推しの飯/絶望の未来から転生した戦士   作:Miurand

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 有馬かなが悟飯ちゃんに口説かれるシーンありますけど、普通にアクア君に脳を焼かれます。悟飯ちゃんには介護というかカウンセラー系幼馴染をやってくれると嬉しいなぁって……。あとは距離バグ担当。



第四話 順調な日々

映画の内容をざっくり説明すると、容姿にとことん自信のない女性が、山奥にある怪しい病院で整形を受けるという話だ。アクアはそこに出てくる怪しげな子供の案内人……という設定で演じることになっている。

 

「エメラルド……って長いわね。エメで良いわね。私の演技を生で見られるなんて、スタッフや共演者でもなければ中々ないんだから、きっちり目に焼き付けておきなさい!!」

 

「あっ、うん!楽しみにしてるね!」

 

「……なんだ早熟真面目ボーイ。偉く気に入られてるじゃねえか?何かしたのか?」

 

「あはは……。溢れ出る殺気を抑えようとしたらこうなったとしか……」

 

「いや意味分からねえよ」

 

そんな微笑ましい?出来事があった後に撮影は始まった。

 

 

 

「ようこそお客さん……。歓迎します。どうぞ、ゆっくりしていってください」

 

天才子役と言われるだけはある。ちゃんと不気味な雰囲気を出すことができている。10秒で泣ける天才子役という評価は伊達ではない。

 

「(アクアが同じことをしても、恐らく劣化コピーにしかならない。でも監督はそれは分かってるよな…?だとすると、きっと求められていることは別にあるはず……)」

 

この撮影は、アクアにとってはぶっつけ本番もいいところだ。碌に演技経験も積んでいないのに、世に出せるほどの映像作りに貢献ができるのか?素人の悟飯でもすぐに出てくる疑問だった。

 

だが、アクアは別ベクトルで演技に於いて才能があった。それは単純な技量ではない。有馬とは全く異なるタイプの天才だった。

 

「この村に宿は1つしかありません。一度チェックインしてから、村を散策するといいでしょう」

 

「……?」

 

いつものアクアではないか……?悟飯とルビーは同時に同じことを考える。普段から見慣れているルビーや、早熟である子供に対して特に違和感を覚えない悟飯では気付けなかったが、アクアは敢えて普段の自分を演じた。

 

早熟な子供というのは一定数存在する。人生2周目ではないかと言われるほどに貫禄を出す子供もいれば、ギフテッドと呼ばれる異常に賢い子供もいる。

 

だが、アクアは前世の記憶があることを最大限に生かした。不気味な村に、不気味な子供。普通に不気味な子供を演じるよりも、大人と大して変わらない語彙力で、相手の思考を透けて見るような目で相手を見ることで、プロの有馬と差別化する形で不気味な子供を演じてみせたのだ。

 

普段から演じる者や、それらを見る者にはその凄さを理解したが、見慣れたルビーや悟飯にはそれが分からなかった。

 

これらを一言で纏めれば、演じなくてもお前(アクア)は十分気味が悪い。これこそが、五反田監督の意図であり、アクアに求めたものだった。そして、それを言われなくとも理解して、求められた通りに演技をしたアクアは、間違いなく子役としての才能があった。

 

「カット!」

 

撮影は一区切りついた。これ以降アクアの出番はほとんどない。一応素人のアクアにとってはこれだけでも重労働だろう。

 

「いつも通りのお兄ちゃんだったね?」

 

「うん……」

 

ルビーと悟飯は、一体先程の演技のどこが不気味だったのかを話し合っていた。人間、慣れているものに不気味だと感じることはない。

 

例えば、普段からトンネルで工事等の作業をしている人はトンネルに対して不気味だと感じることはないが、普段トンネルに入らない人は、少し暗い、外が見えないだけでも多少は感じるものだ。

 

一言で言えば、お化け屋敷に毎日入ってる人が怖がるのか?ホラーゲームRTA走者がいちいち恐怖を感じるのか?ということである。

 

「そっちのカメラ、次撮るから準備しとけ!」

 

「……監督。撮り直して」

 

監督のところまでまっすぐ歩いてきたかと思えば、撮り直しを要求してきた。

 

「ん?いや、問題なかったが……」

 

寧ろ監督にとっては完璧と言える出来だった。撮り直しても時間と労力を使うだけに過ぎない。だから次に進めてしまおうという考えだ。

 

問題大有りよ!!!

