推しの飯/絶望の未来から転生した戦士   作:Miurand

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 はーい、今回はタイトルの通り結構重要な回だったりします。
 今回は投稿が遅くなってしまって申し訳ございません。当方、実は学生の身でして、ただいま就活地獄に陥っております。あと少しで1社内定出そうなので、本気で取り組むので恐らく次回も遅くなるかと思います。上手くいけば4月中に内定が出るんや……!ということで、ご理解のほどよろしくお願いいたします。あっ、感想返信くらいなら全然できますよ。
 ちなみに就活中なのに筆がそこまで遅くなっていないのは、執筆がストレス解消、気分転換になっているからです。



第12話 運命の再会

突然だが、星野エメラルドが元々いた世界……。前世の世界の他にも、並行世界があったことはご存知だろうか?

 

彼が孫悟飯として存在していた世界では、弟子のトランクスが過去に赴き、そこで力をつけ、帰還し人造人間を討伐した。この世界をA世界と仮称しよう。

 

次にB世界。こちらは、A世界のトランクスがこちらの過去にやってきて、悟空に心臓病特効薬を渡したことにより、病気が原因で死ぬことはなかった世界線。しかし、その世界には人造人間セルという、トランクス以外にもイレギュラーな存在がいたのだ。

 

そのセルは、また別の世界の未来からやってきた人造人間だった。そのセルが元々いた世界をC世界と仮称しよう。

 

C世界でも孫悟飯は戦死し、トランクスはA世界と同様に、過去に赴いた。しかし、力を身につけることはなく、何らかの方法で人造人間17号と18号を無力化する術を見つけ、それを実行して破壊した。これによって完全体になる道を絶たれたセルは、トランクスを殺害した後に、タイムマシンを使ってB世界に赴いた……。

 

A世界の孫悟飯が、こちらの世界で星野アイの息子として、人生を謳歌している。A世界とC世界は非常に似た境遇で、死者も多い。恐らく、未練を残して死んでしまった者は少なくないだろう。

 

「さて、私が何を言いたいのか、もう分かってもらえたかな?」

 

鴉を従えた銀髪の少女が、共に歩いているエメとあかねの姿を見つめながら、誰かに語るように呟いた。

 

 

 

あかねがアイの演技で撮影に挑んだ結果、視聴者の注目を一気に集めることに成功した。突然浮上したエメあかの可能性に、視聴者達は高揚感を隠せていなかった。

 

「…………まずいことになったわね。多分だけど、あかねもエメのことを……。もう!どうしてそんなに人をタラシこむのよ!!?歳上を惑わすフェロモンでも出してるんじゃないの!?」

 

ライバルであるあかねが、ビジネスといえどもエメとカップルになる可能性がある。例え微々たるものだとしても、有馬にとってはすぐに納得できるものではなかった。

 

「確かに番組的には、困難を乗り越えてカップリングが成立したら面白いと判断してもおかしくはないけど……。せめてMEMちょにしろエメ!!あかねだけはダメだ!!私が許容しないわよ!!」

 

有馬は勝手にエメの姉面をして、あかねとの交際を認めないと断言した。そもそも気が早すぎるのだが、それは言わないお約束。

 

「…………ママ…?」

 

「はぁ?あんたのママがどうしたのよ?」

 

「あっ、な、なんでもないよ!にしてもあかねちゃん凄いね……。まるで本物のアイさんみたいだよ……」

 

「……そうね。あかねは一流の役者しかいないと言われるララライの若きエースなのよ」

 

徹底した役作りに、与えられた役への深い考察と洞察。それらを完璧に演じる天性のセンス……。あかねはリアリティショー映えする性格ではなかったものの、役者としては『天才』と呼ばざるを得ない。それほどの才能を持ち、それを活かしていた。

 

「わぁ!本当に私そっくりだ!確か黒川あかねちゃんだよね?すっごいねこの子!今度会ってみたいな〜」

 

「あっ、アイさんが名前を覚えた!これ一大事だよ!?アイさんが覚えるなんて、よっぽどのことだよ!?」

 

「それがどうしたっていうのよ?一応私だって名前覚えられているけど?」

 

