推しの飯/絶望の未来から転生した戦士   作:Miurand

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 前回のトランクスの登場で、実は少々荒れるかもしれないと覚悟していたのですが、想像の10倍はいい反応で安心しました。とはいえ、無意味に今後DBキャラを増やすつもりはありませぬ。風呂敷を不用意に広げ過ぎると、処理が追い付かないのです。



第13話 今ガチ、終幕

急遽あかねの家に行くことになったエメ。そこで、あかねを救出した際に浮いていたことに関して話すことになった。代わりにエメはあかねから、アイの演技の方法を聞き、あまりの凄さに驚愕してしまった。

 

そして、いざ帰宅しようとしたところで、あかねの弟、碧と初めて会うことになるのだが……。黒川茜の弟、黒川碧は、エメと同じく前世の記憶がある。しかもその前世はトランクスであった。

 

しかし、(トランクス)は使命を全うできなかった罪悪感から、エメが悟飯であるかどうかを聞くことを渋ってしまった。そもそもそんな都合の良い話があるはずなどないと、自分に言い聞かせていた。

 

その為、エメ(孫悟飯)はトランクスもこの世界に生まれ変わっていることなど知らず、今日も呑気に学校生活を送るようだ。

 

「いた!いたわエメ!」

 

登校中、有馬がエメを見つけ次第駆けつけてきた。物凄い形相をしながら。

 

「あれどういうこと!?何あかねを誑かしてんのよ!!?私はあかねとの交際は認めないわよ!!MEMちょといい感じならそっちにしなさい!!」

 

唐突な命令にエメは困惑気味だったが、先日教えてもらった、あかねと有馬の関係性を思い出したエメは、何故有馬がそんなことを言うのか理解した。

 

「あー、そういえば、ロリ先輩ってあかねちゃんとライバル関係なんだっけ?」

 

「俺としては問題ない気がするけどな。まあ実際に会ってみなきゃ分からないけど……」

 

ルビーとアクアも問題ないのではないかと主張。あの過保護なルビーやアクアも良しと言っているのだ。この2人のフィルターを突破しているあかねはある意味最強である。しかし、有馬が納得できるはずもなく……。

 

「ダメよ!私の目が黒いうちはあかねとはくっつかせないわよ!なんなら今から今ガチに乱入して、私がエメとビジネスカップルになってでも止めるから!!」

 

「いやアイドルがそれやったらまずいだろうが」

 

アクアのツッコミはご尤もだった。アイドルなのに、形だけと言えども恋人なんて作ってしまった日には、それこそ芸能人生終了である。

 

「エメ!とにかくMEMちょにしなさい!あかねだけはダメよ!!私が認めないわ!!」

 

「別にあかねちゃんならいいと思うけどなぁ……」

 

ルビーフィルターも無事通過しているのだから、星野家としても問題ないという認識のようだ。アイは子供が自立して離れてしまうことを恐れているようだが、別に反対というほどではないのでセーフ。

 

「エメ。有馬は俺がなんとかするから、先行ってろ」

 

「わ、分かった……」

 

「ゴルァっ!!無視すんなぁ!!」

 

有馬の必死の叫びも虚しく、流石に聞き入れることはなかった。そもそもあかねと付き合うかどうかは確定していないというのに。

 

「にしてもロリ先輩うるさかったね〜。そんなにあかねちゃんのことが嫌いなのかな……」

 

「うーん……。どうなんだろうね?心の底から嫌っているってわけではなさそうだけど……」

 

ちなみに、その日は何故かアクアが学校に来なかった。途中まで一緒に登校していたことから、体調不良ではないのはほぼ確実。となると……。

 

「アクアァ……。ロリ先輩連れてサボりやがったなぁ……」

 

「ルビーちゃん、抑えて抑えて……」

 

エメのための行動なのかと思いきや、まさか女遊びするためだったのかと、怒りを隠す気はないご様子。

 