 

「…!?」

 

突然の大声に悟飯は振り向いた。悟飯だけではない。ルビーを抱っこしていたミヤコに、されていたルビー。カメラマンに周りのスタッフ。周囲にいた人たちが何事かと目をやる。

 

そこには、涙を流して必死に撮り直しを要求する子役がいた。アクアよりもダメだった。天才子役と称される自分が、ぽっと出の子役に喰われた。その事実にプライドが許せなかったのか、或いは別の理由があるのか、有馬は泣きながら懇願した。

 

しかし、大人達には子供の我儘だと認識され、有馬を別の場所に移して次の撮影に入った。

 

本来なら子役を慰めるために撮影は一時中断されるはずだった。というか、子役を扱う現場ではそういった事態も考慮してスケジュールが組まれていることが多い。

 

だが、この場にはイレギュラーな存在がいる。

 

 

『やけに有馬かなに気に入られているようだから、お前がなんとかしてくれ』

 

監督にそう言われたのだ。最初は悟飯も断ろうとした。自分は歳下の子を相手にしたことはない。いや、正確に言えば、トランクスの相手なら毎日してきたが、彼も環境故に早熟となった子供だ。彼を相手にするのと、他の子供を相手にするのとでは話が違う。

 

だが、良心がほっとけなかった。悟飯は馬鹿が付くほどのお人よしだ。ただ見ているだけというのは、自分自身が許せなかった。

 

……なによ。馬鹿にしに来たの?

 

大人には涙を見せても、同年代には流石に強い自分でありたいのか、弱い部分を見せたくないのか、必死に泣き止んだふりをする。咄嗟にこれができるのも天才子役だからだろう。

 

「いや、決してそんなわけじゃ……」

 

「されて当たり前よ。あの子役、相当上手だった。私じゃあんな演技はできない。思いつきもしなかった」

 

「……確かにそうだね。あれはアクアにしかできないよ」

 

悟飯も下手に擁護するつもりはない。したところで、子供でも気を使われていることはなんとなく分かってしまうということを知っているからだ。

 

「でも、あれはアクアが普段の自分をそのまま出したからに過ぎないよ。きっと他のキャラで演じてみろって言われても、ぶっつけ本番じゃアクアにはできなかったんじゃないかな?」

 

「なんでそんなことがわかるのよ…?」

 

「オレはアクアとは兄弟だからね。毎日一緒に過ごしているから、アクアが普段の自分をそのまま出しているだけだってことをすぐに理解した」

 

悟飯はこの時初めて理解した。何故アイや有馬のような人につい目が行ってしまうのか。

 

「君がいくら天才だって言われても、何でもできるわけじゃない。仮になんでもできるなら、子役は君1人で十分ってことになっちゃうからね。アクアにはアクアの強みがあるように、君には君の強みがあると思うんだ」

 

悟飯は、今まで自分に自信がなかった。というのも、修行して強くなったところで、いつも敵を倒していたのは他の人だったからだ。自分は常に敗北してばかりで、勝利というものをとことん経験したことがない。

 

何もできない自分が精々できたことと言えば、他人の足を引っ張らないようにすることくらいだった。

 

悟空が心臓病で死に、その後に人造人間が現れ、ピッコロ達も死んだ。そして、数年が経って、悟飯は超サイヤ人に覚醒した。彼にはここで初めて自信というものが生まれた。漲る力、極度の興奮状態。無敵だと錯覚する程のパワーアップを成し遂げた。

 

だが、人造人間には一方的にやられるだけだった。そこで生まれたばかりの自信はへし折られた。以来、彼は自分に対してなかなか自信を持つことができなかった。

 

