「うぉ……スゴイな」
「まぁ、お参りって行ったらここだからね」
もう幾つ寝るとお正月と歌があるがなんだかんだでお正月はやってくる。
1月1日、新年を迎える三ヶ日の元旦初日、ボーダーの誇る
日本の初詣は初の遊真は人混みに驚く。
信念を祝う気持ちは世界は違えども同じであるがここまで人が多いのは中々に見ない。小南達が来た神社は三門市で一番大きな神社であり、三門市民が初詣をするならばここでしょ!なスポットである。
「とりあえず5円にしましょう」
「なんで?1万円が1番高い金額でしょ?」
人混みをなんとか突破した小南達は賽銭箱の元に辿り着いた。
小南は財布を取り出して5円玉を取り出すが、こういう場ならばお金をケチらずに1番高いお金である一万円札を出すべきなのは?と遊真は疑問に思う。
「5円玉はご縁がありますようにって意味があるの!」
「……ダジャレ?」
「ううん、なんか言葉に力が宿るって筧から聞いたわ。とにかくご縁がありますようにで5円玉を入れるの。あんた細かいの持ってないから入れとくわね」
「ありがとう、コナミせんぱい」
自慢気に答えつつも小南は2枚の五円玉を入れる。
賽銭箱に入れる金の種類は色々と意味があり、ご縁がありますようにでは5円を入れるととある人物に聞いていた事を思い出して語る。遊真はよくわからないが小南が奢ってくれたので感謝し、お祈りをする。
「さ、餅を食べに行くわよ!日本の正月と言ったらお餅なの」
「レイジさんがおせちとやらを用意してなかったっけ?」
「レイジさんのおせちは絶品だけど、神社で食べるお餅も絶品なのよ!」
餅やおせちを詳しく知らないけれども、レイジさんがご飯を作って待ってくれている。
それを分かっていながらも食べて帰るのは失礼じゃないのかと思ったがお餅が絶品と言われた遊真は食の誘惑に負けて小南に付き添い、餅付きをして餅を配っているところに向かった。
「お〜小南じゃん」
「やっぱりいたわね」
餅を配っているところに向かえば太刀川がいた。
大好物が餅できなこ餅をきな粉こぼし過ぎてボーダー内で食う事を禁止されている太刀川だがここはボーダーではないので躊躇いなく餅を喰らっている。三門市民の殆どが利用する神社で餅付きの会場ならばやっぱり太刀川は居るだろうと小南は驚かない。
「誰?」
「前に宇佐美が話してた太刀川よ」
「ああ!ジンさんとライバルだった人!」
「誰だそいつ?」
「しいて言うならば期待の大型新人よ!」
「あ〜……迅が言ってた近界民か」
初対面の遊真と太刀川だったが、互いに情報は知っている関係性にある。
迅が庇った近界民だと分かればしみじみと納得しつつも太刀川は餅をうにょーんと伸ばした。
「あ、そうだった!ボスに遊真に渡してって言われてたんだった!」
「……お金?コナミせんぱい、お金ならめちゃくちゃ持ってるよ?」
「コレはお年玉よ!日本じゃ目上の人が後輩にお金を渡す伝統があるの!」
「ほぉほぉ…………なんでお年玉って言うの?」
「えっと…………なんでかしら?」
「なに言ってるんだ、お年玉って言うからには玉……つまり金玉だ。金玉を捻出した物をお年玉だろう?」
「あ、そっか!そうよね!」
「ふむ、なるほど」
遊真に林藤支部長から託されたお年玉を渡す小南。
何故にお年玉をお年玉というのか小南は分かっておらず遊真の質問に答える事が出来なかったのだが太刀川が代わりに答えて一同は納得をする。
とりあえずは餅を頂こうと餅の列に並んで餅を貰う遊真と小南。
「美味い!」
「レンジでチンするタイプの餅も美味いけど、やっぱ食うならつきたての餅が1番だ……コレに納豆とかきなことか醤油をまぶせばまた絶品でな」
