推しの飯/絶望の未来から転生した戦士 作:Miurand
↑こんなこと言っていた見通しが立てられないアホがいたそうですね。ドコノダレダロウナァ()
大遅刻申し訳ございません。主にプライベートがごたついてました。更新止まっているうちに推しの子2期は終わるどころか、DAIMAが始まってるンゴ……。さて、新年の挨拶には気を使わねば……。
アイの暴露に、未来師弟の再会と、先程までは非常に密度の高い時間を過ごしていたわけだが、黒川姉弟はまだ帰宅することはなく、星野家で過ごしている。リビングには、食欲を唆る良い香りが広がっていた。
「お待たせしました」
慣れた手つきで食事を配膳するあかね。エメへのお礼も兼ねて、あかねが昼食を作ったのだ。今回はエメの希望もあり、中華系が中心だ。碧とエメが大食いであることも考慮されており、そこそこの量が用意されている。
「お〜……!すごい美味しそうだね!」
「あかねさんは普段から料理しているらしいよ」
「そうなんですよ。姉さんは母と共に料理教室にも通っているんです。腕前なら、普段から食べている俺が保証します」
「ぐぬぬぬ………」
素直に感心するアイ、目の前のご馳走に目を光らせるルビー、逆に目を顰め悔しそうな表情を浮かべる有馬、腹の虫を鳴かせるエメ。十人十色とはよく言ったものである。アクアもまさか現役JKがここまで本格的な料理を作れると思っていなかったようで、無表情を貫いてはいるが、内心驚愕していた。
「えっと……、ほ、本当にこんなに食べてもいいの?」
「うん。遠慮しなくていいよ」
「じゃ、じゃあ、いただきます」
「わーおいし〜!!」
「私と同年代とはとても思えない!」
「ぐっ……!!エメの胃袋から攻略しようだなんて、なんて卑怯な……!!」
「あれ?かなちゃんお昼ご飯いらなかった?ならこれは全部エメ君と碧にあげちゃうね?」
「…………いただくわ」
まるで人質でも取られたかのように言う有馬だったが、流石に目の前に出されてお預けは嫌だったようである。かなセ○ムが消えたら、いよいよ全てのセキュリティ突破である。
ちなみにあかねが全てのセキュリティを突破した日には、今度は自分が警備会社を設立し、更に高度なセキュリティを作り出すことになる。それなんてG○○gle?
「……エメ。こんなに料理が上手な子はなかなかいないぞ。大事にしろよ」
「えっ?う、うん?」
あまりにも美味しかったのか、アクアは既にあかねにエメを任せる気満々である。確かに彼女は善良な人間であるが、あの過保護なアクアはどこへやら……。
「いいなぁ、エメは近い将来毎日このご馳走が食べられるんだよね?」
「えっ?な、なんで?」
ルビーが突拍子もないことを言うので、思わずエメが聞き返す。どうして毎日食べられる日が来るのか、エメには分からないのである。
「だって、結婚したら、料理の腕的にあかねお義姉ちゃんが作ることになるでしょ?エメはそれを毎日食べられる権利を得るわけで……」
「お、お義姉ちゃん…!?結婚…!?」
「ななな、なにを言ってるのルビー!?」
結婚というワードに、2人は過剰に反応する。キスは番組の流れで経験しているものの、付き合いは非常にプラトニックなもの。まだお互いに結婚のことなど考えてもいなかったのだ。そもそも、まだ正式なお付き合いではなく、お試し期間ということで合意しているのだから、当然と言えば当然だが。
「おお!悟飯さんなら姉を安心して任せられますよ!それにお似合いだと思います!」
「な、なに言ってるの!?」
前世も含めれば、非常に長い時を共に過ごした碧にとって、これ以上嬉しい話はない。彼と結ばれれば、姉は間違いなく幸せになれるという確信があった。
「あんたら、結婚はいくらなんでも早計よ。そもそも年齢的にまだ結婚できないし、仮に18になったとして、まだ学生よ?あかねは知らないけど、エメは大学に進むつもりなんでしょう?冷静に考えて、結婚は早すぎるわよ」
「私もその意見に賛同かな〜」
理論的にやんわりと水を差す有馬に、アイが同調した。先程までノリノリだったアイは一体どこへ……?