「だから、君には君自身の強みを理解してほしいんだ。君の自信を感じる演技、オレは好きだよ?」

 

だからだろう。演技をする際に自信溢れるオーラを出す有馬や、アイドル(噓つき)としての自信が顔に表れているアイを自然と目で追ってしまったのは。自分に欠けている物を持っていたからだろう。

 

悟飯は、1年かけてようやくそれを理解した。

 

「だからそんなに悲観することはないよ。今回はたまたまアクアが役にピッタリだっただけ。君には君の強さがあるってこと、オレは分かってるから」

 

悟飯の伝えたいことは伝えきった。これでどうにか立ち直ってくれればいいんだが、と悟飯は考えていると、嫌に目線を感じる。大人達が自分のことを見ている。それも奇異的な目で。

 

「……えっ?あの……?」

 

流石に困惑した。今の自分は何か変なことをしたのだろうか…?

 

「……そ、そう。そうなんだ…。でも天才子役と言われる私がコネの子に負けたのは癪だわ。あの子の名前、なんて言うんだっけ?」

 

「苺プロ所属の星野アクアだよ」

 

「一丁前に芸名なのね……。覚えたわ」

 

やっと立ち直ってくれたようで、悟飯はほっとした。

 

「……ねぇ、あなたの本当の名前は?」

 

「えっ?星野(エメラルド)だけど……」

 

「それは芸名でしょ?私は本名を聞いてるのよ」

 

「だから、それが星野緑なんだって」

 

「……マジ?」

 

「うん」

 

一瞬沈黙した。

 

「それ大丈夫?名付けた親の感性が心配になるんだけど」

 

「アクアとルビーの前では絶対に言わないでね…?」

 

薄々自分も感じていたことだが、自分も前世は悟飯(ごはん)という名前だったので、そこまで気にしていなかった。だがアクアやルビーが聞いたら超サイヤ人案件だろう。

 

「あっ…!それと、言葉使いにはもう少し気をつけた方がいいと思うよ!自分は大丈夫だって思っても、他の人にとっては傷付く言動だったりするから……」

 

「分かったわよ。頭の片隅にでも入れとくわ」

 

それって聞く気がないんじゃ…?と思ったが口には出さない。出したところで口論になってしまう気がしたからだ。

 

「ねぇ…」

 

「うん?」

 

……ありがと

 

小さな声でそう言うと、有馬は小走りに去っていった。きっと素直にお礼を言うのが恥ずかしかったのだろう。

 

「……どういたしまして」

 

一仕事終えた悟飯はリラックスしようと椅子を探すと、監督がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 

「よう早熟真面目ボーイ」

 

「あっ、監督。有馬さんならどうにか立ち直ってくれましたよ」

 

「ああ…。そのようだが、お前は早熟と違ってピッタリな演技は難しそうだな」

 

「へっ…?」

 

悟飯はイマイチ意図が読めずにいた。確かに自分は演技には向いてないとは思うが、今になって何故言うのか?

 

「確かにどうにかしてくれとは言ったが、口説けなんて一言も言ってないぞ?」

 

「えっ?口説く……?確かにオレと有馬さんは異性同士ですけど、そんな意図はありませんよ。そもそもお互いにまだまだ子供ですよ?」

 

「うわ、無自覚かよこいつ」

 

「……?」

 

監督のこの一言の意味に気づくことは、きっとないだろう。

 

 

 

「お兄ちゃん大変だよ!エメが既に女たらしの片鱗を見せてるよ!」

 

「俺も見てた。多分、というか絶対こいつは将来天然女タラシになるだろうな」

 

「えっ?なになに?もしかして現場で仲良くなったのエメ?早速モテモテ?エメもちゃんと私の遺伝子引き継いでるね〜」

 

「……なんで?」

 

今日も星野家は賑やかである。

 

 

 

悟飯達がアイの子供として生まれ変わってから、早くも3年が経過した。五反田監督の撮った映画はそこそこ評価され、賞も獲得したそうだ。

 

