推しの飯/絶望の未来から転生した戦士   作:Miurand

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 なんとか年内には投稿できました。



第21話 伝説の存在

朝。それは人類の大半が活動を始める時間。あるものは既に起床して準備をし、ある者は逆に夜の仕事から帰宅して疲れを癒し、ある者は呑気に惰眠を貪り……、またある者は愛する者の隣で素晴らしい目覚めを迎えたり……。

 

人の数だけ、その分朝がある。

 

朝が憂鬱だと感じる人もいれば、朝が素晴らしいと感じる人もいる。例えばこの人達。

 

「おい。なんでこいつがここにいるんだ」

 

彼はカカロット。前から説明させてもらってるので、詳細は割愛。彼は昨日、アイの我儘に応える形で一緒に寝るが、それは彼女が寝付くまでの話。彼女が寝てからは、ベッドを抜け出してソファで寝ていた。そして目が覚めたら何故かアイが隣にいる始末。カカロットにとっては、最悪とまではいかずとも、なかなか悪い朝であった。

 

「ちっ。おら起きろ。娘の晴れ舞台に行くんだろ」

 

「ん〜?あ〜おはよう」

 

対してアイは、見ているこちらも幸せになるほど、良い寝顔を晒していた。そして目覚めも良さそうである。憂鬱に感じているカカロットに対して、こちらはなんとも幸せそう。おかしいな。一緒に寝ているはずなのにどうしてこうも正反対な反応をしているのか。

 

この通り、人の数だけ朝の種類が存在することはご理解頂けただろう。

 

「あっ!ルビーは!?」

 

「ルビーならもう行ったよ。というか、そもそも事務所に泊まっていたの忘れたの?」

 

先に起床していたエメがそう教える。朝ご飯を作り損ねてしまったと慌てていたアイだが、ミヤコさんが一緒なら大丈夫かと安心していた。壱護ェ…。

 

「よかった〜……」

 

「ちなみに朝ご飯ならもうできてるよ」

 

「えっ?エメが作ったの?」

 

「おっ?もうできてんのか。道理で美味そうな匂いがするわけだぜ」

 

これはできる男。モテる男である。

 

「じゃ、僕はアクアとラディッツさんを起こしてくる」

 

「ありがと〜エメ。私も身支度しなきゃ……」

 

「……これじゃどっちが親か分かんねえな」

 

言ってやるなカカロットよ。中身も考えればエメの方が歳上だからセーフだセーフ。ツクヨミがギャグ漫画の住人なら多分こう言っている。

 

アクアとラディッツが起床していることを確認したエメは、先に家を出ると言った。

 

「えっ?!せっかくなら一緒に行こうよ!」

 

「ごめんね。でも僕はあかねさんと行く約束をしているから」

 

決して碧を信用していないわけではないが、以前のような出来事があれば、今の碧だけで対処できるかは怪しい。と言うのは流石に心配しすぎだか、戦力分散も加味して、エメはあかね達と行くことにしたのだ。

 

「おう。んじゃ、また後でな」

 

「着いたらちゃんと連絡してね!私達も後で追いつくから!」

 

「はーい!行ってきます!」

 

アイの方はカカロットに任せるとして、自分はあかねの方に向かうとする。

 

 

 

「おはようエメ君。わざわざうちまで来てくれてありがとう」

 

「お安い御用だよ。ちょっとでもあかねさんと一緒にいたいし」

 

「そ、それって……」

 

その言葉を聞いて、一瞬ときめきかけるあかねだが、すぐに冷静になり分析し、一緒にしてエメの意図を汲み取った。

 

「……いや、半分嘘……いや、嘘でもないね。もしかしてこの前のことを気にして……?」

 

「まあ、あんなことがあったらね……」

 

碧から申し出た稽古だが、もしかすると碧が断ったところで稽古をつけることになっていたかもしれない。そういった意味では、碧にはいち早く自分と同等レベルにまで引き上げたいかもしれない。

 

「でも、それを抜きにしても、あかねさんといたいって気持ちは本当だよ」

 

「えっ!?そ、そんな直球に言われると、ちょっと照れちゃうな……」

 

しかもここには2人きりではない。玄関前でこんなやり取りをしているものだから、同行する弟だけでなく、母親にも見られている始末である。

 

母親は当然のように微笑ましく見守っているが、弟の碧は…………。

 

 

 

 

 

 

「ご、悟飯さん……!!!」

 