「どうして!?ママもエメとあかねお義姉ちゃんの結婚に賛成してたじゃん!?」
「いや、賛成したのは交際だろ?」
冷静にアクアがルビーにツッコんだ。
「つかルビー。あんた何しれっと姉呼びしてんのよ?」
「えっ?だってエメとあかねちゃんは結婚するでしょ?なら何も間違ってなくない?」
「こいつ料理に釣られたな?」
あまりにも料理が美味しすぎて、脳破壊までしてしまったのだろうか。別にN○RやB○Sが発生したわけでもないのに不思議なものですね。
「というか、流石にあかねちゃんに迷惑じゃない?エメならまだしも、ルビーはまだあかねちゃんと会ったばかりなんだし」
「えっ?そうかな?えっと……、お義姉ちゃんって呼んじゃダメですか?」
「…………………べ、別にいいよ?」
あかねは熟考した末に、恥ずかしさはあるものの了承した。
「やったー!あかねお義姉ちゃん大好き!!」
「でも結婚はまだ早いからね?交際はいいけど結婚はまだダメだよ?ダメだからね?」
「は、はい……」
ルビーが喜んでいる一方、主にあかねに向けてアイは結婚はまだ認めていないことを強調する。やはりまだ子離れはできていないようだ。その状態で交際が認められたことは奇跡に近いのかもしれない。
あかねはそれを残念だと思っていない。決して残念だとは微塵も思っていない。本当である。そこに嘘偽りはない。
「(さ、流石に私もけ、結婚は早いと思っていたし……)」
……はずである。
しばらく経ち、主にエメと碧がまるで競うような勢いであかねの料理を平らげ、あかねとアイが食器洗いをしているところである。ちなみにエメや碧も手伝うと申し出たものの、既に過剰戦力のため、寛ぐことを命じられた。
「ぐぬぬ……。このままじゃあかねとエメがくっつくのも時間の問題……!早く対処しないと手遅れに……!」
「まだそんなこと言ってるの先輩?いい加減諦めようよ?」
「というか、純粋な疑問なんだが、なんで有馬はそこまであかねとエメが交際することに反対しているんだ?まさかうちのエメにその気が……?お前にはやらんぞ?」
「黙れブラコン違うから」
「じゃあなんだよ?流石にライバルだからっていう理由だけじゃないよな?」
「…………」
アクアに問われ、返答しようと試みるも、すぐに出てこなかった。何故ならあかねは特別性格が悪いわけではないし、容姿は今ガチに出ている時点で言うまでもなく、料理の腕もいい上に、気遣いもできる。現役JKでここまで人間としてできている者など中々いないだろう。
そう。自分のライバルであるから、エメと交際するのがなんか気に食わないという理由以外には特にないのだ。これが自分がエメに異性として好意を抱いているのなら、それが立派な理由となり得るのだが、そういうわけでもない。
……あれ?よくよく考えてみたら、自分は変な意地を張って2人の恋路を邪魔しているだけなのでは……?ふとそんな考えが過ってしまった。
エメならば、あかねと正式に付き合うことになったからといって、自分を蔑ろにするような薄情者でもないはずだ。ならば、認めてしまってもいいのだろうか……?