餅を食べて美味しいと唸る遊真。
餅は奥が深い食べ物であると太刀川は餅の食べ方をレクチャーしているとメガネこと修と千佳がやってきた。
「お、オサムとチカ。あけましておめでとうございます、今年度もよろしくお願いします」
「あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
「今年もよろしくお願いします……遊真くん、もうお賽銭は済んだの?」
「コナミせんぱいと一緒にやったよ」
修と千佳も賽銭箱でお祈りを捧げた後だった。
餅は美味いと遊真は千佳と修に餅を勧めるのでとりあえずはと1つだけ貰う。
「おい、太刀川!!」
「んだよ?」
「快斗の奴を見なかったか?」
「隊長?見てねえぞ?」
「っち、何処に行きやがったんだあのバカは!」
No.1
「さっきの人、誰?」
「二宮さん。快斗の従兄弟で千佳が居なかったらボーダーで1番トリオンが多い人じゃないかしら?」
「筧先輩の従兄弟ですか……あんまり似てないですね」
「隊長は母方の祖母に似てて、二宮は父方の祖父に似てるから……あの2人が従兄弟な関係なの知ってる奴等、結構少ないんだぞ」
血は繋がっているけども顔はあまり似ていない2人。性格もあまり似ていなかったりするが、一応は血の繋がりはあるのである。
聞こえるレベルの舌打ちをして二宮になにやったんだ?と太刀川は疑問に思ったのだが深くは問い詰めない。
「小南先輩、あそこに居るの筧先輩じゃないですか?」
「あ、ホントだ……2m3cmの身長だから嫌でも目立つわね」
餅の配布の列に並んでいる筧を修は発見した。
2m3cmと日本人離れした背丈なので嫌でも目立つと少しだけ呆れつつも小南はさっき二宮が探していた事を言うついでに新年の挨拶をしようと思った。
「あけおめ!なんか二宮さんがあんたの事を探してたわよ」
「……………………あのぉ〜……………」
「二宮さんになにしたのよ?」
「……………すみません、どちら様でしょうか?」
「はいはい、そういうギャグはいいから……あんたが悪いことをしたなら素直に謝りなさいよ」
「…………あ!もしかして自分がボーダーに居た頃の知り合いですか!」
「はぁ?あんたなに言ってるの?」
筧に話しかければなにやら様子がおかしい。
まるで自分を知らないかのような素振りを見せており、小南はなにを言ってるんだかと呆れていた……小南だけじゃない、筧をよく知る太刀川もなにやってんだと呆れていた……次の言葉が飛ぶまでは。
「いや〜すみません。ボーダー辞めたんで、記憶を封印されてしまいまして……なにも覚えてないんですよ」
「…………は?」
ボーダーには言ってはならない守秘義務が多くある。
筧快斗という男はフリーのA級隊員で世間に公表すれば確実にまずい情報の1つや2つ……例えば空閑遊真が近界民である事などを熟知している。ボーダーを辞めるのであれば記憶の1つや2つ弄くる、ボーダーとはそういうことを平然とする組織である。それ自体は分かっているが、筧がボーダーを辞めたと言う言葉を聞いて小南は固まった
「な、なんの冗談を言ってるのよ!?快斗、あんたがボーダーを辞めるだなんて」
「本当です、自分はボーダーを辞めました。ボーダーの公式サイトから名前を抹消されてますよ」
「そ、そんな嘘を言っても騙されないんだから!!」
なにを言っているんだと小南はスマホを取り出してボーダーの公式サイトをアクセスする。
ボーダーには極秘裏にしなければならない存在以外の隊員は基本的には公式サイトに載っているのである。フリーだが実力派エリートと言ってもいいA級である筧快斗の名前も当然、ある……そう思っていた