泣いていた。よくある嫉妬とか、嫌悪とか、あるいは揶揄いとか。そんな感情は一切ない。彼にあるのは、感動だった。

 

いやいや、あかねは彼氏見つけるのに苦労するような人間ではないし、そんなギリギリ結婚できたかのような反応をされても……。と普通の人なら感じるかもしれない。

 

戦う姿しか見てこなかった師匠が、普通に恋愛しているのだ。自分のために庇って死んで行った、あの師匠がだ。自分のせいで死んだようなものなのに、幸せを享受しているのだ。

 

そりゃあ泣くさ。精一杯泣け。事情さえ知れば、君が泣くことを咎める者はいない。

 

「ええ!?どうして泣いてるの!?」

 

「あら、あかねがもうすぐ家を出ていくことが寂しいのかしら……」

 

「お、お母さんは何言ってるの!?」

 

「あ、あはは……」

 

エメもなんとなく理由を察してしまったので、申し訳なさで溢れかえっていた。先程までの無自覚イチャイチャ空間は一体どこへやら……。

 

 

 

気を取り直して、ライブ会場へ移動するために電車に乗り込んだ三人。

 

「す、すみません……。またお見苦しいところを…………」

 

「いやいや、気にしないで……!」

 

「碧も色々あって感受性が高くなったのかな……?」

 

いや、元から感受性豊かではあるが、ここまで涙脆くなかったはず。となれば、エメが関係していると考えるのは最早必然。あかねが辿り着いた結論は……。

 

(……もしかして、推しと姉が結婚する可能性を見出して感動した……?)

 

だが、この結論は違和感を感じた。何か違う気がするのだ。

 

(うーん……。考えても分からないや……)

 

「ハクシュ……!!」

 

少し我慢したであろうくしゃみの音が響いた。犯人はエメである。なかなか珍しい。

 

「えっ?もしかして風邪?」

 

「いや、そんなことはないと思うけど……」

 

 

 

一方その頃、一足先に現場に到着していた出演者側(新生B小町)は……。

 

「なんなのこの地獄空間!?ここが楽屋!?嘘でしょ……!?」

 

「大物でもない限り、アイドルの扱いはこんなものよ。いい待遇受けたかったら売れないとね」

 

幼少期から大物として扱われていた有馬は、あまりの扱いの雑さに唖然としていた。一方で、先代B小町のマネージャーを勤めていたミヤコは、久々の光景だと懐かしんでいた。

 

ルビーは本格的にアイドルデビューするワクワク感から気にならなかったようだ。寧ろ沢山のアイドルが同じ空間にいることで嬉しそうである。一方でMEMちょもこれには流石に苦しい表情を見せていた。現実逃避したそうな顔をしていらっしゃる。

 

「わーん!こんな空間で待機しろっての!?エメ〜!!早くきてよ〜!!」

 

「ちょっと、エメはドラ○もんじゃないのよ」

 

「いやいや、エメならあのイケメンパワーで女どもを惹きつけて、ゆとりある空間を作り出してくれるに違いないわ!」

 

「いやいやそんなこと……あるかもしれないわね」

 

「ワー、ドームと言えばバトルドーム……」

 

「それ結構古いネタじゃなかったかしら……?」

 

「ねえねえ、ミヤえもん!今のうちにお昼ご飯食べとこうよ!」

 

「ここはここでカオスね……」

 

そんなことを呟いたミヤコだが、先代B小町に比べたら、精神的な意味ではだいぶ楽である。

 

 

 

時は少し進み。

 

新生B小町のライブが始まるまでまだまだ余裕な時間ではあるが、エメ達は一足早く現場に到着した。

 

「おー、もう既に賑やかだね」

 

「見た感じ関係者の人がまだ多い感じだね」

 

「まだライブが始まるまで時間あるからね〜」

 

そんな話をしていれば……。

 

「あっ!エメにあかねちゃんに碧君もいる!おーい!」

 

「あっ、アクアに、おか……アイさんにカカロットさんにラディッツさんだ」

 

「えっ!?」

 

エメは普段から接しているからケロッとしているが、あかねはその違和感に気づいた。カカロットもラディッツも、一応地球人に馴染んだ格好をしているとはいえ、特徴的な髪は勿論のこと、常人とは思えない筋肉質な体格。これだけで、アイとは別の意味で視線を掻き集めるには十分過ぎるほどである。

 

ちなみに、アイは今日もしっかり変装している。

 

