インフィニット・ストラトス 希望の無い希望を贈る少年 作:古明地こいしさん
「一夏、これまで5日間で教えられる事は教えた。あとはそれを実践するだけだ」
「あぁ!...って、千冬ね...織斑先生...俺の専用機は?まさか打鉄?」
そう、肝心の一夏の専用機が届いていないのである
そして簪がここにいる。なんでも自分のをみおくってまで作るものだ
どれほどのものか見てやると
まぁ簪のはシンクロ率で速さ、威力、そして何よりIS自身が使用者の危険性を感じたら勝手に動いて避けてくれるという能力持ちだ。これは簪の心が創り出したものだから簪の機体、打鉄弎式の一種のワンオフアビリティと言える
「大変大変大変変態変態変態!」
「山田先生、途中から痴女になってますよ。深呼吸、吸ってはいて...はい、なんですか?」
「織斑くんの機体、届きました!」
「織斑!行けるな!」
「何時でも!」
みんなアイコンタクトだけでやり取りした。これだけでできるってもうそれだけ心が通ってるって事か
凄いよな、俺の夢だよ
「これが俺の...箒、努、かんざひぃ!?しさん...行ってくる!」
簪の時だけ悲鳴あげるなバカ。簪も悲しい...顔はしてないな。というか近いですはい。
「お前たちの距離感はなんなんだ?」
「さぁ?」
「織斑さん、再度謝らせてください。申し訳ありませんでした」
「いや、もういいって...いい試合にしようぜ」
「はい!」
始まった試合、あのバカは初っ端から足空砲を使ってセシリアに突撃した。確かにライフル専門のセシリアに近接格闘はキツい、けどセシリアの周りに浮いてるビット兵器が見えんのか
「瞬時加速!?...いえ、これが織斑さんが試威さんから学んだ技ですか!」
「そう...だよっ!」
切り込みに入ったが直ぐに足空砲で下がった。ビット攻撃から逃げたのである。そう、これが本来の使い方
それを土壇場で使いこなすとは
「よく避けましたわね...ですがその位置は」
「マズっ!」
「マークIIIの射程距離ですわ!」
「ッッ!?!?」
アイツ...今あれ使ったな...ギリギリでしか使うなって言ったのに...
「今何したの?」
「ポジションソード、鏡のように位置が反転するんだ」
これも本来逃げの技、俺が覚えてんのはそういうのばっかだ。殺しの技じゃない
「...それもまた試威さんの」
「ああ」
「まるで魔法ですわね」
「剣の心得、その一、空間を把握しろ...ってな。そのビットの範囲は分かった!あとは近づくだけだ!」
ビットとライフルの二重警戒、いい判断だ。しかしそれは相手がそれしか装備がない場合だ
「他にも隠し球はありましてよ?」
ミサイル、一夏は調べてないから分からないのも仕方がない
「しまっ!?」
一夏はモロに受けてしまった。あれだと爆煙で見えないが出てきた所をビットで撃ち抜きつつ、ライフルで狙うことができるな...こりゃキツすぎるぞ...なんで一夏の白式は剣しかないんだ?作ったやつ天才なのにアホなの?
「さぁ、詰みですわよ」
イギリス人だよな?なんで日本用語知ってんだ?まぁいいや
「オルコットのあそこまでの戦法、何か教えたか?」
「俺はただ口だけで戦闘の基礎を教えただけです。それに試合ってのは一方的になっては試合とは言えませんでしょう?」
「それはどういう事だ?一夏が簡単に負けると「逆ですよ箒さん...」なに?」
「白式は...あの煙の中にはいない...」
機械音がした方へオルコットは顔を逸らす、しかし天の光のせいで目を細めてしまった
「はぁああ!!」
「なっ、今までフォーマット状態で戦っていて、今フィッティングが終わったというのですの!?」
「ああ!戦う前にプライベートチャンネルであいつからそれまで持ち堪えろって言われてな!」
「これが!俺の全力全開だ!」
白式の必殺技か?あれは....
