推しの飯/絶望の未来から転生した戦士 作:Miurand
最近展開に無理矢理感がないか不安になってきたなぁ。当社比ではプロットが事前にできているだけでも大分いい方です()
エメが再び入院して、早くも1ヶ月が経過した。そして、エメは約1年ぶりに星野家と過ごすことになる。
「「おかえりなさーい!」」
「……ただいま」
全身の骨を折った状態で1ヶ月で退院は間違いなく異常なスピードなのだが、ラディッツの携帯回復薬が効果を発揮したのか、通常ではあり得ないスピードで回復する様子を見せていた。経過観察をするたびに、医師が腰を抜かしていたのは記憶に新しい。
「やっとみんなで一緒に暮らせるね!新しい家はセキュリティがしっかりしてるから安心してね!」
「うん。それなら変に気を引き締める必要はなさそうだね」
これから、悟飯は家族で平穏に暮らす……それにはまだ早い。退院してからは取り敢えずカカロット及びラディッツと共に修行する予定だ。これはフリーザを倒すために戦闘力を底上げするためだ。今の戦闘力では、間違いなく第1形態のフリーザにも勝つことはおろか、傷1つもつけることはできないだろう。
また、前世の通りに行けば、ベジータとナッパもこの星に来るかもしれない。ドラゴンボールこそないが、2人もサイヤ人がやられたとなれば、来てもおかしくはない。
だが、1つ問題があった。
「あれ〜?エメってば、どこにお出かけするつもりなのかな〜?」
修行に出かけようとすれば、必ずアイが外出することを察知し、エメに声をかけてくるのだ。『お母さんは1人で外出するのは許しませんよ?』と言っているようにも聞こえる。だが、年齢を考えれば、1人で外出させないのは、親として当然の判断と言える。
「ちょ、ちょっと友達と遊びに……」
「んふふ〜。嘘はよくないな〜…。私はただ嘘をつくだけが取り柄じゃないんだよ☆」
明るい口調でそう言うが、目が笑っていない。このままでは修行に行くことができないではないか。だが、それもアイがいる時だけの辛抱。アイは仕事柄、家を空けることが多い。ならば、少し頻度が減ってしまう程度で何も問題ない。
「こらー!!勝手に外に出ちゃだめ〜!!」
「おい、どこに行くつもりだ?行くならミヤコさんと一緒に行け」
「ダメですよ、エメさん。1人での外出は許可できません」
だが、ルビー、アクア、ミヤコと、いる人にことごとく止められてしまう。ある意味では信頼を失ってしまったのだろう。アイによるエメのための過保護政策が、ミヤコを巻き込んで星野家全体で実施されているようだ。
「(これじゃ修行できないなぁ…。いっそのこと正体を明かすべきか?)」
止められるなら、強引に行けばいいだけなのだが、悟飯は真面目な性格故に、許可をもらうまで修行に行けないと考えていた。だが、その発想では正体を明かさない限りは絶対に無理な話である。
だが、正体を明かしたら明かしたで、心配をかけてしまうのは分かりきっている。どうしろと言うんだと叫びたいところだが、過去に心労をかけてしまったのも事実。アクアに自分が気を失っている間の出来事を聞いた時は、しばらく申し訳ない気持ちで一杯になったほどだ。
できるだけ心配をかけたくないが、戦士として活動する以上はそれを無にすることは不可能に等しい。自分が大人ならば、理由をつけて一人暮らしでもすれば良かったのだが、4歳という身ではそうもいかない。
「……そうだ!!」
考え抜いた末に、悟飯はある案を思いついた。思い立ったが吉日。早速実行することにした。
「……で、私の家に来たと…」
「あはは……。ごめんね」
実は入院中に、有馬かなと連絡先を交換していたのだ。かなは唯一、エメが戦士であることを知っている人物であったため、何かと都合が良かった。
「てか、私忙しいんだけど?今日はたまたま休みだったから良かったけど、いきなり来られても普段は家にいないからね?」
「今度からは前日までには連絡するよ…」
「そうしなさいよ。全くもう」
有馬かなは少々不機嫌そうにしながらも、なんだかんだで内心は嬉しかった。というのも、有馬かなは仕事柄、なかなか同年代の子供を家に招待する機会がなかったからだ。
「ところでさ、あんた何者なの?当たり前のように空を飛んでたし、あんなデカブツを相手にして生きて帰ってくるなんて、普通じゃないわよ?」
有馬は、本当なら病室で対面した時点で質問したかったが、その時は時間がなかったし、ゆっくり聞きたかったので、今がチャンスだと思った。
それもあったから、悟飯の急な要望に応えたのである。
「……オレは、多分だけど、この世界を守るために生まれてきた戦士なんだと思う」
「はぁ?意味分からないんだけど。そういう厨二チックな説明は求めてないわよ」
「そう言われても、オレが何者かなんて、よく分からないよ」
前世のことを説明すれば、大体は自分のことについて説明できるのだろうが、果たしてそれをしていいのかどうか迷ってしまう。というか、前世のことを話したところで信じてもらえるかどうかも怪しい。
「だけど、これだけは確実に言えるよ。オレはこの世界を守りたい。今度こそ」
「今度こそ……?」
有馬は悟飯の最後の一言に引っかかった。ここ最近で世界が平和とは程遠い状態になったことなどあっただろうか?自分が生まれる前に世界大戦があったことは知っているが、目の前にいる少年がその戦争を経験しているはずもない。なら、あの言葉はどうして出たのか?
