推しの飯/絶望の未来から転生した戦士 作:Miurand
「アクア、おっぱい飲む?」
「ねえねえミヤコさん!今日やっとエメラルドがおっぱい飲んでくれたんだ!!」
「あら、良かったじゃないですか」
「だから今度はアクアにも飲ませてあげたいなって思ってるんだ!ルビーとエメラルドは飲んだのに、アクアだけ飲ませないのは不公平だし!」
悟飯が寝ている間に無意識に授乳したせいで、アクアは(元)大人としての立場の危機に瀕していた。
「あー、今日も哺乳瓶にしゃぶりついちゃった。アクアはそんなにおっぱい飲みたくないのかな?」
そのすぐ後にルビーがギャン泣きして授乳を求める。アイも母親としての本能からそれを察し、応える。
「けぷっ」
ルビーは『どう?羨ましいでしょ?』とでも言いたげなドヤ顔でアクアを見ていた。対してアクアはルビーを睨むという形で対抗する。
2人の視線がぶつかり合ってバチバチしていることにアイは気づかず……。
「……(アクアには悪いことしたなぁ…)」
アクアのピンチの根本的な原因は申し訳なさそうにしょんぼりとしていた。
授乳を終えて仕事に出かけたアイを見届けると、赤ん坊達は仮面を剥いで会話を始めた。
「ルビー。お前ちょっとは遠慮しろよ」
「なんで?娘の私がママのおっぱいを吸うのは自然の摂理なんですけど?当然の権利なんですけど?」
「一応聞くけど、前世は女?」
「うん」
「……ならギリ許せる」
「オタクの嫉妬きもーい!」
ルビーは自分だけ遠慮せずに授乳できることに誇りを持っているかのようだ。アクアに対してマウントを取るように罵言を吐く。
「……エメラルド、お前は…?」
「…………ノーコメント」
「おい犯罪者がいるぞ」
「エメラルドはセーフでしょ?」
「なんでだよ!?」
「アクアみたいにヲタクじゃないし、何より下心を全く感じないから」
「俺との扱いの差酷くないか?」
「そもそも、エメラルドは寝ている間に不意打ちだったしノーカンでしょ?」
ルビーは前世が女だから合法的に授乳できるとか、遠慮せずにしゃぶれるとか言っていたが、その言動にアクアは軽く引き、エメラルド(悟飯)は最早困惑していた。
「……ルビーの方がやばくないか?」
「ま、まあ…。赤ちゃんだから仕方ないと思うよ……?うん……」
最早エメラルドは何も考えないようにしていた。この言動は自分自身を擁護する意図も含まれている。
「……!ちょっと、オムツ変えたいから向こう行って!」
「はいはい」
とはいえ、先程変態じみた(というか変態そのものの)言動をしたとはいえ、ちゃんと羞恥心は存在する模様。2人がいなくなったことを確認したルビーは、ギャン泣きして世話役のミヤコにアピールする。
その泣き声を聞いてミヤコはオムツを持ってくるも、育児によるストレスで荒れているのか、社長夫人なのに何故こんなことをやってるだの、父親不明の片親は闇深すぎだの、ベビーシッターやりに嫁に来たんじゃねえだの、溜まりまくった不満を吐き出していた。
「はぁ?ママに尽くせるのは幸福以外の何物でもないでしょ。
ところが、ルビーはアイの
「いや、彼女の言動には正当性が見受けられる……」
「っていうか、これ不祥事の隠蔽よね?文⚪︎とかにネタ売れば、大金持ちになれるんじゃ……?」
「えっ…!?」
そして、育児のストレスで冷静な判断ができなくなったのか、ミヤコはとんでもないことを言い出した。
悟飯も転生してから色々アイドルについて調べたのだが、スキャンダルに合うと一気に仕事を失うらしい。しかも場合によっては会社の経営を傾かせることもあるようだ。それが分かっているので、ミヤコの言動を聞いて焦り始めた。
「やばやばっ!どうする?殺す?」
「いやいや、冗談でもそんなこと言っちゃダメだよ……?」
ルビーも相当焦っているようだが、悟飯はそれを窘める。
「いや、そもそも不可能だ。体格差があまりにもありすぎる」
「もしかして、お兄ちゃんは本気のつもり…?」
一方で、アクアは割と本気でどうにかしようと考えている模様。
3人でこっそり話し合っていると、ミヤコが遂にアイ所有の母子手帳を取り出し、写真を撮り始めた。
「どうすんの!?あいつ証拠抑えようとしてる!!」
「ほ、本気っぽいね……」
「……2人とも、俺に考えがある」
アクアの作戦はこうだ。普通なら絶対に喋ることのできない乳児が発言。それも、神の使いであるという設定でミヤコを説得するというもの。
ただ、一つ問題があった。