「零落白夜...」
織斑先生が呟く
オルコットを直接狙った一撃必殺、確かにあれならどんな強敵でも勝てるな
しかし...一夏の機体、もうシールドエネルギーほぼ尽きかけてんじゃねぇか。どんだけピーキーな能力してんだ
なんか言ってたみたいだが恐らく一夏がオルコットを落としたのだろう。物理的な意味じゃなく恋愛的な意味で。
「さて...オルコットに行けるか聞いてもらっていいですか?」
「え?努は戦っちゃいけないんじゃ」
「俺は攻撃しない。オルコットが一撃入れられたらオルコットの勝利って条件だ。仮にもブリュンヒルデと同じと考えろ、どうなるかを」
「...お、おう。でもそれじゃあアイツに悪いんじゃ」
「いんや、向こうも了承済み。さて、本音、簪、見てもらえるか?」
一応訓練機ではあるから不備がないかの確認は必要だ。後々貰えるとは本当なのだろうか
「大丈夫」
「こっちも大丈夫だよ〜頑張ってね!こころん!これが終わったらかんちゃんも一緒にパーティーだよ!」
「あいよ...んじゃ行ってくる」
先に出といてオルコットを待つ。数分後、オルコットが出てきて
「怪我してないか?」
「はい、大丈夫ですわ...それよりも...これは...」
「あぁ...織斑先生が普通の人にも見えるようにとモニタリングするのを映すって」
周りの観客席には俺たちが映ってるが、ふたつある。それは普通の俺たち、そしてもうひとつはスロー映像の
『これより特別試合を始める!3分間試威がオルコットから攻撃を逃げ切れれば試威の勝ち!しかし3分の間に一撃でも攻撃が掠ればオルコットの勝利とみなす。なお、この試合において試威の攻撃は禁止とする。両者、十分な間合いを取れ!』
言われてしっかりとオルコットのマークIIIが俺を狙える位置に、オルコットはマークIIIで俺を狙っている
『始め!』
始めと言われた瞬間引き金を引くオルコット、しかし俺はそれを亜歩で避ける。既にオルコットの後ろにいる
「こっちだこっち。攻撃されても文句言えないぞ」
「後ろ!?」
今度はビット攻撃、亜歩では当たるため今度は一夏が名付けた足空砲で上下移動しながら避ける
観客席からはシールドエネルギーが尽きるんじゃと声が上がるが俺の打鉄のシールドエネルギーは減っていない。攻撃を受けていないからだ
「時間いっぱい使って狙え!」
「はい!」
狙って撃つ、スナイパーライフルとは本来そういうものだがちゃんと言われた通りに勘を使って俺を狙ってた
当たりかけたが俺もまた勘がある。それにハイパーセンサーなんて便利なもの、使わないでどうするというものだ
観客席からは惜しいと声が上がるが既に俺に批難の声はなく、両方を応援する声が
「あと1分か...」
「まだ1分もありますわ!」
意地を通すのか、それともヤケクソか...後者も前者もないな。全身全霊を持って戦ったという俺への気持ちだろう
「ならこの"機体"での最速、捉えられるか!?」
亜歩と足空砲を織り交ぜ前後ろ、上下、そうして移動して撹乱する。本来ならこれで相手は混乱し、こちらから攻撃できるのだが...今回ルールだ。それにこれは試合、そしてオルコットの成長にも繋がる事だ
しかしオルコットはマークIIIを俺がいない場所で構える。ビット兵器も使わず...っ!そうか!
「捉えましてよ!」
「こりゃやられたなビット兵器のビームで圧迫して檻にするなんて...」
「では...わたくしの勝ちとさせてもらいます!」
マークIIIの一撃が...当たらずに時間切れ
「そんな!?今確実にマークIIIの一撃が当たったはず!!」
「それ、本当に俺?」
「うし...ろ?」
「ミラージュトリニティ、本来なら三体に幻影を置く技だけど今回は一体だけ。この速さがあるからできる技さ」
『勝者!試威努!』
拍手とオルコットにも賛美の声が
「敵いませんわね...」
「俺みたいに強くするのが俺の仕事さ、学べたことは?」
「沢山ありました...いい試合でした」
「こちらこそ...あ」
「なにか?」
「一夏の事好きになったろ」
ボンッと顔を赤くするオルコット。それで分かった
カラカラと笑いながら俺は戻った。戻ったら質問攻めされるわ、一夏から教えを頼まれるわ箒からは時間をとるなと怒られるわでてんやわんやだった
「嘘...生きて...たんだ...」