はあっさり倒せた。
なんというか、人間味のあるパラサイトだった。人間と共存する道を選んだが、上手くいかなかったから人間と敵対してしまった感じであった。
常に合理的に行動、てわけどもなかった。珍しいことである。
人間にあこがれて共存を選んだろうに、何故事を荒立てるんだ。
まあ、色々あったが、観光もしたり、それなりに楽しんでからニューヨークに移動する。
時期的にシャロン・ヴィンヤードの事件と被りそうだけど、原作見れたらラッキーなくらいの気持ちで劇場に来た。
劇場に着いて後方の席に座る。
当然だけど私のお給料じゃSS席は取れない。一番後ろに近く安い席である。
開演したが、劇中の空調が寒かったので、トイレに行く。
折角チケットを買ったのに勿体ない。惜しい気持ちになりながら戻ってきたら、ステージ中央で男が吊るされていた。これはまさか。
加えて、男の近くには工藤君もいる。
銃が使われているので、観客は一斉に出口を目指す。これは私も逃げないと。
普通に遠距離からの攻撃には寄生生物は弱いし、私は今回正規ルートから国外に来ているので、銃を持ち込めない。
みんなと一緒に逃げる。
劇場の外に出たら、もう警察官がいた。早い。
暫く待機していたら、現場検証のため、劇場には入れないという。今回は中止になるそうだ。
推理ショーは見れないけど、まあ、仕方ないか。
仕方がないので適当に街中を見回って帰ることにする。
ニューヨークといえば、高層ビルがたくさんあって、日本と比べて近未来を思わせるような街並みだけど、その反面、ホームレスもたくさん存在する。
寄生生物がホームレスになり替わるのは、身分がないという点では便利だし、それなりにいると思われる。
いくら寄生生物達が共存を選んだと主張しても、当然そうではない個体もいるし、いざという場面に人間を新たに殺してしまうかもしれない。私としては、存在しないことに越したことはない。少しでも原作ブレイクを回避したい。表社会で共存を選択した寄生生物よりも、裏社会に蔓延る寄生生物の方が、無暗に殺傷行為をするので脅威である。
という訳で、寄生生物を始末しに行こう。
ここからホテルは近いので、急いで帰って、着替えを取りに行く。
適当な路地裏に入って、人目がない瞬間、上に羽織っていたものを脱ぐ。靴も取り換えて、盗まれないように隠して置いておく。
変身が完了したら、屋根にジャンプ。
猛スピードで走り回る。
周りを軽く見渡してみるが、あまり人通りが少ない。
暫く屋根伝いに走り回ると、惨殺された死体を発見した。痕跡から見て、寄生生物にやられたのは間違いないだろう。
今は能力を解放しているので、信号の受信も可能なので、それを頼りに周辺を散策する。
少し遠くへ行くと、信号がキャッチ出来たので、その場に向かった。
そこには、見古びた服装をした男性がいた。
「ん、なんだ?同士か」
「…」
ドシュッ
早速倒せた。
まだまだやらないと。
別の信号もキャッチできたので、そっちに向かう。
次々に始末していく。
海外の寄生生物を倒せる機会は中々ないので、出来るだけ多く倒そう。
倒した数が片手で足りなくなる頃。
ヒギーが私に話しかけてきた。
「あそこ、やけに警官が多いな」
「…確かに。何かの事件があったのかもしれない。避けていこう」
「うん」
あの通りを避けるように反対側へ向かう。
「信号をキャッチした!パラサイトが高速で迫ってくる!方角西!」
「了解。すでにこっちを見られていたか」
敵がこちらにやってきたとしても、駆除するつもりなので、適当な路地裏に降りて、奴を待つ。
互いに位置を把握している段階なので、今更不意打ちはできない。
「…距離10メートル!」
ヒギーが囁く。
目先にある路地から、男が出てきた。
「…お前、あれだな。最近我々の同胞を殺しまくっている奴は」
「…」
珍しい。向こうが対話してくるなんて。
「危険だ。始末してやる、必ず」
「?!」
寄生生物がこちらに突っ込んできながら、頭部を変形させ、殺そうと触手を伸ばしてくる。
こいつ、滅茶苦茶素早い。
しかもこのパワー、まさか。
「…気配が複数あるな」
「やっぱり」
