海の幸海賊団が行く海遊記   作:npd writer

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一家集合、海の幸海賊団

 

「『新世界の覇者、ロックス動き出す!ニューゲート、リンリン、シキなど、各地で名を馳せる海賊を束ねる。世界の支配者誕生か!?』か。

組み合わせはともかく、一大勢力になるな」

 

 甲板にて海風に吹かれながら世界経済新聞、通称世経を読むナミヘイ。紙面にはハチノスと呼ばれる小さな島にて、世にも恐ろしい凶悪な海賊団が結成されたと記されている。

 新世界の中でも選りすぐりの海賊を集めたロックスの存在は、間違いなく世界に動揺をもたらすだろう。

 

「随分と物騒な海賊団ですね。曲者揃いを束ねる船長ロックスの素質に驚きです」

 

「ロックス・“D”・ジーベック。彼もまた“Dの一族”だ。いつの時代も“D”は嵐を呼ぶ。今代は彼がその中心となるのか」

 

 険しい目つきで見つめるナミヘイ。そこにはこれから起こるであろう波乱に対する警戒感と、それを楽しもうとする高揚感の両方が存在した。曲者海賊団をまとめるなど常人のやることではないが、“D”の意志を継いでいるとすれば納得ができる。

 

「D……“神の天敵”ですか。随分と物騒な隠し名ですね」

 

「マリージョアに住まう豚共は恐れている。世界を根底から覆すほどの大戦争の勃発を。800年前の世界政府樹立、空白の100年、そして“ジョイボーイ”……それには深く“D”が関わると聞く」

 

 彼の脳裏に世界政府が隠したがる禁忌が次々と浮かぶ。彼自身が歴史の全てを知っているわけではない。指し示すかまでは知らないものの、それらが今の支配秩序を覆す力があることは知っていた。

 

「この時代は彼らのものになると?我々の“D”も影響を受けるのでしょうね」

 

「我らが船長のことか?確かに、Dの名を継ぐ一人ではあるからな。間違いなく歴史を動かすことになるだろう」

 

「あんなお転婆な娘が世界の運命をひっくり返したら、それこそ大変なことになりそうです」

 

「ハハハハ!確かに!!……今はまだあの娘の時代ではないが、必ず時代の中心になる時は来る。新時代に旧時代の残党はいらんからな」

 

 

 

 

 

「絶対諦めねぇ!今回こそ、仲間になってもらうぞ!」

 

 とある新世界の島。ここに、一組の男女が相対していた。一人は若々しく熱意に満ち溢れた男の海賊、もう一人はイヤイヤな雰囲気を全開にする絶世の美女海賊。

 

「いやよ!アンタは世界を支配する気でしょ?アタシ、自由が好きだから!支配なんて興味ない!!」

 

「もったいねぇな!お前の力と俺の力があれば、世界を取ることをできるっていうのに、よ!」

 

 フラれた男は悲壮感を顔に浮かべながら、問答に向かってくる。覇王色の覇気同士の衝突による衝撃は凄まじく、黒い稲妻が天まで走り、空は大きく二つに割れる。逆立った髪を靡かせる若い男は、目の前に対峙する自身を振った三方に黒髪をまとめた女性に、なおも問いかけた。

 

「お前にも王になる素質があるっていうのに、それを放棄するのか!俺についてくれば、家族にも美味い飯を食わせてやれるぞ!それに甘い焼き芋をたくさん食べさせてやるぞ!!」

 

「私は自由に海を回りたいの!アンタのカリスマ性には驚いてるし、無駄に博識高いのも知ってるわ!けど、やっぱりアンタとは性に合わないのよ!!焼き芋はもらいたいけど!!」

 

「貰うのか……」

 

 二人はギャーギャー言い争いながら、尚も戦いをやめない。既に島は度重なる覇王色と武装色を纏わせた剣と拳のぶつかり合いで、半壊状態だ。諦めの悪い海賊同士であり、妥協の二文字がない二人には相手を屈服させるという脳筋思考しかない。

 

「面白ぇ奴だ……!俺の誘いを簡単に受け入れないその姿勢……ますます、気に入った!絶対、仲間にしてやるぞ!サザエ!!」

 

「なんでそうなるのー!?いい、ロックス!アタシは嫌と言ったら嫌なの!!」

 