「……アクアに聞かれて考えてみたけど、冷静に考えたら、ちっぽけな理由で反抗していたような気がするわ。でも、私は全面的に認めるようなことはしないわ」
彼女は、エメが幼少期にどれだけ苦しんできたか知っている。それはアクアとルビーにも言えることであるが、自分もエメと比べるのは烏滸がましいが、それなりに辛い経験をしてきたつもりである。それに、彼は自分と違って純粋で、誰にでも優しくできて、昔から気遣いもできて、他人のために自分の命を張れるような、地球中を探しても類を見ることの少ない善人だ。
そんな彼には、これ以上辛い思いをしてほしくない。そんな考えが根底にあったからこそ、ちょっと過剰に考えていたのかもしれない。
「あかねが、本当にエメの彼女として相応しいのかどうか、私がしっかり見極めるわ。セキュリティガバガバなアンタらに代わってね」
「……有馬さんって、本当に悟飯さんのお姉さんみたいですね?」
「だから私はエメのお姉ちゃんだって言ってるじゃない」
「えっ?でもさっきは違うって……」
「有馬、碧君が誤解するからこれ以上紛らわしいこと言うな」
些細なきっかけであかねのことを多少は認めるようになった有馬だが、完全に認められるまではまだまだ時間を要しそうである。
そんなこともあり、そこまで警戒する必要もないと判断した有馬は帰宅したのだった。そして、今リビングには星野三兄妹と碧のみとなった。
「それにしても、本当にエメと碧君って仲良いよな。まるで昔から交友関係があったみたいだ」
「あっ、それは間違ってないよ」
「えっ?悟飯さん……?」
アクアの呟きにエメが反応すると、碧は渋る。何故なら、正直に話してしまえば、自分達の前世のことにも触れることになるからだ。だが、普通に考えて、転生者は百歩譲って存在したとしても、前世の記憶を持つ者まではそうそういない。それも、自分達のような異世界からきた転生者ともなれば尚更のこと。
そんな話をしても、自分達の頭がおかしいとしか思われない。だから碧は微妙な反応をする。
「碧は……トランクスは、
「ああ、その弟子の生まれ変わりが碧君なのか……」
「えっ?じゃあ感動の再会ってこと!?道理で会ったばかりなのに仲が良すぎると思った!!」
「シーっ……!声がデカい……!」
「あっ……」
エメがアクアとルビーに真実を話したのは、あくまで2人とも転生者であるからだ。アイならまだしも、あかねにこれを知られるわけにはいかない。
「いやいや、妙に理解が良すぎではないですか?ここは、もっと微妙というか、変人を見るような反応をするものかと……」
「まあ、実を言うと俺とルビーも転生者だからな。そういうのには理解があるんだよ。だからエメも話したんだろ?」
「えっ……!?そんなことってありますか……!?」
「信じ難い気持ちも分かるが、確かに俺らは0歳児の頃からハキハキと喋っていた。証人ならミヤコさんがいる」
「いや〜あの時は大変だったよね〜。本来なら喋れるのに、敢えて喋らないのって結構ストレスなんだよね〜」
「ほ、星野家ってすごいんですね……」
アイの子どもが全員転生者なのだから、最早偶然というよりは、アイが転生者を産む体質だと考える方が自然かもしれない。
「あれ?エメと碧君って同じ世界から転生してきたんでしょ?なら、あのフリーザってやつが来た時に碧君も戦わなかったのはなんで?」
「…………えっ??」
「あっ」
ここで、ルビーが当然浮かぶ疑問を叩き出した。かつてのエメの前世、悟飯の弟子ならば、碧も当然戦えるはず。ここまで善人の彼ならば、エメと同じように自分の身より他人の命を優先する行動を取るはず。しかし、サイヤ人の時はおろか、フリーザ襲来時にもその姿を現すことはなかった。
「フリーザが来たって……?地球に?まさかこの世界にも……?!」
「……場所を変えようか」
アイにバレる分にはまだいいが、あかねにこの話を聞かれては、要らぬ心配をかけてしまうかもしれない。ということで、気兼ねなく話せるようにエメの自室へ移動した。