「……オレ、演技なんてできるかなぁ…」
ただでさえ隠し事や嘘が苦手な悟飯にとって、演技をやることは超サイヤ人にならずにフリーザを倒すのと同じくらいに困難なものに思えた。
「大丈夫だ。別に3人で喋る必要もない。俺とルビーでなんとかする」
ということで、悟飯は2人に任せることにした。終始見届けていたが、赤ん坊が普通に喋る光景は慣れたと思っていたが、こうして観察してみるとやはりシュールな光景である。
説得の結果、ルビーの迫真の演技によってなんとか説得することに成功した。
「ルビーすごいね……。まるで本当に神様が降臨したみたいだったよ」
「演劇経験者みたいだな。やったことあるのか?」
「ううん?今回が初めて」
「初めて?保育園や幼稚園でやったことないのか?」
「……ちょっと変わったところで育ったから……」
「ふーん…。じゃあ才能だな。将来は女優かな」
「将来……。考えたこともなかった…」
ルビーの最後の呟きは2人には聞こえなかった。
「でもこれで色々なところに移動できるようになったのは大きいよね」
「ああ。これである程度は自由がきくようになった。しかもミヤコさん相手なら普通に会話しても問題ないからな」
説得の一件によって、アクア達三つ子は『神の生まれ変わりだから、喋っても何もおかしくない』的な認識を持たれていた。これによってコミュニケーションも円滑に取りやすくなった。
「ところで、アクアも思い切ったことを考えたよね。上手くいかなかったらオレ達は研究所行きだったかもよ?」
「怖いこと言うなよ!!!」
なお、悟飯のこの発言には悪意は一切ない。
夜になり、親のアイも就寝してしまった中、アクアと悟飯は未だに起きていた。と言うのは少し語弊がある。夕方頃から眠ってしまい、夜中に起きてしまっただけだ。赤ん坊は昼夜関係なく起きる時もあれば、寝る時もある。
アクアが寝ているルビーに毛布をかけると、ふと悟飯にこんなことを聞いた。
「お前、いつも寝てる時に魘されているけど、なんかあったのか?」
「……えっ?」
確かに悟飯は悪夢に魘されることがある。と言っても、寝るたびに毎回というわけではないはずだ。しかし、アクアから見るとほぼ毎回のように魘されているらしい。
月に1回、週に1回程度ならアクアも聞くことはなかっただろう。だが、悟飯は明らかに異常な頻度で魘されていた。今でこそ赤ん坊の姿だが、それでも前世は医師を勤めていたアクア。専門分野が違うとはいえ、素人よりは力になれるかと思い、直接聞いてみることにしたのだ。
「……オレ、そんなに魘されてるの?」
「ああ。最低2日に1回は見られる。これでも前世は医者をしていたから、少しは力になれるかもしれない。別に言いたくないなら言わなくてもいいが」
「………まあ、別に隠すようなことでもないか。前世、オレは戦ってばかりだったんだ。休む暇なんて全くなかった。悪い奴らからみんなを守るために、オレは戦っていたんだ」
「……前世は軍人か何かだったのか?」
アクアの問いに、悟飯は若干誤魔化しながらも肯定する。別に悟飯は誰かに雇われたわけではない。頼まれたわけでもない。自分は戦えるから戦っていた。仲間達の仇を打つために、世界に平穏をもたらすために戦い続けていただけにすぎないのだ。
「でもさ、たった1人オレの弟子を残してこっちに来ちゃったんだ。あの時はこうするしかないって確信してたけど、夢を見るたびにその判断は正しかったのかって、今でも悩んじゃうんだ。多分、その不安からあの夢を見るんだと思う。いくら才能があるって言っても、まだ子供だから…。やっぱり不安になっちゃうんだ」
アクアは微妙に理解できていない。それは悟飯もなんとなく分かっていた。でも理解してもらう必要はない。ただ誰かに語りたかっただけなのかもしれない。一度吐き出すと、もう止まらなかった。
「………」
アクアは前世の職業上、色々な人と接する機会があったが、流石にこのような壮絶な人生を過ごしてきたと思われる人を相手にするのは初めてだった。前世の経験は全く役に立たなかった。これは迂闊に聞いてしまったかもしれないと、アクアは少し後悔し始めてしまう。
「……弟子を庇うためにオレは犠牲になったつもりだった。けど、こうして生まれ変わった今、本当は逃げてきたんじゃないかって思ってるんだ」
「………はっ?」
ここで、初めてアクアが口を開いた。何故そんな発想になる?学者になるという夢を捨ててまで戦い続けてきた奴が逃げるために死んだだと?