「えぇ!?アクア、まさか学校サボったの!?しかも有馬さんを巻き込んで!?帰ったら注意しないと!!」

 

そして、真面目なエメは、学校をサボることなど当然良しとするはずもなく、次アクアに会ったら注意することを決めるのであった。

 

 

 

そして次の撮影日。前回同様、アイの演技をしたあかねと行動を共にすることが多いのだが……。

 

「やっほ〜!あかねと仲良くやってるみたいだね〜!」

 

「あっ、MEMちょさん」

 

「どうしたの、MEMちょ?」

 

「ふふーん、実はね……」

 

MEMちょが手に取ったのは、まさかのお弁当。昼食は現場で配布されるのだが、何故かMEMちょは持参してきたようだ。

 

「えっ?MEMちょさんってそんなに沢山食べる方じゃないよね?」

 

「まあねえ。あまり食べ過ぎちゃうと太っちゃうし。実は昨晩作りすぎちゃったから、その余り物をエメたんにあげようかと思って……」

 

あくまで平静を装ってエメにお弁当を差し出すMEMちょ。一応一人暮らししている身なので、多少は料理できる。だが、余り物というのは嘘である。わざわざエメに食べてもらうために作ってきたのである。ゆきが変なことを言うものだから、MEMちょも少しずつ意識するようになってしまった……。

 

というのもあるが、エメは昼食後に腹の虫を鳴らすことがしばしばあった。前世とは違ってサイヤ人の胃を有していないとはいえ、人より沢山食べるので、配布の弁当程度では到底足りないのである。

 

そこでMEMちょは、姉心7割、()()()3割でエメのためにお弁当を作ったのである。

 

「えっ?これいいの?」

 

「全然いいよ〜!ウチに置いても余らせちゃうだけだしね!」

 

「じゃ、じゃあいただこうかな……」

 

エメは申し訳なさそうにしつつも、嬉しそうであった。蓋を開けてみれば……。

 

「……お、美味しそう……」

 

無茶苦茶しっかりしたお弁当だった。本当に残り物で作ったのかと疑いたくなるくらいには。というか、まず何故焼き魚が?焼き魚が余ることなんてあるのだろうか?

 

「いただきまーす!」

 

しかし、目の前の食べ物に夢中なエメはそんなことなど気にせず、箸を進める。

 

「美味しい……」

 

そんな感想を溢しながら、あっという間に平らげてしまった。

 

「早っ!?ちゃんと噛んでから飲み込んだの!?」

 

「うん。流石に噛まずに飲み込んじゃうとあまり味わえないからね。それにしても、MEMちょさんって料理もできるんだね。美味しかったよ、ご馳走様」

 

行儀よく手を合わせて食事を終わらせたエメ。だが、あまりの速さにMEMちょは思わずツッコまざるを得なかった。

 

(……夕飯の余り物って、多分嘘だよね?焼き魚なんて余るはずないもん……)

 

そして、あかねもメムの嘘を見破り、何故わざわざそんなことをしたのか考察……するまでもない。

 

恐らく、自分と同じくガチで狙いに来ているのではないか?そこまではいかなくとも、撮れ高を狙っているわけではないことはなんとなく分かる。

 

というのも、メムはお馬鹿キャラで癒し枠として定着している。ギャップ作戦なんてことはあり得なくはないが、女の感がそうではないと言っている。

 

瞳に星を宿らせ、準備が完了したあかねは、今度は自分のターンだと奮いを効かせる。

 

「エメ!いつもお昼ご飯足りなそうにしてたよね?だから私も作ってきたよ☆」

 

メムのように遠回しな言い方をせず、正直に事実を告げることにした。こうすることによって、メムと差別化するだけでなく、自分はあなたのことを想って作ったのだとアピールすることもできるのだ。

 

(あ、あかね攻めるねぇ……)

 

対して、メムは対抗心を燃やすというよりは、若い子のパワースゲェ……。と感心していた。いや、メムも大して歳を取っていないだろうとツッコミたいところだが、それはまた別のお話。

 

「いやいや待って。エメたんさっき食べ終わったばっかりだから、流石に厳しいんじゃない?」

 

当然の疑問を言うMEMちょ。メムが作ってきたお弁当は、普通にそこそこの量があった。いくら男子高校生と言えども、2個目は流石にきついのではないか?