「え、え…………なんで無いのよ!?」
「だから言ったじゃありませんか。ボーダーを辞めて記憶を弄られたって……皆さんの顔を見てもなにも思い出せません」
筧の名前は何処にも無かった。
自分の名前や太刀川の名前は当然の如くあるのだが、筧の名前だけは無かった。どういう事だと更に筧に問い詰める。
「なんでボーダーを辞めちゃったの!!あんた、あんなに頑張ってたじゃない!!」
「ですからなにも覚えてないから聞かないでください……誰なんですか貴女達は?」
「…………カケイ先輩、つまんなくてくだらないウソをつくね」
「あの、ホントに記憶が」
「おれ、嘘を見抜くサイドエフェクトを持ってるよ」
「…………っち」
知らぬ存ぜぬを演じているが高性能な嘘発見器である遊真には筧が堂々と嘘をついている事をあっさりと看破する。
嘘を見抜くサイドエフェクトを持っていることを言われれば筧は聞こえるレベルで舌打ちをしたら小南はウガァ!と吠える
「騙したなぁあああ!!新年早々になんて嘘をつくのよ!」
「いや……記憶を封印されたってくだりは嘘だがボーダーを辞めたのは本当だぞ」
「……コナミせんぱい、カケイ先輩の言ってることホントだよ」
「またそんな冗談を言って……ねぇ、私を騙してそんなに楽しい?」
「だから本当だよ。昨日いっぱいでボーダーは辞めた」
「…………はぁ?」
なんで筧がボーダーをあっさりと辞める事が出来るんだと小南は呆れる。
いくらなんでもついていい嘘とそうでない嘘の1つがあるぞと言いたくなるが筧は一切の嘘を言っていなかった。
「ボーダーを辞めたって、なんでまた」
「……お前達がそれを言うか?」
「え!?」
修にとって筧は深い関わり合いは無かった。
ただイレギュラー門事件の際に三門第三中学でイレギュラー門が開いて筧が駆け付けた頃には全てが終わっていた。遊真が修の訓練用のトリガーを借りてトリオン兵を倒したのだが問題はこの後だった。木虎がトリオン兵を倒した修に嫉妬してC級は基地の外でトリガーを使うなと色々と言っていた際に筧は躊躇いなく木虎を殴り飛ばした。そして木虎を三門第三中学の生徒の前で土下座させた。
ボーダーは三門市を戦場に変えている悪魔の様な存在だ。
三門市民を、防衛ラインを突破されて近界民に襲われることはあってはならない事だ。だから修がトリガーを使わなければ三門第三中学の生徒は組織の規約の為に死んでくださいと言っているも同然だ。筧はそれを許せなくて木虎を殴り飛ばした。筧が暴力で行動をしたのは問題があったが木虎の発言にも色々と問題があり三門第三中学側も近界民は防衛ラインを越えてきた、これはどういう事だ?命を懸けて戦った三雲をクビにするのは組織のあり方として正しいのか?木虎の発言は私達に死ねと言っているも同然だと抗議をした結果、お咎め無しで終わった。
やり方はともかく真面目なしっかりとした人である。
玉狛支部の先輩である小南や烏丸達からの評価も高い人で、遊真が近界民だと知ってもいきなりの発砲をしなかったのであり理知的な人間だと修は筧を見ていた。
「お前達が居なければ辞めなかったよ……」
「僕達のせい?」
「…………オレがなんでボーダーに入っていたのか知っているか?」
「いえ…………」
「オレは大規模侵攻の際にたまたま外出していた。妹は友達と映画を見に行っていた。母さんは父さんを連れてコストコに買い物に出かけていた……運が良かった。家は木っ端微塵にされたけど、死ぬことはなかった」
「三輪先輩みたいに……」
家族を家を近界民に破壊されて憎しみを抱いている人の1人なのか?