「……ということに今はなっているんだ」
「悟空さんがサイヤ人として生きていて、父さんも……?」
「ああ。だけど、ベジータさんの方はまだ地球に馴染んでないみたいだね。カカロットさんの方は慣れているみたいだけどね」
会ってしまった場合、紛らわしくなることが容易に想像できたため、全てを話すことにした。自分が転生してから碧と再会するまでの出来事の全てを。
「でも、フリーザとの戦いの後、ナメック星に行ってドラゴンボールで街を元に戻した上に、記憶も消していたとなれば、俺が覚えていないのにも納得できます」
「……というか、エメが死にかけてた時に前世のお父さんと会っていたなんて初耳なんだけど……」
エメが力を取り戻すことができたのは、あの世のこの世の狭間とされる場所で、悟空と再会して稽古をつけてもらったから。そこで基礎を学び直し、新たな肉体でも気を扱えるようにしたから。つまり、前の感覚のまま修行を続ける碧では到底前世の境地に辿り着くことはできない。悟空とギニューがチェンジした際の出来事を思い出してもらえれば、この理屈も理解できるだろう。
「……では、人造人間はいないんですね?」
「今のところ存在は確認していないね。だからと言って油断するようなことはしないけどね」
そもそも、まだ魔人ブウという脅威も再誕する可能性がある以上、気を抜くわけにはいかない。しかしそのことは碧に話していない。決して自分が世界を守れるだけの力を手に入れたと微塵も思っているわけではないが、碧はまだまだ未熟だ。そんな状態で魔人ブウと戦うことを決意されてしまっては困るのだ。
「だったら尚更俺を鍛えてください!もう、世界をあんな地獄にしたくない…!!」
「もちろん。お前が望むならいくらでも付き合ってやるさ。だけど、あかねさんには内緒ね?」
「えっ……?何故ですか……?」
「あ〜、それはそうだな」
「だよね〜」
エメの言葉に、ルビーとアクアが激しく同意した。大切な弟がこれから無茶すると知って止めない兄姉はいないということなのだろう。少なくとも彼らの認識では。
「私だって、今もエメが修行を続けていることに思うところはあるんだから」
「かと言って、俺らに稽古をつけてくれって言っても、そう簡単に教えるわけにはいかないって言うしな」
「うっ……」
普通に考えて、アクアとルビーも同じように鍛えれば、エメほどとまでは行かずとも、それなりの戦力になる可能性はある。最低限自分の身を守る目的で修行させることは、一見合理的にも思えるが……。
「でも、仮に気を扱えるようになったとして、アクアとルビーは無茶をしないって誓えるの?」
「それは〜……」
エメがそう問えば、アクアが黙り込み、ルビーはそれ以降言葉が続かない。前世の記憶を持っているとはいえ、似た者同士なのだ。
「それに、アクアとルビーも戦うってなったら、お母さん失神しちゃいそうだし……」
「間違いない……」
「なんならママも戦うとか言い出しかねない……」
ぶっちゃけ1番の理由がこれ。エメはそういう前世があったんだから仕方ないとして、ギリギリ納得してもらえているのだ。しかしアクアとルビーはエメと比較すれば、ごく普通の人生を送っていたことは知られている。それ故に、エメが戦うのと、アクアとルビーが戦うのはまた違う扱いになるというわけだ。
「わ、分かりました……。確かに、俺も前世ではよく心配されていましたね……」
「そういうこと」
「……姉さん相手に隠し事できるかな……」
「流石のあかねさんもそこまでは分からないと思うよ……?」
いくらなんでも、証拠もなしにいきなり真相に辿り着くことはないはずだ。もし辿り着いたら、最早推理ではなく異能の域に達している。
それから更に時間が経ち、流石に泊まるわけにもいかないので、黒川姉弟は帰宅した。アイの家族関係暴露に、