 

だが、舐めてはいけない。エメは肉体こそサイヤ人のものではなくなったが、常人以上に食べる。サイヤ人には及ばないとはいえ、沢山食べることに変わりはない。

 

「ううん?僕はまだまだ全然いけるよ?本当にもらっちゃっていいの?」

 

エメがこう答えるのは当然のことだった。

 

「もちろん!だってエメの為に作ってきたからね!」

 

「じゃあ、いただきまーす!」

 

蓋を開けてみれば……。そこには、ご馳走が広がっていた。

 

いや、それは流石に大袈裟だ。中身は非常にありふれたもので埋め尽くされていたが、なんというか、盛り付けが素人ではないような気がする。試しに一口入れてみる……。すると……。

 

「な、なんだこれ……?」

 

程よい味加減。冷めていても十分美味しい。食べ応えもしっかりある。さらには、見た目も良い。決してMEMちょの作ってきた弁当がダメだったわけではない。寧ろ上出来だった方。だが、相手が悪すぎた。

 

実は、あかねは母親と共に、定期的に料理教室に通うだけでなく、家でも料理をするほど、普段から料理をしているのだ。時間が空いた時にたまに料理をするMEMちょと経験の差が出てしまうのは、最早必然とも言えた。

 

「あれ?もしかして、美味しくなかった?」

 

「いや、そんなことはないよ?美味しいけど……。お母さんよりも上手というか……」

 

明らかに高校生のレベルではなかった。アイも子供ができてからは料理をする頻度が高くなったものの、仕事柄家にいないことがよくある。その為、料理は面倒を見てくれるミヤコや、たまにアクアやルビーもやったりしている。

 

ちなみにエメも簡単な料理ならできる。

 

「まあ、私は料理教室に通っているし、家でも料理するからね〜。当然だね♪」

 

「えっ?あかねって料理教室に通ってるの!?」

 

「うん。そだよー。言わなかったっけ?」

 

「今初めて聞いたよ!?」

 

学生生活を送り、勉強も怠らず、芸能活動も頻繁にしており、稽古も欠かさない。これだけでも非常に多忙な彼女だが、そこに料理教室という習い事に通っているとなると、実は結構要領の良い子だったことが判明する。努力が空回りして炎上してしまったあかねが最早偽者のように見えてしまうほどのハイスペックぶりである。

 

「道理で美味しいと思ったよ……。ご馳走様!」

 

「相変わらず完食が早いっ!!」

 

これでもしっかり味わっているのが、エメの恐ろしいところである。

 

「でも私の腕はまだまだこんなものじゃないよ?良ければ今度作ってあげようか?」

 

「えっ?悪いよ2度もそんな……」

 

「いいのいいの!エメは私の恩人みたいなものだから、これくらいお安い御用だよ!」

 

「えーなになに?あかねって料理上手なの?」

 

「今度俺らにも作ってくれよ!」

 

メムとあかねがエメにご馳走したことを知ったゆきとノブユキ、ケンゴもいつの間にか教室に来ていた。そんなに上手なら自分達も是非ご馳走になりたいと考えての発言だったのだが……。

 

「えー?今回はエメのために作ってあげたからなぁ……。どうしよっかなぁ……」

 

「いいじゃん。黒川さんの負担にならないなら作ってあげなよ?」

 

エメがそう言うと、あかねは納得する素振りを見せた。

 

「うん分かった。エメが言うならそうするよ」

 

エメがそう助言したから、あかねがみんなにも作ることを決めた。こうすることによって、共演者や視聴者にも、自分はエメ君を狙っていますと堂々と主張しているのだ。あかねは胃袋を掴もうとするだけでなく、外堀を埋める作業も並行して進めていく。

