推しの飯/絶望の未来から転生した戦士 作:Miurand
・1~3月は旅行等を詰めまくった。
・4月からはちゃんと労働する人間になった。
ざっくり言えばこんな感じです。以前より亀更新にはなりますが、気が向いたら見に来てくれると嬉しいです。
「ウォオオオオオオオオ!!!!」
「たっ!!」
ドカッ!!!!
超サイヤ人状態でもないにも関わらず、ブロリーの強さは異常だった。超サイヤ人に変身したはずのベジータと互角か、もしくはそれ以上の戦闘力を持ち合わせている。
どんな才能を持とうとも、どんなに努力しようとも、普通のサイヤ人が超サイヤ人を超えられない。そんな言い伝えもあてにならないほどに規格外の相手ということになる。まだ超サイヤ人に変身する気配のないブロリーだが、これだけでも伝説の超サイヤ人という肩書きに説得力を持たせた。
「ちぇあっ!!」
だが、戦闘経験で言えばベジータの方が上のようだ。ブロリーの重い一撃は確かな威力を持っている。だが、スピードに関してはまだベジータに按配があがる。ギリギリで避けることによってブロリーの隙をつき、逆に攻撃を仕掛ける。
「ちぃ……!!すばしっこいやつめ…!」
そう呟いたブロリーは、接近戦では部が悪いと判断したのか、今度は遠距離戦に切り替えることにした。右手に気を集中させ、緑色の球体を作る。
「ふんっ!!」
その球体は、ベジータ目掛けて投げられた。
「はぁぁぁ……!!!!」
本当ならば避ける方がダメージが少ない。しかし、ベジータは久方ぶりの骨のある相手との戦闘ということで、つい楽しくなってしまった。
ベジータは、右腕だけ気を上昇させ、筋肉を増大させた。
「……!!!?」
「な、なんだ!?右腕だけ奇妙に!?」
「ツァっ!!!!!」
その右腕でブロリーが放った球体を弾き飛ばし、逆にブロリーの方にお返しした。
「ちぃ!」
しかし、それを素直にくらうブロリーではない。容易にそれを避け、遠くで大爆発を起こした。
ベジータは、右腕だけ超サイヤ人第3段階にすることにより、気の消費を抑えつつパワーを引き出したのだ。実際に思いついたのはついさっきだ。つまり、思いついた瞬間に試して、成功させたのだ。
とはいえ、ブロリーは超サイヤ人に変身していない。ベジータが劣勢を強いられていることに変わりなかった。
「ぶ、ブロリー!このままでは危険だ!もう少し力を引き出すのだ!!」
「ウォオオオオっ!!!」
パラガスが嵌めている指輪が光りだすと、ブロリーの頭部に付けられた宝石のような物も光りだし、それと同時にブロリーの気が上昇する。
ボォオオオッ!!!!
「な、なに!!!?」
それまで髪が逆立っているだけだったブロリーだが、瞳がエメラルドグリーンに変わり、髪と眉毛も金髪に変化した。
ただの超サイヤ人。しかしベジータの超サイヤ人を遥かに凌駕する戦闘力を有していた。
「ちっ!やむを得ん……!!はぁッ!!」
ベジータはすかさず超サイヤ人第二段階に変身した。それによって筋肉が少しだけ増大し、戦闘力を向上させるも、ブロリーには劣っていた。
「クソッタレ……!!これが伝説の超サイヤ人か……。まだまだ力を隠している状態でこれほどとはな……」
絶対絶命のピンチにも思える現状だが、ベジータは戦闘民族サイヤ人。心なしか、焦りもよりも高揚感の方が勝っているようだった。
「伝説の……超サイヤ人だって…?」
異質な魂を感じ取り、ブロリーたちが出現した場所に近づいたツクヨミ。激闘が発生することを考慮し、安全圏から様子を伺っていた。
「そもそも超サイヤ人自体が伝説の存在じゃないの……?伝説の超サイヤ人つてなんなんだ一体……」
言葉の意味は理解できないが、ブロリーが異様に強いことだけは分かる。魂こそ知覚できるツクヨミだが、気は認識できない。それでも、ブロリーの異質な強さは魂を通して見れば理解できる。
こいつは、カカロットやエメを集め、総力戦で挑んでもまず勝ち目はない。それこそ、エメがブロリーを確実に抹殺するような手法でも取らない限り。
「そんなの、私は知らない……。私にできることは……。」