「なんか私バカにされてない?気のせい?」

 

アイは頬を膨らませながらそう呟くも、番組の続きを見る。すると……。

 

「ちょ、ちょっと待って?なんかあかねちゃんとエメがいい雰囲気になってない?めむちゃんともいい雰囲気になっているし!?ま、まだエメには恋愛は早いと思うなぁ……」

 

「お、落ち着いて!取り敢えずMEMちょとあかねちゃんは野獣じゃないから!大丈夫だよ!ちゃんと人間だよ!」

 

「いや、ちゃんと人間って何よ」

 

エメの異常な歳上引き寄せ能力を知っている有馬は、言わんとしていることは分かっていた。しかし、だとしても言語化するとシュールなものである。

 

「…………まあ、エメなら女の子の1人や2人養えるよね!もういっそのこと沢山の女の子と結婚して沢山の子供に囲まれたら幸せだと思うな!!」

 

「なんか壊れ始めた!?」

 

「普段感じるカリスマ性はどこへやら……」

 

ゆきのせいでアイが悟りを開きかけていた。そろそろ子離れは必要かもしれない。

 

 

 

時は少し戻り、あかねが復帰して初めての撮影が終わった時のこと……。

 

「いや〜、さっきの黒川さんは本当に凄かったよ。まるで本物のアイさんがいるみたいだったよ」

 

「そう?上手くいっていたならよかったよ」

 

メンバーとは別れ、エメはあかねと帰宅していた。今周りに他のメンバーはおらず、エメとあかねのみだが、周りに一般人は普通にいる。内緒話をするにはもってこいの場所ではなかった。

 

色々あって有耶無耶になってしまったが、これだけは聞いておきたかった。あの日、間違いなく自分は飛び込んだ。そのはずなのに、浮いたのだ。エメに掴まれてから浮いていたように思える。少なくとも、自分は浮く術を持っていない。

 

そして、自分はあまり高いお店を知らない。流石にみんなが知るようなお店で密会するわけにもいかない。とはいえ、恋愛リアリティショーに出演している身だから、熱愛報道なんてものが出てもノーダメージに近いだろう。ただ会って世間話をするだけなら問題ないのだが……。

 

(多分、あれはエメ君も秘密にしているはず……。周りに聞かれるリスクがない場所と言えば……)

 

個室のある高いお店を知っていれば良かったものの、生憎あかねはそのようなお店は知らないし、仮に知っていたとしても、高校生が気軽に行けるようなお店ではない。

 

よって……。

 

「え、エメ君。もしこの後暇なら……、家に来ない……?」

 

あかねは自分が何を言っているのかはよく分かっている。下手しなくても勘違いされかねない発言だ。

 

「えっ?黒川さんの家に……?」

 

当然、突然そんなことを言われれば、エメは疑問に思う。何の脈略もなかったから余計だ。

 

「うん。色々話したいことがあるからさ……。多分、エメ君も周りに聞かれちゃまずいでしょ?」

 

その一言を聞き、エメは大体察した。恐らく、あかねを助けた日のことだ。あの時はあかねが弱っていたこともあり、その日は何も追求されなかったが、落ち着いてきたからそろそろ聞きたかったのだろう。

 

「…………分かった。確かに、そのことに関してはいずれ話さなきゃいけなかったし……」

 

エメは、力のことは基本的に秘密にしている。これは昔、アクアに指摘されたことだが、エメの力は現代社会に於いては大き過ぎる。それも、抑止力となる核兵器をも余裕で上回るほど。1人の人間がそんな力を持っていることを知れば、いくら治安の良い日本と言えども、エメに何も被害がないとは言い切れないからだ。

 

とはいえ、なんだかんだいって色々な人に力を使う場面を見られてしまっている。有馬かな、MEMちょ、そして黒川あかね。家族を除けば、既に3人に知られていることになる。

 

だが、どれも人命救助をした結果に過ぎず、はっきり言ってエメに落ち度はなかった。

 

 

 

「あっ、エメからメッセージだ」

 