 

今からガチ恋を始めるのではなく、今からガチで落としますを実行している。この2人にだけ焦点を当てると、最早タイトル詐欺である。

 

 

 

その日の収録が終わり、あかねもアイの演技を解いた。それと同時に目に宿っていた星が消える。

 

「いや〜、あかねガチでエメたんを狙いに行ってるね〜」

 

「あかねもやればできるじゃん。というか、私でもあそこまでガツガツいけないかもしれない……」

 

メムは勿論のこと、小悪魔と称されているゆきでさえ、あかねの行動に敬意を表するほどである。彼女たちから見ても、やはり特別積極的に見えたらしい。

 

「…エメ君を落とすには、多分胃袋から掴むのがいいって思って……。今までの様子を見ても、エメ君って鈍感でしょ?なら、そっちから攻めるべきかなって……」

 

「にしても、まさかあかねが料理もできるとは……。でもそのアドバンテージを活かすしかないっしょ!そのままあかねの料理なしじゃ生きていけない体に改造しちゃえ!」

 

この行動もあり、あかねはすっかり番組の中心になった。

 

今まではエメめむで確実視されており、カップリング論争など起こらなかったが、今ではエメあか派が大逆転して逆に論争が起こらないほどであった。

 

 

 

「やばい。やばいわ。マジのマジでエメとあかねがくっつきそうなんだけど。アイさんどうにかなりませんか!?今からでも番組に乱入してこのカップリングを崩しましょう!」

 

「無理」

 

「なんでよ!!?」

 

アイはエメに対する執着心が強いものだと思っていたが、アイは諦めていた。というか、そもそもアイは親離れすることを恐れての行動なので、最終的にはエメに彼女ができても、その彼女がまともか、もしくはアイが認める分には問題ないのだ。

 

「あかねちゃんが強すぎる。以上」

 

「どうしてそこでやめるのよそこで!」

 

有馬は最早アイがアイドルの大先輩であることを忘れてツッコんでしまう。今までのアレはなんだったのかと。切り替え早すぎないかと。

 

(だって、私よりもあかねちゃんの方が料理上手なんでしょ?性格も良くて、可愛くて料理もできるなら、文句なしかな〜)

 

あかねはとうとうアイフィルターをも通過してしまった。星野家の三大関門の最終防衛ラインを突破した。あかねに怖いものはもう何もない。本人たちさえ了承すれば、すぐにでもガチの恋人関係になることができる。

 

「先輩〜。いい加減あかねちゃんのことを認めなよ〜」

 

「そうだぞ有馬。それとも、そんなにエメのことが好きなのか?それならそうと早く言ってくれよ。そうすれば、有馬にも配慮したのに」

 

「違うそうじゃない。例えばだけど、あんた達はエメが突然ギャルビッチを彼女として連れてきたとしても認めんの?」

 

「それはアウト」

「ダメに決まってるだろ」

 

有馬がとんでもない例を叩き出してみれば、アクアとルビーは揃って拒否を選択した。

 

「それと同じよ!」

 

「いや全く違うだろ」

 

「先輩〜。もしかして暇すぎて頭おかしくなっちゃった?」

 

「失礼ね!っていうかあんた達は分かってない!あの目は間違いなく捕食者の目よ!知らない間にパックリ喰われているかもしれないのよ!?いいの!?あんた達の弟がいつの間にか大人の階段登ったりして!?」

 

有馬はなんとかアクア達も説得しようと試みるが、ルビーはエメから話を聞いているし、アクアとアイもまた、あかねが本当は大人しくて奥手な少女であることは、自殺未遂の件で既に知っている。

 

そんな彼女が、肉食系の行動に出るとは思えなかった。

 

「大丈夫だろ。そもそもあれはアイの演技だし」

 

「そうそう。本当のあかねちゃんは純粋で大人しくて真面目だからね。あれはアイさんの演技だからそう見えるだけじゃない?」

 