とても単純なことであった。ツクヨミの背から黒い翼のようなものが出現したかと思いきや、すぐにその場から姿を消した。
ブロリーとベジータが激戦を繰り広げている頃、エメ達は有馬かな率いる新生B小町のライブに参加していた。パラガスがバリアを展開してしまったがために、エメ達はブロリーの存在に気づくこともなく、ただ時間が過ぎていく。
「それじゃあ、みんなも知っていると思うけど、まずはこの曲からいかせてもらうよ〜!!STAR☆T☆RAIN!!」
「おお!その曲使うんだ!」
旧B小町に所属していたアイは勿論この曲を覚えていた。ダンスのレッスンを担当することはあったが、まさかその曲を本番で使うとは思ってもいなかったようで、これはある意味サプライズだった。
「この曲……。確かお前が踊ってたやつじゃねえか?」
「おっ!カカロットさんもようやくアイドル沼にハマったかな?でもどうせなら私の現役時代に沼ってほしかったな〜」
「ちげえわ。あのガキどもに嫌というほど見せられたから覚えたんだよ」
布教と称して長時間の拘束をされたことは今でも覚えている。主にアクアとルビーのせいで、カカロットは旧B小町の楽曲に関してはほぼ覚えていた。
「あっ……あっ……あっ……!」
曲が始まり、新生B小町の3人が踊り始めると、あかねの挙動がおかしくなった。
「ど、どうしたの?もしかして具合悪い……?」
「ね、姉さん……?」
エメと碧も心配になるが……。
「ハイハイハイハイッッッ!!!!」
「あ、あかねさん!!!?」
無茶苦茶ハイテンションで、両手に白いサイリウムを装備した状態で掛け声をあげていた。
「やるなあかねのやつ……。俺も負けてられねぇ……!!」
そして、初めてのライブにも関わらずドルオタとして完璧なパフォーマンスを魅せられては、前世からドルオタをしてきたアクアは自然と対抗心を燃やす。
「うぉおおおおッ!!!ルビー!!有馬ぁぁああッッッ!!!MEMちょぉおおおッッッ!!!」
「おい待て。アクアのやつはもっと冷静なやつじゃなかったか?」
「そう?私やルビーのことになるといつもあんな感じだよ?昔から」
カカロットはアクアのギャップに驚くも、アイの指摘で妙に納得してしまった。
「……言われてみればそうだったな」
そもそも自分がB小町の楽曲を覚えることとなった元凶だ。これくらい何もおかしなことはない。
「ね、姉さんがこんなにはしゃぐ姿を……!!俺は一体何を見せられているんだ……!?」
あまりにも普段のあかねの人物像とはかけ離れてしまっているため、碧は軽く困惑していた。だが、それもエメの一言で解決する。
「きっと有馬さんのアイドル姿を見て脳を焼かれたんじゃないかな……」
「……なるほど。それなら納得ですね」
「ち、違うから!!アイドルのかなちゃんは解釈違いっ!!これは、そうMEMちょ!!MEMちょが長年の夢をこの場で叶えられたことに感動しているの!!」
それなら何故黄色のサイリウムを持ってないのかとツッコミを入れなかったエメと碧はだいぶエライと思う。両手に白いサイリウムを装備している時点で隠す気がないだろレベルである。
てかなんでMEMちょの夢を知ってるのこの人。
「あはは!じゃあ私もアクアやあかねちゃんに負けないように応援しないとね!ほらカカロットさんにラディッツさんも!!」
アイが3色のサイリウムを用意すると、カカロットとラディッツにも同じことをするように促した。カカロットは気怠げに、ラディッツも少々躊躇するような素振りを見せつつ、大人しく従った。
「んなもん、こうやって軽く振りゃいいだろ。要は自分のイメージカラーが多けりゃ多いほど勝ちってやつだろ?」
「なるほど、そういうことだったのか。勝たせたいやつの色をあげれば良いのだな」
「違うよ!?」
これだから戦闘民族は、と若干呆れるアイ。アイドルが仲間内で競争などするわけが……。
「あん?何が違うってんだ?わざわざ色分けてんのには理由があるんだろ?」
「いやそれは……アレ……?」
する、わけが……。
「何が違うんだよ。イチゴのやつが言ってたろ。人気あるやつの方がより金を稼げるってな」