それからというもの。新生B小町は、配信活動、学校生活、基礎訓練と、非常に多忙な日々を送っていた。基本的には、指導は主にアクアが担当することになっている。その理由は、一番スケジュールに余裕があるのは彼だから。アイは言わずもがな、ぴえヨンも年収億の稼ぎ頭なので、暇なわけがない。無論、アクアも決して暇ではないが、学生という身分がここでは都合よく発揮され、芸能活動は前者2人に比べ、やや控えめになっていた。
ちなみに、体力訓練ならエメが適任だと考える者もいたそうだが、彼がやると新生B小町は超人系アイドルになってしまう。その方が自衛目的としてはいいのかもしれないが、エメが良しとしない。理由は以前語られた通りである。
一方で、そんなエメも再び
「はぁ……はぁ……」
「よし!ひとまず休憩にしよう」
「すみません……」
「謝ることはないさ!たった数日でここまでこれたんだから、むしろ上出来だよ!」
未来師弟組は、例の場所で修行をしていた。ここなら人に見つからないからである。まあ、言ってしまえばもっと東京に近いかつ人がいない場所など普通にあるのだが……。何の縁か、エメはここを気に入っていた。というのもあるが、もう一つの理由としては、高千穂近辺にあるとされる魔人ブウの封印玉の監視の意味も込めている。
「確か、ルビーさん達はJIFに向けて特訓中でしたよね?」
「そうだな。ルビーはようやく夢のアイドルになれたんだから、とても張り切っているよ。お母さんみたいなアイドルになるっていつも言ってる」
「ルビーさんなら立派なアイドルになれるでしょうね!」
「オレもそう思うけど、本人に言うとアクアが怒るんだよね……」
「えっ?何故……?」
「いや、ルビーを甘やかすなってさ」
アクアの意図はつまりこう。
アイの娘なんだから、アイドルの資質があって当然!しかしそんなことに鎌掛けて手を抜いてしまっては元も子もない。コネに努力に容姿にコミュ力と、成功するには要求される物も多い。アクアなりにルビーのことをしっかり考えているようだ。
「なんというか、色々考えているんですね……」
「だね〜」
一般人から見れば、かなり過激な訓練をしている2人だが、会話の内容は実に平和的である。修行の合間に、2人がこんな会話を繰り広げるのは何気に初である。
さらに数日が経ち、いよいよJIFが翌日というところにまで迫ってきた。
「ただいま〜!」
エメはいつものように碧に稽古をつけ、今帰宅したところだった。彼は前世で超サイヤ人に覚醒したこともあり、基礎はバッチリであった。新しい体での気の扱い方も掴んできたようで、舞空術はおろか、大抵の技は使えるようになっていた。強さはまだまだ超サイヤ人クラスには及ばないものの、かなりいい線をいっていた。
「あれ?カカロットさん?珍しくラディッツさんもいるんだ?」
ここで補足しておくが、カカロットと比較して頻度は低いが、ラディッツもたまに星野家でご馳走してもらっている。
「アイの野郎が我儘言って聞かなくてな」
「だって〜!明日は私の娘が実質アイドルデビューする日なんだよ!?カカロットさんが行かなくてどうするの!?」
「いや俺は関係ねえだろ」
「カカロットさんって実質お父さんみたいなもんじゃん?なら娘の晴れ舞台を見届けなきゃ!」
「相変わらず話通じねえな」
どうやら、アイが必死にJIFに来るように説得しているようだ。
「カカロット。そもそもお前の仕事はアイの護衛だろう?ならば行くべきではないか?」
「そーだよ!ラディッツさんの言う通り!」
ここでラディッツが正論を叩き出した。カカロットはアイを守るべくしてボディガードとして雇われている身。職務放棄するとなれば、給与に響くかもしれない。
「あ〜。そういうことなら、確かに俺は同行する義務があるな」
フリーザ軍時代から、仕事は真面目にこなしていた彼としては、仕事という名目になってしまうと断りづらいようである。これでまたアイの説得手段が増えてしまうのだが、カカロットがそれを思い知らされるのは少し先のお話である。
「やった〜!!ありがと〜!!♡」
「おいくっつくな、暑苦しい」