「よかった〜!思ったよりも早く着いたみたいで!」

 

「つか、まだまだ時間あるのになんでこんなに早く来たんだよ。もうちょい遅くてもよかったろ」

 

「そう言うなカカロット。せっかくだから、この辺のグルメでも漁るとしよう」

 

「おっ、そいつは面白そうだな」

 

すぐそこに美女が2人もいるのに食べ物に目がないサイヤ人達。彼らに最も当て嵌まる言葉は、『花より団子』で異論はないだろう。

 

えっ、どう見ても悟空さんじゃ……

 

前にも説明したでしょ?この人がカカロットさん。()()のお父さんがサイヤ人としての記憶を失わなかったまま生きた姿だと思ってくれ

 

事前に説明していたとはいえ、碧にとって、カカロットの顔は孫悟空を真っ先に連想させる物のようだ。エメは今となっては、カカロットと共に過ごした時間が多いことから、そこまでカカロットとして認識することに抵抗はない。だが、碧はそうもいかないだろう。

 

ベジータはある意味ではそこまで変わってないので、そちらはいいかも知れないが。

 

「こらこら!私を置いていったら職務放棄もいいところでしょ!でも時間が有り余ってるのはそうなんだよね〜。ルビー達とは多分今会えないし」

 

「えっ?何故ですか……?」

 

芸能関係に携わっていない碧は当然のように疑問を浮かべた。

 

「今はきっとお昼ご飯を食べている頃合いだと思うよ?」

 

「えっ?まだ全然早い時間だと思うんですけど……」

 

「んふふ〜。アイドルってのを舐めたらいけないよ?まず楽屋だけど、満員電車並みに人が密集しているんだよ。着替えはパーテーション裏だし、仮眠なんかできやしないし。あーでも撮影スポットだけは綺麗に仕上がっていてカオスだよ〜」

 

「た、大変そうですね……」

 

「他にも色々準備がいるだろうし、軽くリハとかやったりするだろうから、今のうちにお昼食べないと、実質お昼抜きになっちゃうんだよ」

 

「はぁ?飯も食えねえのに仕事しろってか?やってられねぇな」

 

「そういった意味では、カカロットさん達の前の職場はホワイトだったかもね」

 

人殺しを平気で命じるような職場がホワイトと言うのならば、そうなのだろう()

 

「あの、ところで、このお二人は……?アイさんやエメ君とはどういったご関係で……?」

 

「ああ、お前がエメのツガイか」

 

「つ、ツガ……!!?いきなり何言っているんですか!!?」

 

「コラコラ!いきなりそんな言い方しないの!普通は彼女とかガールフレンドって言うんだよって前にも教えたでしょ!」

 

「別に、んなもん伝わればいいだろうが」

 

相変わらず地球文化に馴染む努力のしないカカロットだが、流石に自己紹介をするのは礼儀だと認識しているようで、再開した。

 

「俺はカカロット。この女の護衛をやってるもんだ。エメとは、まあトレーニング仲間ってところだな」

 

「俺はラディッツ。カカロットの兄だ」

 

「あー、道理で立派な身体をお持ちで……」

 

大物芸人の護衛をしているくらいだから、それくらいの筋肉はついていても不思議ではないかと納得した。とはいえ、いくら大物芸人と言えども、護衛をつけるのはやり過ぎではないかと疑問に感じてしまった。

 

「つか、俺は腹減ったぞ。さっさと食いもん食ってこうぜ」

 

「えー?もう仕方ないな〜」

 

食欲を隠す気のないカカロットに慣れた様子のアイ。それを咎めることなく寧ろ乗り気のラディッツ。サイヤ人の底知れぬ食欲を目の当たりにし、あかねは驚く……

 

(なんか既視感……)

 

ということもなく。エメや碧という存在で大喰らいの存在を既に認識済だ。とはいえ、エメや碧とは違い、全く隠す気のない様子は新鮮に感じた。

 

「ところでよ、ベジータのやつは来るのか?」

 

「カカロット、少し考えてから発言したらどうだ?」

 

「あー、あいつが来るわけねえか」

 

元より、カカロットとラディッツですら、アイが強引に連れてきたようなもの。ルビーとほぼ関わりのないベジータが来るはずもなかった。

 

「ナッパなら……いやないな」

 

「だな」

 

意見が即一致した兄弟。

 

「……悪いエメ。デートの邪魔をするつもりじゃないんだが、こっちにいさせてくれ」

 