「時には
「……………」
アイは過去の経験から、この戦闘馬鹿2人の意見を否定することができなかった。
「サーそうなんことより応援ダー!」
無理矢理誤魔化そうとして最早喋り方までおかしくなっている。ここまでアイが嘘でカバーできないのも珍しい。
「俺はそうだな……。ここはやはりルビーか……?」
「おっ?ラディッツはルビーか。なら俺は黄色にする」
「ん?何故だ?カカロットと特に接点がないだろう?そいつとは」
「黄色って超サイヤ人みたいで強そうじゃねえか」
「……なるほど。色で選ぶのもありか」
最早サイヤ人2人組はライブの趣旨が変わりすぎて完全に別物と化している。パーティゲームの3択じゃないんだから。
ちなみに、クソメタいことを言うと、黄色を超サイヤ人とするなら、赤は界王拳若しくは超サイヤ人ゴッド。白色は身勝手の極意及びビーストと見ることもできる。即ち、強そうな色で選ぶなら白一択では……?まあ彼らがそれらを知る由もないので、黄色を選ぶのも無理はないが……。
「……いや、歌上手いのはあの白のやつだな。白にするか……?」
「いや、目を惹くという意味ではルビーだ。ここは赤か……?」
「周りを見ると黄色ばっかだな。やっぱり黄色が一番強えんか…?」
趣旨が戻ってきたようで戻っていない。もう彼らはこの
「よーし、僕もあかねさんやアクアほどのパフォーマンスは無理でも、せめてあの3人には気づいてもらえるようにしないと……!」
エメはご丁寧に3色のサイリウムを持ち、アクアに仕込まれたオタ芸なるものを披露しようとする。しかし、ここで問題が発生した。
「あの……。俺、アクアさんがやっているような踊りは未経験で……」
「あっ……」
今までアイドルとは無縁の生活を送っていただけに、碧はオタ芸という概念すら知らなかった。
「まあ……、本人達に気づいてもらえればいいと思うから、あそこまで洗練された動きをする必要はないよ…?」
「そ、そうなんですかね……?」
アクアはともかく、アイドル有馬かなに脳を焼かれて、初めてにも関わらず完璧なオタ芸を披露してしまっている様を見て、碧は初めてを言い訳にするのは如何なものかと考えてしまった。
あかねは色々な意味で規格外なので安心した方が良い。
チョンチョン
いざ踊らんとしたところで、膝をつつかれるような感覚がした。ふと足元の方を見てみれば……。
「つ、ツクヨミさん……?どうしてここに…?」
「緊急事態だ。今すぐに来てほしい」
「えっ……??」
ツクヨミにそう言われ、悪しき気を確認してみたが、そのようなものは特に感じ取れなかった。
「敵はバリアのようなものを展開した。気を感じ取れないのは恐らくそのせいだ。今ベジータが敵と交戦している。恐らくこのままでは……」
「わ、分かった!ならカカロットさんも……」
ベジータでも苦戦するほどの相手ならカカロットを連れてくるのは当然の考え。しかし、ツクヨミがそれを拒んだ。否、正確には……。
「……悪いね。一旦君だけ連れて行く」
「えっ?!」
ツクヨミがそう言った途端、黒い翼を展開した。
「えっ!?悟飯さん!?」
碧はここで初めてツクヨミの存在に気づいた。アクアやあかねはステージの方に夢中だし、アイはサイヤ人2人組へのレクチャーに集中しているため、このことに気づいてない。
そもそも、大音量で曲が流れ、周りの客が大声で応援する中で、ツクヨミとエメの会話を聞き取ること自体が困難だろう。気づかないのも無理はなかった。
次の瞬間、エメの姿はなくなっていた。
瞬きする間に別の場所に移動していた。これは噂に聞く……。
「まさか、瞬間移動……?ツクヨミさんも使えるの……?」
「……まあ、そんなところだね。色々と制約があるけど」
瞬間移動した場所には、確かに半透明の妙な壁のようなものが存在していた。その中の様子を見てみると……。
「なっ……!!」
ベジータと、もう1人の超サイヤ人、ブロリーの姿があった。あれから少し時間が経ったが、やはりベジータだけでは無理があったようだ。これでもブロリーはまだ本気を出していないのだから恐ろしい。
