黒の剣士の妹分?   作:唄乃 奏

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第十一話

「……そういや、最近リンのやつを見ないけど、リーファどうなってるか知ってる?」

 

しばらく肩を落としてしょぼくれていたキリトだったが、やがて何かを思い出したかのように顔を上げてリーファを見た。キリトの発した名前に、リーファは「あぁ」と苦笑いを浮かべる。

「なんか、レコンのやつから聞いたんだけど。どうやら受験終わるまでアミュスフィア取り上げられちゃってるんだってさ」

「あぁ……それはお気の毒に」

「リン……さん?」

リーファの話に、彼女同様苦笑をもらしたのはキリトだけで、その隣にいるアスナは首をかしげた。

「誰? 共通のフレンドかなにか?」

「あぁー……」

アスナの問いに少し考え込むようにキリトが視線を泳がせた。

 

「えっと。正確にはリーファとレコンのフレンド、かな? 俺は登録し損ねたんだけど。フルネームはリィンナールっていって、ちょっと前に《ALO》を始めたやつなんだ。レコンのリア友であり、リーファ……スグのクラスメイトでもあるやつだよ」

その説明に、アスナは得心いったように頷いた。

「へぇー。そっか、だから『受験終わるまで』か。リーファちゃんは確か推薦だから大丈夫なんだよね?」

「はい。まぁ、近くに忙しそうなやつがいると、ちょっと気後れしちゃいますけどね」

「確かに、ちょっと気まずいかもねぇ」

と、女性陣二人が苦笑いを浮かべた。

 

「で、そのリィンナールさんがどうしたの?」

そう言いつつ、アスナはキリトの方を振り返った。唐突にキリトが話題に出したのが気になったのだろう。アスナのその問いに、キリトは不意に不敵な笑みを浮かべた。

「……あいつは相当なやり手だぜ? 俺に近いものを感じる」

「……そうなの?」

キリトの圧倒的ともいえる戦闘能力の高さを知っているアスナは、キリトがそこまで絶賛するのに驚きを隠せなかった。確認を取るようにリーファに視線を送ると、当のリーファも何か思いだしているのか、うなりつつも頷いた。

「んー……。確かに、かなり強そうだったかな? 戦闘慣れしてると言うか……。デュエルなんですけど、ガチガチの初期装備なのに、たぶんサラマンダーの中堅くらいの剣士と互角に戦ってました」

「へぇー!」

リーファの説明に、素直にアスナは驚いた。いくらキャラクターレベルのない《ALO》といえども、初めてすぐのプレイヤーとある程度ゲームを進めている中堅プレイヤーでは、ステータスに大きな開きがあるはずである。下手をすればそれは二倍・三倍という大きさにだってなるかもしれない。それはつまり、こちらの攻撃はダメージが通らず、あちらの攻撃を食らえば即死……という状況にもなりかねないということだ。つば迫り合いなどをやろうとしても、一瞬で押し負けるだろう。

 

「どうやらあいつは、以前海外のVRゲームをやってたみたいなんだ。それでかなり戦闘慣れしてるらしい」

「海外? 《GGO》とか?」

リーファも海外云々の話は初耳だったのだろう、怪訝そうな顔をした。

 

《GGO》というのは、ガンゲイル・オンラインと言う名のVRMMOだ。《ALO》のようなファンタジー系のVRゲームではなく、銃火器をメインアームとして用いるサバイバルゲームのような様相を成している。一応日本サーバーというものもあるのだが、元はアメリカ発のVRMMOである。海外のゲーム……と聞いてリーファが真っ先に思いついたのはこれだったようだ。確かに《ALO》と並び人気も知名度も高いゲームではあるが、キリトが聞いたものとは違っていた。

「いや《GGO》じゃないよ。もっとマイナーなやつっぽい。向こうにしかサーバーがないような奴。で、それが最近になってサービス終了したらしいから、《ALO》に来たんだってさ」

「ふぅん。珍しいケースだね」

しみじみというアスナの言葉に、キリトも「確かに」と頷く。

 

「……で、キリトくんはあれでしょ? どうせその人とデュエルしたくて仕方ないって言うんでしょ?」

「……さ、さすが《閃光》様。よく分かっていらっしゃる……」

からかうようにアスナがそう言うと、ばつの悪そうな顔をしてキリトは頬を掻いた。

「まったく……、相変わらずお兄ちゃんは戦闘狂なんだから」

「です」

その問答に、やれやれとため息をつくリーファとユイに対し、キリトは拗ねるように口元をすぼめた。

「ちぇー、みんなして。……アスナとリーファだって、一回は戦ってみたいとか思ってるくせにさ」

「まぁ、そりゃあね」

結局女性陣も否定することなく、キリトの言葉に同意する。言われ損だー! と心の中で悲鳴を上げるキリトだったが、悲しいかな女性陣に口で勝てないと悟っている彼は押し黙るしかなかった。

 

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