「えっ?もしかして、私ってそういう風に見えてるの?」

 

地味にショックなことであった。しかし、最近のカカロットに対するアプローチを見てみれば、彼らがそう感じてしまうのも無理はなかった。

 

「ぐぬぬ……!いいわ!私は1人になってでもエメを守り抜くわ!私はエメのお姉ちゃんなんだから!!」

 

「ちょっと先輩。それは聞き捨てならないよ。エメのお姉ちゃんは私ただ1人です〜!!お姉ちゃんの座は譲れません!!」

 

「ならさっさとあんたの中のセ○ムを作動させなさい!そして黒川あかねという侵入者を排除するのよ!!」

 

「あかねちゃんは大丈夫!オールグリーンだよ!」

 

「ガバガバセキュリティ!!」

 

有馬かなの苦悩は、まだしばらく続くことになる。

 

 

 

その後は、特に炎上することもなく、最終回に到達した。

 

打ち合わせの結果、ノブがゆきに、ケンゴがメムに、エメがあかねに告白するという段取りになった。

 

誰が誰に告白しても不自然にならないように、程よく色々な組み合わせで絡むようにしていたので、この辺は問題ない。長年番組を続けているだけあって、スタッフ達にはノウハウが蓄積されているのだ。

 

「もう最終回だね。ここまでやってこれたのはエメ君のお陰だよ。ありがとう……」

 

「いや、僕は何もしてないよ。ここまで頑張ってきたのは、他でもない黒川さん本人なんだから」

 

「でも、エメ君がいなかったら頑張れなかったよ」

 

あかねのお礼に対応するも、エメの様子が少し変である。

 

というのも、エメはあかねのことを、恐らくまだ異性としては見ていない。それを自覚しているのにも関わらず、告白してもいいものなのかと。一応、番組の都合で付き合うことにして、数ヶ月後に別れる、所謂ビジネスカップルの形態を取る場合もある。そのことは知っているのだが、それでいいのか?

 

自分はいいとしても、あかねはいいのだろうか?もしかしたらキスすることになるかもしれない。女子は初めてのキスを大事にすると聞く。彼女も恋愛は初めてだと言っていたことから、キスも未経験だと考えるのが自然。

 

「えっと……。どうしたの?」

 

エメの不自然な様子に気づいたのか、あかねが気にかける。そして、エメは今考えていることを打ちあけた。

 

「そっか……。じゃあエメは気にする必要はないよ。私は全然大丈夫だから!」

 

いつの間にかアイモードに入ったあかねはそう返事をする。確かに、アイの演技をしているあかねならば、そんなことしてもへっちゃらかもしれない。エメが心配しているのはそういうことではない。

 

「違うよ。僕は"黒川あかねさん"に聞いているんだよ」

 

あかねは賢いらしい。すぐに意味を理解したが、恥ずかしいからだろうか、顔を赤らめて口を閉じてしまった。

 

だが、黙っていると拒否の意味だと勘違いされてしまうかもしれない。そう捉えられてしまっては困る。

 

「だ、大丈夫!そこは私がなんとかするよ!エメ君は取り敢えず告白さえしてくれればいいから!」

 

「そ、そう?」

 

なんかいい感じに言いくるめられ、撮影に入った。

 

まずはノブユキのターン。ゆきユキは初期からの人気カップリングで、視聴者は、この2人がくっつくものと考えている人達が多いことだろう。

 

しかし、花束を持ったノブユキは見事撃沈された。これにはエメも驚いてしまった。

 

次にMEMちょに告白するケンゴ。こちらは花束ではなく、自前の曲と演奏でラブソングを歌うというもの。しかしこちらも撃沈。

 

そして、エメとあかねの番になった。番組の展開を考えるなら、あかねが告白を受け入れる方が良いし、付き合う方向になるのは間違いない。前シーズンの結ばれたカップルはキスをしたらしい。