アクアの演技は当然ながら、監督が興味本位で撮り直してみれば、有馬かなの演技も一皮剥けていたそうだ。アクアと同じく真っ向勝負することはせず、自分の強みを最大限活かして演技をした。

 

結果、大勢が真っ先に想像する不気味さを最大限に引き出していた。隠す気のない自信が更に不気味さを引き出している。

 

だが、結局はアイが全て持っていった。それ以降、アイはグラビア、クイズ番組、バラエティ番組など、様々なところで見る日が多くなった。絶賛売り出し中のアイドルタレントと言ったところである。

 

注目を更に浴びるようになった彼女だが、子供の存在は世間に晒されることなく、今日まで過ごしている。

 

一方で、悟飯の成果は表れていなかった。否、正確には少しだけ表れていた。

 

気功波も撃てないし、舞空術も使えない。器用に身体能力をコントロールすることこそはできないものの、家族達の目を盗んでこっそり修行を続けていたお陰か、多少は身体能力が向上した。

 

と言っても、全力で走って一般道を走る車と同程度のスピードを出せる程度である。気を扱えずにここまで走れるなら及第点と言ったところだろうか。

 

だが、当然ながら悟飯は満足していない。前世と同程度の力を取り戻す為に、毎日こっそり修行に励んでいる。

 

「うん!今日もかわいいね!流石私の子!」

 

「まあトータルではママの方が可愛いけどね」

 

「何の対抗意識?」

 

そして、3人は幼稚園に入園した。

 

「そういや、ルビーは生まれ変わる前何してたの?ていうか本当は何歳?」

 

ルビーは正直に答えようとするが、もしもアクアの方が歳上だった場合、これから年齢で様々な不都合が生じそうだと判断した彼女は……。

 

「わ、私大人の女性なんだけど?女性の年齢を尋ねるとか、デリカシーのないガキね!っていうか、前世とかどうでもいいし!余計な詮索しないで!」

 

それだけ言うと、ルビーは全力で遊びに戻った。アクアはよく全力で遊べるなと内心呟きつつ、京極夏彦のサイコロ本を読み始めた。無論、幼稚園の先生はその姿を見ては困惑していた。ギフテッドってレベルじゃねえぞ!!とでも言いだけである。

 

 

ちなみに、この時は悟飯も全力で遊んでいた。彼は幼少期から碌に遊んでいない。勉強するか修行するか、戦っているかのどれかだった。

 

勉強することに関しては異論はなかった。将来の夢は学者になることだったから。だが、戦いに関しては不本意だった。

 

遊んだことのない彼にとっては、人生二度目も言えども、幼稚園という環境も新鮮に感じているのだ。

 

だが、彼も常に遊んでいるわけではない。アクアがサイコロ本を読んでいるかと思いきや、エメは大学受験レベルの勉強をしていた。しかもちゃんと理解して解いている。

 

ルビーも幼稚園児にしてはだいぶ大人びている方だったが、この2人を前にしては流石に部が悪かった。後に、先生はこう語る。奇妙なくらいに手のかからない子達だった、と。

 

 

 

そんな手のかからない子のうちの1人だったルビーが、今日初めて幼稚園で我儘を言った。お遊戯の練習をするはずが、ルビーは何故か拒否して教室を飛び出してしまった。

 

悟飯は心配になった。ルビーは基本的に前向きな性格。どちらかと言えば、失敗を恐れるよりも、新しいことに挑戦するタイプだ。そんなルビーがあの様子になると、流石に心配になる。

 

アクアと2人で探したが、悟飯は見つけることができなかった。もしも気をコントロールする技術を取り戻していれば、きっと簡単に見つけられただろう。だがないものを求めても仕方ない。

 

「あっ、ルビー…!どこにいたのさ!」

 

「大丈夫だ。ただ不貞腐れてるだけだ」

 

「別に不貞腐れてるわけじゃない」

 

後でルビーのいないところで事情を聞いてみれば、どうやらダンスに対して苦手意識があるようだ。前世で何度か試したことがあるようだが、結局踊り始めることすらもできなかったという。