そしてイチャイチャ(一方的)を繰り広げる御二方。ラディッツは心無しか何故か嬉しそうである。そして、無言にその場でコーヒーを嗜んでいるアクア。きっともう慣れたのだろう。
「あれ?そういえばルビーは?」
「ルビーは明日に備えて事務所で泊まることになった。朝が早いからな」
「あ〜。鑑賞側の僕達はともかく、出演側は遅刻NGだもんね」
ちなみにだが、翌日はルビーの晴れ舞台を見届けると同時に、エメとあかねのデート日でもある。
エメから一緒に見に行かないかと持ち掛けたのだ。あかねはあくまでMEMちょのために行く趣旨の返信をしていたが、多分本音は別にあるだろう。いや、別にMEMちょ目的は嘘ではないが、多分他にも目的はあるだろう。
「明日は当然エメも行くだろ?」
「うん。でも僕は一足先に家を出るかも。あかねさんを迎えに行かなきゃ」
先日の殺傷未遂の件もあるので、エメは念には念を入れて家まで迎えに行くつもりだ。
「あ、そうだカカロットさん。明日出かけるならこれ持って行ってよ」
唐突にアイがそう言うと、白、黄、赤の3色のサイリウムを渡した。
「これは確か、昔あのガキ達が振っていた……」
「そうそうよく覚えてるね!サイリウムって言って、ライブとかやるときに出演者を応援するためのものだよ!」
「それは分かった。だが何故3つ……ああそういうことか。それぞれ個人に色が割り当てられているのか」
腐ってもカカロットは今では苺プロに所属している。それもあって、アイドル関係の知識は少しずつではあるものの、定着しているのだ。それ故に理解も早い。
「そういうこと!ちなみにかなちゃんが白で、めむちゃんが黄色、ルビーが赤色だよ!」
「……そういや、お前は何色だったんだ?」
「えー!?私は赤色だよ!?覚えてないの!?」
アイドル時代のイメージカラーを覚えてもらっておらず、アイは分かりやすくも落ち込んでいた。アクアも昔ならここで布教活動するところなのだが、カカロットの趣向は自分らとは全く異なることは、時間をかけて理解したようだ。特にこれといった反応は見せていない。
「ラディッツさんも明日行く?行くよね?」
「いや、何故俺が行かねばならんのだ」
「叔父さんなら姪っ子の晴れ舞台を見届けなきゃ!ほらサイリウム!」
「いや、だから俺は……」
「おいおい兄貴さんよ。さっきボディガードの義務がどうのとかほざいてたのはどこのどいつだ?」
さっきの腹いせか、はたまたただ揶揄いたかったのか不明だが、カカロットも便乗してライブに来るように促した。
「何故俺が……」
結果、ラディッツもサイリウムを持たせられることとなった。かつて星の地上げ屋を勤めていた荒くれ者の今の姿がこれである。そう考えるとシュールだなこれ。
「ぷっ……」
エメは思わず笑ってしまった。昔殺し合った相手が、今はドルオタ活動をしていると思うと、可笑しさが湧き上がってしまった。
「おいクソガキ何笑ってやがる」
「あはは、ごめんなさい」
そして、真の平和が訪れたことを今日も実感する。
「アクアとエメも忘れ物ないよね?さあ、歴史の1ページに刻まれる瞬間をこの目で焼き付けに行こーっ!!」
アイは娘がアイドルデビューするということもあり、すごいはしゃいでいるが忘れてはならない。JIFはあくまで明日であることを。
「んじゃ、また明日な、アイ」
「待って!!カカロットさん朝弱そう!寝坊したらどうするの!?」
「俺は朝早くからトレーニングするのが日課なんだよ。早起きならいつものことだ」
「そういう人は、こういう大事なときに限って寝坊するんだよ!そういうことだから、今日はウチに泊まっていきなよ!ほらラディッツさんも一緒に!」
「いやなんでだよ」
「いいじゃん!みんなで行った方が楽しいよ!」
「あー!わぁーったっての!我儘なお嬢様だな全く」
アイのはしゃぎっぷりにカカロットは言い返す気力も失せたのか、あっさりと承諾してしまった。
「……なんかすまんな」
「こっちこそ、お母さんが我儘でごめんね……?」