もし、転生して第二の人生が歩めることが予め分かっていたなら、悟飯は逃げてきた可能性もある。しかし、自分(アクア)も含めて転生は突然起こった。ラノベのように神様的な存在から説明があったわけでもない。
「だってそうだろ?今ではこうして、母親のアイさんに愛情を沢山もらって過ごしている。平和で幸せな生活を送れている。なのに、弟子は今も苦しんでいるかもしれないんだ。そんなの……」
「……そうか」
悟飯は責任感が強いのだ。自分は転生して平和な生活を送っているのに、弟子が、他の人が苦しんでいる状況が許せないのだろう。アクアは孫悟飯という人間が少し分かったような気がした。
「……お前は予め自分が第二の人生を歩めることを知っていたのか?それともそうなる確信があったのか?」
「……いや、そんなわけ…」
「なら逃げてきたという発想はおかしいだろ。そもそも、お前が逃げるようなやつだったら、最初から逃げていると思うぞ?前世は死ぬまで全力で頑張った。そのご褒美に第二の人生を歩む権利でももらったんじゃないのか?」
「権利…?オレにそんなものが…?」
「……というか、いくら過去のことを気にしても、起きちまったものは仕方ないだろ?これからのことを考えればいいだろ」
「これから…?」
「ああ。自分が逃げてきたわけじゃないって証明したいなら、
「………そっか(オレがこの世界に生まれてきた意味、ようやく理解した)」
悟飯は、トランクスを残して死んでしまったことを後悔しかけていた。しかし、アクアの言葉を聞いて決意した。
ただなんとなく、しかし後悔もしながら第二の人生を歩んでいたが、もう今までの自分とは違う。これから悟飯は…。否、エメラルドは、明確な目標を持って第二の人生を歩むことになる。
「……ありがとう、アクア。少し気が楽になったよ」
「そいつは良かった。前世の経験は役に立たなかったけどな……」
「ははは…。でもオレは助かったよ。ほんとにありがとう」
まずは、気を確実に扱えるようにすること。この身体には恐らくだがサイヤ人の血が流れていない以上、前世ほどの力を身につけるのは不可能とまではいかないが、非常に困難だろう。それでも、向こうにいるトランクスに顔向けできるようにしたい。
万が一強敵が現れても、みんなを、最低限、この家族を守れるようになりたい。
「(トランクス。そっちは任せた。オレはこっちで頑張るから。一緒に頑張ろう…!)」
「38.5℃…!?ミヤコさん、これ相当やばくない!?大丈夫!?病院に連れて行った方がいいんじゃない!!?」
「病院には私が連れて行きますから、アイさんは仕事に行ってください!」
「でもでも…!子供が苦しそうにしてるのに…!!」
「エメラルド、大丈夫かな?」
「あいつ……」
あの日、悟飯は1日でも早く気を扱えるようにする為に、眠気を押し殺してでも修行を続けていた。ただ、体を動かすようなことはあまりしておらず、基本的に瞑想に近いもの。とはいえ、本来は飲んで遊んで寝るを繰り返す赤ん坊の体には負担が大きかったようだ。まあ、睡眠を削れば当然といえば当然だろう。寧ろ赤ん坊の体で眠気を押し殺せるその信念が凄い。アクアは孫悟飯という戦士を侮っていたのかもしれない。
数日後、悟飯は無事に退院した。家に帰宅した際には兄姉2人に心配されるのは勿論のこと、母親のアイは泣きながら悟飯を抱きしめた。だが、アイは悟飯は体調を崩しやすい子だと勘違いしたようで、これからは授乳を強制させることにした。また、エメラルドに対しては他の2人よりも少し過保護になるのだが、それはもう少しだけ先のお話…。
「はぁ…。なんでこんなことに……」
目標がはっきり定まったのはいいものの、アクセルを踏みすぎたがために事故を起こしてしまった悟飯。少しでも健康に気を使わなきゃということで、母親のアイは悟飯が嫌がっても授乳を強行するようになった。まあ、これに関しては自業自得だろう。
「なんでママのおっぱい吸って溜息吐いてるの?もしかして自分がどれだけ幸福な状況にいるか理解していない…?馬鹿なの?死ぬの?」
「ルビー…。分かってやれ」
『よく動きよく遊びよく学びよく食べてよく休め』
かつての父親の師匠、亀仙人の教えは偉大だったことを、悟飯はこの日初めて理解した。
悟飯が授乳に慣れてしまった頃、アイ達B小町は大躍進を遂げた、なんてことはなく、前より少し状況がよくなった程度だった。給与も少しよくなった程度だ。中抜きがえぐいとアイは言うが、弱小事務所だから仕方ないとミヤコは返す。
「結局はお金が大事だよね〜。私1人なら今のままでも全然問題ないけど、この子達にはちゃんと高校や大学に行かせてあげたいし、習い事させたり、色々な選択肢をあげるには、私がもっと売れて稼げるようにならないと……」