「えっ?どうして?」

 

「あんな人達と一緒にいたら、胃がもたないだろ」

 

「あ〜……」

 

食べ歩きなら付き添っても問題ないが、何軒も飲食店を回ることになったら、流石に何も頼まずに店内に居座るのはマナー違反。となると、アクアが彼らに同行すると……。

 

「そうだね〜……」

 

これで反対する者はいないだろう。

 

 

 

 

エメ達は軽くグルメを、ルビー達B小町組はライブに向けて着々と準備を進めている中……。先程話題にも上がったベジータ達は、今日も修行に励んでいた。

 

と言っても、ベジータもナッパもそれぞれ独自にトレーニングをしており、組み手をすることは稀だった。

 

カカロットに勝つ力を得るため、今日もいつも通りトレーニング。奴らが腑抜けている間に追い越してやる。

 

そんなことを考えているときに、それは突然現れた。

 

「なっ……!!」

 

「なんだありゃ?」

 

ナッパが心底不思議そうな反応をする。突然ベジータ達の目の前に現れた物体は、恐らく宇宙船の類い。卵に3本足を早したような変わった見た目である。フリーザ軍の関係者ではなさそうだ。

 

「妙だな……。さっきまで戦闘力を微塵も感じなかった……」

 

「フリーザ軍ですらこんな高性能な宇宙船がねえってのに……」

 

ベジータ達がいる周りには、人がいないような場所なので、騒ぎになることはないのが幸いか。宇宙船の扉が開き次第、ベジータ達は警戒心をより強めた。

 

すると、開いた扉から大量の宇宙人が降りてきた。何やら戦闘服か、防護服かは分からないが、何かしらの装備をつけている。彼らが道を作るように並ぶと、そこから2人の男が……。

 

「お、おいベジータ……!!あいつらまさか………!!」

 

「……いたのか、俺達以外にも」

 

サイヤ人だけに存在する、特徴的な尻尾。髭を生やした男の方にはそれがあった。尻尾をしっかり巻いていることから、しっかり教育を受けたサイヤ人のようだ。

 

「ベジータ王、気を緩めてくだされ。私は貴方様に敵対する気は一切ありません」

 

「貴様ら、サイヤ人のようだが、何者だ?サイヤ人は俺達を除いて絶滅したはずだが?」

 

「左様でございます。確かに、惑星ベジータの爆発によってサイヤ人は絶滅しました。それは私も認識しております。しかし、我々は、フリーザが惑星ベジータを破壊する前に、先代のベジータ王に追放される形で、運良く免れたのでございます」

 

「なに?追放だと?」

 

経緯を聞き、何やらやましいことでもあるのではないか?ベジータとナッパは更に警戒心を高める。

 

「お待ちください。私はベジータ王に恨みなど一切ございません。私は、あなたに新たな王になっていただきたく、お迎えに参りました」

 

「なんだと?」

 

なるほど。だから先程からベジータ王と呼んでいたのか。自分の父親と勘違いされていたのかと思いきや、そうではないらしい。

 

「はぁ?何が王だ!惑星ベジータはフリーザにぶっ壊されたんだ!今更それになって何ができるっていうんだ!」

 

あまりにも馬鹿げた発言にナッパがキレた。統べるサイヤ人もいない中で、王になってどうするというのか。

 

「ベジータ王。あなたの活躍は私の耳にも届きました。どうやら、つい数年前に、フリーザの父、コルド大王を倒したそうではありませんか」

 

「その話か」

 

そう。実はフリーザの父はベジータの手によって命を落としていたのだ。しかも、ベジータが超サイヤ人に覚醒した戦闘でもある。

 

「それに、フリーザの兄は、名を名乗らなかったサイヤ人が葬ったと伺っております。それも恐らくあなたのご活躍でしょう。もう恐れる者はなにもありません!貴方様が新たな王となり、この宇宙をサイヤ人の手中に収めようではありませんか!!」

 

簡潔にまとめれば、世界征服をする為に王にならないか?というお誘いのようだった。フリーザ軍にいた頃のベジータなら、もしかすると即答で肯定したかも知れない。だが……。

 

「くだらん。俺は宇宙や地位には興味ない。俺の目的は、ただ宇宙1の戦士になる。それだけだ」

 

「なっ、なんですと……!?」

 

「そういうこった。ベジータはもうそういうのに興味ない。帰った帰った」

 