「奴はどうやら地球を綺麗な状態で征服したいようだ。それに加え、今戦っているサイヤ人はコントロールされているようにも見える。このバリアを壊せば、一旦はこの戦いを終わらせられるはずだ」
「……なるほど」
ツクヨミがエメだけ連れてきた理由がなんとなく読めてきた。カカロットを連れてきてしまっては、好奇心から戦闘を仕掛けるに違いない。できるだけ穏便に済ませるには、エメだけ連れてくるのが合理的だったと。
「分かった。このバリアを破壊すればいいんだね?」
「頼むよ。私にはできないことだから」
エメはツクヨミの意図を理解し、気を解放しフルパワーになる。
「はぁぁああああああッッッ!!!」
「……!!?」
久方ぶりの超サイヤ人アースだが、以前よりも更にパワーアップしていた。
「……ベジータさんがあれだけの力を引き出しておきながらバリアが壊れていないところをみるに、並の技じゃ効かなそうだな……」
気を解放してかめはめ波を撃つだけではこのバリアを破壊することはできそうにない。魔貫光殺砲ならいけるかもしれないが、時間がかかる。これほどの気を解放した状態で長時間いれば、カカロットが察知してこちらに来るのも時間の問題。ならば……。
「……あの技を使うしか……」
「あの技……?ま、まさかあの技を!?」
「大丈夫。あれから試行錯誤を重ねたから、前よりずっと実用的になっているから……」
そう言って、エメは気の塊を作り出し、それを圧縮し始める。これは以前カカロットが地球に戻ってきた際の決戦の時に使用した新技だ。これによってカカロットは瀕死の致命傷を負うほどにまでダメージを受けたのだ。手加減したにも関わらず。
その技が完成に近づき、実用的なレベルにまで到達した。その技が今、再びツクヨミの前でお披露目される。
圧縮が完了し、非常に小さな気の球をバリアに向けて投げ付ける。その球は比較的ゆっくり進み、やがてバリアの直近まで辿り着く。
「ほ、本当に大丈夫なんだろうね!?ここら一帯吹き飛ばすなんてことはしないよね!?」
「大丈夫。そこは上手く調整する」
魔貫光殺砲のように長時間溜める必要もなく、しかし威力はそれ以上持ち合わせている。この技の欠点と言えば、非常に優れた気のコントロール技術がなければ安全に扱えないということ。少しでも制御に失敗すれば、自分がその技の餌食になりかねない。そういった意味では、魔貫光殺砲よりも遥かにリスクがある技だった。
だが、エメはフリーザ討伐以来、特に気のコントロールに重きをおいて修行してきた。抜かりはない。
「……魔砲ッ!!」
エメがそう叫んだ瞬間、極小の気の塊が一瞬にして膨張し、大爆発を引き起こした。その眩しさのあまり、放ったエメ本人も目を瞑りそうになるほど。
だが、その爆風は不思議なことにバリアのある方向にしか向かなかった。実はこの『魔砲』、気のコントロール技術がなくても、再現すること自体は可能。
ただし、その威力のあまり、威力の制御は勿論、自分も巻き込む自爆技になりかねないが……。
そして、肝心のバリアは……。
バリッ……。
ヒビが入ってからは早かった。一瞬にしてガラスが割れるような音がしたかと思いきや、爆風がバリア内部だった方に流れていく。
「ゑゑゑっ!!!?ば、バリアが……!!?」
「ちっ……!!」
「うおっ……!!!!」
「ば、馬鹿な……!!!?」
ベジータとナッパだけは、何故かその爆風が押し寄せることを察知していたようで、瞬時に気のバリアを展開した。無傷でやり過ごすことは無理でも、生存は望める。ところが、パラガスとブロリーにとっては突然の出来事だった。まともな防御もできず、ブロリーは爆風に巻き込まれた。パラガスは敢えて吹き飛ばされることを選び、爆心地から離れることを選んだようだ。
「ぬぉおおお!!!?」
「ぐぁあああああッッッ!!!!?」
そして、この余波によってパラガス達が乗ってきた宇宙船も吹き飛ばされた。
本来ならベジータやナッパも丸ごと塵一つ残らない威力だが、バリアの破壊にエネルギーを使ったことにより、威力が弱まったようだ。エメもバリアの正確な硬さは把握していなかったため、これは大きな賭けとも言えた。
