推しの飯/絶望の未来から転生した戦士 作:Miurand
ベジータとナッパをメディカルマシンに入れたカカロットとラディッツ。そして、大猿ベジータをあっさりと倒してみせた星野緑は、今後の計画について話し合うことにした。
カカロットは、ベジータとナッパが仲間になる前提で話を進める。ベジータとナッパが修行に加われば、効率は更に上がるのではないか?エリート達しか持ちえない技術を吸収できるかもしれないと考えていた。
しかし、昔のベジータの性格をよく知る悟飯は、ベジータが敗北したからといって、すんなりと仲間になるとは思えなかった。
「……確かにな。尻尾がある状態で、また敵対されたら今度こそ殺されるかもしれねえが……。ベジータも馬鹿じゃねえ。大猿になってでも負かした相手が仲間になるんだ。これほど都合のいいことはないだろう」
「……もしまた敵対してくるようだったら、今度は尻尾を切るぞ」
「もしそうなっちまったら、やむを得んな」
取り敢えず、ベジータがまた敵対するようだったら、今度は尻尾を切ることで対処するということで、話はまとまった。
「ところで、ベジータさん達の治療はいつ頃終わるんだ?」
「……大猿になった上に死にかけたからな。丸1日はかかるな。つーか、なんでベジータだけ敬語なんだよ?」
「……なんとなくだよ」
ベジータに対しては、前世でも途中からは敬語を使用していた。その感覚が今でも残っていたため、今回も敬語を使用することにした。というか、今更呼び捨てをしても違和感を拭えないのである。
「へっ。王子様の貫禄ってやつか?まあいいさ。その方がベジータのご機嫌取りはできそうだからな」
実際は、敗北した相手に敬語を使われると、逆に逆鱗に触れそうなものだが、どうなるかは試してみないと分からないものだ。
「……カカロット。本当にベジータ達が俺達に従うと思うか?治療が完了すれば、恐らく以前よりも戦闘力が大幅にアップする。そうなれば、この地球人にも歯向かえるだけの戦闘力を身につけることになるかもしれんぞ……?」
「安心しろ。そこはちゃんと考えてある」
ラディッツは、先程ベジータを一方的に痛めつけた報復も恐れた上で、カカロットに不安を述べるが、そこは問題ないらしい。あのプライドの高いベジータを説得させるだけの材料が果たしてあるものなのかと、ラディッツはこの先不安であった。
「なんだ?ベジータの報復を恐れているのか?だったら、今すぐにでもトレーニングを再開するか?」
「……今日は遠慮しておこう」
「ちっ……。まあいいさ。この1年、よく頑張ってたからな。ほら、小僧もとっとと帰った方がいいんじゃねえか?空はすっかり暗くなっちまってんぞ?」
「えっ?そんなはずは……」
悟飯の感覚としてはそれほどではなかったものの、どうやら感覚よりも長時間宇宙船内で過ごしていたようだ。
「ま、まずいぞ…!このままじゃアイさんに叱られる……!!修行に来れなくなっちゃうぞ……!!」
「なに?そいつは本当か?」
「そうだよ!このまま一人で帰ったら……」
「ちっ。分かったよ。送ってやりゃあいいんだろ?地球人の親ってのは過保護で面倒だな」
カカロットは、あくまで悟飯が修行に参加できずに効率が落ちることを危惧しての意思だったが、ラディッツから見て、どうもカカロットが
「……カカロット。いつの間にガキを作ったのか?」
そして、思っていたことをそのまま口に出してしまった。
「あっ?俺がこいつを?ふざけてるのか?俺は女になんて興味ねえし、ガキにも興味ねえ」
ただ冷静に、カカロットはそう返した。この態度を見るに、本当に異性にも子供にも興味がないのだろう。
「またな、ラディッツ。ここの留守番は任せたぜ」
そう告げると、カカロットはエメを自宅まで送り出すために、エメと共に飛び立った。何故自分がこんなことをしなければならないのかと内心文句を言いつつも、気がつくとアイの作るご飯のことを考えていた。女に興味はなくても、女の作る飯には興味があるようである。