交渉決裂か。そう見えたが……。

 

「……でしたら、強戦士と戦いませんか?」

 

「なに?」

 

「南の銀河に、伝説の超サイヤ人が現れました。その超サイヤ人は、本能のまま暴れ回り、最終的には銀河系を破壊してしまいました。このままでは、我々にもいつ被害が及ぶか……」

 

「ほう?俺らの他にも超サイヤ人がいるとはな。それについては少し興味があるぜ」

 

まだ見ぬ強者に出会えるかも知れない。その可能性が出ただけで、ベジータは一気に興味を示した。

 

「私の真の狙いは、お手数ですが、貴方様に南の銀河に赴いてもらい、伝説の超サイヤ人を討伐してもらうことにあります……!!」

 

その際には、後ろにいる息子をこき使ってもいいと付け加えた。ところで、この男は未だに名乗っていない。そのため、名前が分からなかった。

 

「貴様、名前は?」

 

「申し遅れました。私はパラガスと申します。息子はブロリーです。なんなりとお使いください」

 

「……」

 

パラガスの紹介に、ブロリーは無口だが頷いて反応する。

 

「………………」

 

ベジータはブロリーの方をじっと観察する。ブロリーもジロジロ見られるのが気に食わないのか、こちらもまた睨み返す。

 

「ぶ、ブロリー!やめんか!」

 

王に無礼を働くな!とパラガスは語気強めに宥めた。

 

「ふふふっ……!ふははははっ!!そうか、そういうことか。貴様の考えが大体読めたぜ」

 

「ゑっ?」

 

「馬鹿め。俺は潜在パワーも探ることができるのだ。それで貴様の息子の潜在パワーを探ってみたら、どうやら素晴らしい力を持っているようではないか。俺と互角か……いや、もしかするとそれ以上かもしれんな……」

 

「ぶ、ブロリーが……!?そのようなことがあろうはずがございません!貴方様はフリーザ一族を倒せるほどの力の持ち主!それは最早超サイヤ人と呼んでも過言ではございません!ブロリーがあなた様と肩を並べるなどと……」

 

「御託はどうでもいいッ!!」

 

パラガスが必死に弁明すると、ベジータが制止した。ベジータはパラガスの真の目的をなんとなく読めた。恐らく、自分ら王族に対する復讐。そのために、自分をなんとか誘い込み、潜在パワーの優れた息子に始末させようと計画していたのだろう。

 

だが、そんな罠に引っかかるほど、ベジータは馬鹿ではなかった。

 

「伝説の超サイヤ人とやらも、貴様の息子なのだろう?分かるぜ?これほどの潜在パワーだ。超サイヤ人になれないわけがない」

 

「ぐぬぬぬっ……」

 

まさかあっさり自分の息子の正体が割れてしまうとは。ベジータを侮っていた。パラガスはどう反論すべきか思考していた。

 

だが、それもベジータの発言によって無意味と化す。

 

「おい。ブロリーと戦わせろ。そうすれば、貴様が考えている復讐などという下らない陰謀は見逃してやる」

 

「なっ!!そ、そのことまで……はっ!しまった!!

 

パラガスはつい口を滑らせてしまったが、もう遅い。ベジータの中の疑惑は確信へと進化した。

 

「なに!?てめぇ、ベジータに復讐する気だったのか!?」

 

パラガスの真の目的がベジータに対する復讐だと判明すると、ナッパは怒りながらパラガスに追及した。

 

「……その通りだ。俺は貴様の父親によって、息子共々追放されたのだから。俺の息子が自分の息子よりも潜在能力が高いことに嫉妬したようだ。適当な理由をつけて、我々を半殺しにした上で追放したのだ」

 

観念したのか、パラガスは赤裸々に語り始めた。どうやら、ベジータ王はブロリーが暴走すると危ないと判断し、惑星ベジータから追放することを決定したようだ。

 

「だが、ベジータ自らブロリーと戦いたいというのなら、最早止めはせん。だが、その前に……。科学者!」

 

「うわへへ!」

 

科学者と呼ばれたタコ型の宇宙人が謎のボタンを押すと、ベジータ達がいる周りに巨大なバリアのようなものが展開された。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「これは巨大なバリアだ。お前達が本気で殺り合ってしまっては、せっかく環境の整った美しい星、地球が台無しになってしまうからな」

 

「そういうことか。貴様、地球を自分の手にするつもりだな?」

 