だが、その賭けは上手くいったようだ。
少し経ち、煙が巨大なキノコ雲となった頃、エメは流石にもう大丈夫だと判断し、念の為張っていたバリアを解除。それと同時に抱き抱えていたツクヨミを離した。
「き、君の技って本当におっかないね……」
「これでもだいぶコントロールできるようになったんだけどね……」
実際、コントロールできない状態で放てば、真っ先にエメとツクヨミが餌食になっていたであろう。
そして、煙から2人の影が見えた。気を確認し、それが敵でないことを確認した。
「クソッタレめ……!また貴様に助けられることになるとはな……」
「なんて技だこいつは……。下手したら地球丸ごとビックバンだぜ……」
多少の傷は負っているが、ベジータとナッパは無事だった。
「ちっ。あの様子だと、ブロリーの野朗共は消炭になったか」
「いや、それはどうだろう……。ツクヨミさん」
「分かっている」
ブロリーとパラガスの生存を疑ったエメは、ツクヨミに依頼して、魂を探ってもらうことにした。こうすることによって、相手の生死を確実に把握することができる。
「……生きているね」
「ちっ、しぶとい奴らだぜ……」
案の定、煙の中から更に2人の影が見えた。エメは再び超サイヤ人アースに変身し、ベジータも気を解放する。ところが……。
「ま、待ってくれ!俺達にもう戦う意思はない!!」
パラガスが両手をあげて、降参する姿勢を見せた。ブロリーも先程のような超サイヤ人状態ではなく、元の黒髪に戻っている。
「どうかな?貴様らはこの俺に復讐したいようじゃないか?積年の恨みが一瞬にしてなくなるとはとても思えん」
「う、恨みは消えたわけじゃないが、地球にこんなやつがいるとは想定外だった……。いくら復讐を遂行したいからと言って、死んでしまっては元も子もない。俺達は大人しく地球を離れることにする」
どうやらパラガスは保身を選んだようだ。ブロリーも特に異論はないのか、うんともすんとも言わない。
「ちっ。もう終いか……。できれば俺の力だけで勝ちたかったぜ……」
「ベジータ……」
ベジータは助かったことに安堵するどころか、他人の力で勝ったことに悔しさを覚えていた。超サイヤ人になり、それを更に超えたとしても、まだあの地球人には及んでいないと考えると、情けなくて仕方がなかった。カカロットのように同じサイヤ人の血を引いているわけでもないのに。
「おいおい、こりゃひでぇ有様だな。ベジータもこっ酷くやられてるみてぇじゃねえか。ん?あっちにいるのはサイヤ人か?見たことねえ顔だな」
「か、カカロット……」
流石に超サイヤ人アースに変身し、大爆発を起こすほどの気弾を放てばカカロットが駆け付けないわけがなかった。しかし、もう戦いは終わったのだ。今更カカロットが来たところで、これ以上状況が悪化するようなことは……。
「……カカロット」
「あん?俺のこと知ってんのか?」
「カカロットォ……!!」
ゴゴゴゴゴゴゴッ
「……!!?」
「この戦闘力は……!!」
ブロリーはまた気を解放し始めている。意図していない状況にパラガスも慌てている。
「ま、待てブロリー!戦いはもう終いだ!!ここのところは一旦引くのだ!!このままでは……!!」
パラガスも必死に指にはめているコントローラーを使ってブロリーを宥めようとするも、何故か装置が効かなかった。
「カカロットォオオオッッッ!!!!」
バキッ
次の瞬間、ブロリーの頭部に装着されていたコントローラー本体が壊れ、外れた。それと同時にブロリーの気が最大限に解放された。
「なっ……!!なんて気だ……!!」
「これが、伝説の超サイヤ人の力か……!?」
あまりの気の嵐に、エメとベジータも驚愕した。カカロットも驚きのあまり声も出ない様子だ。
「ぐぅぅううっっ!!!!」
先程のような通常の超サイヤ人とは違い、金色に若干の黄緑色が混ざったような色合いになり、筋肉は更に増大した。何より異質なのは、完全に白目であること。しかしながら、その白目は相手を確実に捉えていた。
「こ、これはまずいっ!!」
ボォオオオッ!!!!