「あっ、カカオさんだ!今日もエメと遊んでくれたんだね!」
「カカオじゃねえ。カカロットだ」
「あはは、そうだった!キャロットさん!」
「てめぇぶっ殺すぞ」
最早、玄関でのこのやり取りはデジャブとなっていた。アイが初めにカカロットの名前を間違え、カカロットは正しい名前を名乗る。そしてアイがまた間違える。そしてカカロットが物騒なことを言う。ここまではテンプレだ。
「はっ?ママをぶっ殺すとか言った?調子に乗らないでよね、オッサン?」
「もしアイをぶっ殺したら俺がお前を殺すからな?」
「なんだ?お前のガキ達はみんな物騒なことを言いやがるな。どういう教育をしてんだよ」
サイヤ人が言うな、と言いたいところだが、アイはヘラヘラしながらカカロットの疑問にアンサーを叩きつける。
「あはは!ごめんね〜。子供達は私のこと大好き過ぎるから☆」
「自意識過剰かよ……」
「あれ?カロンさんはこういう女の子嫌いなの?」
「いい加減名前覚えろ、クソ小娘」
「ところでカカオさん、ご飯食べてくでしょ?今日は天丼に挑戦してみたんだ〜!」
カカロットの暴言を軽く流しつつ、今日の献立を言って誘う。
「だから俺の名前はカカロットだ。いい加減覚えやがれ」
とは言いつつも、靴を脱いで家に上がっている。サイヤ人を攻略するなら、まず胃袋からのようだ。実際、料理が上手な女サイヤ人は、男サイヤ人にモテるとかモテないとか……。ほぼ全滅した今となっては検証すらできないので、真相は不明である。要するに、データなんかねぇよ、ということである。
「ねえ、カカオさん。本当にアイドルとしての私を知らないの?」
食事が終わった際に、ふいにアイが問いかけた。名前に関しては半ば諦め、カカロットは「そもそもアイドルってなんだ?」と返した。
アイドルのことに関して、何故かアイよりも熱のあるルビーやアクアに説明を受けてが、どうも理解できなかった。いや、正確には、何をする仕事なのかは理解できたのだが、何故それに需要があるのか、全く理解できないのだ。
「……地球人ってのはよく分かんねえな」
誰にも聞こえないように小声で呟きながら、カカロットは宇宙船に戻るために立ち上がった。
「えっ?この流れで帰るの?これからMVを見せようと思ったのに」
「興味ねえ。帰る」
「おいおい待ちなよ。せっかくだから見ていきなよ」
「なんで小娘の踊りと歌をわざわざ見なきゃならねえんだ」
ルビーとアクアにMV視聴を薦められるも、アイドルには全く興味がないカカロットは、とっとと帰って休みたいと言わんばかりに断って帰ろうとするが。
「えー?いつも私の作ったご飯を食べて行くんだから、それくらいしてくれてもいいじゃん!」
「いつもてめぇから誘ってきてるんだが?」
「いいからいいから!子供達のお願い聞いてあげなよ!」
「なんでだ?俺がコイツらの父親ならまだしも、赤の他人のガキだぜ?わざわざ聞いてやる義理もねえだろ」
「んー?いつもエメの送り迎えしてもらってるし、実質エメのお父さんじゃない?それならアクアとルビーの父親でもあると思うんだー!」
悪戯っ子がしそうな表情でアイはそう言う。誰がコイツらの父親だと不満を漏らすカカロットに対し、アイは、『いいじゃん、この子達可愛いよ』と言って、まるで会話になっていなかった。
そんなやり取りを見て、エメは思わず吹き出しそうになってしまった。
「おい小僧。お前からもなんとか言ってやれ。この頭に花が咲いてる呑気な小娘によ」
「別に1個くらいは見てもいいんじゃない?減るものじゃないんだし」
「そうだよね〜!あっ、分かった!!私のアイドル姿を見て照れる姿を見せたくないんだ〜!!」
「はっ?何故そうなる?」
「へぇ?オジサンも結構可愛いとこあるじゃん」
「なんだよ。照れ隠しなら最初からそう言えばいいのに」
アイの発言によって、ルビーとアクアにとって、カカロットはやはりツンデレ属性という認識を強めることになる。別にツンはあってもデレはないので風評被害である。