最後に、今のままじゃ、この子達を幸せにできないと呟いた。
「(……な、なんていい人なんだろう…!!)」
悟飯は前世でも愛情をたっぷりもらって育った身だが、それでもちゃんと子供のことを考えていることに感動してしまった。
「……(でも学校かぁ…。そういえば、オレは行ったことないんだよなぁ。どんなところなんだろうな…)」
「あーあ、もっと仕事増えないかなぁ。めちゃ稼げるやつ」
と、アイスを食べながら愚痴を言った。しかもそのアイスは高級なやつだった。
「(いや、まずはその高いアイスをやめない…?)」
手放しに尊敬させてくれるアイではなかった。アイスを食べ終わると、レッスンを受けるために外出した。それと同時に赤ん坊達が当たり前のように喋り出した。
ミヤコがまだいるのだが、彼女には既に喋れる赤ん坊達だと認識されているため、特に問題なかった。
「えっ?アイドルって月100万はもらうものじゃないの?」
「なわけないだろ。印税やテレビ出演料はメンバーと山分けだし、ライブも物販が売れなきゃ余裕で赤字だし、衣装代は天引きだ。100万ももらえるのなんてほんの一握り」
「何それ!頑張ってる人にお金が行き届かないなんて世も末ね!!」
そして、当たり前のようにアイドルの裏事情を語るアクアに、それに文句を言うルビーを見て、ミヤコは困惑………することはなく、既に慣れた様子だった。
「そうだ!ファン全員が肝臓を売れば……」
「怖い怖い怖い!ルビーのその発想が怖いよ!?」
「いや冗談だから」
悟飯は思わずツッコんでしまったが、ルビーの発想は流石に冗談でも恐怖を覚えてしまうレベルである。
そして、アイの努力に反して結果が出ていないことに不満を覚えたファン2人はミヤコに抗議するも、そもそもアイドルはグループで初めて勝負に出れるもので、売れるにはアイドルグループにではなく、個人に対して、この場合で言えばアイに対して仕事を振りたいと思わせるようにしなければならないとのことだ。
悟飯も文句を言いたい気持ちは分かるが、ミヤコだって日々頑張っているのを知っている。悟飯は2人を窘めて大人しくさせた。
「あの、2人がすみません…。オレはミヤコさんも裏で一生懸命頑張っているのは知ってますから…!!」
「……ちょっとあまりにも礼儀正しすぎではありませんか?」
先日の件があって以来、赤ん坊2人には若干舐めた態度で接せられている現状において、唯一礼儀正しく接してくれるエメラルドは、ミヤコにとっては唯一の癒しとなっていた。
……最早赤ん坊が礼儀云々の前に、喋ることそのものが異常だということを忘れて。
数日後。
「販促イベント…!ミニライブ…!抽選でしか当たらないやつ…!!!」
悟飯達3人はミニライブに来ていた。ミヤコは3人の母親という設定で保護者として同行している。こうなった要因は、ルビーとアクアが、アイのことを心配するあまり連れてきてほしいと懇願したためである。悟飯は流石にリスクが高いから止めようとしたものの、心配なのは悟飯も同じだったため、同行することにした。
「いいですか?こんなこと社長にバレたら怒られるのは私なんですからね?推さない駆けない喋らない!おしゃぶり付けて大人しくしてください!」
そう言うとミヤコは慣れた手付きで3人におしゃぶりを咥えさせた。
「そうだぞルビー。目立つ行動だけは避けろよ。俺たちがアイの子供だってことを悟られないように…」
「言われなくたって分かってる。ママが落ち込んでいるところ、見たでしょ?これでも私はママを心配して来てるの。遊びに来たわけじゃないの!」
その割にはミニライブに来れたことに興奮してなかった?と出かかった口を抑えて悟飯はアイを見守ることにした。
少しすると、アイ含めたB小町の3人が会場に入場し、それと同時にファンのテンションが元から高かったのに更に爆上がりし、熱気に包まれた。
「うわぁ…。すっごいね…。ライブってこんなに盛り上がるものなんだね…」
悟飯はアクアとルビーに話しかけたつもりだったが、反応はない。きっと周りの掛け声に掻き消されてしまったのだろうと納得し、アイが踊る様子を黙って見ていた。
周りが踊りで夢中になっている中、悟飯はアイ達3人の様子をじっと見ていた。綺麗な歌声、洗練された動き、息のあったパフォーマンス。それらも凄いのだが、なんと言っても惹きつけられる瞳。決してドルオタでもないし、女の子好きってわけでもないが、みんな夢中になる理由が少しだけ分かるような気がする。
「……(すごいなぁ…。きっと沢山練習したんだろうな…。仕事がない日もレッスンに行って家にいないことも結構あるから……)」
努力家なんだな、と関心していると、ある違和感に気づく。
……揺れている。地震か?誰かが揺らしているのか?それともみんなが一斉に掛け声を出したからか?