「ねえ、今度こそって、どういうこと…?」
「……そのままの意味だよ」
嘘はついていない。二度とあの地獄を再現するわけにはいかない。そんな思いが根底にあったから、生まれ変わって動けるようになってから、修行を欠かさなかった。今でも、家族達に心配されようとも修行を強行しようとするほどだ。それほどに、悟飯はこの世界が地獄に変貌することを恐れているのだ。
だが、そんな曖昧な返答をされても、有馬には分かるはずもない。そもそも転生という事象自体が滅多に起こらないし、アクアやルビーと違って、悟飯は別世界から来た可能性が高い転生者だ。悟飯の、エメの正体を説明するには、そこも説明しなければならず、信用されるかどうかを度外視しても、子供の有馬どころか、大人ですら理解できるかどうか危うい。
「有馬さんは知らないでしょ?いや、あれは知らない方がいい。知らない方が絶対に幸せだから……」
「何よ…?曖昧な言い方されても分からないわよ。もっと具体的に教えなさいよ……!」
そして、いつまでも曖昧な答えしか返さないエメに対して、有馬が怒りを覚える。
「具体的に……ね。別に有馬さんには隠すつもりはないんだけど、話したところで信じてもらえるか分からないし……」
「いいから、話して」
有馬はただただ目の前の男の子の正体を知りたい。何故空を飛べるのか?何故化け物に立ち向かうのか?何故、恐怖しないのか。大人でも怖がるようなことを、目の前のこいつは平然とやって退ける。そんなエメの正体を知りたくて仕方がなかった。
「オレには、前世の記憶がある」
「はっ?」
急かしてみれば、意味の分からない回答。思わず有馬は威圧的な態度を取ってしまう。散々待たせておきながら、なんてふざけた回答をしやがるのか。だが、そこに偽りは全くない。
「前も戦士として戦い続けていたんだけど、相手のタチが悪くてね……。奴らはとにかく街を壊し、人を殺し回っていたんだ。奴らはそれを心の底から楽しんでいた。パニックになる人たちを見て。命が消えていくのを見て……!!街が自分達の手で壊れていくのを見て……!!!!」
悟飯はただただ吐露する。理解してもらえるとは到底思っていない。分かってもらわなくてもいい。だが、一度吐き出すと止まらなかった。あの2人の行いを思い出す度に、怒りが込み上げてくる。そして、その2人に何度も敗北した自分自身に対しても怒りを覚えていく。
そんな様子を見て、有馬はエメの前世というものを信じたわけではないし、確信したわけではないが、ふざけていないことだけは分かった。エメが演者としてどの程度の技量を持っているのか分からない。アクアのように天才なのか、それともただの凡人なのかも分からない。
だが、悔しそうにする様は、妙に親近感があった。天才子役と持て囃されていたはずの有馬かなが、ぽっと出の子役に完敗したあの時と同じ。
悟飯もまた、潜在能力が高く、天才と評される存在だった。にも関わらず、人造人間に敗北した。
本当の天才なら、ぽっと出の子役に負けるはずがない。
本当に天才なら、人造人間だって楽勝だったはずだ。
奇しくも、あの時の自分の姿と今のエメの姿が重なって見えた。だからこそ、その感情だけは信じてみることにした。
「……あんた、お人好しにもほどがあるんじゃない?」
「えっ?」
「あんたは、自分が知らない赤の他人が次々と死んでいくのが許せなくて戦っていたわけでしょ?私なら、赤の他人が死んじゃっても仕方ないって思うわ。そもそも、そんな強い奴らを倒そうなんて発想すら出てこないかもね」
「……信じてくれるの?」
「まさか。前世の記憶持ち?人生二周目?そんな如何にも厨二病が考えそうな展開、信じられるわけないじゃない」
有馬は笑いながら悟飯の言葉を否定する。しかし、『でも』と彼女は続ける。
「……あんなに悔しそうな顔をされたら、信じない方が酷よ。あそこまで悔しそうに振る舞えるのは、敗北を経験している人だけよ。私は星野アクアに負けて、初めて悔しさを覚えた。だから分かるのよ。あんたのその悔しさは嘘じゃないってことが」