「なんでこいつを見て照れなきゃならねえんだ?」
「別に照れないなら見てもよくない?ねー?」
アイの問いかけに、二人は大きく首を縦に振った。相変わらずアイの
「そもそも興味ねえんだっての。何度も言わせんな」
「あれ?逃げるの?」
「おいおい、いい歳した大人が逃げるのか?」
「あはは!そんなに照れ顔見せたくないんだね〜!」
ルビー、アクア、アイの順にカカロットに対して挑発するように言葉を投げかける。ルビーとアクアはともかく、アイに関しては煽る意図はない。ないのだが、二人の後に言ってしまったが為に、親子3人で煽っているようにしか聞こえなかった。
「あっ?逃げるだと?この俺が?上等じゃねえかよさっさと見せろ」
しかし哀しきかな。カカロットは意外と単純だった。というか、サイヤ人の思想的に、敵前逃亡は基本的に有り得ない発想であり恥なのだ。その考えが今回は仇となったようだ。
MVが始まるなり、アクアとルビーは早速サイリウムを振り始めた。ルビーとアクアはアイの名を叫び、子供らしからぬ俊敏さで迫真のオタゲーを披露している。カカロットは画面上に映るアイに集中できなかった。横にいる子供達の方がインパクトが強すぎて。
「アイィイイイ!!!お前がナンバーワンだァアア!!!!」
「やっぱりママ超可愛いッ!!!!視聴者は全員億……いや、兆は支払うべきッ!!!!あ〜この声癒される〜…!!!!踊りも表情も完璧〜…!!!あの汗一滴だけでもいいから舐め回したい!!!!」
「……いや、キモっ」
カカロットの本心がそのまま表された言葉だった。というか、ルビーの発言は普通に問題発言である。アクアはまだしも、ルビーに関しては、それはもう酷かった。もう乙女を名乗れないところまで来ているまである。
「はっ?誰がキモいだって?もしかしてアイのことか?お前の目は節穴か?」
「はぁ?ママのことキモいとか、冗談でも言っていいことと悪いことがあるの分からない?大人になってもそんなこと分からないなんて、みっともないわね〜」
「いや、お前らだよ」
特にルビーの方を見てカカロットはそう言った。アイは子供達になんてこと言うんだと、頬を膨らまして怒っていたが、エメは終始苦笑していた。正直、アクアとルビーの熱量にはついて行けない。多分、自分も生粋のアイオタになったとしても、多分この二人について行くことはできないだろうと確信していた。
「……小僧。ホントにアイツらがお前の兄姉なのか?」
「一応、血縁上は間違いなく……」
「よくあの家族の中でお前みたいな奴が生まれてこれたな」
「あはは……」
結局、カカロットはアイドル姿のアイに照れるどころではなかった。むしろMVの内容は覚えていない。MVを見て発狂しているアクアとルビーの印象が強すぎたのだ。そしてそれを咎めないアイもアイだった。
「なんというか、地球人の家族って、結構特殊なんだな……?」
「安心して。あれは地球人の中でも変わってる方だと思うから」
実際、星野家の殆どが転生者で構成されているので、特殊なのは間違ってはいない。
ベジータ達と戦ってから丸一日が経過した。カカロットの読み通り、24時間が経過したところでベジータとナッパの治療が終わった。
「……何故俺は生きている?」
目の前にいるカカロットに対し、ベジータは問いかける。
「別にお前に対して恨みはねえからな。というか言ったろ。フリーザをぶっ殺すのに協力してほしいってな」
「ふん。今の俺ならば、貴様らと協力する必要は尚更ない。ご丁寧に尻尾を残したようだが、そこに関しては感謝してやるぜ」
実際、フリーザの戦闘力は53万とされており、単純計算すれば、素の戦闘力が6万を超えれば、フリーザを倒すのは余裕ということになる。この条件をラディッツは既にクリアしていたが、大猿になった際に理性を失うのがよろしくない。しかし、理性を保てるベジータならば、大猿の弱点を克服できる可能性があるのだ。
「まあ待てよ。これは俺個人とフリーザの戦いじゃねえんだよ。サイヤ人とフリーザの戦いなんだよ」