ヒギーが教えてくれたが、こいつは一つの個体に2匹以上のパラサイトがいるらしい。
倒すのに一筋縄ではいかないだろう。
「お前の事…知ってるぞ。とある組織に雇われている…ブラッドノックだ」
まあこんだけ活動していれば有名になるか。
兎に角、こいつは運でどうこうなるもんじゃない。確実に、仕留めなければ後々障害になるだろう。
「…仕留めるぞ」
「勿論」
☆
無事に奴を仕留めたが、こちらも無傷というわけにはいかず…。
脇腹をごっそり抉られてしまった。
早く帰って、治療に専念しないと。
パラサイトと混じっているこの体は、治癒力がとてつもなく高い。
そのまま放置しても、5日あれば完治するだろう。
「まあ、2匹だけで助かったっていうか…」
「そうだな。それに、僕が思うに古三は9年前よりも格段に強くなっていると思うよ」
9年前っていうとあれか。後藤に襲われた時と比べているのか。
あの時は5匹くっついていたが。
「まあ、これからも頑張らないと。最近何故か活動が活発になってきているし」
「ああ、そうだな。今は、帰って体を休めよう」
「うん」
ホテルに帰る前に軽く止血して着替えてから戻らねば。
目的地まで屋根伝いに見つからないように走って逃げる。
今日は雨が降っているから足元に気を付けないと。それに、傷も滲みる。
「って、うぉッ!!」
足を滑らせて落ちそうになる。
「ヒギー!」
「ああ」
ヒギーが伸びて屋根をしっかり掴む。
危なかった…。
バキッ
「「あ」」
掴んでいた屋根が曲がり、取れた。
まぁ、そこだけ見るからに古そうな建物だし。
ナンテコッタ。
「落ちる…」
空中で体勢を立て直し、何とか足で着地。
少しよろけて、尻もちを搗く。
「古三、すまない…今日は力を使いすぎた…寝る」
「ああ、うん。着陸地点間違えたのごめん。ありがとうね、おやすみ」
ヒギーは一日6時間ほどしか活動できない。
今日みたいに思いっきり力を解放している状態だと、4時間ほどしか起きていられない。
「あー、今日も疲れたなぁ」
ヒギーが寝たことで、信号を発することはない。
ゆっくり帰るとするか。
立ち上がって動こうとする。
「…え」
「ぁ?!」
10メートル先に人がいた。
しかも、誰かを抱えている。
雨でよく顔が見えない。
治安が悪い場所なので、人を抱えているってことは向こうも誰かにやられた後なのだろうか。
「ッおイ!!お前!大丈夫か??!」
誰かに見られてしまったのでとんずらしないと。
立ち上がって走り、目の前の角を曲がる。
向こうは人を抱えているんだ、そう追いつけないだろう。人を投げ出したら別だが。
ちょっと走って撒けたので、壁にもたれかかって周囲の様子を見る。
さっきのはたぶん、工藤新一と毛利蘭のシルエットに見えたな。
雨が激しくなり、視界は悪くなるばかりだ。
「…お前、ブラッドノックか?」
「?!」
気づかなかった。
距離15メートル程から声が聞こえた。
それに、私の名前知っているってことは…組織関係者か?それともーーー
相手が近づいてくる。
濡れた視界で相手の顔を見る。
「赤井、秀一…」
想定外すぎて、思わず安室さんみたいにフルネームで呼んでしまった。
赤井秀一がこちらに駆け寄ってくる。
逃げないと。
「大丈夫か…?!血塗れじゃないか!」
何とか足に力を入れて、走ろう。
「待ってくれ!」
「ッ?!」
手首をつかまれた。
走ろうと思えば、このまま引きずっても走れるが…。
「酷い怪我だから手当させてくれ。別にお前の事を捕まえようだなんて今はしない」
いつかするんですね。
「離せッ…!」
穏便に済ませたいんですッ。
赤井さんは怪力ゴリラだし、普通の人では出ない握力で握ってくる…。
「話を聞いてくれ、ブラッドノック。俺はお前達が他のパラサイトとは違うと思っている。FPIはパラサイトを捜査している。それに協力してほしい」
「無理だ」
「何故だ?!こちらはお前に危害を加えない!」
監視付きの生活なんてごめんだ。
仮に、正体がバレているならそっちの方が安全かもだけど。
そしたら多分、日本の警察辞めさせられる。
原作キャラを身近で見られないなんて、生きている意味がないと同等だ。
パラサイトは地球上に未知数にいる。
