シャンフロ小噺 作:渚です
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最初はチャットアプリからの誘いからだった。
確か俺は、シャンフロの攻略に一区切りがついたから一旦ログアウトして少し休もうと思っていた時に狙い済ましたかのように来たメッセージが目に止まった。
ディープスローター:サンラク君、私とオフパコしなぁい?
…………はぁ〜〜〜〜!!!全くこいつは!!本当にこいつは!!!本当に碌でもねぇ奴だなおい!!
サンラク:くたばれ変態 もしくは息絶えてくれ
ディープスローター:全部同じ意味だねぇ?文面上でもDVは流石の私でもついていけるぜぇい?
サンラク:うわぁ……
ディープスローター:まぁ愛しきマイダーリンとの会話は後でゆっくりピロートークの時にするとして
サンラク:しないが?
ディープスローター:割とマジでオフパコ……もといオフ会をしないかい?
サンラク:普通はオフ会の方が先に来るだろ……
うーーーん?ここまで素直なディプスロは初めてだな?何か変なもんでも食ったんじゃないかと疑うレベルだぞ?
そもそも、俺の知ってる範囲じゃアイツはそういうリアル関連に着いてのことは語らないようにしてると言うか、触れられたくないっていうオーラが出てたはずだが……
ディープスローター:何をそこまで渋るか分からないねぇ?君の腐れ縁の二人とは会ってるのにね?
サンラク:……お前には話した事ないと思うが
ディープスローター:乙女の秘密、って奴さ
サンラク:お前が乙女なら地球上の哺乳類でメスに分類されるもの全てが乙女ということになるが
ディープスローター:辛辣だねぇ!?でもまたそれも美味しい!!
なんだか心配する必要が無さそうだな。意図は不明だが、折角だしこいつの面を見に行ってやるか。
サンラク:まぁ、色々と聞きたいことはあるが……まぁいいぜ。オフ会は行ってやってもいいぞ
ディープスローター:えっ…?本当にいいの?
サンラク:なんでそっちが驚いてんだよ……
ディープスローター:じゃ、じゃあ私の住所がここだから
ちょちょおいおいオフ会でいきなり家かよ!!?何考えてんだ?ああやっぱり断っとくべきだったか……いや、でも行くって言っちゃったしなぁ……
俺の軽率な判断のせいとは言え選択ミスったか……うっ、ピザ留学を思い出して胃が……
とまぁそんなこんなで予定が決まり、来週の土曜に家に向かうという形になった。
その際に住所と同じくアイツの本名も教えて貰った。
"彬茅紗音"………彬茅…あきがや?いやぁまさかな……
◇
「ほ、本当に……?夢じゃなくて?」
困惑半分喜び半分の声が無駄に広い自室に響く。
生命維持装置とも呼べる機械の大小様々なケーブルに繋がれて、点滴が壁のように彼女のベットの横に備えられている。
彼女の名は──彬芽紗音。とあるゲームでは"ナッツクラッカー"としてサービス終了にまで追い込んだ"魔女"である。
◆
私が彼に「オフ会しよう(意訳)」というチャットを送ったのは特に何か理由があった訳じゃない。
ただ、何となく「会いたいな」と思ったのと日に日に減っていく寿命を前になんだかやるせなくなったから──と言う、言語化しにくい自分でも面倒くさいと思ってしまうような感情からだ。
先に断っておくと私は"サンラク"か好きなのであって陽務楽郎が好きという訳では無い。
…………でも、それでも。
死ぬ前に会ってみたい。言葉を交わしてみたい。直接会って本当に存在している人なのか知ってみたい。
パーソナルデータ自体は家の者に調べてもらったから家族構成から彼の通っている高校まで全て知ってる。
……でもそれは私が調べてとお願いしただけで、実際に見て知ろうとした訳じゃない。ただの好奇心にすぎないんだ。
会って、話してみる。それが重要だと……思う。
でも、この体じゃあね。
だからこのチャットは気の迷いだ。何時もの冗談のように、"ディープスローター"としてサンラク君にチャットを送る。
どうせ断られるだろうと、諦め混じりに。
しかし、僅かな希望に縋るように私は送信の二文字をタップした。
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