 

「……なるほどね」

 

「エメ?」

 

「オレにいい考えがある」

 

しかし、その作戦を実行するのはここでは無理だ。今日のお遊戯の練習は無理だと判断し、ルビーは体調不良ということにした。

 

帰宅後。ルビーはまだ落ち込んでいる。余程ダンスに対して苦手意識があるようだ。

 

「ルビー。せっかくだから一回ダンスの練習をしてみたら?」

 

「……どうせできないよ」

 

「いいからいいから。何事も挑戦だよ。もしかすると、アイさんの遺伝でダンスの才能を引き継いでいるかもしれないしね」

 

「…………分かった」

 

やはり推しには絶対的な信頼をおいているようだ。アイの話を出すと、多少は乗り気になった。

 

「……で、結局どうする気なんだ?1人で練習させても意味がない気がするが……」

 

「大丈夫だよ。オレ達の身近に講師にピッタリな人がいるんだから」

 

「……ああ、そういうことか」

 

アクアも察したようだ。悟飯の作戦は至って単純。アイに教えてもらえばいい。現役アイドルとして、普段から人にダンスを披露している彼女ならば、きっとルビーに的確なアドバイスをしてくれるに違いない。

 

「ただいま〜!」

 

「あっ、お母さん。ちょっと話があるんだけど……」

 

「えっ?どうしたの〜?」

 

事情を話せば、アイはすんなり快諾。

 

「幼稚園でお遊戯やるんだね〜。分かった!今度ライブで昔の曲やるし、丁度いいや!」

 

陰ながら見守っていると、どうやらルビーは転倒することに恐れていたようだ。そして受け身を取ろうとするから、余計に転びやすくなり、結局転んでしまうのだ。

 

「……なるほどな。そういうことか」

 

「ん?」

 

「多分、あの子は前世で長いこと病院にいたんだろう。きっとまともに歩くこともできなかったんじゃないか?だから受け身を取ることが癖になっている」

 

「………そっか」

 

その後、アイの的確なアドバイスによって、ルビーは転ぶことを恐れなくなった。それによって、動きにキレが生じ始め、少しすればアイと同じように踊っていた。

 

いくらドルオタで、ライブや映像で何度もその踊りを見たからといって、いきなり再現することなど不可能に等しい。だが、彼女はそれをやってのけた。これには流石にアイも驚いている様子だった。

 

「……あいつやばいな。演技だけじゃなくてダンスの才能もあるのか。それに母親譲りのルックス………」

 

「もしかすると、ルビーの将来はアイドルかもね」

 

「……あり得るな。なんなら想像できてしまった……」

 

その後もしばらく様子を見たが、親子で楽しくダンスをしている光景が続いた。もう転倒を恐れるルビーはここにはいないのだ。見事苦手意識を克服することに成功した。

 

「あれ?ルビー?寝ちゃった……」

 

「あはは…。あれだけ楽しそうに踊ってたら仕方ないよ」

 

「うん。これもエメのお陰だね!偉いぞ〜、よしよし」

 

結論から言えば、お遊戯会は大成功だった。表面上は両親の壱護とミヤコに、変装した実母のアイが見に来たが、色眼鏡なしで絶賛するほどだった。

 

 

 

 

sideアイ

 

なんとなく、別れた男に連絡を取ってみた。きっかけは、子供達の会話を盗み聞いたこと。

 

「なるべく考えないようにしてたけど、俺達の父親って誰なんだろうな?」

 

ある日。アクアが唐突にそんな疑問をぼやいた。

 

「……言われてみれば、一度も父親を見たことない気がする……」

 

「うっ…。考えるだけで心が……」

 

「馬鹿ね。そんなレベルの低いことで落ち込んでるの?処女受胎に決まってるでしょ。男なんて最初から存在してない

 

「お母さんは神様か何かなの…?流石にそれはないんじゃない?仮にそれが本当だとしても、2人の地毛が金髪だということがおかしいんだよ。だってお母さんはほぼ黒髪でしょ?そこから金髪の子供が生まれてくるとは思えないんだけど………」