修はそれを聞こうとしたが筧はまだまだ話すので最後まで聞いてみようと耳を傾ける。
「異世界の住人の存在に驚いたが父さんは淡路大震災の様に災害にあったのだと割り切れと言ってきた。周りは家族が死んだ拉致されたの中でオレ達一家は誰一人失っていない……だから割り切ろうとした。けど…………お前達が、お前達ボーダーが更に厄災を持ってきた。オレ達が住んでいた土地を売ってくれ、定価の倍で買い取るって……当然の如くオレ達は反対したさ。でも国が三門市にボーダーの基地を建設する事を認めてオレ達は立ち退き命令を受けて定価の倍で住んでた土地を買い取って、定価の半分以下の価格で住居を用意してもらった……今のボーダーの本部がある場所は嘗てのオレの家だった場所だ」
「そう、だったんですか……」
「平穏な街を戦場に変えようとしたボーダーも平穏な日本を襲撃してきた近界民も許せない……異世界からの侵略者によって家を破壊されたから家にかけていた保険も適用外で全くと言って金は支払われねえ。残ったのは家のローン、そのローンは家を売った金で一括で払い終えた……けど、それで終わりじゃない……三門市にボーダーの基地を置いて三門市を戦場に変えるって言えば母さんはこんな街に住んでいられない、母さんはそう言ったけども父さんは三門市の市役所の職員で、市役所にボーダーに対応する課を作ることになってそこの課長に任命された……そこからは父さんと母さんは毎日喧嘩した。妹は友達が目の前で死ぬのを見てPTSDになっている……最終的には離婚してオレは父さんに、妹は母さんに引き取られてオレは直ぐにボーダーに入隊した。妹をPTSDにしたのと家を破壊した件で損害賠償請求を襲ってきた国にする為に」
「それは知ってるわ……二宮さんから聞いて藤丸さんとか小佐野とか知ってるわよ」
「……ボーダーにも色々と派閥がある……オレは城戸さんよりの忍田さん派だ。どれだけ高尚な理由があろうとも、この街を戦場に変えている事実には変わりはない。一般市民に被害を与えるわけにはいかない。だからあの時、三雲を嫉妬して注意している木虎をぶん殴った」
その事に関しては一切の後悔は無いと言い切る。
筧ならばそうすると小南は筧の事はそれなりに知っているのと木虎をぶん殴った件も知っている。筧はそれも知っているので話を続ける。
「なにが正しくなにが間違いなのか分からなくなった……あの日、太刀川さん達に空閑の持つ黒トリガーを奪ってこいと言う指令があった日、オレも城戸司令に黒トリガーを奪ってこいと命令を受けた」
「なっ!?」
「隊長、聞いてねえぞ?」
「オレはその命令を断った……空閑は話し合いが通じる近界民で、ラッドを利用すれば色々と出来たが三雲に恩赦を与えるだけで終わらせて悪じゃないと思った……その後に忍田本部長に嵐山隊と迅と一緒に太刀川さん達を撃退してくれと頼まれた……それも断った。空閑は近界民だから、近界民がオレ達となにも変わらない人間ならば、色々とややこしい存在だ。それこそ近界民は子供向けの絵本に出てくる様な典型的な悪役として扱い完全なる鎖国をしていた方が効率がいい、空閑遊真は悪ではないが近界民だから殺す、コレも間違った判断じゃない……なぁ、太刀川さん、小南、教えてくれよ。オレはあの時、どちらにつけばよかったんだ?」
「……」
150年ぐらい前ならば外国に行くのは命懸けだった。
だが技術の革命や進歩により金があって犯罪履歴が無ければ世界中の大半を行き来する事が出来る世の中になった。外国の何処でも行けるようになり日本という国は外国との貿易で食糧難を逃れているところもある。そんな中で電気による文明と異なる異世界人の存在が発覚したらどうなるか?異世界人との交渉の為にあの手この手を尽くすのが汚い大人だろう。一歩間違えれば平和な日本が再び戦場に、第三次世界大戦になりかねない。だから善人だろうと悪人だろうと関係無い、近界民には悪いが最初から居なかった事に……死んでもらう事にする。そんな考えを筧は持ってる
筧の言っている事にどちらも間違いではない。
遊真は悪人ではない。遊真は近界民だ……果たしてどちらが正しいのか?
