それでは、どうぞ。
男は至って普通の人生を送っていた。
仕事に明け暮れる日々である。
家族はいない。母と父は小さい頃に事故で亡くなり、天涯孤独の身である。
ただ、結婚しようとも交遊関係を広めようとも思わない。
ただ、ひたすら仕事と趣味に継ぎ足す毎日である。
そんな彼の趣味はアニメ・漫画・ゲームであった。
特にお気に入りの作品は妖怪ウォッチである。
日常の中で起こる不可解な出来事は全て妖怪の仕業。
その妖怪達を見ることが出来る腕時計「妖怪ウォッチ」を手に入れた少年の物語である。
その作品に出てくる妖怪達が個性的であり、どこか共感を持つことが出来るのだ。シャドウサイドや妖怪学園yなど様々な世界観で面白可笑しく表現された。
そんな男は、ある日いきなり、通り魔に刺され死んでしまった。この世に未練などあまりなく、助けを呼ぶことはせずにただ、自分の人生を振り返っていた。
死に行く間際、男は思った
「もし妖怪に生まれ変わったら、仕事をやらずに自分の思うがままに毎日を過ごしたいなあ。」
そんな、楽観的なことを思いながら
男は25年という短い人生に幕を閉じた
━━━━━━━━━━━━━━━
ンッ……まぶしい………
太陽の光が目に入る
「はぁ、何か懐かしい夢を見たな」
前世の記憶かな?もう1000年以上経ってるのに未だにあの時のことを思い出す。
通り魔に刺されて俺は死んだ。
だが、俺は今もこうして生きている。
いや、正確には生まれ変わったというべきか……妖怪として
人魂のような姿をした妖怪に気がついたらなっていたのだ
まさか本当に妖怪として生まれ変わることになるとは思わなかったけど
しかも生まれ変わって、自分が元いた世界とは違う世界にいたのだ。最初は妖怪ウォッチの世界に転生したかと思ったが、この世界の人間には「個性」という超能力のような物が備わっていたのだ。
妖怪ウォッチの世界でないことには少しガッカリしたが、仕方ないと思い、気持ちを切り替えて生きる
「おはよう……といっても誰もいないよな。」
俺はベッドから起き上がり、自分しかいない部屋の中で挨拶をしてしまった。前世からの癖とはいえ何か虚しい。
部屋を出て少し廊下を歩くと台所のある部屋にたどり着き
そこで朝食の用意をする。
「えっと……昨日の残り物がまだあるから…サラダと味噌汁作るだけで良いか。ご飯もチンしよう。」
死んで妖怪になり、 空腹感はなくなったが それでもやはり 前世の名残か食事を取るようにしている。
前世では一人暮らしのため、自然と料理は出来るようになった。
まぁ、俺の能力を使えば料理をしなくてもポンッと出せるが気分転換にもなるため、なるべく自分で作るようにしている。
料理を作ってる間に俺の能力を紹介しよう
この約1000年間で色々と試してみたが纏めるとこんな感じ
・妖怪ウォッチに登場する全妖怪に変身、能力を使用可能
・初代妖怪ウォッチ~妖怪ウォッチドリームを使用可能
・全妖怪の妖怪メダルを所持
・人間に化けられる
・無限に近い量の妖力
・妖力を自由自在に操れる
この1000年間で分かったことはこれくらい。
全妖怪には歴代のエンマ大王やバスターズに出てくるビッグボス、シャドウサイドの妖怪、ぷにぷにに出てくる妖怪にも変身・召喚・能力を使用することが出来る。
これだけでも十分チートだが、妖力の総量が無尽蔵なのだ