悟りを開きかけていたが、ルビーの愛の力によってなんとか正気を取り戻したアイ。エメからメッセージが届いたので、内容は何かと確認する。もし夕飯のリクエストならば張り切らなければ。何せ、あの子はいつもお母さんの作るご飯なら何でもいいと言うのだから。でき過ぎた子である。

 

「…………………えっ?」

 

だが、内容を確認するなり、アイは固まった。

 

「どうしたの?」

 

アイの異変に気づいたルビーも、スマホを後ろから覗き込むと……。

 

「…………………えっ?」

 

アイと同じような反応をして、フリーズしてしまった。

 

「ちょっとちょっと?なに2人して固まってんのよ?」

 

有馬も同じようにして覗き込んで内容を確認すると……。

 

「…………あっ」

 

有馬は察してしまった。過保護なルビーや、エメに執着的なアイが固まってしまうのも頷ける。

 

『今日は黒川さんの家に寄っていくから、ちょっと遅くなるよ』

 

その一文だけ。だが、その一文が、有馬のSAN値を削ぎ落とす。

 

「ギャアアアッ!!!?嘘でしょあんた!!?なんでよりによってあかねの方なのよ!!?MEMちょにしろとあれほど言ったのに!!?」

 

ちなみに、そのことをエメに対して言ったことは一度足りともありません。

 

「ま、まずいわ!早く黒川あかねの家に行ってエメを連れ戻さないと!取り敢えず鬼電よ鬼電!電話が頻繁に来るようじゃ流石に集中できないでしょうがッ!!!」

 

有馬は必死にエメに何度も電話をかける。しかし、応答がなかった。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ…!め、メッセージを……」

 

適当に何かしらメッセージを送るも、既読が付かなかった。

 

「………………」

 

有馬は諦めてしまった。まさか今ガチが終わる前からガチカップルが誕生してしまうとは。別にエメに恋人ができること自体に異論はない。しかし、その相手があかねとなると、話は変わってくる。

 

「へぇ〜?私、てっきり無垢で純粋なのかと思ってたけど、エメも結局はオスなのね〜。つーことは、今までのは演技で、気に入った歳上を堕とすための作戦に過ぎなかったと……。次会ったら絶対に問い詰めてやるから、覚悟しなさいよ?」

 

フフフと笑ってはいるものの、目は笑っていなかった。なんなら目からハイライトが完全に消えていた。シンプルに怖い。そしてルビーとアイは相変わらずフリーズしたままだった。

 

ミヤコが入ってきた時には、何が起きたのかと大慌てしてしまったそうだ…。

 

ちなみに、何故ルビーではなくアイにメッセージが送られたのか、アイが親であることを知らない有馬は気になるはずだったのだが、エメがあかねの家に行くという事実が衝撃的すぎて気にする余裕がなかったようだ。

 

 

 

実は、エメはメッセージを送った後にマナーモードにしていた。これはあかねと大事な話をする為に、邪魔になり得るものを削るためである。

 

「あかね、おかえり……。って、あなたは確か……」

 

「この間ぶりですね。星野エメラルドと申します……」

 

「あら〜!茜、もしかして付き合うことになったの!?」

 

あかねの母親は、イケメンの、しかも娘の命の恩人を連れてきたものだからテンションはいきなり天上突破する。が、あかねは恥ずかしがりながらそれを否定した。

 

「私の部屋は上だから……」

 

そう言って部屋に案内される。エメはこれからどう話そうかと考え込んでいたが、あかねは初めて異性を部屋に招き入れることになるので、緊張していた。

 

「ど、どうぞ……」

 

あかねがドアを開け、それに従って部屋の中に入った。様子を見ると、綺麗に整理整頓されていた。あかねの真面目で几帳面な性格が現れていた。

 

「ご、ごめんね?何もない部屋だけど」

 

「ううん。気にしないで」

 

ドアは閉められ、部屋には2人きり。男女が狭い空間の中に2人きりなのだ。あかねもエメも緊張しているのか、どこか落ち着きがない様子だった。

 

最も、エメに関しては自分のことをどう話すべきか考えているせいなのだが……。

 

「さて……。どこから話した方がいいのかな…………」

 

「じゃ、じゃあ、あの日、私をどうやって助けたの?」

 