エメは気を最大限に解放し、超サイヤ人アースで対抗することを試みる。カカロットもすぐさま超サイヤ人第4段階になり、フルパワーになる。戦いを楽しむ傾向にあるカカロットですら、いきなりのフルパワーだ。それほど今のブロリーは強かった。
「こ、コントロール装置が……。こうなってしまっては、何もかもお終いだ……。地球を支配するどころか、この俺も地球と運命を共にするというわけだ……」
パラガスの発言からして、今のブロリーは暴走状態にあるようだ。敵味方問わず攻撃する状態のようだ。ますますよろしくない状況になってしまった。
「カカロット。まずはお前から血祭りにあげてやる」
ブロリーが指差しながら宣言した次の瞬間……。
ドゴォッッッ!!!!
「……!!!?」
「グガッ……!!!」
「ふはははははっっ!!!!」
ブロリーの重い一撃によって吹き飛ばされ、それを猛スピードで追いかけるブロリー。
ドカッッ!!!!
「がぁっ!!!」
すぐさま追撃を喰らった。
「ち、畜生!!」
カカロットもこのままではまずいと察知したのか、即興のスピリッツキャノンをブロリーに命中させる。顔面に当たってクリーンヒットかと思いきや……。
「なっ……!!」
「なんなんだ今のは?」
全く効いてなかった。
ガジッ!
「ガッ……!!あぁぁぁぁ……!!!!」
ブロリーは、茫然としていたカカロットの首を片手で掴み、持ち上げた。そしてその手で首を締め付ける。
「がっ……!!ぁっ………!!!!」
「カカロット、もう終わりか?なら今楽にしてやる」
首を掴んでいない方の手でカカロットの頭を、原型をなくそうと言わんばかりの気を込めて殴りつけようとした。絶対絶命のピンチかに思われたが……。
ズガッ!!!!!
「グォォオオっ!!!!?」
光る剣が突き刺さった。伝説の超サイヤ人となったブロリーも、まさか自分の肉体に傷を付ける者が現れるとは思ってもおらず、これには怯んでしまった。
無論ブロリーに傷をつけたのはエメ。フリーザ戦の時にも用いた気円斬ソードを瞬時に生成し、それをブロリーに投げたのだ。即興で作り上げたからか、ブロリーの腕を切り裂くまでには至らなかった。だが、カカロットを救出するには十分だった。
「ケホッ!ケホッ!!」
「大丈夫!?息はできる!?」
「う、うっせぇ……!!そんくらいなんてことはねえ……!!」
どうやらなんとか間に合ったようだ。ほっとしたのも束の間……。
「コレは貴様だな?余程死にたいようだな。なら、まずはお前から血祭りにあげてやる!」
その巨大に似合わぬ猛スピードでブロリーが迫ってきた。しかし、光る剣は未だにブロリーの腕に突き刺さったままだ。本来なら新しい剣を生成したいところだが、ブロリーの膨大な戦闘力のことを考えると、気の消費は極力避けるべきだと判断し、その剣をそのまま使うことにする。
「はぁ!!」
エメはブロリーの目玉目掛けてビームを放つが、ブロリーは当然走りながらそれを弾き飛ばすために、剣が刺さっていない右腕で弾き飛ばす。
その隙をつき、エメは瞬時にブロリーの間合いに入り、剣を引き抜いた。
「……!!」
それに気づいたブロリーはエメに襲いかかろうと手を伸ばすが……。
ザザザザッッ!!!!