「迅が太刀川さん達をぶっ倒して風刃を城戸司令に差し出した……コレが最善の未来に辿り着く為の行いだとしていたけど、オレはもう分からなかったよ……アイツは全てを救おうとしているどうしようもないクズだ……考えに考えた……オレは近界民は嫌いだ、例え何であれ死んでくれと思っている。城戸司令に殺せと言われなくても殺している。それと同時に近界民には友好的な存在も中にはいるのも理解してて空閑はそんな近界民だって事もだ……たった1人の子供に楽しい時間を与える為に師匠の形見を差し出した。最善の未来に辿り着く為に排除する方針の近界民を庇った……そして城戸司令は存在を認めた……なぁ、なにが正しいんだ?オレは近界民に対して憎しみを持ったらダメなのか?オレの憎しみや三輪の憎しみは正当なものだ。お前達近界民さえ来なければ戦争なんて無かった、オレも平穏にこの恵まれた体格を活かしてスポーツをやってたよ」
「…………」
迅が裏で暗躍をしていた事を知って言葉が出ない修達。
筧の憎しみは近界民を排除しなければならないという思想は間違いではない。小南達玉狛の近界民友好派閥も間違いではない。
「オレは少しだけ気になって調べてみた……三雲がボーダーの入隊の規定に満たないトリオン能力なのに迅が裏で暗躍して裏口入隊させていた」
「……はい……僕は迅さんのおかげでボーダーに入れました」
「そこでさ……思い出したんだよ……ボーダーに入隊する試験の時、オレよりも賢くて運動神経抜群な人が多く居て落とされて抗議をしまくったのを。トリオン能力の都合上だから仕方がないと今なら受け入れる事は出来るけど……あの人達だって近界民を憎んでいた。近界民と友好的になろうとしていた……たまたま偶然、迅が見つけて最高で最善の未来が見えたからお前を入隊させた……オレは当時は、プレッシャーがかかっていた。オレよりも優れた人が落ちた中でオレはトリオン能力には恵まれて合格していた。近界民に対する憎しみもあったけどあの人達の分まで頑張らないといけないって……だから色々と犠牲にした」
「犠牲?」
「柿崎さんの様にボーダー隊員の皆で楽しくバスケやサッカーをする時間を犠牲に特訓をした。国近先輩の様にゲームをする時間を犠牲にして特訓をした。生駒さんの様にギターを覚えたかったけどその時間を犠牲にした……本当は遊びたかった。本当は漫画を読みたかった……でも、そんな事に現を抜かしたらいけないと死ぬ気になって努力した。学校の勉強も疎かにしないように……自分の時間という物を犠牲にし続けて鍛錬に励んだ」
───でも、強くなれなかった
「強くならなくちゃいけない世界で強さを求めた。あらゆる手を尽くした……太刀川さんと雷蔵さんを引き連れてののさんにオペレーターをやってもらった。最強クラスのカードを持っているのに一度もA級1位に輝くことが出来なかった、東さんに勝つことが出来なかった。匡貴兄さんに勝つことが出来なかった。三輪に勝つことが出来なかった……今回の一件で分かったんだ、オレは全くと言って向いてない、このままいけば狂ってしまう未熟者だって」
「なにを……なにを言ってるのよ!!あんたは、あんたは必死になって努力してたじゃない!!確かに二宮さんが居た頃の東隊には一度も勝つことが出来なかったけど、それでも不動のA級2位に輝き続けたじゃない!忍田さんが
スゴい奴だって認めている。
小南はそう言いたかった言葉にする事が出来なかった。
「オレが出来るのは全力のお前の足止めを15分ぐらいだ…………お前は友達と遊んだりしててボーダー最強なんだろ?」
「っ……それは……」