他には誰も聞いていないことをいいことに、あかねはバッサリ切り込んだ。

 

「私は、あの時既に飛び込んだはず。仮に歩道橋の上にいたとしても間に合わなかったはずなんだよ。でも、気がついたら浮いていた。エメ君に抱えられてからなんだ……。私は当然空なんて飛べないし、かといってエメ君も飛べるはずもないけど……」

 

どうやら、あかねはエメが何かの器具を使って助けたのではないかと推測しているようだが、それは大きな間違い。エメが浮いていたことに、タネも仕掛けもない。エメは本当の意味で宙に浮いていた。しかし、それは常人には到底真似できないことだ。

 

「……見てて」

 

エメは静かに、その場で浮いてみせた。このまま誤魔化せばなんとかなるかもしれないが、パッと思いついた嘘では状況的に怪しまれるに違いない。ならば、いっそのことバラしてしまう。それがエメの考えだった。

 

目の前でしっかり浮いているエメを確認し、あかねはその場で固まってしまった。

 

エメが再び地に足をつき、ようやく口を開いた。

 

「……それ、本当に空を飛んでいるの?」

 

「うん。修行さえすれば、基本的に誰でもできるはずだよ。人によって向き不向きはあるかもしれないけどね……」

 

「ど、どうやったらできるようになるの?」

 

「それは……」

 

エメは懇切丁寧に、出来る限り分かりやすく気の仕組みについて説明したつもりだが、いきなり言われても半信半疑の様子だ。

 

確かに、冷静に考えれば、生命エネルギーを扱えるようになれば空を飛べたりビームを出せるというのは変な話である。信じられないのも無理はない。

 

「ちょっと難しかったかな?」

 

「いや、意味は理解できたんだけど、なんというか、現実離れし過ぎていて、ちょっと脳が追いつかない……」

 

分析に優れたあかねでも、流石に処理が追いついていないようだった。大猿やフリーザに関する記憶が残っているならまだ理解は早かったのかもしれないが、あかねは過去にエメと関わったことがないため、記憶消去の例外には選ばれなかったようだ。しっかりその辺の記憶は消されているみたいだ。

 

「あの、このことはどうか内密に……」

 

「言いふらすわけないよ!エメ君のお陰で私は今日も生きているわけだし、それに仮に言ったところで信じてもらえるかどうか……」

 

多分後者の意味合いが強かったのだろうが、あかねの性格を考えれば、無意味に言いふらすことはしないだろう。エメもそれが分かっていたからこそ、あかねに話すことにしたのだ。

 

「えっと……。今日僕を家に招いたのは、これを聞きたかったから?」

 

「うん。多分エメ君も公にしたくないだろうし、かと言って私は個室のあるお店とかよく分からなかったから……」

 

「配慮してもらえるのは凄く助かるよ……。ありがとう」

 

エメはあかねの配慮に感謝した。あかねとしては、あくまで下心込みで招いたわけではないことをアピールするために言ったのだが、エメにはそんなことは気にならなかった。

 

「じゃあさ、僕からも聞きたいことがあるんだけど、アイさんの演技はどうやったの?」

 

機会さえあればすぐに聞きたい内容であった。あかねのアイの演技は、B小町のアイでもなければ、マルチタレントのアイでもない。自分達家族しか知らない、星野アイの要素も確かにあった。

 

「それはね、自分なりにプロファイリングの本を読んだりはしているんだけど、一杯調べて自分なりに解釈しているだけなんだ。色々勝手な設定を付け足しちゃってるし」

 

「勝手な設定……?」

 

「うん。例えば、アイには隠し子がいる…………とか」

 

その言葉を聞いた時、エメは生きている心地がしなかった。もし、あかねが真実に辿りついているのだとしたら、母の芸能人生が終焉を迎えてしまう可能性が高いから。子供の自分達はまだいいかもしれないが、苺プロにも致命傷級の損害が出る可能性も……。

 

「もしそうだと仮定すると、色々な感情のラインに整合性が取れるし、不可解だった数々の行動の理由が分かるの。何を考えてどういう人格なのか、数式パズルみたいに分かってくるの!」