全てを信じてもらえたわけではない。だが、ほんの一部だけでも信じてくれたことが、悟飯は妙に嬉しさを覚えてしまった。
「それで、これからトレーニングか何かするんでしょ?いつまでもウチにいちゃまずいんじゃないの?」
「そうだね……。取り敢えず、ミヤ……お母さんが迎えに来てくれるはずだから、その時間までには戻るよ。だから……」
「はいはい。辻褄合わせをよろしくってことね。分かったわよ」
明確な行先が判明したとはいえ、一人で移動させるわけにもいかないと判断した社長夫妻は、ミヤコに送迎を任せることにしたのだ。エメを一人にすれば、今度はどんな無茶をして死にかけるか分かったものではない。
「……ありがとう」
「な、なによ急に?」
「オレのこと、少しでも信じてくれて……」
柔らかい表情で有馬にそう言うと、悟飯はそのまま有馬家を後にした。これからカカロット達の元へ修行に赴くために……。
いくつもの壁はあったものの、なんとか修行をする手段を見出すことに成功した悟飯は、気を頼りにカカロットとラディッツがいる場所に辿り着いた。
「遅いぞ小僧。俺達はとっくに始めてるぞ」
「す、すまない……。色々あって到着が遅れた……」
悟飯にとって、今回が退院して初の本格的な修行になる。悟飯が安静にしている間も、カカロットとラディッツは二人で修行に励んでいた。特に、ラディッツの方はカカロットに散々しごか
れていたため、かなりの成長が見られた。戦闘力で言えば、大体8000ほどだろう。
……そこまで成長するのに、ラディッツがどれだけ苦労したのか、悟飯は詳しくは知らない。
「す、すごい……!確実に強くなっている…!!」
「ラディッツはまだまだこんなものじゃねえはずだ。バーダックの息子で、俺の兄貴なんだからな。もうちょい強くなってもらわなきゃ困るぜ」
一方で、弟のカカロットは、ラディッツほどの目覚ましい成長はないものの、以前に悟飯と戦った時よりは確実に強くなっていた。
「さて、ようやく骨のあるやつが参戦してきたんだ。早速模擬戦をするぞ」
「模擬戦?いきなり……!?」
「ああ。基礎トレーニングをするのもいいが、やはり一番手っ取り早いのは実戦形式だ。実際に戦えば、戦闘の経験を得られるし、本当に戦う時に臨機応変に行動しやすくなる」
確かに、カカロットも悟飯も基礎は申し分ない。そのため、実戦形式で進めた方が効率はいいかもしれない。
「おっと。その前に戦闘力のコントロールの仕方を教えてくれ。今後フリーザ達と戦うなら、戦闘力を意図的に抑えられるのはデカい。奴らは、相手の強さを計るのも、敵の居場所を突き止めるのにもスカウターに頼りっきりだからな」
ということで、まずは気のコントロールを教えることにした。下級戦士と呼ばれる彼らだが、流石戦闘民族。1週間もすれば気の扱い方をほぼマスターし、気をほぼゼロにまで抑えることができるようになった。
また、これによって無駄な体力を消費することもなくなったため、カカロット達のスタミナは実質向上したと言ってもいい。
ところで、気のコントロールを教える際に、悟飯が手本となって、実際に気のコントロールを披露する機会があったのだが、悟飯が気をフルパワーにまで高めた時、以前よりも確実に強くなっていることに気づいた。カカロットとの戦いで再度入院してから何もしていないのにも関わらず。強いて言うなら、イメージトレーニングをしていた程度だったが、それだけでここまで強くなれるとは思えない。今の強さなら、強くなったカカロットも圧倒できるほど。何故これほど強くなっているのか疑問だったが、今は深く考えないことにした。
とにかく今は修行優先。かなに協力してもらいながら、数ヶ月ほど修行を続けてきたが、それもそろそろ限界に近かった。
というのも、有馬は売れっ子の子役であり、家にいないことが多い。その代替案としては、カカロットに遊びに連れて行ってもらうという程でカカロットに自宅まで迎えに来てもらったことがあった。