「オレ以上に努力してたんじゃない、オレはトリオンと体格には恵まれているだけで後は死ぬ気になって力を求めた結果だ……きっとお前がオレと同じぐらいに努力をすれば太刀川さんや迅を相手にしても確実に勝つことが出来るぐらいにはなっている……」
小南は知っていた。
筧は恵まれた体格とトリオン能力に胡座をかかずに死ぬ気になって努力していたのを。
自身を含む旧ボーダーの面々は三門市を戦場に変えたので大嫌いで、忍田本部長や林藤支部長から同情の手解きだけは受けたくないと意地になっていたのを。それでもありとあらゆる手を尽くした。時にはグースステップと呼ばれる走り方を会得する為に唐沢さんにラグビーを教えてもらったりした。努力をしまくった。頑張りまくった。その結果、ボーダー内で唯一の技術12と鳩原未来等の狙撃手を除いた面々の次に技術がある、ボーダーで最も多くの技を使いこなせる隊員だと評価されている
「なんでよ…………なんであんたがボーダーを辞めるのよ!あんなに近界民が憎いから、賠償金を奪ってやるって言ってたじゃない!」
「どのトリガーでも死ぬ気になってやっても捨て身になっても10000ポイントを越える事が出来なかった……コレが現実だ…………オレはもう疲れたんだ。頑張ることも、我慢することも…………資源を奪い合う戦争というものに対してオレが大人になれてない割り切る事が出来ていないクソガキだと思ってくれよ……」
「っ、勝負しなさい!!私があんたに勝てたら」
「もうその手は使えない……なにを思ったかは知らないが、ボーダー側が記憶を消さなかった……でも、オレはもう無理なんだ。これ以上、ボーダーに居たらおかしくなる。一例を作ってしまえば最後、これから近界民だけどボーダー隊員な人達が増えるのが目に見えてる……太刀川さん」
「なんだ?」
「コレを三輪に渡してくれ」
筧はUSBメモリを取り出して太刀川に渡した。
「三輪はなにがなんでも復讐を成し遂げないといけない、オレもう三輪のライバルでも背を預ける関係にはなれないしなりたくない……けど、三輪を偉くする事は出来る。コレにはオレが今まで会得してきた技術のノウハウを詰め込んだ動画やレポートがある。コレを使って東さんの様に優れた指導者にもなってボーダー内で発言権を、力を手に入れる様に言ってくれ……」
「……お前が教えればいいじゃねえか。その気になれば生駒旋空や弓場のクイックドロウも出来るだろ……俺に勉強を教えてくれた時みたいに分かりやすく教えてやれよ」
「オレはもう辞めたんだ……じゃあな」
「待ちなさい!待って!待ってよ!!」
小南は手を伸ばそうとする。筧はその手を拒む。
筧はボーダーを辞めた。これ以上ボーダーにいれば自分が狂ってしまう。自分の限界点が見えた、やれることはやりつくした。それでも小南という天才には勝てなかった。迅というチートには勝てなかった。
「なんでよ……なんであんたがボーダーを辞めなきゃならないのよ……」
誰よりも頑張っているその姿を小南は見ていた。
ちっぽけな意地だがそれを守り続けて筧は戦い続けており、小南は口にしないが筧の事が人として異性として大好きだった。頑張っている筧が大好きだった……例え自分が旧ボーダーの人間で嫌われていると分かっていてもだ。
PROFILE
ポジション パーフェクトオールラウンダー
年齢 17歳
誕生日 6月6日
身長 203cm
血液型 AB型
星座 うさぎ座
職業 高校生(進学校)
好きなもの ゲーム スポーツ 漫画 サブカルチャー系全般 唐揚げ(柚子胡椒) チキンカツ
得意科目 オカルト関係の考古学
FAMILY
父、母、妹
トリオン 13
攻撃 11
防御・支援 10
機動 10
技術 12
射程 8
指揮 9
特殊戦術 7
