前回の続きになります。
それではどうぞ。
再び、部室棟前にて。
「ううっ……とても残念です。リンコさんには、ぜひ入部していただきたかったのですが……」
「す……すみません……」
茶道部の体験入部を終え、イヴに申し訳なさそうに謝る燐子。
「…花音ちゃんも……なんかごめん……」
「ううん。悠里くんと燐子ちゃんが少しでも楽しいって思ってくれたなら、また遊びに来てくれると嬉しいな」
「うん……」
花音にも謝る悠里。実はあの後、他の茶道部の部員が入ってきて、体験入部に来た燐子と悠里に茶道部に入りませんか?と誘いを受けたのだ。
そして燐子は人見知りが、悠里は点茶の時より酷いマナーモード状態になってしまったのである。
「白金さん。ひとまず、返事を保留にしてみてはどうでしょうか? まだ部活は
「はい……でも、氷川さん……あ、あの……まだひとつしか、って……」
「体験するのが茶道部だけというのは、もったいないと思いまして。そうですね……次は運動部を見に行ってみましょうか」
なんと紗夜は運動部にも見に行こうと言い出したのだ。
「う、運動部……? む、無理です……わたし、運動部は……」
「大丈夫ですよ。次も、私と悠里さんがおつき合いしますから」
「…さり気に僕も入ってるのは、気にしないけど……どこの部活に体験しに行くの?」
何故か自分も入ってる事については気にしない事にした悠里が、どこの運動部に体験に行くのかと訊く。
「運動部かぁ。それなら確か、
すると花音が1年生で後輩の美咲がテニス部に入ってたのを思い出し、声を掛けてみたほうがいいかな?と提案する。
「そうですね。出来れば、一緒に来てもらえると助かります。事情は私から説明しますので……お願いしてもいいですか?」
「うん! もちろんだよ」
「ありがとうございます。では、行きましょうか」
そしてとんとん拍子でテニス部に決まり、イヴにもお礼を言った後、テニスコートに向かう4人。
同時に、今日の紗夜はいつもより……というか少し、強引なような気がすると感じた燐子と悠里であった。
◇
「……と、いうわけで。準備運動はこんな感じです。うちの練習はごく普通って言うか、特に変わった事はしてないですね」
「確かに、ごく一般な準備運動といった感じですね」
テニスコートにて。
「あとは偶に走り込みがあったりもしますけど、今日はなしみたいなので。えっと……燐子先輩、大丈夫ですか?」
「……っ……は……はい……」
「ま、まああんまり無理はしないでください……今日はこのまま、実際に軽く打ってみたりします?」
「えっ……!? う、打ち合い……!? わたしに……できるんでしょうか……」
打ち合いと聞いて、自分にできるのか?と悩む燐子。
「さっき、ラケットの握り方とフォームは教えましたよね? それを実践する感じというか。まあ、上手くいかなくても大丈夫なので」
軽い気持ちでやってみましょうと言う美咲。
「奥沢さん、よろしくお願いします」
「…美咲ちゃん、よろしくね」
「はい。水無月先輩以外、2人はテニスがほぼ未経験って言ってましたし、そっちのコートを2人で守ってください」
広さも半分になるし、あんまり動かなくてもいける筈ですと3人に説明する。
「つまり……私と白金さん対、奥沢さんと悠里さんという構図になるんですよね?」
「まあ、簡単に言うとそうですね」
更に言えばダブルスという構図になる。
「燐子先輩は運動苦手って言ってたんで、前の方がいいかもです。何かあっても紗夜先輩がフォローしてくれると思うんで、返せる時だけ返してくれれば大丈夫ですよ」
「は……はい……氷川さん、その……すみません……きっとご迷惑を……たくさんかけると思います……」
「いえ。誰にでも得手不得手はありますから」
一緒に頑張りましょうと言う紗夜。
「悠里くん、制服で運動とか大丈夫? 私のジャージ……着る?」
「…着れなくはないと思うけど、それは流石にダメだと思うから、ブレザーだけ預かってもらってもいい?」
「うん♪」
「……(いやいやいや!? 花音さん、何言ってんの!? しかも水無月先輩、花音さんのジャージは着れなくはないって……)」
花音にブレザーを預かってもらう悠里。2人の会話の内容を聞いた美咲は、悠里が着てる服のサイズを知ってしまった気がした。
「それじゃ、始めますか。まずは軽めに……そー……れっ」
とりあえず始める事に。美咲がサーブをする。
「あっ……ぼ……ボール……どうしよう、打たないと……」
「任せてください」
打たなきゃと燐子が思った矢先、紗夜がボールをラケットで返した。
「わっ! えっ、何今の!? 紗夜先輩のボールはやっ……!」
「そうだね。紗夜ちゃんのボール、スピンかかってたしねー……」
「えっ!? 今のスピンかかってたんですか!? み、見えなかった……いやいや。驚いてる場合じゃないって、あたし」
紗夜のボールが速いのと悠里が今のボールにスピンがかかってたという事実に驚く美咲。相手は初心者なんだし、今のは偶々だと思いながら。
「奥沢さん、次、お願いします!」
「は、はい~! ……燐子先輩の為の体験入部だし、次は出来るだけ燐子先輩の方に……よし」
燐子先輩、いきますよ!とサーブをする美咲。
「こ、今度は……ぼ、ボールがこっちに……え、えいっ……!」
「あー、あたしもあんなだったなー。ボールを打つ瞬間目をつぶっちゃって、空振りしたりして。燐子先輩には申し訳ないけど、ちょっと和むな~」
自分も燐子みたいに、初心者だった時を思い出すな~と和んでいると……
「それっ!」
「うわっ! えぇ!? 今のボールに追いついた!? 紗夜先輩、コートの端にいたのに……!」
「…よっと」
「えぇ!? 水無月先輩の今のバック打ち何!? しかもボールはやっ!」
コートの端にいた紗夜がボールに追いつき返したと思ったら、悠里がバック打ちでボールを再び打ち返す。
「白金さん、フォローは私に任せて」
「燐子ちゃん、安心して、近くにきたボールを狙っていいからね。僕も燐子ちゃんが打てそうなボールで返すからー」
「……う、うん……」
「……これ、燐子先輩の為の体験入部……だよね?」
現在進行形で紗夜と悠里がラリー状態が続いてるのを見て、美咲は思わず首を傾げてしまうのであった。
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