『地球人の親は過保護だな』と愚痴を溢すが、エメのいない修行は物足りないし、目標達成の遠回りになると感じているカカロットは、なんだかんだで協力してくれた。
だが、それを続けると、アイやミヤコも、かなやカカロット達と何をして遊んでいるのか気になってしまうものである。エメは嘘をつかない程度に誤魔化しながらも、『地球を守るために修行している』など、口が裂けても言えるはずがなかった。
いつまで経っても誤魔化され続けるアイ達は、次第にエメに疑いの目を向けるようになった。また無茶をしているんじゃないかと。過去の行いを見ればこの考えに行き着くのは当然である。
「ふーん?そろそろバレそうと……」
「結構な頻度で有馬さんの家に遊びに行っているから、特にお母さんとアイさんがね……」
そのことを有馬に相談してみることにした。エメは基本的に嘘をつくことが苦手である。どうにかして誤魔化せる方法がないかと、他の人の意見を聞いてみることにした。
「まあ、私は売れっ子だからね。そんな頻繁に遊びに行ってたら不自然がられても仕方ないでしょうね」
「うう……」
ここで、有馬は閃いた。アクアと似たような顔つきをしているエメの顔をじっと見て、あの頃のことを思い出した。星野アクアと血を分けた兄弟。その片割れならば、アクアのように役者としての才能があるのではないかと。
「……ならこうしましょう。あんたは私の元で演技指導を受けている……。ってことにすれば、アイやマネージャーさんも納得するんじゃないの?」
「……えっ?」
エメは、悟飯は何故こんな提案が出されたのか、最初は理解できなかった。だが、芸能人と頻繁に会うそれらしい理由でもあると言えばある。だが、演技指導を受けるなら、それこそ五反田監督でいいだろうと、アクア達にツッコまれるのは最早明白。有効な手段とは考え難かった。
「ならこうするのよ。最初は理由を隠すの。何度も問い詰められたところで、アクア達を切り離して、大人達だけ残す。そして、こう伝えればいいわ」
『星野アクアの弟を自分の手で育てて見返したい』
「……えっ?」
言わんとしていることは分からなくもないが、いまいちピンと来なかった。その様子を見て、有馬は追加で詳細を説明する。
「つまりね、私は星野アクアに負けたわけじゃない?その弟を、私の手で育てて、あんたが星野アクアを超える役者になれば面白いじゃない?ってことよ」
「……なるほど?」
確かに、負けず嫌いな有馬の性格を考慮すれば、本当にそんな提案を出しても不思議ではないだろう。だが、一つ疑問があった。
「いや、それなら普通に有馬さんの演技力でアクアを見返せばいいんじゃ…?」
「あんた、分かってないわねぇ。ただ見返すだけじゃ何も意味がないでしょうが。私の演技で驚かせた上で、成長したあんたを見せる。そうすることで、アクアに思い知らせたいのよ」
演技自体が得意な子役は少なくないが、子役を育てることができる子役というものはなかなか存在しない。それを実現させて、演技だけでなく指導者としての才能もあることを示し、アクアを驚かせたいのだろう。
ただ、忘れてはならないのは、あくまで悟飯の修行が滞らないようにする為の対策だということ。演技に集中してしまえば、修行できる時間は必然的に減ってしまうのだ。
そのことを有馬に話せば……
「あんたならそう言うと思ったわ。でも考えてみなさいよ。あんたの演技力が上達すれば、敵を欺けるかもしれないわよ?」
「……なんだって?」
有馬は、計画通り、とでも言いたげなドヤ顔をして続ける。
「演技力が上達すれば、肉弾戦だけじゃなくて、心理戦にも引き込むことができるのよ。例えば、どう考えても敵が有利な状況なのに、自信満々に見せるだけで、敵の動揺を誘ったり……」
まあ、どこかで見たアクション映画の受け売りなんだけどね、と付け足すが、悟飯にはそのことはどうでもよかった。