TOTAL 80
RELATION
太刀川慶←強さだけは尊敬している後、勉強はちゃんとしてくれ、確かな能力を持ってて歳下だけど隊長と認めておりA級1位にさせられなかった事を後悔している後、勉強教えて
二宮匡貴←従兄弟
東春秋←全くと言って勝つことが出来なかった相手、大人げないのは自覚しているが新人育成後回しで全力で潰しにかかった
小南桐絵←嫌いだと公言してるのに何故か絡んでくるのなんで?、頑張っている姿が好き(クソ重い)
唐沢←唯一頭を下げて技術を教わった相手、ラグビーの技術を戦闘に活かすという凄まじい思考の持ち主
迅悠一←大嫌い、ボーダーが原因で生まれた被害者で罪悪感がいっぱいだけどもボーダーや世界の未来の為に犠牲になってくれ(トロッコ問題)
三輪秀次←ライバルで友達と呼びたいけど呼べない、自分よりも格上だと思っていて見習うべき点が多くて自分と似てるけど異なると感じているけど友達
那須玲←ボーダーのおかげで幸せになれている人間なので会いたくない、嫌われてると思っていて仲良くしたいと思っている
藤丸のの←何度か乳を揉んだりパフパフがあった、乳を揉ませるという既成事実を作った(クソ重い)
空閑遊真←悪い奴ではないのは分かっているが近界民……どうすればいいのか分からない、街の事を第一にしていて後から来た木虎をぶん殴ったので割と好きなタイプ
橘高羽矢←人のサイドエフェクトで遊ばないでください。お金も払うから、1回だけだから!1回だけだから!を永遠に続ける
SIDE EFFECT
強化声帯
すごく分かりやすく言えば神谷明から山寺宏一とありとあらゆる声を出すことが出来る、喉を強化したサイドエフェクト。
強化聴覚が無い人間が聞こえる周波数、可聴音ならばどんな音でも声にして出すことが出来る。
攻撃性は皆無に近い様に見えて人間が聞くと本能的に嫌がる音の周波数も声にして出せるのだが本人も声に出して聞いているのでダメージをくらう。鬼滅の刃で言うところのF分の一(1/F)揺らぎとかも出来る。
チームランク戦で誰かとの対決中に腹話術師の様に口を殆ど動かさずに敵の声真似をすればそれだけで相手から1手奪える(菊地原には効かない)。
本人が興奮したりすれば声が大きく変わるので何を考えているのかバレやすい。
本人が地味なサイドエフェクトなので公言せず知っている人は知っている程度のサイドエフェクトだが橘高にののを経由して知られた結果、この漫画のこのキャラのこのセリフをこの声優の声でやってくれと頼まれており、なんだかんだで引き受けており、一度だけ橘高がこの声優でこのキャラを演じてみたとかヤンデレCDを作っておりボーダーの一部に極秘裏に出回っておりCDなので量産し放題であるが筧は全くと言って知らない。
当人の肺活量等の問題で失敗したがトリオン体を用いれば歌うのが難しいボーカロイドを完璧に歌える。鬼灯の冷徹のOPをトリオン体で歌って100点を取ったことがある。
説明
勉強を自主的にする事が出来るタイプで思考も割と柔軟であり普通の塾を通ってて六頴館中学に合格した。
日本人離れした体格を持っているがスポーツだけでなく漫画やゲームととにかく色々な娯楽が好きな中学1年生だった。
最初の大規模侵攻があるまでは色々な部活の助っ人をやったりしており、スポーツIQも高く成績も上から数えた方が早かった。
最初の大規模侵攻で家が壊されたが父親が家族は生きていると言って地震や台風にあったのだと割り切ろうとしたところにボーダーが現れて立ち退き命令を出され、住んでいた土地を買い取られる事で終わったが異世界人の襲撃だったので火災でもなければ地震でもなく台風でもないので保険適用外で家のローンを支払い終えて更には妹の養育費一括払いをしたので手元に殆ど金は残っていない、色々と考えた末に近界民に対して損害賠償請求等をしようと決意した。