 

あかねは意気揚々と自分の中のアイを創り出していった過程を語るが、エメの頭を素通りしてしまう。なんとかして自分とアイの間に血縁関係があることを否定しなければ、自分のせいでアイの芸能生命が終わるかもしれないから。

 

「へ、へぇ〜?そ、そうなんだ……。す、すごいね……。とても僕には真似できそうにないよ……」

 

「そんなことないよ!多分空を飛ぶよりは簡単だと思うよ!」

 

「いや、それはどうだろう……」

 

とはいえ、あかねのプロファイリング能力には素直に感心してしまった。情報がなくても、自分が付け足した設定で解像度を上げてしまうのだから。

 

「ち、ちなみにだけど、アイさんは何人子供がいる設定なの?」

 

「……多分1人ではないね。歳の近い子が2人以上はいると思う。2〜3人ってところかな?流石に正確な人数までは予想できないけど……」

 

またしても見事に言い当てていた。エメの胃はもう持ちそうにない。恐らく自分がボロを出して、速攻で秘密がバレてしまうパターンだ。エメには分かる。

 

「でも不思議なことに、アイの演技をした状態でエメ君と接するとさ、どうしても、母性っていうのかな?守らなきゃって感情が湧いてくるんだよね。私の方が守られているのに、変な話だよね」

 

もしや、あかねは自分を試しているのではないか?そう思えるほどに、真相にだいぶ近づいている。最早探偵の方が向いているのではないかと思ってしまうほどだ。何故芸能人をやっているのかとツッコミたくなってしまったが、そこはなんとか抑えた。

 

「あっ、そうだ!せっかくだからご飯食べていかない?」

 

「ん〜……。気持ちは嬉しいけど、多分家で用意されちゃってると思うから、今日は帰ることにするよ」

 

「そ、そっか……」

 

あかねは少し寂しそうな顔をするも、エメに迷惑をかけまいとすぐに明るい表情を作る。

 

エメとしても、グルメな方なのでいただけるならありがたいが、アイが用意してくれているかもしれないと考えると、そちらを無碍にするわけにはいかなかった。

 

「そろそろ、今ガチも終わるよね」

 

「あっ、そういえばもうそんな時期かぁ……」

 

「毎シーズン最終回は、基本的に男子から告白するじゃん?エメ君は誰に告白するとか、決めてるの?」

 

毎シーズン基本的に、それぞれのカップリングができるように調整される。複数の男子が同じ女子に告白することはないのだ。

 

ノブユキはほぼ間違いなくゆきになるだろうが、ケンゴはどうするのだろうか?また、エメは現状のままならMEMちょに告白する可能性が高い。

 

番組を成功させるためにも、その辺の組み合わせは慎重に決める必要があるだろうが、あかねとしては……。

 

「…………分からないよ」

 

「えっ?MEMちょじゃないの?」

 

「この手の番組に出ておいてなんだけどさ、せっかくなら告白に嘘はつきたくないんだ……。付き合ってもいいとかじゃなくて、この人と付き合いたいって思える人がいいなって思っているんだ……」

 

エメは正直な人間であり、基本的に自分を飾るようなことはしない。また、真面目な性格故に、やるなら恋愛もちゃんと真面目にやりたいようだ。それに、そこまで本気でもないのに告白するなんて、相手にも失礼だと考えているのだ。

 

「そっか……(じゃあ、エメ君に告白してもらえるように頑張らなきゃ……)」

 

もしかすると、自分にもチャンスがあるかもしれない。でもアイの演技だけではどうにも押し切れない気がするののだ。だが、あかねには丁度いい武器がある。エメがグルメなのは既に知っているし、プロフィールにも美味しいものを食べることが好きだと載っていた。

 

(……よし。そうしよう。確か、エメ君は食いしん坊だもんね?少しくらいなら……)

 

「あっ、そろそろ僕帰るね。あまり遅いとお母さんに怒られちゃうから……」

 

「うん。分かった」

 

本当ならもっと一緒にいたいが、迷惑をかけるわけにはいかない。あかねは自分の欲を抑え、エメを帰すことにした。

 