妖怪ウォッチではゲームで妖術を使用する際に妖力を消費する。妖術に使用する妖力の量が増えればそれに比例して強力な妖術を放つことが出来る。
どれぐらいの量か実験してみたところ、20年間不眠不休で妖術を全開で放ってみても全く疲れなかった。
大滝の術を20年間全開で放ってしまったことで地球の水位が上がってしまったことには申し訳なく思う。
また、妖力は妖術に使わずとも、ドラゴンボールの気弾のように相手に飛ばしたり手足に纏わせて身体能力を上げることも出来る。
大滝の術を20年間ぶっ放した事がきっかけで、住居は地上ではなく決して見つからない天空に住むことにした。
日ノ神*1の創造する力で空に浮かぶ草原を創りその上に少し大きめの家を建てた。
衛星や地上から見えないようにするためにカモフラージュ能力も創造したため決して見つかることはない。こんなことしても妖力はちっとも減らなかったから本当にチートだと思った。
あと、流石に長生きしていると暇なため、地上に降りては身体を動かしている。初めに言ったようにこの世界の人間は「個性」という能力を持っており、それを犯罪に利用する者とその犯罪者を取り締まる者がいる。
かなり昔の夜、気分転換に散歩でもしようと人間に化けて三重県のどこかに降りた。
少し歩いていたらコンビニが見えて、自動ドアから覆面を被った4人組が出てきた。あの恰好は間違いなく強盗だろう。
そのまま知らんぷりして通り過ぎても良かったが………………ピカッ!と良いアイディアを閃いた。
これは、今の自分の戦闘能力を確かめる良い機会なのでは。この力を人に向けたことはないが、悪人であれば例え死んでも大丈夫だろう!とそう思った。
俺は早速、人気の無い路地に向かい、妖怪に変身した。
初めての戦闘のため、なるべく強い妖怪であり正体が判別しにくい妖怪に変身しようと思う。
背丈は小さい方が判別しづらいし、身体を動かしやすい妖怪が良いから……!そうだ!
俺は極ブシニャン*2の姿に変身した。
━━━━━━━━━━━━━━━
「思った以上に簡単だったな。」
車の中で強盗犯の1人がそう呟いた。
「初めてだったから、ちょっとテンパったけど、楽勝だったな!」
「コンビニでも、あそこは結構金持ってたな。これでしばらく、楽していけるぜ。」
「なあ、今度は銀行にしてみないか?ちょっと時間はかかるけど、稼ぎは今以上になるぜ。」
「おぉ~いいな。ここら辺はヒーローの取り締まりも緩いしからなあ~。」
「ワンチャン行けるんじゃね?」
「よし、じゃあ今日は取り敢えずさっき奪った金を分配して、予定が立ち次第また集合するぞ。」
「「「おう!」」」
「一旦、あそこの公園に停まるぞ」
深夜0時頃、車はとある公園に停車した。
男達4人は全員20歳以上の無職であった。
しかし、個性社会に適応出来ず、ネットを通じて集まったネット仲間であった。全員が親と勘当され、金に困っていたため、今回の強盗を計画したのだ。
彼等は強奪した金を分けるため、停車し、車から降りた
が………
『うん?』
強盗の1人が公園に誰かいることに気づいた
「こんな深夜に誰だ?」
他の強盗達も気づいたようだ
「誰かいるのか?」
「子供か?……こんな時間に」
その人物は黒コートにフードを深く被っているため、顔は確認出来ない。
「…ネコの耳か?あれ?」
「尻尾も付いてるぞ。個性か?」
黒コートの人物は腰を落とし居合の構えを取り
刀を振った
「何してるんだ?あいつ?」
強盗達が戸惑っていると
バゴン!!