 ロックス海賊団船長ロックス・D・ジーベックと、海の幸海賊団の船長であるサザエ・D・ゴザイマース8世は三日三晩にわたって戦い続けている。

 超人的なスタミナと強靭な肉体、鍛えられた覇気、互角な戦闘力による激しい戦いは双方が一歩も引くことはない。僅かな食事と休息を挟むだけであとは四六時中戦っている状態だ。

 

「世界を“支配”することこそ、これこそが究極の平和だ!」

 

「いいや、世界は“自由”だからいいのよ!」

 

 ロックスが目指す“暴力が支配する世界”には、力ある権威的存在が必要だ。新世界の中でも名を轟かせるサザエの存在は否応がなしでも必要だ。生涯のライバルはもう一人の海賊だけで十分であり、ソイツを叩き潰すためにサザエは魅力すぎる人材だ。

 

 一方で、サザエからしてみれば何度もアプローチしてくるロックスはウザいストーカーとさほど変わりない。ちょっとした用事でも直ぐに突っかかる彼に対して苦手意識すら持っていた。だが、倒そうにも強力な覇気使いである彼は簡単には倒れてくれない。それに倒すと尚一層アプローチをかけてくる積極性付きだ。

 

「そうか!ならここで新時代への礎として散っていきな!」

 

「それはごめんよ!今日の晩ご飯をまだ作ってないんだから!」

 

 高速で移動する両者は間合に入ると、拳と剣をぶつけ合う。一方は武装色の覇気と覇王色を合わせた拳、もう一方は悪魔の実と覇気で強化された剣だ。両者全く譲らず戦い続けていると、サザエは見聞色の覇気でギャラリーが大挙してここへやってきていることを察知した。同じくしてロックスもそれに気付いたようだ。

 

「ギャラリーが増えてきたようね……。そろそろここらでお暇してもいいかしら?」

 

「つれないな、サザエは!まあ、邪魔が入らないところで語り合いたいっていうのは、賛成だ」

 

 ロックスが話している間にも、サザエは乗ってきた小船に乗り込み、ロックスを振り返った。

 

「アンタの支配は嫌いだけど、アンタと戦うのは好きよ。ロックス、私はいつまでもチャレンジャー(挑戦者)としてアンタを追いかける!!」

 

「こっちは席を空けといてやるぞ!入りたかったら、いつでも来い!ロックス海賊団はいつでも大歓迎だ!!」

 

 別れ際というのに、両者は全く正反対のことを言って相手の言い分を聞き入れることなく去っていった。

 ロックスが彼女にアプローチを始めてから実に一年が経つが、一向に振り向いてもらえない。それでも諦めないロックスは、再び相まみえることを願い、彼女にビブルカードを忍ばせた。

 

 

 

 

「母さん、ただいま〜!」

 

 ロックスとの三日三晩の大熱戦から三週間。新世界の島々で美味いもの巡りをして体重を増やしたサザエは、魚人島を経由してグランドラインに戻った。ナミヘイのビブルカードを頼りに、船まで帰還したサザエは昔と変わらず笑顔で船に上がる。

 

「おや、おかえり。今度はどこまでいったんだい?」

 

「ちょっと新世界までね。また、ロックスから『ウチに来ないか』って誘われて。勿論、断ったけど」

 

「やっぱり、サザエは下につく人じゃないからねえ」

 

「にゃー」

 

 出迎えたフネの肩の上には、長年この海賊団のマスコット的な存在である猫のタマが座っている。ナミヘイが父から譲り受けた猫で、かなり長い年月を生きていると噂されていることしか知らない。ただ、怯えたように世界政府が必死に捕獲指示書を出しているらしい。何とも、不思議な猫だ。

 

 軽く話をし船に上がったサザエを待っていたのは、ナミヘイとフネの二人だけではない。

 

「姉さん、お帰り〜!これ、シャボンディの菓子!美味いから食べてみて〜!」

 

「お姉ちゃん、お帰りなさい!」

 

 鰹の魚人である『超速泳力』カッツォ、そして深海に暮らしていた深海族を祖に持つ『深海族の女帝』ワカーメだ。

 

 二人ともサザエの弟妹であるとともに、守るべき大切な家族だ。決して魚人族の生まれだからと言って差別することなど、サザエは決してない。そんな前時代的な海賊になる時に捨てたのだ。