「今日はありがとうね……。色々話してくれて」

 

「あはは……。まあ、見られちゃったから、変に誤魔化すわけにもいかないし、黒川さんなら周りに話すような人じゃないだろうから」

 

それじゃあまた今度、とエメが帰宅しようとした時、向こう側から扉が開かれた。

 

「ただいま〜!」

 

「あっ、お帰り、(あおい)

 

(あおい)とあかねは発した。見たところ、どことなくあかねの面影を感じる顔だが、髪の長さ、服装からして男であることはすぐに分かった。となると、弟か兄だろうか?そもそも黒川家に帰宅していることから、身内なのは間違いないだろう。

 

「あれ?姉さん、この人は……」

 

「あっ、紹介するね。今ガチの星野エメラルド君」

 

「どうも初めてまして。芸名は孫悟飯って言います。君は、黒川さんの弟君かな?」

 

「は、はい。俺、黒川碧って言います……」

 

身内以外の芸能人が目の前にいるためか、碧は緊張している様子だった。

 

「へぇ、黒川さんに弟なんていたんだね?初めて知ったよ」

 

「まあ、話す機会はなかったからね…」

 

「会ったばかりで申し訳ないけど、僕はもう帰らなきゃだから。ごめんね?」

 

「あっ、いえ。こちらこそ……」

 

「それじゃ、またね、あかねさん!」

 

そう言うと、エメは碧とすれ違う形で外に出た。律儀にゆっくりとドアも閉めてその場を離れる。

 

さりげなく名前呼びされたことに、あかねは嬉しく感じていた。例え弟もその場にいたから、紛らわしさをなくすための配慮だったとしても……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、あなたもこの世界に生まれ変わってきたんですか……?()()()()……」

 

碧が意味深な発言をするも、その声がエメやあかねに届くことはなかった。

 

 

 

孫悟飯……。俺は、この名前をよく知っている。小さい頃から俺の面倒を見てくれて、稽古をつけてくれた、かけがえのない存在。師匠であり、兄のような、父のような存在でもあった。

 

俺は悟飯さんのように強くなりたかった。悟飯さんが死んだ後も、絶対に人造人間を倒してみせるって。そう意気込んで……。結局、実力で倒すことはできなかったが、過去の母さんに停止装置を作ってもらい、それを持ち帰ることによって、17号と18号を倒すことに成功した。

 

しかし、油断していた。17号や18号の他にも、世界を脅かす存在がいたなんて……。俺もいなくなって後、世界は一体どうなってしまっているのか……。俺は、悟飯さんの意志を継ぐことが、できなかった…………。

 

後悔してもしきれない中、俺は緑色の化け物に殺されたはずだった。だが、目が覚めたらあの世ではなく、この世だった。

 

「ほら、茜。あなたの弟よ」

 

俺に名付けられた名前は、黒川碧。とても綺麗でいい名前だと思う。しかし、何故生まれ変わったのか?どうして?普通は死んだらあの世に行くのではないのか?聞いてた話と違うではないか。

 

不謹慎だし、母さんには申し訳ないけど、死んだらまた悟飯さんに会えると思っていた。悟飯さんがよく話していたピッコロさんや、悟空さんや、みんなにも会えると……。

 

「わたしの、おとうとなの?おかあさん?」

 

「ええ、可愛いでしょ?」

 

「……うん。すっごくかぁいい!!」

 

だが、俺は歓迎されていた。母さんは、俺が生まれた時も、こんな感じで喜んでくれたのだろうか?普通の子供の方が良かったのではないか……。

 

……当然、すぐに切り替えられるわけがない。俺はトランクスであるという認識は、今でも消えていない。

 

きっと、俺が生まれ変わったことにも意味があるはずだ。特別な意味を齎しているはずだ。ならば、まずは修行しよう。動けるようになったら、すぐにでも……。2度とあんな地獄を再現させてたまるか…………!!

 

 

 

そんな思いで、動けるようになってからは、人目を盗んでは修行を続けていた。しかし、何故か一向に力が戻る気配がないどころか、気を全く扱えないままだった。悟飯さんに教わった通りにやっているはずなのに……。もしや、この世界には気という概念がないのか?