「「「「!!!!」」」」
大きな音を立てて、強盗達の車が
一刀両断された。
━━━━━━━━━━━━━━━
よし、車を破壊し、奴らの退路を断った
まあ車に乗ってても余裕で追いつけるけど念のため。
強盗達は目に見えて慌てている。
「誰だ!!お前は!!」
「よくも車を壊してくれたな!!」
「ローンまだ残ってるんだぞ!」
「野郎、ぶっ殺してやる!!」
4人がキレて、個性らしき物を発動したみたいだ。
手が蟹のようなハサミに変わった者
手から泡を出している者
虎に姿を変えた者
頭から角を出した者
『全員個性持ち、よし戦うには丁度よい。』
今の俺は極ブシニャン。
ランクはSSSであり、凄まじき刀の使い手。
相手がビビって逃げ出さないように先ずは向こうから攻撃してくるようにする。
「おら!死ねや!」
「くらいやがれ!」
虎男と蟹男は真正面から迫ってきた。いや、ここは二手に分かれるとかしないのかな?
難なく避ける。
「これでも喰らえ!」
泡男が手から出した泡をこちらに放ってきた。
泡が地面に触れた瞬間
バン!バン!
ババン!
爆発した。地面にヒビが入っている。
へぇ、結構威力あるんだ。
「俺の拳を喰らえ!」
感心していたら真横から角の生えた男がパンチしてきた。
敢えて避けずに受けてみる。
バゴン!ヒュ~~ドゴン!
『パンチは大した威力じゃないけど、明らかに角が生えたことで身体能力が上がっている。鬼化とかかな?』
パンチに吹っ飛ばされたふりをしてわざと木にぶつかった。
「ふん!どうだ!」
「おいおい。死んだか?」
「え?マジ?」
いや、死なないよ。というかもう死んでるようなものだし
俺は起き上がり再び構えた、今度はこちらから仕掛けてみよう。
フッ!! バギ!
「え?」
ドガガン!ズガ!
「は?」
俺はまずは、蟹男と虎男に瞬時に近づき顎と首筋に一発ずつ拳……いや肉球と蹴りを入れた。
2人は呆気なく気絶した。
残るは角男と泡男だ。
「オラ!オラ!オラ!」
大量の爆発する泡がこっちに飛んでくるが、敢えて受ける。
ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!
「ハァッ、ハァッ、どう「やわい。」だ…」
ブシュ!!!
「え?……うわぁぁぁ!!」
刀の精度を確かめるため斬ってみたが、先端の部分で少しカスらせただけで上半身と下半身が分かれた。
うわ、グロッ。
「あぁぁ……うわぁ~!」
角男は逃げ出した……この惨状を見たらそうなるのも無理はない。
「悪いけど、自業自得だ。」
『死神の術』
「がはぁ!」
バタン!
男は糸が斬れたように倒れた。男の生命力を吸収して、自分の生命力に置き換えることが出来た。
よし、妖術も人間には効果があるみたいだな。
「そうだ!これも使ってみよう。」
男達を一ヶ所に集め、全員の背中に三日月の切り傷を残した。妖力を込めた切り傷だ。
これは俺のオリジナル妖術で、名付けるとしたら
「呪い三日月」かな。
この三日月を彫られた人間は自分が今まで犯した罪を暴露してしまう。また、個性を失い、身体能力の一部を消失するという呪いが降りかかるのだ。
死んだ人間には意味がないが、罪を犯したという意味も込めて全員に残した。
あまり良い戦闘経験は積めなかったが、最初だし良いか。
良い退屈しのぎにもなったし。
それから俺は、夜になったら地上に降り、トレーニングのつもりでヴィラン達、時には俺を捕まえようとするヒーロー達と闘いを繰り広げた。
それが結果的に都市伝説として猫神と呼ばれるようになった。
━━━━━━━━━━━━━━━━
「よし、サラダ出来た。」
皿をテーブルに持って行き、朝食の準備完了。
我ながら良い出来だ。
「いただきます。」
テレビをつけ、ニュースを見ながら味噌汁を飲む。出汁が効いてて良いな。
「皆さん、おはようございます!!本日はオールマイトが雄英の教師に就職したということで、私は今、雄英高校の前に来ております!早速、生徒達にどのような授業を行っているのか聞いてみましょう!」
いや、現役No.1ヒーローが教師になってて良いのか?