「ふぁーはっはっはっ!その通りだ。宇宙中を探しても、ここまで環境の整った美しい星は中々見れんからな」

 

ご丁寧にバトルフィールドまで用意された。ここまでお膳立てされれば、ベジータも黙っているわけにはいかない。

 

「はぁっ!!!」

 

ベジータはいきなり超サイヤ人に変身した。

 

「なっ!?いきなりかよベジータ!」

 

「さあ、かかってきやがれ。伝説の超サイヤ人とやらの力、見せてもらうぜ」

 

「さあブロリー!ベジータを八つ裂きにしてしまえ!」

 

パラガスがそう指示すると、指に嵌めているリングが光った。そして……。

 

「ウォオオオオオオッッ!!!!」

 

ドォオオオオオオッッ!!!!!

 

「……!!!」

 

「な、なんだこの戦闘力は!??冗談だろ!!!?」

 

ナッパは最早驚愕していた。ブロリーはまだ金髪になっていないにも関わらず、ベジータに迫る戦闘力を披露していた。

 

「ふ、ふはははっ!!そうこなくっちゃあ面白くない」

 

ベジータは、久々に楽しめる可能性のある戦いに、高揚感を示していた。

 

 

 

 

 

そして、そんなことがあれば、当然ながらエメ達も事態をある程度把握するはず。ベジータが超サイヤ人に変身し、それと互角レベルの敵がいるのだ。気で気づかないはずもない。そのはずなのだが……。

 

「もうすぐルビーのデビュー戦だね!楽しみだな〜!!」

 

「サイリウム、赤、黄、白……よし!」

 

「私はどうしようかな……。やっぱりここはMEMちょの黄色……?」

 

「えっ?姉さんは白じゃ」

「そういう冗談は面白くないよ、碧?」

 

「あっ、はい……」

 

「ちっ、なんで俺まで……」

 

「それは俺の台詞だ、カカロット」

 

「みんな!気を引き締めろよ!サイリウムを振るタイミングは俺が指示する!全力で推すぞ!」

 

こちらは、別の意味でカオスだった。普段は冷静でクールなアクアだが、ここぞとばかりにハイテンションだった。かつての雨宮吾郎を想起する光景だ。これにはアイも「熱量すごっ」と驚くほど。

 

「あ、アクア君って、ひょっとしなくてもドルオタ……?」

 

「そうだね〜。赤ちゃんの頃から……」

 

「赤ちゃんの頃から!?すごいね……。アイさんの子どもだからかな?」

 

続いては、あの伝説のアイドルグループの正当な後継者!?新生B小町の皆様です!

 

JIFが始まり、いよいよ新生B小町の番というところまできていた。この時には、ブロリーとベジータの壮絶な戦いは始まっている。にも関わらず、エメ達は誰も気づいていなかった。

 

それもそのはず、パラガスが展開させたバリアは相当丈夫な物で、惑星破壊レベル(具体的に言えば、初期超サイヤ人程度の力)ならびくともしないほどの代物。そして、それだけ強度の高いバリアだと、気もバリア内に閉じ込めることになる。

 

つまり、エメ達はブロリーとベジータの気を察知できる状況にないのだ。

 

例えベジータが殺されるようなことがあろうとも、エメ達は気づくこともできないのだ。

 

「よく見ろ。こんな面白い殺戮ショーは、地獄に言っても見れんぞ?」

 




 前にも申し上げた通り、結果的にはギャグに落とし込みます。とはいえ、某MADのようなギャグ展開は避けたいところ。私の主観が正しければ、MADのような終わり方にはなりませぬ。

 推しの子がおまけ含めて完結したことで……まあ、言いたいことはありますが、これで唐突に過去話を改変するとかその必要がなくなったのは良しと見るべきでしょうか。ぶっちゃけ更新が滞っていたのは、私の忙しさやモチベもそうですが、1番はどんな展開になるのか予想できなかったことにありますからね。これからは多少なりともペースはあがるはず……。その証拠として、次回分もほぼ書きあがってるので。

 そしてツクヨミの件になりますが、ドラマ版のように抹消せずに、私が予想していた正体というか、キャラというか……。まあともかくいなくても良くね?とはならないはず……。ということで、今後は独自解釈や捏造等が若干ではありますが、増えてくるものかと思います。

 また、コミック版も出たことですし、容赦なく原作のネタバレ要素が出てくると思うので、それをご理解いただければなと。

 それでは皆さん良いお年を。
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