 

ならば、自分からキスをするべきなのだろうか?いくら鈍感なエメと言えども、流石にこの後どうするべきかくらいは分かる。

 

好きであることをあかねに告白し、その後顔を近づけた。焦らすようにゆっくりと。ゆっくり近づけたのは、あかねが逃げる時間を稼ぐため。あかねが自分とキスすることが嫌ならば、余裕で逃げることができるように。

 

しかし、彼女は逃げる素振りを全く見せない。むしろ目を瞑って完全にキス待ち顔になっている。

 

流石に自分からキスするとなると、羞恥心を誤魔化しきれない。途中でエメの動きは止まってしまった。いつまで経っても唇に触れる気配がないので、あかねは目を開けてみれば、エメの顔が間近に。しかし動く気配はない。

 

エメが珍しく顔を赤らめて戸惑っているのだから、可愛いものだし、自然と頬が緩んでしまった。でも、このままでは一向に進まない。

 

「……もしかして、エメ君は、私とするの、嫌だった?」

 

「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

 

あかねのことが好きだと自信を持って言える状況ではないのに、本当にキスしてしまってもいいのか。エメが躊躇している理由は、羞恥心ではなく、これであった。

 

「…………」

 

あかねは瞳に星を宿らせ、エメをジッと見つめる。彼が自分に気を遣って嘘をついているかどうかを見極めるために。

 

不思議と、アイの演技をしている時はエメが嘘を付いているかどうかをすぐに見破ることができる。

 

少しして、あかねの瞳から星が消えた。それと同時に、自ら顔を近づけた。

 

「……!!!?」

 

2人の陰が重なった。エメは嘘をついていない。そして自分も嫌ではない。むしろ、したいかしたくないかで言えば、断然したい側だった。

 

フレンチキスのはずが、少々長い。少しして、どちらからともなく離れた。

 

「く、黒川さん……!!」

 

「これからは、あかねって呼んでほしいな……」

 

「えっと……。その、よろしく、お願いします、あかねさん……」

 

「うん。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

普段はエメの無自覚タラシムーブに振り回される側のあかねだったが、今は自分が振り回す側になっているようだ。自分もキスは恥ずかしかったが、エメは真っ赤にしていた。あまりにも初々しくて、つい悪戯してしまいたくなるような、純粋で可愛い反応だった。

 

こうして、エメあかのカップリングが成立し、今シーズンの今ガチは終了した。

 

 

 

そして、最終回が放映された。今回は星野家はエメを除いた家族と、何故かカカロットも巻き込まれていた。たまたま食卓にお邪魔させてもらったらこれである。無償で食べ物食えるんだからそれくらいいいだろ、とアイはゴリ押したらしい。

 

ちなみにエメは今ガチの打ち上げに行っているため不在である。恐らく帰ってくるのは夜遅くになるだろう。

 

「あいつ、こんな茶番やってんのか?」

 

戦士としての側面しか知らないカカロットは、まさに平和の象徴とも言える今ガチを視聴して、若干脳がバグっていた。

 

「茶番って言い方はないだろ。これも立派な仕事なんだから」

 

「地球人ってのはよく分からねえな……」

 

「あー!あかねちゃんからキスしたぁ!エメのファーストキスがぁ!!」

 

あかねとのキスシーンが流れた時、ルビーは無茶苦茶騒がしかった。あかねのことを認めているような言動をしつつも、やはりエメに彼女ができることに抵抗はあるようだ。

 

「おいルビー。なんでエメがファーストキスだなんて知ってるんだ?」

 

「だって、エメがキスを経験したら間違いなく顔に出して帰ってくるでしょ?」

 

「……言えてるな、それ」

 

実際、今ガチ最終回の収録後に帰宅した際には、顔を赤くして、普段の冷静さはすっかり消え失せていた。ウブにも程がある。

 

「………口と口をくっつけて何の意味があるんだ?まさか、相手を食う意思表示か何かか?」

 