授業とかは他の教職のヒーローに任せて、困ってる人を助けていた方が合理的な気がする。
「あ!すみません。少しお話良いですか?」
「へっ?あ…あの。」
「オールマイトの授業は一体どのようなものでしょうか?」
「いや、その…あ、えっと。僕、保健室に行かなきゃならないので!」
緑髪の青年にインタビューしてる彼困ってるだろう
学生なんだし、グイグイ行くなよ。
あ、何かホームレスみたいな人が校門入口に立ってる。
あんな奴もヒーローか?
あ、キャスターが入ろうとしたら雄英バリアーが発動した。流石最高峰のヒーロー育成機関、金かけてるなあ。
「ご馳走様でした。」
食器を流し台の方へ持っていく。
「次のニュースです。昨夜7時頃、○○県○○市にて自動車の轢き逃げ事故がありました。この事故により部活帰りの○○高校の女子生徒3人が亡くなりました。轢き逃げ犯は今も逃走中です。監視カメラ映像の死角となっていたため、捜査は難航しております。その為、警察は情報提供を求めております。」
轢き逃げか……
━━━━━━━━━━━━━
深夜0時頃
「腹減った~。」
轢き逃げ犯であるこの男は夜食を買うためコンビニへ歩いていた。
「俺ってば、運が良いよな。」
朝のニュースを聞き、男は自分の顔や車がカメラに映ってなかったことを知ったため、捕まらないだろうと思っているのだ。
だが、男は運が悪かった。
なぜなら、普通に捕まっていれば、奴には遭遇しなかったからである。
「ああ?」
男の前に背丈が小さい黒コートの人物が立っていた。
よく見ると頭には猫のような耳と後ろには人魂のような2本の尻尾がゆらゆらと浮いている。
「ま……まさか!あの都市伝説は本当だったのか!」
男はオカルトや都市伝説等の類いを信じていなかった。
誰かがが面白可笑しく広めたものであると決め込んでいたからである。
だが……
目の前にいる人物は
間違いなく
「(ブルブル)………ね…ねこ……がみ。」
男は都市伝説の内容を知っている。勿論、被害者がどうなったのかも……
「ま……ま…ま…待って下さい!ごめんなさい!反省してます!警察にも自首します!だから三日月の傷は止めて下さい!お願いします!!」
男は土下座して、頼みこんでいる。
「…………。」
『頼む。見逃してくれ!あ~くそ!夜食なんて買いに来るんじゃなかった!』
猫神はゆっくり彼に近づき
ザシュ!!
「ぎゃああ!!あ……あ…しが…足が!俺の足がぁぁぁ!」
瞬きする間もなく、男の両足は胴体と離ればなれになった。
猫神はゆっくり男に近づいていく。
「嫌だぁぁ!…嫌だ!……助けてぇー!!……誰かぁぁ!」
猫神は倒れている男の上に手をかざした。唱えた。
『れんごくの術』
ボゴォォォォ!!
「 ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
地面から超高温の炎が吹き出し、男はあっという間に丸焦げとなった。
丸焦げになった死体にも必ず三日月マークをのこしておく。効果はないが、自分がやったという証明になるからな。
「ハァッ。最近は全然手応えがねぇな。」
別に俺は戦闘狂という訳ではないが、最近の犯罪者は俺の姿を見れば闘わずに逃げる奴が多い。
いつもワンパターンというのは流石に面白くないな。………
……………ここら辺で面白いイベントを開催しようかな?
精々楽しませてね。
読んでいただき、ありがとうございます。
タグで分かるように主人公の性格はねじ曲がっています。
主人公は雄英の活躍は基本的にテレビでしか見ていません。
補足をすると原作開始からIアイランド編までは主人公は直接介入していません。1A生徒達は猫神の都市伝説は知っていますがニュースで知っているぐらいの認知度です。
次回から林間合宿まで飛びます。そこから原作は大幅に改変していきます。
優しい目で見ていただけると幸いです。
感想・評価もよろしくお願いします。