確かに、自分は敵を騙すということをしたことがないかもしれない。フェイントや残像等の、物理的に欺く手段なら利用したことはあるが、心理的に騙したことはない気がする。もしそれも使えるようになれば、対フリーザ戦でも上手く活用できるかもしれない。
今まで手を出したことのない領域。だからこそ、何が得られるか分からない。しかし、戦闘する際の選択肢が増えるのは魅力的だ。
何より、自分はあの星野アイの息子。もしかすると、警戒心の高い相手との戦闘でも利用できるほどに、演技力が上達するかもしれない。
「……分かった。その提案に乗るよ」
「……いい返事ね。それじゃ、早速始めるわよ」
「えっ?い、今から!?」
「思い立ったが吉日よ!」
ということで、まさかの演技修行もすることになった孫悟飯。
初めは、とてもじゃないが人に見せられるような演技ではなかった。口の悪い有馬もフォローしようとするくらいには。
だが、時間をかければかけるほど、エメの演技は上達して行った。
流石に有馬やアクアレベルに上達したわけではないし、まだ売れるレベルには至ってないが、人に見せられる程度にはなっている。しかも、隙間時間にやって1週間ほどでここまで伸びているのだ。やはり、星野アクアの弟だけあって、秘めたる才能はあるようだと確信した。
「やっぱりあんたは星野アクアの弟ね……。このまま行けば、あんたも天才子役として世に出てくるかもしれないわね」
「そ、それはないと思う……」
演技の手本として有馬の演技が披露される機会があるのだが、流石にプロは違う。プロの演技を見た後では、自分の演技などペーペーもいいところ。
「あのね、私だって最初から天才子役だったわけじゃないのよ。天才子役と呼ばれるまでにどれだけ努力したことか……。だから、めげずに続けなさい。そうすれば、いつかは私と共演する日が来るかもしれないわよ?」
「いや、オレは役者になりたいわけじゃないんだけど…………」
「そこはブレないのね……。あんたならいけると思うんだけど……」
そもそも、悟飯には既に将来の夢がある。学者は芸能界とはかけ離れた存在と言っても過言ではない。
悟飯達が修行に勤しんでいる間、地球から遠く離れたある惑星では……。
「なに?ラディッツとカカロットと連絡が取れない……?」
「ええ。地球という星に行った後、カカロットさんやラディッツさんと連絡が取れなくなってしまいました」
カカロットと同じく、サイヤ人として、フリーザ軍として働いているベジータ王子とナッパは、フリーザの部屋に招かれていた。
「どうやら、カカロットさんのスカウターは、原住民の戦闘力を計測した際に、計測許容値を大幅に超えたために故障してしまったようです」
「なっ…!!?」
ナッパは驚きのあまり声を出せなかった。地球など、宇宙外交に精通している異星人からすれば、名もない星も同然。文明力も戦闘力も低いとされていた惑星に、スカウターが故障するほどの戦闘力を持つ者がいるという事実に驚きを隠せなかった。
「ということは、原住民には、少なくとも一万を超える戦闘力を持つ者が存在するということでしょうか……?」
「そういうことになりますね。ラディッツさんのスカウターから聞き取れた情報によれば、大猿になったカカロットさんが敗北したとか……」
「なんだと!!?」
「ベジータ……!口の聞き方に気をつけろ…!!」
「いいんですよ、ドドリアさん」
ナッパに限らず、ベジータも心底驚いてしまった。それによって出た乱暴な言動をフリーザの側近、ドドリアは忠告するが、フリーザはそれを嗜めた。
「ベジータさんが驚くのも無理はありませんよ。大猿になったカカロットさんの戦闘力は、万全な状態なら16万。それが敗北したのですから、余程のことでしょうね」
いくら理性がなくなると言っても、16万もの戦闘力を有する怪物を倒すのは一筋縄ではいかない。単純に戦闘力が拮抗していた可能性と、相当な実力者だった可能性が考えられるが、いずれにせよ、聞いて愉快になる情報ではない。