そして、今回もラディッツの意思とは無関係に物事が決定されたのである。厳密にいえばカカロットの意思も無視されている。なんならアイの意思しか反映されていない。
「ところで、ラディッツさんは、こう、思うところがないの?」
「弟が言い寄られていることにか?まあ、カカロットも気に入っているようだし、いいんじゃないか?」
意外とラディッツは乗り気らしい。
「じゃあお客さん用のお布団を……っとそうだった!お客さん用のお布団一つしか用意してなかったよ!」
「えっ?」
しかし、アイが来客用の布団を1つしか用意していないと言う。エメの記憶では、確か無駄に4つほど用意されていたような気がするのだ。
「お母さん。確か4つくらいあったはずだけど……」
「えっ?1つだけだよ?」
「いや、たしk「1つだけだよ?」……はい」
なんか圧を感じたので、エメは指摘を中断した。
「これじゃ、1人床で寝ることになっちゃうなぁ〜。どうしよ」
「じゃあ俺はそのソファでも使う。最悪立ったまま寝れるしな」
「ダメダメ!!それだと風邪引いちゃうかもしれないし!!」
カカロットがそう言うと、アイがその提案を食い気味に却下した。
「いや、今日はルビーがいねえだろ?ならそいつの分が余ってんだろ?」
「ルビーのは不在だから丁度洗濯中なんだ。あーそうだ!なら私と一瞬に寝ようよ!私の体温で暖めてあげられるし、一石二鳥だよね!」
「はぁ?なんで2人で入んなきゃならねえんだよ。狭っ苦しいだろ」
「お、おい、いくらなんでも強引じゃないか……?」
流石に度が過ぎていると判断したのか、ラディッツが異議を申し立てた。
「えっ?じゃああなたは、弟が風邪で倒れてもいいの?」
「いや、俺達サイヤ人はそんな柔な種族ではない」
「えっ……?そうなの……?」
「俺らを誰だと思っていやがる。戦闘民族サイヤ人だぞ」
「…………」
いよいよカカロットを連れ込む口実を失ったアイはダンマリを決め込んでしまった。まさかサイヤ人が風邪を引かない種族だと思ってもいなかったようだ。
「じゃあ一緒に寝たい!それじゃダメ?」
いよいよ本音を隠すことをやめた。
「最初から素直にそう言えよ」
「えっ?じゃあ「却下だ」」
行ける流れだと思いきや、まさかのここで却下ときた。
「そこは二つ返事でOKするところだよ〜!!」
「……僕は先に寝てるね」
「俺も」
「お、おいお前ら!!」
明日は朝早くないとはいえ、夜更かしは体に良くないのでエメとアクアはさっさと寝ることにした。カカロットとしては、アイをどうにか大人しくさせてほしかったのだが、頼みの綱も消えてしまった。
「……カカロット」
「ラディッツ!お前からもなんとか言ってやれ!」
「俺もそろそろ寝させてもらう」
「てめぇ後でぶっ殺す」
「何故俺だけ!?」
翌朝。カカロットに尋ねたところ、アイが寝たタイミングを見計らって抜け出し、その辺のソファで寝たそうな……。とはいえ、一時的と言えども同じ布団に入ってる時点で、アイの思惑道理なのではないか……?そこまで考えて、カカロットは思考を放棄した。
というわけで、今回は訪問回の続き。そこから少し飛んで次回はJIFになるわけですね。シリアスの気配がしますが普通にギャグになるのでご安心を。次の更新はいつになるんやろなぁ……()
スパキンやりたいけどPCのスペック足りないorz
また、pixiv版ではファンアートの紹介もしております。こちらでも紹介の仕方が分かったら載せる予定です。エメの容姿が描きだされている、意外と重要なモノなので。
推しの子本誌を追っている方ならお分かりかと思いますが、アイと例の彼に関する新情報が続々と出ていますね。このお話を投稿した時点では、あと4話で完結するとの情報を耳にしたので、完結してから彼に関しては深掘れればなあと。また、もしかしたら本誌の展開次第では微妙に修正が入る可能性があることを、予めここにお知らせします。なるべく修正しないように努めますがね。
次回は今回ほど時間がかからないように努力します。では、また次回に。