「……どういうことだ?」
カカロットの妙な物言いに、ベジータは興味を示した。何故サイヤ人という部分を強調したのか?そこが気になったのだ。
「ベジータは知ってるか?惑星ベジータが滅びた理由を」
「それは小惑星が衝突したからではないのか?今更それがどうしたというのだ?まさか、小惑星の接近を察知できなかったフリーザ軍に対して逆恨みでもしているのか?だとしたらくだらんな」
ベジータは今更何を言っているのだとカカロットを遇らう。だが、カカロットはムキになることはなく、冷静だった。
「ああ。その程度の理由ならば下らないだろうし、お前の協力を得られるとは微塵も思わなかっただろう。だが、疑問に思わないのか?何故、小惑星よりも何倍も速い宇宙船の接近は観測できるのに、小惑星の衝突を予測できなかったのかってな」
「……ほう?つまり何が言いたい?」
「惑星ベジータを滅ぼしたのはフリーザだってことだよ」
カカロットの爆弾発言に、ベジータは驚く素振りは見せなかった。対して、ナッパはショックを受けるように驚愕していた。王子故のプライドから、動揺していることを隠したいのか?そう思ったが、続いた言葉によって、その予想は覆されることになった。
「それがどうした?」
「はっ?故郷が滅ぼされたんだぞ?お前の親父が殺されたんだぞ…!?それでも何とも思わないってのか!?」
「知らんな。俺の父親が殺されたから、その恨みでフリーザを倒すとでも思っているのか?めでたいやつだぜ」
「貴様ぁ……!!」
家族に対して愛着のあったカカロットは、フリーザに無残にも殺されたことによって恨みを持ったが、ベジータにはそのような概念はなかった。そもそも、子が親を殺すことが珍しくない種族なのだ。サイヤ人基準で考えれば、カカロットの方がおかしく、ベジータの方が正常と言えるのだ。
とはいえ、故郷を滅ぼされても何とも思わないのは、それはそれで曲者であることには変わりない。サイヤ人の中でも一際残忍で冷酷な性格をしているということの証明でもあった。
「その程度の動機でフリーザを殺すっていうなら、俺は賛同しない。一人で戦って死んだ方がマシだ」
「畜生……!!」
カカロットはベジータの説得が不可能だと判断したのか、口を閉ざしてしまった。ベジータはもう用はないと言わんばかりに、宇宙船の外に出ようとするが……。
「待て」
「……なんだ地球人?」
「逃げるのか?」
「……なんだと?」
エメは、悟飯はベジータを挑発しながらも引き留めた。悟飯としても、ベジータはなんとしてでも仲間にしたい。仲間にできれば、それだけフリーザ討伐の実現の可能性が上がるからだ。
「お前はサイヤ人の王子なんだろ?サイヤ人達は無様にもフリーザに殺された。何もできずに。抵抗することすらもできなかった。お前が王子なら、それに報いるべきなんじゃないのか?一人で戦うことよりも、サイヤ人としてフリーザを倒すことを優先するべきなんじゃないのか?」
「その理論で行くなら、俺達サイヤ人"だけ"で行くべきだろう?地球人の貴様が加わっている時点で矛盾していることに気づかないのか?」
ベジータの言い分も理解できる。フリーザを倒すなら、サイヤ人の手で。それが死んだサイヤ人達への償いにもなるだろう。
「……お前は誰に挑もうとしているのか分かっているのか?オレなんかよりも何十倍も強いんだぞ、そいつは……!!オレ如きに負けているようなやつが、フリーザに敵うわけがないだろ……!!」
「お、おい!!」
ベジータを挑発するような物言いをする悟飯に対し、ベジータは苛立ちを隠せずにいた。再び殺し合いが始まることを危惧するラディッツとナッパだったが……。
「随分とナメた口を聞いてくれるじゃねえか?余程殺されたいと見た」
「それに、フリーザは何度も変身することができる。その度に受けたダメージは回復する上に、大幅なパワーアップをすることができるんだ」
「……なんだと?」