「それで、私達をここに呼んだということは、地球に向かってほしい……。いや、カカロットを倒した地球人を始末するということで、よろしいのでしょうか?」
「いえ、殺す前に軍に勧誘してみてほしいのです。それほど優秀な方はなかなかいませんからね。こちらの戦力として加わってくれればいいのですが……」
仲間になる気がないようなら、遠慮なく殺してください、とフリーザは言った。なんなら地球ごと滅ぼしてくれてもいいと言った。
「……畏まりました。では、準備が出来次第、出動します」
「期待していますからね、ベジータさん」
そのやり取りを最後に、ベジータとナッパはフリーザの部屋を後にした。
「まさかカカロットのやつが地球人如きに負けるとは……」
ナッパはカカロットが敗北したという事実を信じられていない様子だった。それも無理はない。カカロットはベジータに並ぶ実力者だ。そのカカロットが大猿になってでも敗北したということは、ベジータも大猿にならなければ勝てない相手の可能性がある。そして、その正体が地球人であるということになる。俄かに信じ難いことであった。
「もしかすると、突然変異ってやつなのかもしれないな。だが、あの情報が本当なら、久しぶりに骨のあるやつを相手にできそうだぜ」
不適な笑みを浮かべるベジータ。ナッパは不安を感じているのだが、それとは対照的。ベジータはその戦闘力の高さから、カカロットと同じく、ほぼ敵なし状態だったため、死にかけるほどの戦いはおろか、少しでも拮抗する戦いというものに飢えていた。
「フリーザ様。よろしかったのですか?」
「どうしましたか、ザーボンさん?」
ベジータ達が去った後、フリーザのもう一人の側近、ザーボンが尋ねた。『何故グレードの高い宇宙船をベジータ達に貸し出したのか』と。
「あの宇宙船には、試作の遠隔スカウターというものが搭載されていましてね、私の部屋からあの宇宙船の周囲にいる者の戦闘力を計測することができるのですよ」
フリーザの考えはこうだ。大猿カカロットを倒した地球人は、正々堂々と戦って倒したのか、それとも大猿の弱点を知っており、そこを突いたのか。もしも正々堂々と戦って大猿カカロットに勝利したのならば、フリーザ軍の最エリート兵団、『ギニュー特戦隊』でも手を焼くことになってしまう。それを確かめるべく、ベジータ達を派遣したのだ。
ちなみに、宇宙船に搭載された試作スカウターは非常に高性能なもので、最大で53万までは測定可能とされている。
ここまで高性能に設計された理由としては、53万を超える者が現れれば、余程忠誠心がある者でもない限り、フリーザに反抗する可能性があるから。というか、言ってしまえば、最近急成長を見せているサイヤ人の監視用として作ったと言っても過言ではない。
「これでベジータさん達が勝てば私の思い過ごし。ベジータさん達が敗北すれば、私も出向く必要が出てくるかもしれないですね……」
とはいえ、ベジータ達が地球に到着するまで1年ほどかかる。それまでは気楽に構えていることにしようと、フリーザは自身の部屋で寛ぐことにした。
病院で寝ていただけなのに戦闘力が急上昇した……?なんでだろうなぁ。不思議なこともあるもんだなぁ()
重曹ちゃんがエメを弟子にした理由としては、基本的に作中で語った通りです。かなと話を合わせて、やっているフリだと、エメが嘘をついて見破られ、外出禁止ルートになってしまうのです。その為、修行を続けるためにはやむを得ない手段というわけでございます。……なんだ恋愛ゲーみたいなシステムは?
ちなみに、そのシステム的な話に則ると、あの日にアイを助けられなかった場合、アクアやルビーは原作通りになり、エメは守れずに後悔します。そして未来悟飯の人格は薄れることは決してなく……。これ以上書くと飯虐になってまう()
感想欄でも度々指摘されていますが、原作DBよりも修行環境がよろしくないのですよね。でもまあ、魂は潜在能力が凄まじい悟飯の魂そのままですし、カカロット達サイヤ人も一応味方にいるので、なんとかなるでしょう。