 

「ママは金よりも輝いているの。だからその子供達である私達は金髪で生まれたの。いい?男なんて最初から存在しないの?分かった?」

 

「いや、それは生物学的におかしいって。ヒトは単為生殖する生き物じゃ…」

 

「ママは星野アイって生き物なの。人間とは次元が違うの?ワカッタ?」

 

「とんでもない理論だなオイ。だとすると俺達は一体何者なんだ?」

 

なんだか妙な結論に至ってて、これは流石にやばいなと思った。だから一応連絡を取ってみることにした。だけど、きっと来ないと思う。出産する時だって一応連絡を入れてみた。病院の場所もちゃんと教えたけど、結局私が入院している間に一度も顔を出すことはなかった。だからあまり期待していない。来てくれたらラッキー程度だ。

 

正直、薄情だなとは思う。けど、一応感謝している。だって、相手の男の人と出会っていなければ、こうして子供達と生活を共にすることはなかったのだから。

 

 

 

アイの仕事は順調。公式SNSのフォロワーも100万人を超えた。世間は、確実にアイを注目している。壱護社長も酒を飲んでご機嫌になっている。というのも、もうすぐドームライブを控えているからだ。昔からずっと、自分で育てた上げたアイドルがドームに進出するのを夢見ていたのだから、夢の実現が近づけば、それは当然上機嫌になるというものだ。まだ未成年のアイに酒を勧めるほどだから余程だ。

 

だが、それで喜んでいるのは社長だけではない。その妻のミヤコも同様だ。なんなら苺プロ従業員全員の夢と言っても過言ではない。

 

当然、アクアとルビーも喜んでいる。昔から推してきた推しが、やっと報われるのだ。嬉しくないはずがない。悟飯も他の人ほどではないにせよ、アイの努力が報われたと考えると、自然と頬が緩むのを自覚できた。

 

「大事な時期だ!スキャンダルなんてないように!くれぐれも父親と会おうとなんてするなよ!!」

 

「勿論」

 

「……?」

 

だが、悟飯は違和感を覚えた。自分の事務所のアイドルがもうすぐドームライブだということで、社長とミヤコも大なり小なり興奮している。ルビーとアクアは言うまでもない。その為、アイを除けばこの中で一番冷静なのは悟飯だった。

 

だからだろうか?ドームを控えているというのに、彼女がいつもと同じ笑顔だったことに気づいたのは。悟飯はこれに違和感を覚えたのだ。

 

だが、気のせいかもしれない。自信家のアイのことだから、場所が変わってもいつも通りやればいいだけと考えているのかもしれない。そう考えた悟飯は、特に聞くことをしなかった。

 

 

 

そして、遂に悟飯が力を取り戻すことなく、運命の日を迎えることとなった。

 




 遂に来てしまったなぁ、運命の日。アイが生存するか原作通りになってしまうかは悟飯の手にかかっていると言っても過言ではない。責任重大だなぁ…。いや、よくよく考えたら前世の方が責任のスケールデカい…?

 なんか悟飯が無茶苦茶好感度稼ぎ(無意識)してますけど、ある意味普通に付き合うよりもタチが悪いっすよ。将来のイケメン役者に脳を焼かれ、もう一人の恐らく可愛い系イケメンになるであろう子が幼馴染になったら…。かなちゃんの男に対する認識がバグっちまう…!しかも悟飯に慣れた場合、アクアでもないと付き合う気にならない可能性……。罪な男だべ悟飯ちゃん。
 せっかくだし、またアンケート作ってみた。前回と同じ要領っす。(クソ長文要注意)

仮にも私はエメの姉なわけで、私が苦手なタイプと弟が付き合うのは嫌なわけ!なので、エメが付き合うべき女性は私が決めまーす。イチ押しは~…

  • ロリ先輩!
  • あかねちゃん!
  • MEMちょ!!
  • 星 野 瑠 美 依(メフィスト確定演出)
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