 

色々調べて分かったのは、この世界は元いた世界とは全くの別世界だということだ。世界には100以上の国が点在しているし、俺の実家でもあったカプセルコーポレーションは存在すらしていない。人造人間のような極悪人も存在していない、とても平和な世界だった。

 

いや、正確には、国同士の戦争や国内での紛争は起こっている。が、世界中が危機に陥るような戦闘は起こっていない。

 

何も進歩がないまま、俺は小学生を迎えた。そういえば、前世は学校なんて行ったことがなかったような気がする。本当にこのままでいいのか?俺は何のために生まれ変わってきたのか?そんなことをよく考えていた気がする。

 

そんな時だ。テレビに彼が映ったのは。

 

『本日は、今話題の子役、『孫悟飯』君に来てもらいました!』

 

名前を聞いた時、自分の耳を疑った。かつての師匠の、憧れの人の名前と全く同じだったから。字を見ても、一語一句一致していた。まさか、俺以外にもこの世界に?悟飯さんも、この世界に生まれ変わってきたのか?

 

もしそうだとしたら、どれだけ嬉しいことだろうか。もう2度と会えないと思っていた人に、もう一度会えるのだから。だけど、もし、本当に悟飯さんだったら?

 

悟飯さんは、あの時死んだ。でも、俺も一緒に戦うつもりだったのに、悟飯さんは1人で行った。

 

当時は悔しくて、人造人間が憎くて、それで超サイヤ人に覚醒した。悟飯さんはきっと、片腕を失ってしまったから、もう人造人間と張り合えないと悟ってしまったのだろう。だから、最後のサイヤ人の血を引く俺に、全てを託したのかもしれない。

 

もし、この推測が正しければ?もし、彼が本当に悟飯さんの生まれ変わりだったとしたら?

 

そんな彼に、俺はトランクスですと告げたらどんな反応をするだろうか?

 

あの優しい悟飯さんのことだから、きっと怒らない。寧ろ、悟飯さんから謝罪されてしまうかもしれない。悟飯さんは人一倍責任感が強いから、全然あり得る。

 

きっと、悲しませてしまう。自分のせいで俺が死んだと、自分自身を責めてしまうに違いない。トランクスが戦死してしまったなんて、伝えない方がいい。

 

……そうだ。あの孫悟飯さんは、俺の知る悟飯さんとは別人だ。きっとそうに違いない。

 

さっきまで悟飯さんがすぐ近くにいたなんて、そんな都合のいい話、あるわけがない……。

 




キャラ紹介:

黒川碧(あおい):まさかの未来トランクスが転生した姿。しかし、彼は本編世界に現れた未来トランクスではなく、本編世界にて超2悟飯に敗れたセルが元いた世界のトランクス。そのため、死亡時の戦闘力は精神と時の部屋で修行する前の強さ。17号と18号は停止装置を利用して破壊、その後にセルに殺害された。

エメがカカロットやフリーザと戦っている間、彼はエメのように死にかけたわけではないため、力を取り戻せぬまま今日を迎えてしまった。ただ、数年修行して最序盤悟空程度の戦闘力は得ることができた。また、彼も記憶消去の例外には選ばれていないため、カカロットやフリーザのことは覚えていません。

更に、エメ=未来悟飯であることは薄々勘づいているものの、託された使命をまともに熟すことができていないと自分を責めており、未来悟飯にトランクスが死んだという事実を告げたくない、また、別人の可能性もあることから踏み込めていない。まあ未来悟飯なら絶対トランクスを死なせてしまったことは悔いるが、それはそれとして再会を大喜びすることは間違いなし。

何故トランクスの転生体を登場させたかって?だって、アクルビは実質運命の再会やで?エメにもそういうのあっていいじゃん……。普段は可愛いがメインの悟飯が、トランクス相手には師匠面してギャップに焼かれる展開見たくない?あと単純に未来師弟コンビが好きなんや。許してください……。

トランクス(碧)が出てきて……

  • よくやったと褒めてやりたいところだ!
  • なにやってんだお前ぇ!!
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