カカロットは、あくまで食事的な意味でそう言うも、アイもそのように捉えるとは限らない。

 

「んー……。そうとも言えるかも?彼氏彼女になったからと言って、みんながみんなやるとは限らないけどね〜」

 

「地球人って惚れた相手を食う文化なんてあったのかよ……」

 

これには、食べることが大好きなカカロットもドン引きしてしまった。地球の生物のことを知っていれば、まるでカマキリみたいだなと言うだろう。

 

「あれ?普通はそういうものじゃないの?」

 

しかし、アイは『食う』を性的な意味で捉えているため、微妙に話が噛み合わなかった。

 

「なわけあるか!美味いもんがいくらでもあるのに、わざわざ同族なんか食ってられるか!」

 

「えっ?食べるってそういう意味?違う違う!そういうことじゃないよ」

 

「あん?他にどんな意味があるんだよ?」

 

「簡単に言えば交○だよ」

 

「ぶほっ…!!」

 

「うわ!汚いよお兄ちゃん!気持ちは分かるけど!」

 

アイの度直球な発言に、口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまったアクア。ルビーもいるというのに、遠慮がなさすぎる。やはり母親としてはダメな部類に含まれるかもしれないと、アクアは考えてしまった。

 

「母さん、俺とルビーもいるんだからそういう発言は控えてくれ。エメの時は本当に大変だったんだから……」

 

「ごめんね〜。でも、カカロットさんに理解してもらうには、こう説明するのが手取り早いかなって」

 

これまでカカロットと接してきて、サイヤ人と地球人の間では常識が違うことも分かっている。そのため、説明するなら単刀直入に言ってしまった方が早いのである。

 

「はぁ?○尾を食うって表現するのか?紛らわしいじゃねえか」

 

「地球人……、特に日本語はそうやって遠回しに表現する言葉多いよ?」

 

「にしても、口と口を合わせんのはやっぱり理解できねえな。何が楽しいんだか」

 

カカロットはエメとあかねのキスシーンを見ながらそう溢した。その言葉を待ってましたとでも言わんばかりにニヤけたアイは、こんな提案をする。

 

「私でよければ、してあげようか?」

 

アクアとルビーが簡易無量空処を食らって暫く動けなくなったのは言うまでもない。

 




 前回、(トランクス)が登場したことによって、ハーメルンpixiv共に感想欄が盛り上がったわけですが、まだ深堀はありませぬ。申し訳ねえ……。彼主役の回はまだまだ先なんよ。

 ここで今回のお話を簡単に整理。MEMちょが弁当を用意した理由としては、ゆきに指摘されて、「違う違う!エメたんは弟みたいなもの!」と意識していることによって発生したイベントでもある。無論ゆきはニヤけていたものの、MEMの理性が相当強いためか、取り合いには発展しなかった模様。これにはMEMファンのS・Fさんも「エメはMEMを押し倒すべき」と豪語していた。いやなんでそっちなんや。

 ということで、エメとあかねが形式上カップルになりました。有馬かなは発狂します。(トランクス)の前世を知ったら更に発狂します。将来的にはかながMEMの後押し要因になるのが目に見えている。タイムリミットはエメがガチになるまで。ガチになったら普通に同じ墓に入る覚悟決めます。NTR?エメ君には通用しません。だから早くしろ!間に合わなくなっても知らんぞ!!

 また、アイの方もようやく進展がありそうですが、カカロットはそもそも異性愛を求めていない珍種。多分1回身体に快楽を教え込まないとアイを異性としては見ない。ただし胃袋は既にアイ色に染まっている。アイの飯が食えなくなると割とマジで落ち込むくらいには餌付けされている。

 話は変わりますが、以前サラッとお話したアイ死亡ifのプロットがほぼ出来上がりました。こちらは1章以降の本編よりDB要素が強くなる予定です、いや訂正。かなりDB濃度高くなる。本編の執筆が行き詰った場合はそっち上げる予定です。
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