悟飯が言い放ったこの情報は、サイヤ人達4人にとっては初耳だった。それと同時に衝撃的な情報でもあった。戦闘力53万という数字は、ただでさえ膨大な数値とされているのに、変身することによって、更に大幅アップと聞かされれば無理もない話だ。
「俺様でも知らないような情報を、何故貴様が知っているんだ?」
悟飯の知識を話すとなると、どうしても前世の話をしなければならない。自分が並行世界から来た元ハーフのサイヤ人という話をすれば、間違いなく話をややこしくする。
だから、
「……オレの父親がフリーザと戦ったことがあるんだ」
「……はっ?」
ベジータが驚くのも無理もない話だ。戦闘力も文明力も大したことがない地球人が、実際にフリーザと戦ったと言うのだ。無理もない話である。
「たかが地球人がフリーザに?どうせ一瞬で殺されたというオチだろう」
「だったら、なんで何度も変身できることをオレが知っているんだ?」
悟飯の返しに、ベジータは取り敢えず説明を聞くことにした。ベジータとしても、プライドは気にしても、やはりフリーザは確実に倒したい敵として認識しているようで、少しでも有益な情報を求めているらしい。
とはいえ、やはり地球人がフリーザを変身させたというところに疑問を感じてしまった。自分達サイヤ人は愚か、突然変異として膨大な戦闘力を秘めているとされているギニュー特戦隊でさえも、フリーザの53万という数字には届いていない。それを考慮すると、どうしても地球人がフリーザに何度も変身させるほど追い詰めたとは思えないのだ。
その様子を察して、悟飯は暴露することにした。
「……オレの父親は、サイヤ人の血を引いていたんだ。これで納得してくれるか?」
「馬鹿が。サイヤ人の血を引いているならば、尻尾が生えているはずだろう?何故貴様には生えていないのだ?」
「それはサイヤ人の血が薄いからだと思う。それに、仮に生えていたとしても、不気味がられて誕生した時に尻尾を取られていてもおかしくない」
悟飯は敢えて前世と今世の自身の状況をごちゃ混ぜにした。前世と今世の自分について、敢えて詳細に説明することを省くことによって、ベジータ達をさっさと納得させようという考えだ。
自分も一応サイヤ人の血を引いていると言えば、一応は納得してもらえるだろうという算段だった。
「……道理で地球人にしては異常な強さだったわけだぜ」
実際に戦ったカカロットは、疑うどころが納得していた。
「……?待てよ?まさか、あの小娘に相手の男がいなかった理由って……」
サイヤ人達の中で、唯一エメの母親と面識があったカカロットは、何故相手となる夫がいないのかを察してしまった。正確には、生存しているし、なんならアイを殺そうとしているまであるのだが、そんなことはエメも知らない。だが、そこは有馬によって鍛えられたエメの嘘でカバーをすることにする。
「……そうだ。フリーザに殺された」
去年までのエメならば、きっと嘘をついていることを見抜かれていただろう。だが、ここで有馬かなによる演技修行が効果を発揮した。
「……フリーザは何回変身することができるんだ?」
「3回だ。1回目で大きくなって、2回目で怪物のような複雑な見た目になる。3回目の最後の変身で、シンプルかつ変身前までの大きさに戻る。だけどこの最後の変身だけは異次元なんだ。最後の変身だけは、戦闘力の上がり幅が桁違いなんだ」
変身回数だけならば出鱈目をでっち上げることができる。悟飯はそれを見越して、変身した際の特徴も述べることによって、自分の信頼性を上げようとしたのだ。
案の定、即答でここまで具体的に答えられるとは思ってもいなかったようで、ベジータは珍しく驚いていた。
「……なるほどな。つまり、今の俺達で挑んでも絶対に敵わないということか……」
ここまで説明して、ようやく納得したようだ。
「そうだ。だから、オレ達は協力して修行し、強くなる必要がある。フリーザを倒したいなら、現状で満足していられないんだ。だから、協力してください……!!お願いします!!」