 また、彼女は何より家族が侮辱されることを許さず、カッツォのイタズラに頭を悩ませることはあっても彼を侮辱することはない。因みに、弟を侮辱されたことを知り怒り狂ったサザエが、島一つを消し飛ばしたこともあった。

 

 兄妹の中でもワカーメは魚人族の中でも希少な深海族の生まれだ。魚人売買のバイヤーに狙われることも多く、実際何度も誘拐されかけた。その度、家族第一主義のサザエやカッツォ、ナミヘイ、フネが大戦争を起こしては鉄血制裁を加えてきた。

 

 例え、それが天竜人御用達の店の関係者だったとしても、である。

 

「あらカッツォ、ワカーメ!元気だった?」

 

「そりゃね。姉さんこそ、相変わらず元気そうで良かったけど」

 

「お姉ちゃん、またロックス海賊団から声かけられたんでしょ?すごいね!」

 

「あーあそこはダメよ!ガラの悪い人が多いし、人殺しは絶えないし、ロックスはそもそも頭がイカれちゃってるから。身が持たないわよ」

 

 これまでの航海を軽く話した後、サザエはキョロキョロと辺りを見回す。

 

「あれ?タラーオとヒトーデは?」

 

「タラちゃんなら面白いもんがあるって、北の海(ノースブルー)行ってる。ヒトーデはタラちゃんから目が離せないって着いていっちゃった」

 

 タラーオとヒトーデは、サザエの子供にして近年有望視されている新世代の海賊だ。特にタラーオに関してはサザエの血をより濃く受け継いでいるためか、幼少期に覇王色の覇気を発現している。

 

 ヒトーデも悪魔の実を食べていないにも関わらず摩訶不思議な力を持っていた。なんと、白龍に変化できるのだ。突然変異的なその能力に家族が困惑したのは言うまでもない。

 その原因を探りに医学の町であるフレバンスにも訪問したが、未だ分からずじまいだ。

 

「二人なら帰ってくるよ、すぐにね。今、船から大体20km北西を結構な速度で移動してる。これは、ヒトーデかな?」

 

 船室から顔を出す一人の男性。その顔の半分は鉄に覆われており、男性がサイボーグであることを象徴している。

 彼こそがサザエの夫、太古の巨人族の血を受け継ぐと共に、改造を受けた改造巨人種マスオである。

 

「あらあなた、また新しい機械でも作ってたの?」

 

「うん。サザエがどこにいてもすぐ連絡できるように、電伝虫を少し改良してた。政府に盗聴されることも考えて、隠密性も高いよ」

 

「まぁ!そんなこともできるのね!さすがあなた!」

 

 サイボーグ化しても感情を失わなかったマスオは、サザエの飛びつきに思わず顔を赤くした。種族が違えど、その愛情は変わることはない。それがこの海賊団の団結を強めている一因だ。

 

「おーい!父さん、母さん!帰ったよー!」

 

 サザエの子供達以外が揃い、しばらく船を進めていると上空から声が響く。皆がそちらに声を向けると、巨大な龍とそれに乗る青年の姿が目に映った。

 

「タラーオ!ヒトーデ!お帰りなさいー!!」

 

 サザエが大声を響かせながら呼ぶと青年は龍を飛び降り、甲板に着地した。続けて龍は人型へと姿を変え、やがて少女へと変貌する。

 

「ただいま!パパ、ママ!兄さんと無事、只今帰還完了!はい、これお土産!」

 

 ヒトーデが持ってきたのは、ノースブルー特産の蒸留酒。ナミヘイとマスオが好きな銘柄だ。

 

「まあ、ヒトーデ。ありがとうね!父さんとマスオさんの晩酌が捗りそうだわ!」

 

 こうして、海賊団の全ての人員が集まった。久しぶりの家族揃っての団欒に皆が明るい笑顔を見せる。フネが持ってきたちゃぶ台を皆で囲い、久しぶりの会話を楽しむ。

 

 

 

 

 

「へぇー、あのロックスが。んで母さん、それ受けるの?」

 

「あのね、タラーオ。ロックスとアタシじゃ、価値基準が違うの。支配なんて興味ないアタシがいってもすぐに船を降りちゃうわ」

 