中学生の入隊募集をした際に直ぐにボーダーに応募し、合格したのだがその場に自分よりも賢かったり自分よりも強かったりした人が落とされてしまいその人達の分までとプレッシャーを背負っていた。近界民絶対に許さないマンで当時殺気出しまくりな三輪と唯一対等に話せる関係であった。
トリオン能力には恵まれていたので銃手になってクイックドロウでぶっ倒す火力ゲーをやっていたのだが小南にボコられカモられたので火力ゲーは良くない事で戦術を組み立てる事を学ぼうとするのだが立ち退き命令を受けた際に色々と反発していた事に印象があった為に顔を覚えていた林藤支部長や忍田本部長は戦い方を教えようとするが旧ボーダーが大嫌いなのでそれを拒み殆ど独学で様々な技術を会得した。唯一頭を下げて技術を教えてくださいと言ったのは唐沢だけである。
迅がS級になって張り合うライバルがいなくなって燃え尽き症候群化していた頃の太刀川、スタイリッシュだった頃の雷蔵、既にGカップを越えていた藤丸ののを引き連れてランク戦に参戦、瞬く間にA級になるのだが第一期東隊には一度も勝つことが出来ずにA級2位で終わりA級1位にならなければ解散すると言ったので宣言通り解散しその後はフリーのA級としてフラフラしている。
当時最強クラスの太刀川や雷蔵を引き連れても東隊に勝つことが出来なかったのは主に筧が弱かったからと見られるが、駒の質的に言えば東隊も筧隊も同格で当時弾系のトリガーが無駄に強かったのとシールドの性能がそこまでだったのと東が二宮達の新人育成を無視して全力で潰しにかかったから勝てただけであり、攻撃手以外のマスタークラスの隊員がもう1人居れば東隊には勝てていた可能性がある。
フリーになってからは誰かを指導するわけでもなく研鑽の日々を送っており、様々なポジションや役割をこなせる様になった。上層部はシフトで困ったらとりあえず筧を入れとけばそれでなんとかなるぐらいの認識を持っている。
実際のところの実力は全部がマスタークラス以上10000ポイント未満、あの手この手を使って戦うトリオン消費などを考えずに相手を全力で潰しにかかる小南を15分足止め出来るぐらいの実力で戦場で倒されずにしぶとく生き残る力と使っているトリガーのポイントを合計したらぶっちぎりのトップでボーダーで1番技の引き出しが多くツインスナイプも出来る。ただし真正面から生駒クラスを相手にしたら高確率で負ける。トランプで言うところの7〜9のカードを馬鹿みたいに持っていてオンリーワンな武器である10から13を倒す感じ。相手や状況によってコロコロとトリガー構成を弄くるので能力値が判定しづらい実際の能力値とパラメーターが合わないパラメーター詐欺の代表である。
遊真を近界民だけど遊真が完全なる悪じゃなくて普通に善良な近界民なので葛藤し、強盗まがいの事をしてこれ以上はボーダーに居たら狂ってしまうとボーダーを辞めたが記憶は弄くられなかった。
ミスター器用貧乏 かけい
ありとあらゆる事が一応は出来て一応は納めているがその分野のエリートには敵わない人。
給料泥棒と見下されるかしっかりとした強い人のどちらかで見られる極端な人であり木虎と草壁には給料泥棒、黒江と小佐野にはしっかりとした強い人だと思われている。太刀川が調子に乗って大学で英語の課題を選んでしまいそれの手伝いをしている内に英語をそこそこ喋れるようになった。妹思いのお兄ちゃんで彼が二宮匡貴の従兄弟である事を知る人は少ない。
次に曇らせるのは
-
千佳ちゃん
-
三雲香澄