「……いいだろう。協力してやる。だが貴様の指図を聞く気はない。トレーニングの際は、俺の指示に従ってもらう」
「はい!」
あくまで、自分の方が立場が上という姿勢は崩さないベジータだが、悟飯にとっては寧ろ好都合だった。
実力を伸ばすことに関しては、恐らく自分よりもベジータの方が上。向いている人に任せた方が合理的なのは言うまでもない。
「おい小僧。よくベジータを説得したな。俺は諦めたぜ?」
「ベジータさんもフリーザをなんとしても倒したいはずだからね。一人じゃ絶対に敵わないってことを主張すれば、どうにかなるとは思っていたんだ」
実際、前世では敵わないことを自覚していたからか、フリーザを倒すためだけに不老不死を求めていたが、フリーザが敗れた後は、それに拘ることはなくなっていた。この世界でのベジータも大して変わらないだろうと予測した悟飯は、フリーザの圧倒的な強さを説明すれば、ベジータも協力してくれると考えたのだ。
「言っておくが、俺について来れないようなら問答無用で置いていくからな?」
こうして、ベジータとナッパも仲間に加わった。後は今後控えているであろう、フリーザとの戦いに備えて、ひたすら修行するのみだった。
「ただいま〜……」
「あっ、お帰りエメ!って、どうしたの?もしかして疲れてる?」
「うん、まあ……」
「だったら今日は早く寝れないとね。丁度いいタイミングだし、一緒にお風呂入ろっか?」
「えっ……!?いやいや、いいよ!別に自分一人でも入れるし!」
「ダメだよ〜。目を離したら溺れるかもしれないし」
エメが疲れている要因は、ベジータ主導による修行で一度死にかけたからである。死にかけたのにアイにも心配されていない理由としては、メディカルマシンを使用して治療したからだ。そのため、身体的には問題ないのだが、精神的にはかなり疲弊していた。
「いやいや!赤ちゃんじゃないんだから大丈夫だよ!」
「ダメでーす!エメをお風呂に連行しま〜す♪」
アイはあくまで上機嫌でエメを抱っこして風呂場に連れて行った。過去の行いの影響で、エメに対しては過保護になってしまっているのだ。
「ままま待って!流石に服は自分で脱げるよ!?」
「それ〜!!」
「ああああっ!!!?」
「あれ?ママとエメは?」
「多分風呂だろ?」
「ええ!?なんでエメだけなの!?私もママと一緒に入りたい!!ママの綺麗な四肢を眺めたい!!ママの胸でオギャりたいよぉおお!!!」
「お前年々やべぇやつになってないか?」
ルビーはエメだけがアイと一緒にお風呂に入っていることを羨ましがっていたが、アクアは安堵していた。何故ならば、エメのお陰で自分は一人でゆっくりお風呂に……。
「ルビーとアクアもおいで〜!お風呂の時間だよ〜!!」
「待ってましたァアアッ!!!!」
アイの声を聞くと同時にルビーは駆け出した。乙女とは程遠い形相をしながら……。その様子に呆れながらも、アクアは後で自分で入ると言うが……。
「あっ。まだお風呂に入りたくないの?なら後でママと一緒に入ろうね!」
「い、今から行くよ……」
流石に二人きりの方が気まずいということで、大人しく戦場に向かうことにした。アイは何もエメに対してだけ過保護というわけではない。
エメの演技修行の成果は、戦闘時ではなく交渉の際に発揮するというね……。流石のベジータも、3回変身してその度にパワーアップする&エメ自身がサイヤ人の血を引いていると言われれば、エメをギリギリ認めるのではないでしょうかね。というわけで、なんとかベジータ達エリート組を仲間にできたわけですが、あと半年でフリーザ最終形態を倒せるレベルにまで到達しろとなると……。重力修行ができないとはいえ、半年もあれば流石に……。いや無理だ。超サイヤ人クラスの覚醒がないとやっぱり()
そういえば、アイやカミキの両親の詳細が不明ですよね。アイ母だけは少しずつ情報出てますけど、他はからっきしですね。
関係ないけど、ゴジラ-1.0無茶苦茶面白い。初見はマジで泣きそうになった。一人で見てたら多分泣いてる。