 ビスケットをボリボリ頬張りながら、タラーオは皆が聞いた質問と同じことを母に聞いた。タラーオは血気盛んなロックス海賊団のことを生理的に好んでおらず、家族が殺し合いに巻き込まれることに特に危惧している。

 

「となると、僕たちはロックス海賊団には属さずに大秘宝を狙いに行くことになるね」

 

 カッツォの指摘にサザエはゆっくりと頷く。ロックスであれば、無理にサザエを誘おうとはしない。が、仲間にならなければ本気で襲いかかってくる連中であることに変わりないので、より激化する戦いに巻き込まれる可能性は高まることになる。

 

「シキやリンリンはいいけど、やっぱりロックスとニューゲートが厄介ね」

 

 サザエは港でくすねてきた手配書をちゃぶ台に並べた。

 

「加えてこの男も厄介ねぇ」

 

 加えてフネが出したもう一枚の手配書。それには「カイドウ」という名前と、いかにも凶暴そうな人相の男が写っていた。

 

「カイドウ……噂に聞く、ルーキーか。少年ながら、屈強な肉体を用いて海軍を悩ませていると聞く。奴もロックスの傘下に収まったのか」

 

「ウオッカ王国の元少年兵。僅か13歳にして海軍船を襲撃して物資を略奪、度重なる逮捕と脱走。これは、相当な強者ですね」

 

 手配書を見つめるナミヘイはまた厄介なルーキーが現れたことに頭を悩ませていた。普通の海賊団ならば海賊団の全戦力でもって叩き潰せば、再起不能に追い込める。圧倒的な全力でこれまでも何度も、ルーキーの心をへし折ってきた。

 

 だが、ロックス率いる海賊団は例え叩き潰したとしても、すぐに這い上がってくる。リベンジに燃えている彼らは絶対に諦めることはないし、何より全力で戦いを楽しみながら攻撃してくるからだ。

 

 まだ、ニューゲートは話が分かる方だ。だが、ロックスやシキ、リンリンは面倒くさい性格で、ボコボコにしても全くへこたれることがない。恐らくカイドウもこれに該当するだろう。

 

「まあ、何が来ようとも敵であるならぶっ飛ばずだけよ!」

 

「サザエ……力でゴリ押しする気かい?」

 

 呆れるフネにサザエは満面の笑みで返す。

 

「だって説得に応じないんでしょ?なら、全力で分からせるしかないのよ!」

 

「いや母さん、戦略を練って効率よく戦わないと」

 

「うーん。作戦ってすぐに破綻しちゃうじゃない?なら、直接ぶつかった方が良くない?」

 

 戦略的な頭脳を持ち合わせるタラーオは、母の単純明快な論理をジト目で見るが、そんなことなど知らんと言わんばかりにやる気満々だ。

 

「俺は姉さんに賛成!敵をこのバット『野究死妖絶』ってぶっ飛ばす!」

 

「ちょっとお兄ちゃん!私、そんな殴り合いイヤよ!」

 

 サザエと同じ単純な作戦が性に合うカッツォは、正面からのぶつかり合いにやる気満々だ。一方、ワカーメはイヤそうに首を振る。

 

「どのみち大秘宝を狙う以上、ロックスとの小競り合いは避けられない。ならば、全面戦争になっても敵を倒すしかないだろう」

 

 ナミヘイも海賊団の目的達成のために何れ来る戦争に備えるべきだと考えていた。策はどうあれ、戦争を回避する気はなかった。

 

「うん!なら決定ね!

ーー我々、『海の幸海賊団』は大秘宝を手に入れるため、ロックス海賊団との全面戦争に突入する!ロックス、ニューゲート、シキ、リンリン……立ち塞がる敵は強大!負ければ全てを失う!でも、私たちは負けない!必ず、勝つ!!」

 

 

 

 

 

 

「…‥んで、いつ戦うかは決めないんだね、母さん」

 

「まあ、いいじゃない兄さん。無計画なんて、ママならいつものことだもん」

 

 

 




さあ、一家がアッセンブルしました。

時代背景としてはルフィがまだ生まれる前の物語、ロックス海賊団結成の頃の時代になっております。
これから時代をさらに進めていきますよ〜いつかはロジャーとも会わせたいですね〜
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