「ぐぬぅ……!!!!」
切れ味の良い剣で肉体を斬り込まれてしまう。致命傷とまではいかないものの、かなりのダメージになり得る。即興のではなく、完全な状態の光る剣であれば、今の攻撃でブロリーは間違いなく絶命しているであろう。
「ちぃ……!!小賢しい真似を……!!」
接近戦では部が悪いと判断したブロリーは、瞬時に距離を取った。
キュイイイッ………
ブロリーは右手に気を集中させ、緑色の気の塊を作り上げた。今まで、ブロリーはこれで幾つもの星を消し飛ばしてきた。これを防げた敵もいない。
「ふんっ!!」
ブロリーはその緑色の気の球をエメに目掛けて放った。その方向はエメ、もっと言えば地球。ブロリーは地球を破壊するつもりで放った。
ブロリーもサイヤ人ではあるが、バリアを張れば短時間なら宇宙空間でも生き延びることはできる。それを視野に入れての攻撃だった。
だが……。
「……!!」
エメは寧ろその気弾を目掛けて飛び込んだ。
「な、なにぃ!?」
「はっ!!」
ザッ!!!
緑色の気の球は光る剣によって切り裂かれて真っ二つになった。その直後に大爆発を起こした。
「なんてやつだ……」
ブロリーも気の総量こそは誰にも負けないものの、戦いの経験値が少々不足していた。それもそのはず、ブロリーは幼少期の頃から強すぎるあまり、ちょっと気を解放すればすぐに敵を倒せてしまっていた。そのため、今まで碌に戦闘経験を積めなかったのである。
先程のベジータとの戦いで多少は経験を積めたとはいえ、短時間だった。ベジータやカカロットのように戦いに重きを置く戦士ならば、経験を積むことができたが、生憎エメにはそのような発想はない。とにかく敵を始末することに重点を置いている彼は、敵を確実に抹殺する技を多く持ち合わせている。その一つが、先程も放った『魔砲』。光る剣なんかも、常備できる気円斬のようなものなので、殺意が段違いである。
要は、このままでは、ブロリーは碌に経験を積むことなく殺されてしまうということだ。
「悪いが、貴様にはここで今すぐに死んでもらう」
そう言った直後、エメは気弾を連射する。ブロリーはそれを防御する姿勢を取るが、エメは気を連射しながら接近する。
そして、ブロリーの脳天を切り裂こうとしたその時……。
ガキンッ……!!!
「なっ……!!」
なんと、ブロリーはバリアを展開して剣撃を防いでみせた。これもブロリーが無限とも言える気を持ち合わせているからこそできる荒技であった。
ドゴォォオオッッッ!!!!
「ぐほっ……!!!」
一瞬の虚を突かれ、ブロリーの重い拳撃がエメの腹に突き刺さった。
「少しはできるようだな。だが、その程度のパワーでこの俺を殺すことはできぬぅ!!」
更に、殴られた腹めがけて、先程の気弾を打ち込まれた。
「ぐぁああああああッッッ!!!!?」
エメはそのまま遥か彼方に吹き飛ばされた。
「どこへ行くんだ?」
自分で吹き飛ばしたにも関わらず、ブロリーは不気味な笑みを浮かべてエメを超速で追いかけた。
「ちっ!エメの野郎、無茶しやがって……」
カカロットもようやく復活し、エメの後を追う。
「お、おいベジータ!」
「……あ、ああ……」
ナッパに声をかけられ、ベジータは正気を取り戻した。まさかブロリーがこれほどとは思わず、流石の王子も恐怖に取り込まれていたようだ。だから先程の、エメとブロリーの一騎打ちに割って入ってこなかったのだ。ヘタレこそしなかったものの、ベジータとあろう者が恐怖で動けなかったのだ。こんな経験は、フリーザと戦った時以来だろうか。
本当にプライベートが忙しかっただけで、決して推しの子最終回見て落ち込んだわけではないんです……、ハイ…。
実はもう1話は既に出来上がっているので、見直ししてからの投稿になりますね。最短でも1週間後にはなるかと思います。前書きの通り、気長に待っていただけると幸いです。