どれも違う。否、正確には誰かが揺らしている、という認識で間違いない。でも揺らしているのはミヤコでもなければ、赤の他人でもない。無論、ステージの上にいるアイには不可能。
「「ばぶばぶばぶばぶっ!!!」」
ふと横を見てみると、そこには赤色のサイリウムを両手に持って迫真のオタ芸を披露するアクアとルビーがいた。
推さない、駆けない、喋らない。確かにミヤコに注意されたことはしていない。『踊るな』なんて一言も言われていない。とはいえ……。
「(なにしてるんだぁ!!!?)」
声には出さなかったが、驚きのあまり目を見開いて固まってしまった。
「(何してるんですか!?思いっきりエンジョイしてるじゃないですか!!?)」
アイ達が踊るのをやめてこちらを見ていることに気づき、ミヤコもその異変に気づいた。周りのファンも赤ん坊が大人の自分達でも真似が難しいほどのキレッキレのオタ芸を披露している光景は、シュールを通り越して最早芸術だった。
ちなみに、そんな我が子の姿を見てアイは内心悶えていた。その時の笑顔が自然で人間っぽいというツイートを見て、今後アイが覚醒するきっかけになったりするのだが、それはほんの少し先のお話。
帰宅後…。赤ん坊がオタ芸を披露するという珍しい光景をカメラに収めていた人がいたそうで、ルビーとアクア、ついでにエメラルドの反応も面白かったようで、投稿が無茶苦茶バズった。幸いアイとの関係は疑われなかったものの、3人はあっという間に有名人になってしまった。赤ん坊だからまだ良かったが、下手したらデジタルタトゥーになっていたかもしれないと考えると、悟飯は軽く恐怖を覚えてしまった。
当たり前だが、そのことは社長にも知れ渡り、ミヤコは連行された。今回は一応アイは悪くない。悪いのはオタ芸を披露した2人である。
夜中になり、悟飯もこっそりスマホで先程のライブのことについて調べていた。当然と言うべきか、自分達の映像が所々に出回っていた。
『この赤ん坊達から厄介オタの資質しかしない』
『赤ん坊ってこんなキレッキレに動けるもんなのか?』
『一番右の黒髪の子、将来唯一の常識人として苦労しそう』
『「なにしてんだお前ら」って目で見てるってコメント見てからそれにしか見えなくなったわ…』
「あっははは………」
コメントでも言及されているが、確かに想像できてしまう。しかも全く違和感なく…。
「やばい、大丈夫かこれ…?」
「だ、大丈夫でしょ…!ママとの関係は疑われてないっぽいし?」
「反省する気あるの…?」
早速苦労人になりつつある悟飯であった。
なんでもう出来上がってるんだろう…?なんならプロットだけなら20話分くらいまで出来上がっているという事実。モチベがあるってこんなにも偉大だったんですね。
今後の予定としては、あの運命の日の後からがオリジナル展開になる予定。原作推しの子はドームライブの日から一気に高校生(付近)まで時系列が進んでいましたが、今作ではもうちょいゆっくりになる予定です。とはいえ、そんなダラダラやりたくないのでサクサク進めていく予定でございます。ちなみにですが、私はドラゴンボールは超とGTも含めて全て(ヒーローズ等のゲームEPは除く)と、推しの子は原作の方を最新話まで読んでおります。ドラゴンボールの方に関しては、そこまでネタバレに配慮する必要はないかと思いますが、推しの子の方は要注意です。
今回もアンケート設置しました。前回と同じ要領で、結果によって展開が変化するものではないので、お気軽に。てかこのシリーズでは毎回アンケートを取る……かも?
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両方好きになって沼れ!(逆ハーもどき)