奴らを始末せねば。でないと不安で仕方がない。
それに、FBIは恐らく私のような中途半端な存在は確認できていないんだろう。
「他に、協力している寄生生物はいないのか?」
赤井秀一に聞いてみる。
「…俺が聞いた限りではいないはずだ」
やっぱり。
普通危険視されて即殺されちゃうもんね。
「…ほら見ろ、他の警官が銃をこっちに向けているぞ」
「なッ?!やめーーー」
赤井秀一が振り向くが、そこには誰もいない。
無理矢理引っ張れば、手の力が抜けていたのか、抜け出せた。
「クソ!待ってくれ!頼む!」
全てのパラサイトを相手にできない。
私は原作に被害が及ばない範囲で動きたい。
大急ぎで走って屋根に乗っで逃げた。
「…赤井さん、またいつか」
☆
さっきのゴタツキと雨が激しくなったお陰で体力がかなりマズイ。
仕方ないので、最寄に組織のアジトがあったはずなので其処に寄ることにする。
そこの医務室から何か物を借りて休憩しないと、帰れる気がしない。
裏路地を通って、ヘトヘトになりながら、何とかアジトへたどり着いた。
ここは殆ど使われていない。あるのは小さい会議室にベットに軽い医療道具など。
むやみやたらに行動するよりも、しっかり計画を練って合理的に行動するべきだった。
道具箱を取り出し、軽く手当てしていく。
ガチャリ、と部屋のドアが開く音がする。
「…ブラッドノック?!」
「明美さん?!」
奥の部屋から明美が出てきた。マジで私瀕死なのかな、こんな事に気が付かないなんて。
「ちょっと、凄い怪我じゃない!ここの医療道具じゃそんな手当できないわ!まって、今医者に」
「…やめてくれ、明美さん」
「でも!」
「知っているだろう?私の傷の治りが人間離れしているくらい」
明美は組織の中で数少ない同年代の人なので、前からそこそこ交流があった。
「そういえば、貴方、やっぱり女の子だったのね」
「ッあ!イテ…まあ、な」
腹膜ってるから晒巻いててもバレるか。
宮野明美。にわかコナン勢でも知っている人がいる、組織に殺されてしまう女。
私が助けたいと思っている人。
この人になら、私の事を話してもいいのだろうか。
明美さんは手当てしてくれる。
「私、さっきここに来たばかりで…。アメリカに行くとは貴方に伝えたけど、まさかこんな所で会えるなんて」
「そうだな、私もびっくりだよ。他に人はいなさそうだな」
「そうよ、だってこんな辺鄙なアジト。私も貴方がここに寄るって聞かなければ来ないつもりだったし」
暫く他愛もない会話をし、治療が終わった頃。
「お礼に何かする。望みはあるか?」
「…望み、ね」
俯く明美さん。
「何でもいい。例えば、友人から親友になってくれ、でもいいんだぞ」
願望を含めて言ってみる。
ただし、そもそも友人であると互いに認識しているとは限らない。
「え?私は、親友、嬉しいわ…」
「…じゃあ、親友の頼みなら、何でも、完璧にこなすぞ!」
こちらからお礼を提案したのに、あっさり受け入れてもいらったので、もう一度聞いてみる。
「なら、…もし、なにか私の身に何かあれば、妹を、志保を守って欲しいの!」
明美さんは頭を下げてお願いしてくる。
「私は、友人が自分の死期を悟っているというのをみすみす見逃すつもりはない。私が、妹も、明美も、両方守ってやる!」
「え、そんな、」
「…私に友人といった人物はもう10年以上はいない…どうか、守らせてくれないだろうか?」
まあ、寄生生物を色々狩っていた中学の頃に色々あったことで、基本的にぼっちを貫いてきた。
明美さんが気になるからという下心を持っての提案である。
「私は…!」
☆
後日、明美さんの妹の志保ちゃんに会わせていただきました。
とても可愛らしく、クールでカッコ良い女性でした…。
☆
1年以上放置していますが、それでもお気に入り登録してくださる方がいて嬉しいです。
☆お知らせ2026.3☆
続きは定期的に書いていたのですが、初期構築ちゃんと固まっていなかったので、
これまでの投稿分含めて修正します。(専門的な知識は相変わらずないので、そこの修正をするわけではないです)
続きは多分数年後に予約投稿されるかもしれません。出来上がり次第です。。。